武漢ウイルスの前にアジアをどん底に叩き落した「SARS」も中国発である。また中国国内でとどまってパンデミックとならなかった奇病などは枚挙に暇がない。中国は経済大国ではなく、疫病大国なのだ。(4)
<肝心な時は人に相談しない>
・要するに、人に相談すると平均的な答えしか返ってこないということが、よくわかっていたのだ。このときに、参院で否決されて衆院を解散などということまで想定していたかどうかはわからない。ただし、小泉氏ほど「自分で決める」という信念を強く持っている人はいないのは確かである。
この点で思い出すのが、安倍内閣の組閣だ。安倍氏が他人に相談せずもっと好きなようにやっていたら、ああはならなかったのではないか。いろんな人の意見を聞いて話を広げると、往々にして結論は平凡になってしまう。組閣という「肝心なとき」に人と相談しなかった点でも、小泉氏は天才だったのだろう。
<ワンフレーズ・ポリティクスの恐ろしさ>
・しかし、郵政という問題にまず熱狂したのは実は、政治家ではないだろうか。それも対抗勢力である郵政民営化反対派が、大した問題ではないのにもかかわらず、これに命を懸けてしまった。それでこの問題が実際よりも大きくなってしまったのだ。
当時はこんなことを言ったらおかしいと思われただろうが、現実的には、郵便局が民営であろうと公営であろうと、国民の生活を決定的に変えるような話にはならない。少なくとも短期的にみて、国民が不自由するようなものではない。ところがこれを天下の一大事だと、まず政治家が思ってしまった。ここには事実認識、時代認識のずれが相当あったと思う。
・しかし、小泉氏に常識は通用しない。ただ、これはほとんど本質的な問題ではないし、今後もああいうタイプの天才がそうそう出てくるわけではないだろうから、あまり考えても仕方がない。
・むしろ、このとき改めて感じ、今でも忘れてはならないと思うことは、小選挙区制度の恐ろしさである。以前、カナダの与党が169あった議席を2議席まで落としてしまったことがあった。これも小選挙区制ゆえに起きたドラマである。
日本の場合は、小選挙区とはいえ比例代表もあるので、そこまで極端なことは起きないだろう。それでもほとんどそれに近い地すべりというか、表層雪崩のような現象が起きたからこそ、自民党が圧勝することになった。
・今思えば、解散した瞬間に、国民は勧善懲悪の精神から小泉氏に軍配を上げていたのではないかと思う。
<自民党はぶっ壊れたか>
・土木建築業者は、バブルがはじけた時には53万~54万社あった。そのときに補正予算をバンバン使ったものだから、不況下でも土木建築業者だけは増えて58万~59万社になった。約60万社として300の選挙区で割ると、1選挙区に2000社の土木建築業者があることになる。つまり2000人社長がいる。
ところが、小泉政権以降、その人たちが「公共事業を何とかくれ」と文句を言っても、中央はやらない。地方自治体もロクにできない。仕事も作れない自民党なんか応援できない、という話になる。
・こうなったいま、政治家に出来ることは、個人レベルでの努力しかない。当たり前すぎてつまらないと思われるかもしれない。しかし、最終的に問われるのは、政治家としてきちんとしているかどうか、そのことに尽きる。ちゃんと地元を回って、地元の声をよく聞いているかどうか。人格的にも物の考え方も、高い志に支えられているかどうか。
そういうことによって政治家が選ばれる時代になった。
<新聞の社説にとらわれない>
・以来、日本の政治は、支持率など世論の動向を見ながら運営される傾向が強まる一方である。世論主導型政治となってしまった。
<小泉構造内閣の評価>
・私は今でも、小泉構造改革路線は、あの時点では政策として正しかったと思っている。問題は、この小泉改革の成功によって、「市場原理は常に正しい。小さな政府路線はいつも正しい」ということが「永遠の真理」として証明されたと信じている人々、「市場原理主義」と呼ぶべき輸入品の考えを振り回す人々がいることだ。
