武漢ウイルスの前にアジアをどん底に叩き落した「SARS」も中国発である。また中国国内でとどまってパンデミックとならなかった奇病などは枚挙に暇がない。中国は経済大国ではなく、疫病大国なのだ。(2)
『中国でいま何が起きているのか』
米中激突、香港デモ、経済ショック………激動の中国社会を現地レポート
邸海涛 徳間書店 2019/10/31
・頻発する子供誘拐、農村の深刻な貧困状況、暴力化する若者まで、
日本では報じられない中国の「新たな現実」をレポート
<5000万人失業予測とリストラの嵐>
・森峰主任は、米中貿易戦争の激化によって中国に860万人の失業者が発生すると言っているが、この「失業者」が誰のことを指しているかは不明である。
中国では、戸籍が農村出身である者は失業者統計に入らないため、実際の失業者はもっと多くなる可能性が高い。
数年前、中国のあるネット記事では、これから中国では5000万人もの失業者が発生すると推測していた。その執筆者によれば、2014年時点で中国の民間中小企業の従業員は約1億5000万人で、もし5年以内にその3分の1が破産すれば、5000万人が仕事の場を失うことになる、というわけだ。もしも半分が破産すれば、7500万人が収入源を断たれる。
・日本では経済産業省や商工リサーチなどが年間倒産件数をまとめているが、中国にはそうした統計数字がない。しかも、中国の民間中小企業の寿命は3~5年という通説が定着しており、倒産はありふれた現象である。
【2019年初、重大な警告】
・学習会のテーマは、中国がいかに危機を乗り越え、重大なリスクを回避するかというもので、習近平主席がみずから開会式に出席して重要な講話を行った。
習主席は、「中国はいま政治、イデオロギー、経済、科学技術、社会、外部環境、党の建設などの領域において重大な危機に襲われている」ことを認め、「ブラックスワン(黒い白鳥)」と「灰色のサイ」が現れるのを強く警戒しなければならないという認識を示した。
<「マイナス成長」を示唆した大学教授>
・向松祚教授の演説の要点は、次のとおりである。
① 2018年は、中国にとって尋常ではない1年だった。中国経済の落ち込みが激しいからだ。
② 米中貿易戦争については、誤判断があった。アメリカを甘く見すぎていたのだ。
③ 民間投資が大幅に減少している。経営者たちがひどい目にあう事件が起こっている。2018~2019年にかけて、私有制を廃止し、民営企業を退場させるといった類いの議論が横行している。
④ 中国経済の下降局面は長期間にわたって続いていく。
⑤ 2018年の社債の不履行は、合計1200億元(約2兆円)を超えていると思われる。国有企業を含めて多くの企業が倒れかかっている。
⑥ 株式市場はかなり悪化している。1929年のウォール街の崩壊を彷彿させるほど、数多くの株式がピーク時から8割、9割も下落している。
⑦ ブラックスワンと灰色のサイは身の周りにたくさん存在している。金融詐欺事件や社債デフォルトは立派なブラックスワンで、不動産はもっとも大きい灰色のサイである。
⑧ 中国はすぐにでも三つの改革を行わなければならない。それは税制改革、政策改革、国家改革である。企業減税を実施し、政府の機構を簡素化し、その権限を減らす。中国の最大の問題は、社会統治コストがあまりに高いということである。
<30年間で驚異的な物価変動>
・以下は主婦たちがまとめた1988年から2018年までの30年にわたる、中国の物価変動の比較表(北京、上海、広州、深圳などの大都会)であるが、庶民の日常生活に密接にかかわる物価が異常なほど暴騰していることがわかる。なお、学費は小学校から大学までを含む。
米 1988年0.12元/500g 2018年4.4元/500g 36.66倍
白菜 1988年0.02元/500g 2018年1.8元/500g 90倍
豚肉 1988年0.7元/500g 2018年17元/500g 25倍
学費 1988年140元 2018年約15万元 1071倍
病院 1988年0.98元/平均1回 2018年90元/平均1回 91.8倍
住宅 1988年10元/月平均家賃 2018年1500元/月最低家賃(郊外)150倍
では、庶民の収入は、この30年間でどのくらい変わっただろうか。
1980年の都市部における平均月収は64元だったが、1989年には161元に上がった。
30年前の1989年の平均月収を基本に考えると、現在、月収4000元の場合は24倍、6000元の場合は37倍、1万元の場合は62倍となる。
現在、中国の一般庶民の平均月収は4000元近辺だから、この物価変動倍率に照らせば、この30年では物価上昇のほうが大きく、月収1万元でも決して楽な生活ではないことがわかる。
・現在では、交通が不便な郊外の新築住宅を購入する場合でも、最低200万元はかかる。平均月収の500倍、年収の41年分だ。都心では300年分以上にもなるだろう。