効果的な経済政策の中身は、その時々の世界経済の動きや、国内状況の変化に応じて変わるものだ。いつでもどこの国でも有効な「永遠の真理」のごとき経済政策は、残念ながら人類は発見できていないし、これから先も発見できないであろう。なぜなら、経済の世界を構成する変動要因はあまりに多すぎるのである。
<米国は「市場現実主義」>
・少し話がそれたが、アメリカですら、経済を絶対的な市場原理主義に基づいて運営しているわけではないということを再度強調しておきたい。むしろ市場の限界を冷徹に見極め、時々の状況に応じて柔軟に対応している。いわば、「市場現実主義」とでもいうべき立場だと私は理解している。
<落選3回、当選9回>
<結婚と出馬>
・中曽根氏の勧めで、選挙に立候補する決意をしたのは、1971年のことだった。
・今考えれば、若気の至りの稚拙な思いつきだったと思う。現に、選挙は得票数4万963票の次々点。後になれば、そういうパフォーマンス的な運動だけでは通用しないことがよくわかる。
それから4年間、私は黙々と選挙区を歩いた。落選とはいえ、次々点になったという実績は大きく、地元の方がようやくまともに私を相手にしてくださるようになってきたのを感じた。四谷の小さな事務所を拠点に秘書何人かと黙々と地元を歩き、地元のあらゆる会合に必ず顔を出した。
こうして2回目の選挙を迎えることになった。もっとも、4年間も待つことになるのは予想外であった。人気が4年とはいえ、普通は平均すると3年目には選挙が行われていたからである。過ぎ去ってみれば短かったのだが、ひたすら選挙区を歩いて準備をしている身には、途方もなく長く感じられた。
<当選、そしてまた落選>
・当時、東京1区の自民党現職は強固な地盤を持っていた。それ以外には共産党、社会党がそれぞれ当選しているという現状の中で、新人の私が議席を得るのは非常に難しいというのは誰しもが認めるところだった。
・このときの経験から言うと、いまの小選挙区制は新人が出にくいという欠点があると思っている。あらゆる選挙区であとに続く者が出やすい中選挙区制の方が、自民党としての活力が維持できるのではないか。私はいまでもそう考えている。
・大平内閣が一番重点をおいたのは、財政の再建だった。それが1979年に迎えた2期目の選挙では仇となったかもしれない。それでもこの選挙、当初の世論調査の結果は非常に良く、私としてはトップ当選を目指していた。それも驕りにつながったのだろう。結果は、大雨で投票率が下がったこともあり、千数百票の差で次点となってしまった。2度目の落選である。
この開票日のことは、いまでもよく覚えている。落選を報告しにきた秘書に、私が「ところで島村氏と鳩山氏はどうなっている?」と聞いたところ、2人とも落選した、とのことだった。
<身にしみた温かさ>
・落選後3週間くらいは力が出てこなかったが、1ヶ月もするともう一度挑戦しようという意欲が湧いてきて、再び選挙区を歩くことにした。
・落選したにもかかわらず、支持者の皆さんは温かかった。70歳を過ぎたあるご婦人は、私を連れていろんな知り合いのところを歩いてくださった。本当にありがたく、そのような方々に連れられて、毎日毎日100~150軒も選挙区を歩き続けた。そんな励ましを受けながらも、「これから3年間これを続けていくのは辛いな」とも思っていた。
ところが、前回は4年間も待たされたのに、今度はたった7ヶ月で次の選挙が行われることになった。
<野党に転落>
・選挙の後でも自民党は第一党であったが、「政権を作る数にはとても足りない」と思案しているうちに、小沢氏が日本新党の細川護熙代表を担いで、8つの党派による連立政権を樹立し、自民党は野党に転落した。
その時点で10年以上国会議員をやってきたとはいえ、野党なんてやったことがなかったので、何をしていいのかわからなかった。あるとき、困り果てて中曽根氏のところへ出向き、「先生、野党の仕事って何ですか」と尋ねた。その答えは、
「何が何でもそのときの政権を倒す。政策も何もない。とにかく政権を倒すことが野党の仕事だ」
という単刀直入なものだった。今の民主党は、ある意味でこの言葉通り、野党の仕事をしていると言える。
・帰国しても四谷の事務所で、午後になるといつも本を読んでいた。ふっと見たらウィスキーの瓶がある。昼間の3時ごろ、氷もないので水道水でウィスキーの水割りを作って飲んだ。実にうまい。野党になったときのお酒の味は格別においしいと実感した。以降しばらくは、夕方になると酒を飲んでうさを晴らしていた。
事務所でひたすら読みふけっていたのは物理学の本だった。マックス・ブランクが創始した量子力学を勉強しようと思って、20冊ぐらい本を買って全部読んだ。
<入閣と落選、そしてガン>
・振り返れば、七転び八起きの人生である。最初の挫折が駿台予備校の試験で不合格、次に三菱商事の入社試験に失敗、3回目は最初の衆議院で落選、4回目は2期目を目指す選挙で落選、5回目が2000年の選挙で落選、それから6回目はやはりガンになったことだ。6回転んだが、官房長官としてまた起き上がった。
安倍改造内閣の顛末を7回目と見る人がいるのだろうが、私はそれを挫折に入れていない。あれは自分の挫折ではない。
<政治家の王道>
<中曽根氏の言葉>
・私に就職先を世話してくれたのも、政治家としてのイロハを教えてくれたのも、すべて中曽根氏である。様々な局面で言われたことは今でもよく憶えている。
・秘書になってからも、いろいろ面白い話を伺った。
「派閥の親分というのは、どういう素質が必要なんですか」
と聞いたら、しばらくして返ってきた答えが、「母性愛だな」続けて、
「いろんな性格の議員が大勢いる。それをみんな抱えていかなければいけないんだから、母性愛がないとやっていけないだろう」
また、「政治家は、人を突き放すようなことができない。そういう職業なんだ」とも話していた。これは母性愛に通じる言葉だ。
・私見だが、田中角栄元首相の派閥のあり方は「父性愛かな」と思うことがある。
<熟成ゆえの重み>
・常に我々以上に勉強しており、我々以上に人と会って、我々以上に人の話を聞き、外国の人とも会って話をしている。それは「いつか総理に復帰しよう」というような思いからではないだろう。リタイアしても生活に困るはずもない。誰に文句を言われるわけでもない。それでも、自分なりに日本や世界の将来のことを考えるということが、人生に与えられた使命だと思っている。それが中曽根氏の生きがいなのだ。
だから、中曽根氏はマージャンをやる人間をものすごく嫌う。「あんな無駄なことはない」と言う。私はマージャンが大好きなので、この点では少々肩身が狭い。
・そして、熟成にはやはりある程度の年月が必要だと思う。
地位が人を作る、ということもあるのだから、安倍氏ももう少したてば地位によって熟成できたかもしれない。その点は惜しかった。一方で、周囲の熟成度も足りなかったとも思う。
<小沢・与謝野、囲碁対決の真相>
・小沢氏がまだ自由党党首だったころ、「もう僕の楽しみは、日曜日の12チャンネルの朝の碁とNHKの碁の番組しかないんだよ」なんて言っていたことがある。「囲碁・将棋チャンネルというのがあって、囲碁か将棋を朝から晩までやっていますよ」と教えたら、「本当?」と興味津々である。そこで自由党の本部に私がその囲碁・将棋チャンネルの申込書を届けてあげた。
その後すれ違ったとき、「ご覧になっていますか」と聞いたら「紹介してくれたのはいいけど、あれを見すぎて腰悪くしちゃった」と言う。そのくらい好きなだけあって、囲碁についてものすごく勉強している。
<政治家の王道>
・それでは、政治家にとって一番大切なのは何か。
それは、肝心なときにものを言い、肝心なときに行動をすることである。清潔であることでもないし、演説がうまいことでもない。そういう些末なことではなく、良い世の中を後の世代に残そうという理想の下で、肝心なときにものを言い、行動すること。
<役人は使いこなすべき>
・役人は少し褒め、少しおだてて方向性を与え、あとは政治家が責任を取る。そうすれば役人はいくらでも知恵を出すし、いくらでも働く。
優秀な人たちの能力を活用しなければ、日本国全体として損だ。ずるい言い方をすれば、我々凡人は少々働いて少々遊んでいればよく、優秀な役人たちは遊ばないで働き詰めに働いてもらって、その成果を国民みんなで分かち合う。これがバッシングするよりも利口なやり方だ。