食、教育、医療、住宅は庶民の暮らしの基本だが、それがネックになると、庶民は暮らしの豊かさを実感できなくなるだろう。
中国の農村部では、医療費が高くて農村は医者にかかれないことが多い。骨折でも医者には行かない人が少なくない。1回重病にかかっただけで、30年間にわたって貯めてきた大事な貯金が底をつき、家族全員がきわめて厳しい貧困生活に陥ったという悲しい話がよく聞かれる。
<「環境保全」「長江経済帯」で失業者が続出>
・2019年1月10日、中国農業農村部は、「ここ数年のあいだ、多くの農民工が都市を離れて故郷に戻り、農産品加工・流通、地方観光などの新事業に取り組んでいる。この数は780万人にも達している」と発表した。
・筆者は、帰郷した農民工は、政府発表の2倍はいるのではないかと思っている。また、景気悪化が原因の失業もあるが、政府の命令で、環境保全のために工場が強制閉鎖され、その結果、職を失うケースも多くある。失業者の割合としては、半々という感じだ。
<所得税を払っているのは14人に1人以下>
・中国人の消費が低迷している理由はさまざまなだが、中国人の中産階級は、海外から想像されているほど豊かではない。
・中国で貧困層が想像以上に多いことを示す、もう一つのデータを紹介しよう。
中国メディアが報じた統計によると、中国での大卒者人口は総人口の4%以下にすぎず、労働力は7億人以上あるが、個人所得税を支払っているのは6000万人しかいない。すなわち、労働者14人のうち所得税を支払っているのは1人だけということだ。
ということは、中国での個人所得税徴収の最低基準額は月収3500元(2018年10月に5000元に引き上げられた)からとなっているが、平均的に中国人の月収がそれを下まわっていることを意味する。
<自己破産法がない中国で起こるカタストロフ>
・前述したように、中国では現在、家計債務が急速に積み上がっている。すでに50%を超えた中国の家計債務の対GDP比だが、これについて「20%から50%の水準まで、アメリカは40年間かかったが、中国はわずか10年間で調達した」ともいわれており、その増大スピードはかつてないほどである。
このような状況下において非常に危険なのは、中国には自己破産法がないということだ、これは重大な制度的欠陥だ。
・先進国では、いずれも自己破産法が確立されているが、中国にはこの制度がないのだ。
そのため、中国国民は破産しても、残債があれば死ぬまで借金の返済を続けなければならない。農村部では、その返済義務が借主の子供や孫の代にまで継承されていくことも多い。
中国では住宅価格が高騰したため、失業者が大量に発生すると、住宅ローンが返済不能となり破産するケースがいちばん目立つ。
<返済能力の限界へ到達しつつある中国の家計>
・上海財経大学は2018年に中国家計債務危機に関する報告書をまとめ、2017年の中国家計債務の対可処分所得比が107.2%に達したことを発表したが、これについて同報告書では、リーマンショック発生前のピーク時の数値に近づいており、中国の家計債務はすでに返済能力の限界に到達していると述べている。さらに、表に出ていない民間ローンなどの闇金融の氾濫を考えれば、事実上、中国の多くの家計はすでに“火の車”状態にあると論じている。
このような状態であるため、すでに中国では住宅を放棄して夜逃げする者が多数出ている。
・中国の銀行が住宅ローンの取り立てに容赦ない一方で、中国政府はローン返済責任を履行しない者に対し、「誠信制度」(社会信用システム)という手段で懲罰措置を行っている。
「誠信制度」とは、政府が全国すべての企業や個人に点数をつけて信頼度や素行の良さを判定する制度であり、素行不良などの記録がない者には加点して合格者とし、不道徳・違法・違約などの行為のある者は減点してブラックリストに入れる。この制度は全国の企業・国民の名誉や信用度などをランキング化するようなものだ。
個人でブラックリストに入れられると、大変なことになる。
とくに、返済能力があるのに返済しない債務者は中国で「老頼」と呼ばれているが、「誠信制度」において「老頼」と認定されると、名前がネットで公表される。
・だから、いまの若者の合言葉は「どんな事情があろうと、絶対に仕事を辞めない」なのである。「老頼」のレッテルを貼られたら、人生が終わるからだ。
<ローン返済をめぐる自殺も多発>
・2019年3月1日、中国の最高人民法院は「2013~2018年 中国裁判所司法改革白書」を発表した。それによると、2018年までに「誠信制度」でブラックリストに入れられた「老頼」の人数は、なんと1288万人にも達しているという。
また、前述した河北省の裁判所のウェブサイトでは、2018年末までに借金を返済できず、飛行機の利用を禁止されたのは延べ1746万人以上、高速鉄道の利用を禁止されたのは延べ547万人で、351万人がこうした罰則を回避するために返済義務を履行したと報告されている。
・ローン返済に悩んだ末、自殺する者も増えており、「ロイター」(2017年9月30日付)は、オンライン貸金業者から金を借りた学生が返済不能になり、自殺するケースが増えていると報じている。
また、住宅ローンに関連する自殺者についても、政府系の新聞がその深刻さについて報道している。
<住宅をもたない者の就職は厳しい>
・住宅価格が暴騰し、貸し出しが鈍り、返済不能の債務者が急増する、この現象は、住宅ローンに苦しむ家庭の増加を意味している。
また、「公積金報告」では公積金制度加入者の9割が平均年収レベルで、返済能力が低く、違約のおそれが十分にあると報告している。
中国では住宅ローンに苦しむ者も多いが、マイホームをもたない者も再就職や転職が難しい。会社側からいつでも仕事を辞めていく不安定な人間だと疑われるからである。
住宅ローンの返済が不能になれば、住宅を失い、かつての貧乏な生活に戻ってしまう。生活苦のうえにメンツも潰れ、自殺を図る人が多くなるわけである。
現在の中国不動産の時価総額は43兆ドル(あるいは65兆ドルとも)見積もられ、これはGDPの4倍である。1990年代、日本のバブル崩壊前夜、東京の不動産の時価総額は東京のGDPの2倍でしかなかった。
たとえば北京のマンションを例にすると、平均的収入の家庭では夫婦二人で3カ月働いた収入でようやく買える面積は、たった1平方メートルしかない。それほど高価なのだ。
中国の不動産バブルがいかに異常かわかるだろう。
<失業手当は少なく、企業破産法さえもない>
・中国では、政府所轄の職業安定所はあるものの、ほとんど機能していない。社員募集の情報はなく、職員の対応もお粗末である。ネットワークの構築ができておらず、就職斡旋はあまり重視されていないようだ。
ある調査によれば、失業者で職業安定所に行く者は100人のうち1人だけだという。職員の学歴は高卒までで、大卒者がいない。
失業手当はあるものの、その額は非常に少ない。支給額は地域の最低賃金の8割程度だ。最低賃金(全国平均)はおよそ月額1500元だから、失業手当は1200元くらいだ。1人分の1カ月の食事代を賄える程度で、家族を養うことまでは無理である。
しかも、自己都合で会社を辞めた場合は失業手当がもらえない。
生活保護の制度はあるものの、存在していないに等しい。体の不具合などで働けず、さらに親戚もおらず住む場所もないような場合にしか対象にならない。このような極端なケースは都会部には少ないうえ、支給額も数百元と少ないのである。
・企業破産法は理屈上はあるものの、それも存在していないに等しい。というのは、現行の企業破産法の実施対象は国有企業のみであり、民営企業や外資系企業などが除外されているからである。
中国では、民営企業が企業全体の8割も占めるようになっている。にもかかわらず、これらの企業が法律適用対象外にあるとすれば、法律の存在意義そのものが疑われる。
中国では民営企業の社長の自殺事件がよく報じられている。印象だが、住宅ローン返済をめぐる自殺件数より数倍も多いような気がする。
民営企業の経営者にとって、とくに資金繰りが厳しくなっている。もちろん建て前上は銀行から借り入れできることになっているが、実際は銀行の融資先のほとんどは国有企業だ。民営企業にはいろいろ理由をつけて貸し渋る。
<呉英裁判の衝撃>
・また、融資を受けられる3割の民営企業にしても、資格審査や手続きが厳しくて、結局、大手の民営企業かつ役人とのパイプをもつものだけしか認められない。
そのために、大多数の中小民営企業は地下金融、すなわち民間資金の借り入れに頼っているのが現状である。
しかし、2007年に起こった「本色集団」の呉英社長の逮捕事件は、民営企業ばかりでなく、多くの国民にかなり大きい衝撃を与えた。民間資金を借り入れた呉英社長が「金融詐欺罪」に問われて死刑を言い渡されたからだった。あまりにもひどすぎる判決だった。
中国では民間借款が禁止されているわけではないが、合法か違法かは検察側の思惑次第で、判定基準が矛盾だらけなのだ。
中国では数千人という不特定多数の投資家から高利を餌に巨額の資金を騙し取った犯罪で、犯人が死刑になった司法案件があったが、呉英社長の場合は知り合い11人から借金しただけで、しかも彼らから詐欺の被害届が出されたわけでもなかった。
このようなひどい判決が出た裏には、呉英社長の財産をねらっている腐敗役人の存在があるといわれている。
・その一方で、腐敗役人らが暗躍し、地下の闇金融組織を牛耳って暴利を貪っている。
呉英社長は逃亡もしていないし、会社も破産していない。金を借りたことだけで死刑判決が出たことに国民はまったく納得せず、全国で呉英社長を応援するキャンペーンが繰り広げられた。結局、死刑判決は再審により見直され、死刑執行猶予から、無期懲役を経て、最終的に懲役25年という判決が2018年3月に出た。この決定まで10年の歳月が費やされていた。一方、呉英社長は無罪を訴えて上訴しつづけている。
<P2P詐欺をめぐって>