・役人の中には立場を利用して悪いことをする者も出てくるが、この種の汚職は何千年も昔からある。なくすように努力しないといけないけれども、とにかく役人を叩けば解決するという話ではない。
<国は巨大な割り勘組織>
・国家とは、国民が割り勘で運営している組織に過ぎない。国家の成立は人類史上、何万年もさかのぼれるわけではない。せいぜい5千年ぐらい。人類の歴史のなかでは割合、新しい組織だ。以来、幾多の国家が樹立され、世界中で形を変えつつも続いているのは、国家というものを作っておいたほうが何かと便利だからということに尽きる。
第一に、かかるコストを割り勘にする上で便利というわけだ。さらに、外交や安全保障上も便利だということがわかってきて、国家が成立していった。あくまでも割り勘でやっている組織なので、国民と遊離したところに国という別の組織があるわけではない。そこのところを、国民の皆様にわかってもらわなければいけない。
『「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界』
宮崎正弘 徳間書店 2015/10/29
<半値8掛け2割引>
・暴落の終着点は「半値8掛け2割引」と昔から言われるように、大雑把に見てもピークから68%下がる計算になる(じっさいに2008年から09年にかけて上海株は71%下げた)。
<株式大暴落が次にもたらす災禍とは?>
・次の大暴落は必至の情勢となっているが、中国に残された手段はあるだろうか?可能性は2つあるように見える。
第1は市場の閉鎖である。1カ月ほど思い切って株式市場を閉鎖すれば、この間に様々な処理ができるだろう。なにしろ一党独裁の国ならばこの緊急事態を乗り切る強引な手段も出動が可能である。
第2は通貨の大幅な切り下げである。
いまの人民元は完全な変動相場制への移行が難しいうえ、ドルペッグ体制となっているため、対ドル相場を30%程度切り下げるのである。「そんな乱暴な」と思われる向きもあるかも知れないが、実際に中国は1993年にいきなり33%も通貨人民元の切り下げを行った「実績」がある。
これにより輸出競争力が回復でき、若干の海外企業の直接投資も復活する可能性がある。
・デメリットは石油、ガス、鉄鉱石など輸入代金が跳ね上がること、もうひとつは日本に観光旅行へ来る中国人の「爆買い」ツアーが激減することだろう。というより現在の爆買いツアーはもう終わりに近く、中国人の発狂的海外ツアーも沙汰止みになるだろう。
かくして中国の爆発的投機の時代は終わりを告げ、中国経済全体の崩落が始まる。それは連動して中国共産党王朝の崩壊の始まりとなる可能性が高いのである。
<米国の親中派学者も「中国崩壊論」へ>
<旧ソ連は国防費の増大に耐えられなくなって潰えた>
・米国や日本が衰退する危険性はその原因と考えられる少子高齢化の人口動態よりも、もっと見えない変化、すなわち国防費増加ではなく「エンタイトルメント」費用、すなわち「社会保障、メディケア、保険医療(メディケイド)、所得保険」の急拡大にある。日本はこれに失業保険料が差し引かれ、しかも保険料を支払わなかった人々が月100万円ほどもかかる高額の介護を受けているケースもある。
かくして日米欧先進国や台湾、韓国などは防衛費拡大に予算を回せない隘路に陥没した。インドも貧困層の食料援助予算があり、タイ、インドネシアも然りだ。しかし中国には国民皆保険制度はなく、介護保険もなければ生活保護もない。義務教育も有料である。だからこそ狂気の軍拡が続けられたのだ。
欧米先進国が共通して陥没した財政危機とは民主制度のパラドックスかも知れない。
中国の次なる問題は宮廷の内部争い、権力闘争の陰湿性である。
・そして、「宦官と官吏による内戦に近い状況は何十年と続いた。朝貢貿易は崩壊し、比類無き明の艦隊は港で朽ち果てた。一方、海岸地域の町の住民はその後の数十年にわたって対外貿易から利益を得たが、明の宮廷はその繁栄ぶりを不快で脅威をもたらすものとみなした。官吏は近視眼的で経済的知識のない官僚の常套手段をとり、潜在的なライバルの力をそぐことにした。もはや仁の政治どころではなくなった」。
これまで国家の興亡論については、軍事力や海の支配、地政学的観点が主流だったから右のような別の視座からの切り込みは異色である。