・中国ではP2P金融も大変な社会問題となっており、家庭崩壊や自殺事件が相次いでいる。
P2P金融とはネット上の金融で、好リターンを条件に民間から資金を集め、それを中小企業や個人の借り手に高金利で融資する金融業者のことである。
<中国医療保険制度の重大な欠陥>
・2019年3月の第13期全人代では、李克強首相が政府活動報告で医療制度改革にふれ、「できるだけ早く糖尿病、高血圧などの一般疾病を治療する薬を医療保険制度に入れるよう努力する」と語った。
世界2位の経済大国である中国だが、現状では多くの病気の治療が医療保険制度に含まれていない。
国民の健康がどのくらい保障されているかということは、一国の実力や国民の幸福度につながることだ。日本で長年暮らしていた筆者は、日本の国民皆保険制度については馴染みが深い。健康保険組合の種類などに違いはあっても、日本の保険制度はシステムとしては統一されている。
一方、筆者が中国の医療システムについて調べると、その複雑さや不透明さにめまいがするほどだ。
中国では医療体制が農村部と都市部によって異なるし、都市部でもそれぞれ違っている。個人負担額など規定は複雑で、はっきりと答えられる人がほとんどいない。
・これにより、制度としてはほとんどの国民がカバーされることとなり、中国政府は2020年までに、全国民に保険制度を提供することを目標としている。
だが、これはあくまで建て前上のことであり、現実とはかなり乖離している。
<高すぎる医療費>
・このように中国の医療保険制度は不備や不平等、不合理な部分が多い。日本ではほとんどの疾病が健康保険で治療を受けられ、すべての地域で統一された医療保険制度が実施されているが、中国はまだまだ立ち遅れている状態である。だから、中国人の多くが北京、上海、広州、深圳など医療条件の優れている都市へ押しかけて都市戸籍を取ろうとするのである。
一方、中国の医療費は高すぎて、自己負担が重すぎるという苦情も跡を絶たない。歯の治療でも抜歯や差し歯程度で2万~3万元(約30万~45万円)、胃潰瘍の手術で10万~20万元、がん治療など大きな手術となると30万~50万元もかかる。日本のような高額療養費支給制度が実施されていないために、一般家庭にとっては医療費の支出がかなりきつい。
大きな手術を受けるのに必要な金がないため、テレビやネットを通じて助けを求める人がよくいる。とくに子供が重病にかかったケースなどは非常にかわいそうで、政府が責任をもって対処すべきことだと思うが、現実は厳しい。
<少ない医療予算は役人がほぼ独占>
・これまでの話をまとめれば、中国では個人も企業も破産法が確立しておらず、国民の健康を守るための社会保険制度も不完全なものとなっている。
経営も家計も健康も、セーフティネットがない状態で国民生活が不安定化しているのだ。
そこへ米中貿易戦争がのしかかり、中国経済の衰退がさらに加速することで、国民生活はかつてない危機に巻き込まれようとしている。
・一方、中国の役人の厚遇が、国民から批判されている。
2015年の数字だが、当時の国家歳入は10兆元に達しているものの、医療予算はわずか2000億元だった。少なすぎる。
日本の場合、2019年の税収は60兆円超であるのに対して、医療関連予算は34兆円とされ、半分以上があてられている。アメリカなどほかの先進国でも、およそ同様な割合で予算が組まれている。
中国では2000億元の医療予算のうち、1600億元は数百万人にも及ぶといわれる公務員や役人幹部のためのもので、14億の民に使われるのは残りの400億元だけだとされる。1人あたり約30元という悲惨な金額である。
<それでも中国が崩壊しない理由>
・このような社会保障の不備に米中貿易戦争が加わることで、中国は「崩壊」してしまうのだろうか。
近年の破綻国家といえばベネズエラがあげられるだろう。ベネズエラでは、デノミで経済が完全に麻痺状態となり、仕事を失った人びとは家に引きこもり、1日数千人の難民が国外脱出している。
・いずれ中国も、ベネズエラのような国家崩壊状態になるのだろうか。日本でもそのように予測する識者がいるが、筆者はそうならないと思う。その理由は以下のとおりだ。
① 中国では各地方の格差が大きい。公務員の給料が出ないほど財政が逼迫しているところもあれば、まるで外国の都市にいると錯覚させるほど豊かなところもある。だから、1カ所がだめになったにしても、すぐに全体が崩れてしまうわけではない。
そのうえ、経済発展に必要な工業生産システムは健在しており、戦争によって破壊されて麻痺状態になったわけではない。
② 社会福祉や国民の自由度が低いなど、社会統治のコストが低い。公安の安定維持費が高いという説があるが、高額な社会福祉予算を組むことに比べれば低い。
③ 外貨準備高が十分にある。中国の外貨準備高の額については疑問視されることも多いが、とくに破綻は見えていない。
④ 社会・国民への監視は厳しく、政権を脅かすような暴動の兆しがあれば、すぐに対応・改善する態勢が整っている。
⑤ 海外在住の華人からの投資などによる中国国内への送金が多い。
⑥ 外国資本の進出は完全にとまっているわけではない。
⑦無人探査機、AI、5G通信、キャッシュレスシステムなど、いくつか
の領域において中国のハイテク技術が先行しており、イノベーションが進み、国際的な競争力が強まっている。
⑦ 一般国民、とくに農家は国家転覆や外国人による政治介入はほとんど望んでいない。
⑧ 西側諸国も中国の崩壊を望んでいない。経済の相互依存が進んでいるグローバル時代の現在、よほどのことがなければ相手国を崩壊させることは自分の利益にも合わない。自分の首を絞めることに等しい。そこが冷戦時代のソ連崩壊とは異なる点だ。
中国人のあいだでは、「中国は政府が美化しているような美しい国でもなければ、外国人がさんざん貶めるような汚い国でもない」という言葉がはやっているが、そのとおりだと思う。
<子供の誘拐事件が多発>
・中国では子供の誘拐事件が多発しているが、被害の実態については正確な情報がない。民間では毎年20万人にのぼる子供が行方不明になっているといわれるが、政府系の新聞は年間100人くらいだろうと、まったくケタの違う情報を伝えている。だが、報告されない事件もあり、筆者は毎年少なくとも数万人の子供が誘拐されているだろうと推測している。
長らく一人っ子政策を実施してきた中国では、1人以上産むと罰金を科されるために、親が出生届けを出さずに無戸籍となっている子供たちが数多くいる。彼らは「黒孩子(ヘイハイツ)」と呼ばれており、中国国家統計局の2010年の調査では、その数は約1300万人となっている。
こうした子供たちは、人知れず人身売買や誘拐の対象になっていることが少なくない。違法なかたちで生まれ、戸籍もないため、誘拐されても警察当局に届け出ることができないからだ。
・家族の誰かが必ず毎日子供を学校に送り、迎えにくるというように、大人が付き添っていないと教師も安心できない。だから、日本の子供が1人で登下校することは、多くの中国人家庭から羨ましがられている。
<電光掲示板で幼児虐待防止>
・中国では公立の幼稚園が足りないため、ほとんどの幼児が私立の幼稚園に通っている。一概には言えないが、私立の幼稚園は学費が高いうえ、教員による幼児虐待が多発して社会問題になっている。
<農家の生活を見れば、その国の経済がわかる>
・中国に行けば世界旅行ができるというジョークがある。中東のようなイスラム教圏の地域、ヨーロッパのような歴史ある街、ニューヨークやシリコンバレーのような最先端シティなど、中国各地を歩けばすべて体験できるという意味である。
しかし、中国には、アフリカにも劣らないほどの貧困地域もたくさんある。人口の約9割が貧困生活を強いられているからだ。
<9割近くの農家は生活が貧困>
・もちろん、中国の農村部にも、比較的裕福なところもあれば、貧しいところもある。だが、基本的に7~9割近くの農家はまだまだ貧しい。子供や老人を除いて、家族全員が出稼ぎに行かなければならないのが現状であり、農業だけで生きていけるというのは、神話に等しい話だ。
・ただし、南方であろうと北方であろうと、農民の収入は出稼ぎに頼っている。出稼ぎに行かなければ、金は極端に少なくなる。もっとも、出稼ぎ先では、いろいろな身分的制限があり、不公平に取り扱われることが多い。
<中国でいちばん小さな役職が中国一の金持ち>
・基本的に、農村では村長が村を管理しており、村の財産の用途や配分について絶大な権利をもっている。そのため、汚職事件が跡を絶たない。
筆者が貧困地区を訪れた際、農民と話をしたことがある。
農家には、病気、子どもの教育、凶作など心配事がたくさんあるが、何よりも恐れているのは村の役人の汚職である。村民は毎年、村の運営費を出しているが、役人の汚職によって自分たちの血と汗の結晶が水の泡となるのではないかと、毎日、不安に思っている。ネットで検索すれば、村役人の汚職に関しておびたただし数のニュースが出てくる。
だから、中国には、「村長は中国でいちばん小さい役職だが、中国一の富豪だ」という言葉まである。農村には一見すると何もないようだが、山や川の使用権など、利用価値のある宝物がたくさん隠れている。村長はこうした財産をすべて思いのまま支配しているのである。
<農村にはびこる汚職の手口>
・村の役人の汚職には、おもに八つのルートがある。
① 土地徴用賠償金
② 地方発展助成金
③ 老朽化住宅改築助成金
④ 村道建設助成金
⑤ 貧困家庭生活補助金
⑥ 山、川、荒地などを勝手に第三者に売買して、莫大な利益を獲得する。
⑦ 特定プロジェクト助成金
⑧ 農機購入補助金
・⑥を除いて、補助金については必ず村の役人を経由する。このことが汚職の温床となっているのだ。
<村長制度が撤廃される?>
・ところで、集団所有制の変革はしばらく望めないものの、村の権力者である村長のポストがこれから撤廃されるという噂が立っている。2018年の年末から取り沙汰されているが、中央政府による公式見解や政策発表はまだ出ていない。