それにしても明がなぜ衰退したのか。
「宮廷ではライバル関係にある各集団が皇帝の関心を引こうと争いあっていた」
漢の場合、「皇帝への影響力をめぐって、名門一族、軍当局者、官吏である学者・官僚集団、宮廷の宦官という4つの主要な対立勢力が争っていた」
なるほどまったくと言ってよいほどに現代中国の様相と似ている。
・2014年7月に北京大学中国社会科学研究センターが発表した中国のジニ係数は0.73(0.4以上は暴動が多発するレベル)。まさに天文学的所得格差の破壊力によって、史上空前の不均衡状態にある現在、中国は国家の財政が一握りの特権階級によって蝕まれつつあり、王朝の崩壊が近いことを物語っている。
<鮮明に表れた中国共産党瓦解の兆候>
・このように、米国における対中穏健派が雪崩を打って中国への失望を表明しはじめたのである。
前述したシャンボーは、共産党体制崩壊は次の5つの兆候からうかがわれるとした。
第1に富裕層の海外逃亡、第2に国内での言論弾圧、第3に誰もが政権のプロパガンダを信じていないこと、第4に共産党と人民解放軍にはびこる腐敗、第5に経済縮小と利害集団による改革阻止である。
シャンボーはこう結論している。
「一度、この体制が崩れ始めると中国は長期的かつ複雑に停滞し、より暴力的な社会となるだろう」
・――危機管理とは考えられないこと、あるいは考えたくないことを考えることである。
日本人が嫌がる防衛論議、日本の核武装、戦争、これら考えたくないことを、じつは真に近未来のシナリオとして考えなければならない。それは指導者の役目だ。
<迫り来る米中戦争の行方>
<米中戦争は不可避だとするロシア>
・こうなると、米中の関係悪化はどこまでいくか、ロシア紙『プラウダ』(英語版、2015年6月24日付)は米中戦争の蓋然性を検証し、11の根拠を描いていた。
その行間には米中戦争への「期待」(なぜなら「最大の漁夫の利」を獲得できるのはロシアだから)が滲み出ている。
<米国が想定する米中軍事衝突3つのシナリオ>
・南シナ海問題で一歩も譲らす、重大なチャンスを逃がしたのである。
偶発戦争は起こり得ない可能性が高いものの、危機を危機と認識できない指導者が、党内権力闘争の生き残りをかけて軍事衝突に出てくる場合、俄に起こり得る危険性に繋がるのである。
たしかに国内矛盾を対外矛盾にすりかえることは歴代独裁者の常套手段とはいえ、中国の軍事外交の突出が続けば、いずれ本格的な米中衝突を招来し、結末は中国の敗北が明らかであり、中国共産党の指導力の信用が撃滅され、共産党の一党独裁は激しく揺さぶられることになるだろう。
<そして中国に大破局が訪れる>
<機密文書まで海外に持ち逃げし始めた「赤い貴族」たち>
・「これ以上、反腐敗キャンペーンを続行すると、指導部の安全に問題が出てくるだろう。いまですら執行部の安全は深刻な状況であり、反対派は絶滅されていない。もし、キャンペーンを続行するとなると党そのものが深刻な危機に瀕することになり、このあたりで手打ちにしないと、状況は危うくなる」
<中国共産党の命運は尽きようとしている>
・黄文雄氏や福島香織氏が口を揃えて言う。反日の中国人と韓国人は本当は日本が好きで、できれば日本人になりたいと願望している、と。
「来生は中国人に生まれたくない」とする若者が3分の1もいて、これは韓国でも同じ比率という。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいる。いや、その数は夥しい。
・世代交代が著しくなり、軍人でも朝鮮戦争体験組は誰もいない。
公式の発表より、民衆は裏の情報を選別して入手している。若者はネット世論の行間を読み、暗号で通信しあう。
過去の話より現実の腐敗、権貴階級への不満と憎しみが噴出しはじめ、いずれ巨大なうねりとなって、より暴力的になり、社会は乱れきって無法状態に陥るかもしれないという明日への恐怖が中国の統治者の間で認識できるようになった。状況はそれほど悪化している。
・国家の基盤が安定を欠いて根本から揺らぎはじめ、特権階級も安穏としてはいられなくなったとき、共産党幹部自らが、「そろそろ俺たちの時代は終わりだな」と自覚しはじめる。だからあれほど夥しい中国共産党幹部が賄賂で得た資金ごと海外へ逃亡を始めたのである。