ただし、ネット上では関連文章が急増し、民間から支持の声が上がっている。いままで村長の権力があまりに大きすぎて、汚職し放題だったため、国民から強い反感を買っているからだ。
<「中国模式」という幻>
・中国模式とは、中国人にしかできない独自の発展モデル、発展基準、発展方式を指しており、これがあるからこそ、中国は西側先進国が歩んできた長い道のりを短時間で立派に走り抜くことができたのだという。
中国人は、何でも独自に事を運ぶのが好きな民族である。
・中国が急速に発展した理由として、毛沢東時代の極端な圧政が終了し、国民にビジネスをする自由空間が広がったことなど、いろいろとあげられるだろうが、筆者にいわせれば、中国経済発展のエネルギー源となったのは、ただ一つ、安い労働力だ。
大量で、安い労働力が中国に存在していた。それを支えていたのは、農民工という集団である。
・中国では労働法が定められているが、現実には、工場の経営者が法規、法律を遵守しようとせず、政府の労働部門も法に基づく監督をほとんどしていない。理由は、彼らが農民工だからである。農民工は臨時工の身分であり、無視されてもかまわないような存在なのだ。
<法治国家には「中国模式」が似合わない>
・農民工の現状は、いまでも昔のままだ。実は、中国では、改革開放後に現れた農民工の後に、もう一つ、「都市部農民工」ともいうべき大軍が現れた。彼らはもともと農民ではなく、国有企業の労働者であった。
1998年、当時の国務院総理、朱鎔基は、国有企業に近代的な管理制度を導入するとして、4000万人ともいわれる労働者の早期退職政策に踏み込んだ。
その4000万人の労働者のほとんどが40代、50代の中年世代で、仕事を失った彼らは家族を養うために給料の低い町工場で働かざるをえなかった。技術系の労働者が多かったので、行き詰っていた中国経済の活性化に大きな力を発揮した。
<深刻な農民工への賃金未払い問題>
・最近、筆者が読んでいる本に『中国農民工40年』というものがある。非常に勉強になる一方、悲しくなる内容だ。
著者は盛明富といい、元「工人日報」新聞社の総編集長である。農民工誕生の歴史、生存状況、社会的差別、奴隷的扱い、過酷な労働環境、戸籍問題、都市化と農民など、40年にわたる農民工の生活ぶりや社会環境の変遷を克明にレポートしている。いままで筆者が読んだ関連書籍のなかではいちばんの良心作だと思う。
そのなかで、印象的かつ衝撃的だったのは、農民工の賃金未払い問題である。もうとっくに解決されたと思っていたが、話が全然違っていた。
『ついに中国で始まった大崩壊の真実』
急落する経済と社会混乱の実態を現地から衝撃報告
邱海涛 徳間書店 2015/7/24
<株も土地も大暴落、年金破綻、無法がまかり通り、AIIB、外交、国内政治も大波乱>
<経済崩壊で好戦的気運が高まる中国>
・2015年4月25日付の「経済観察報」は、東莞市が第2次企業倒産ブームに見舞われていることを報じている。工場閉鎖が大量に相次ぎ、この1年で少なくとも4000社が倒産に追い込まれた。2008年から2012年までの5年間で、東莞市ではなんと計7万2000社が倒産し、数百万人の労働者が失業に追い込まれた。
<実体経済の崩落が止まらない>
・中国の景気が落ち込み始めたのは2008年からであった。
・企業の生産も鈍い。2015年4月の工業生産は前年同月比5.9%増だった。伸び率は同年3月より0.3ポイント改善したが、8%超だった2014年の通年の水準を大きく下回る。4月の乗用車の生産台数は11.2%減と2008年12月以来の2桁の減少幅となった。石炭、粗鋼、板ガラスなど、設備過剰が目立つ業界の生産量も前年割れが続いている。
要するに、景気悪化が加速し、企業の経営が苦しく、ほとんどの企業は利益をあげられず、重大な危機に直面しているということである。
<40年前の生活水準に戻る中国>
・GDPが相当に上がらないと、社会福祉も国民生活への保障なども消えてなくなってしまうからだ。
かつては、そのために必要なGDP成長率は8%といわれ、「保八(8%を維持する)」が絶対条件だとされていたが、もはやそれを唱える政府関係者や学者はいない。無理だからだ。
平たく言えば、工場からの製品出荷が鈍り、デパートには買い物客の姿が見られなくなるということである。生産も消費も激減する。成長率4%とは、40年前の生活水準に逆戻りするということを意味する。
<2015年の「3つの重大事件」から始まる中国崩壊>
・まず2015年だが、中国では3つの重大事件が起こると予測されている。それは、次のようなものだ。
1. 理財商品のデフォルト
・中国の経済学者、李迅雷は2013年に、「これから2、3年のうちに、中国には全面的な経済危機が起こる。不動産市場が一番危険な火薬庫だ」と警告したことがある。
彼によると、中国銀行の貸付総額のうちの約30%は不動産市場に流れ込み、地方政府の財政収入のうちの約30%は土地と絡んでいる。そのために、いったん不動産や土地の価格が下落すると、中国経済が崩壊しかねないという。彼の予言は現実味を帯びてきている。
・②労働人口減による激震リスク
2つ目の重大事件は、2015年から中国の生産年齢人口が急減し始めることである。毎年400万人近くの労働力が失われ、経済発展に大きな打撃を与える。人件費の高騰が予想され、成長率の失速が避けられそうもない。
一人っ子政策のつけが回ってきたのが原因であろう。2014年から一人っ子政策が見直されたが、もう遅すぎるのは明らかである。これから20年間は逆転の望みがまったくない。
1. 日中関係は重要な節目を迎えるのか
3つめの重大事件は、2015年8月に中ロ共同主催の「世界反ファシスト戦争勝利70周年記念行事」が行われることだ。同時に、中国では抗日戦争勝利70周年を迎え、中国国民の反日感情が高まり、反日行事が各地で行われるであろう。
<2016年の「第13次5カ年計画」が中国経済に波乱に輪をかける>
・2016年は、中国の「第13次5カ年計画」が始まる初年度である。第13次5カ年計画にどんな内容が盛り込まれるかを大いに注目したい。
・実際、5ヵ年計画は宣伝されているような完備無欠で信頼性の高いものではなく、いままでも問題点がいろいろ指摘されている。
たとえば、設定された目標が達成できなかったことはよくあった。1991年の5ヵ年計画では、教育支出予算の目標をGDPの4%と定めたが、それは十数年連続で達成できなかった。やっと実現させることができたのは、20年も経ってからである。
・しかし、問題が1つある。それは、2016年から始まる第13次5ヵ年計画を策定する際、李首相は現実路線を踏襲しにくい状況に陥る可能性があるということだ。
その理由は、第13次5ヵ年計画の期間には、大変重要なイベントと重要な時期が控えているからだ。重要なイベントとは、次のようなものだ。
・2017年 中国共産党第19回全国代表大会(党大会)
・2019年 中華人民共和国建国70周年
そして、2021年には中国共産党誕生100周年にあたるが、その前年の2020年まで継続していた第13次5ヵ年計画の成果が、改めて問われることになる。
<2017年に起こる政治体制の激変>
・最終的にどうなるかは、大会が開かれてからしかわからないが、中国共産党第19回党大会では改革派(共青団派)が党の中核に大いに躍進するのはほぼ間違いない。
もっとも、この党大会を睨んで、2017年に入ると、各地方で大規模な開発ラッシュが始まるだろう。借金してでも巨大なプロジェクトを建設する。地方と地方との背伸び競争が激しくなる。というのも、ポスト昇進のチャンスだからだ。
・GDPの伸びを役人の評価基準とすることは害が大きく、見直すべきだと声があがっているが、世の中はそう簡単に変わらない。何よりGDPのほうが一番はっきりと見える実績だからだ。
<「1国2制度」が限界となった香港は捨てられる>
・サービス業の対外開放、規制緩和など、数多い経済改革のテスト措置の中で、もっとも重要なものが金融の改革開放であり、成功すれば、上海は国際金融センターとしての基盤づくりができることになる。核心となるのは、資本移動の開放と預金金利の自由化であり、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への早期参画も目論んでいる。
もし、これが成功すれば、香港は完全に孤立させられ、没落していくだろう。
<2018年に経済構造の変化が起こる?>
・前述したように、上海自由貿易試験区で得られる成果は2017年に新自由経済モデルとして全国各地に広げることになっているので、第19回
3中全会では、上海自由貿易試験区で成功した経験を取り上げる決議文書が発表されるであろう。これをきっかけに、中国の経済構造は大きく変わる可能性がある。
・成思危の予測では、2019年に成長率が9%に達する可能性があるという。
その理由は、前年に全人代と全国政協が開かれ、多くの有能な新人幹部が政府の各部署に抜擢され、彼らが非常に情熱的に経済活動に取り組むので、実績がどんどん積み上がるのだという。
ただし、2019年以降は、経済の成長率が6~7%に落ちるとも成思危は指摘している。
<2020年から一気に総崩れとなる中国>
・2020年に東京オリンピックが開かれ、日本経済はいっそう活力がみなぎることになるだろう。また、待望しているメタンハイグレード(メタンを主成分とする化石燃料)の実用化も、この年の実現が予測されている。
一方、中国では翌年に中国共産党誕生100周年を迎えるが、解決しなければならない問題が国内に山積しており、それが原因で一気に坂道を転げ落ちる可能性が高い。深刻な高齢化問題が、その1つである。
中国は2020年になると、3人の若者が1人の老人を養い、さらに2035年になると2人の若者が1人の老人を養うという、大変厳しい社会人口構造に直面することになる。いままでは一人っ子政策による制限が人口減少の原因だと言われてきたが、学歴社会が定着し、婚姻意識が多様化しているなど、その原因はいろいろ挙げられるだろう。
・中国人、とくに農村部の人々は男尊女卑の意識が根強く、一人っ子政策のもとで男児を出産するためには手段を選ばなかった。妊婦が超音波検査を受けて胎児が女児とわかると、堕胎させることはよくあった。そのため、中国では男女の人口比のバランスが崩れてしまい、結婚適齢の男性が女性より3000万人も多く、結婚できないでいる。このことも急速な人口減につながった。2020年になると、結婚適齢の男性が6000万人も余ると言われている。
このような極端な社会生態のもとでは、いろいろな社会問題が起きるだろう。婚姻売買、婦人誘拐、性的犯罪が多発することは容易に考えられる。
・ある学者が、大胆な予言をしている。それは、これから10年の間に、数千万人に上るアフリカの結婚適齢期の黒人女性が中国へ嫁にやってくるというのである。理由は、アフリカにも美人が多いし、コストが世界一安いからだ。中国政府は奨励措置を講じるともいう。
<「1億3000万人を都会人に」の無謀>
・2013年の中国の総人口は13億5000万人で、都市部人口は7億1000万人。2020年に総人口が14億人に達すると予測され、「都市部人口は60%以上」という目標を掲げるならば、8億4000万人にまで増えなければならない。言い換えれば、あと数年の間に1億3000万人が都会人になるということである。
しかし、高価な住宅、立ち遅れる地方都市のインフラ整備、教育・医療・社会福祉の問題など、難題が山積している。真っ先に解決しなければならないのは、何といっても就職問題だろう。仕事がなければ、どんなに立派なスローガンであっても、絵に画いた餅にすぎないからだ。
<株バブル崩壊が招く中国発の世界金融危機>
・このように、重大な経済危機が7年周期で起きており、2015年は2008年9月のリーマンショックから7年目を迎える。
しかし、中国の株式暴落は彼の予想より早まった。そしてその破壊規模はギリシャの破産より十数倍も大きいものだ。中国発の世界金融危機が起こる可能性する否定できない。
中国の株暴落の元凶は、言ってみれば、政府そのものにある。
<いま中国社会で起きている悲惨な現実>
<上海でもオフィスビルはガラガラ>
・2013年に上海のオフィスビルの空室率は8.1%に達し、2014年には13%にまで上った。2015年は、さらに上昇している。前述した日本の空室率とは雲泥の差が見られる。
<成都市の空室率は46.9%にも>
・大都市の上海でもこのありさまだから、地方の中小都市の景気がいかに悪化しているかが窺い知れよう。
・いま、地方都市で、オフィスビル空室率が全国ワーストワンとなっているのは、四川省の成都市だ。2010年から空室率はうなぎ上りに上昇し始め、2012年に34.6%、さらに2014年には43.9%という驚くべき数字にまで達した。
<廃墟化する全国の「経済開発区」>
・中国には、もう一つの経済バブルが確実に弾け始めている。それは、「経済開発区」と呼ばれるものである。その損失規模は、オフィスビルの開発より数倍大きいといわれている。
・いろいろな呼び名があるだけではなく、経済開発区の数は想像以上にあり、全国各地に夥しく存在している。正確な統計数字はいまだに出ていないが、国だけでなく省や市が認可したものも含めると、数万以上あると推測される。
中国には22の省(台湾を除く)、4つの直轄市、2つの特別行政区、5つの自治区があり、それらの下には2856の県があり、さらに4万906の鎮と郷がある。香港とマカオ特別行政区を除けば、経済開発区のないところは見つからないのだ。
・開発区の敷地内には雑草が生え、空き地が目立っている。堀で囲まれた工場は数ヵ所あったが、窓から中を覗き見ると、床が裸土のままで機械は1台も置かれていない。現地の人々は、もし稼働している工場が見つかったら「国宝級のパンダ」という称号を送りたい、とよく揶揄している。
<氾濫するニセの外資企業>
・原因はいろいろあるが、やはりひどいGDP依存症にかかっているため、正常な経済活動に歪みがでていることが大きい。実績を粉飾するのは当たり前になっており、将来性や持続性のない外資企業の導入が盲目的に行われていた。
高汚染、高エネルギー消費、かつ本国で禁止された生産品目を扱う外資企業が続々と中国に進出してきた。結局、そのつけが回ってきて、やむをえず閉鎖や破産に追い込まれたのである。
<6000万戸の空き住宅>
・2014年6月、西南財経大学の調査チームが、「2014年、中国住宅空室率および住宅市場の発展趨勢」という報告書をまとめた。その報告書の中で、都市部の販売済み居住用住宅の空室率23.4%にも上り、約6000万戸は誰も住んでいないという驚くべき真相が明らかにされた。このニュースが伝わると、大きな反響を呼んだ。
0コメント