余命いくばくもなくなったのが中国共産党である。
『晋三よ!国滅ぼしたもうことなかれ』
~傘張り浪人人生決起する~
亀井静香 メディア・パル 2014/11/29
<小学校3年生のときに迎えた敗戦のショック>
・吉田茂や岸信介は小さな抵抗はしたかもしれないが、大きな流れでいえば従米路線を進め、それが自民党、つまり日本の政治の主流となっていったんだ。
<交渉は相手の力を利用して制す合気道の極意で>
・ただ、集団的自衛権はまずかった。
世論の大方の反対を押し切って、閣議決定で変更することをやってしまったことも。開けてはならないパンドラの箱をいじってしまったんだな。
「実際問題、集団的自衛権が使えるか」って晋三に問い質したが、
彼はただ黙って聞いていた。
使えるわけがないのだ。ダメだと話をしたが、本人も今になって「しまった」と思っているんじゃないかな。
TPPは、大企業含めてそれで得する連中もいるが、集団的自衛権の問題は、カネではなく命の問題であり、日本の平和と秩序の問題だ。
<純ちゃんの改革を総括する>
<「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」>
・この章の目的は、俺のほんとうの意味での敵が外来種の新自由主義であることと、その新自由主義の出鱈目な正体を明らかにすることだ。そのためには、どうしても純ちゃんの改革について語らないわけにはいかんだろ。
あれから10年、郵政民営化とは結局なんだったのかって考えると、「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」を痛感するね。
政治家は国民のための政治をするのではなく、それを権力におもねったマスコミが情報操作、アレンジして伝え、一方、国民も痛みを痛みとも感じず生体反応を起こさないほど劣化した。それが今も続き、ますます悪くなっている感じだ。
あのとき純ちゃんは「官から民へ」とか、「改革なくして成長なし」ともっともらしいことを言っていたね。「痛みなくして改革なし」とも言ったが、結局、ほとんどの人に「痛みだけあって改革なし」だったってことだ。
・聖域なき改革とか三位一体の改革とか、改革が素晴らしいもののように思わせ、マスコミもそう誘導した。彼らのバックには、郵政民営化で得する大スポンサーがいたから当然だろう。
郵政民営化だけを争点に、衆議院を解散して選挙に臨んだのは狂気の沙汰だった。法案が参議院で否決されたからといって、衆議院を解散するというのは憲法違反の暴挙だな。民主主義を冒涜する以外の何物でもなかった。自民党内でも多くの人が反対していたが、党執行部は彼らを脅したりあやしたりして鞍替えさせていた。
俺は郵政民営化が明らかにアメリカからの年次改革要望書(日本の弱体化を狙う勢力や、郵政の財産を狙ったアメリカの保険や金融資本の意図した)に沿ったものであると承知していたので、徹底的に反対した。
・郵便にしても、簡保にしても、郵貯にしても、あるいは、それ以外のサービスを含め、郵便局は地域に密着したコミュニティーの拠点だから潰すわけにはいかないんだ。日本の重要な社会基盤の一つなんだが、やつらはそれを壊そうとした。
要は「官から民へ」ということを、十把一絡げでやるのはあまりにも単純過ぎるということ。
「改革」にしたって中身が問題ってことだよ。
<結果は「働けど働けど我が暮らしよくならず」>
・この10年、改革によって日本がよくなったと思っている人はほとんどいないだろう。いるとしても1パーセントのカネを握っている連中だけだろうな。あとの99パーセントの人々の生活はますます苦しくなって、全然いいことないと感じているのではないか。
つまり、その改革が国民のためではなく、自分たちに都合のいい、つまりバックにいる新自由主義のグローバリストたちに都合がいいものだったってことだ。日本の財産が掠め取られ、「働けど働けど我が暮らしよくならず」という風になってしまった。その、日本人の富を吸い上げる仕組みが、この10年でつくられてしまったんだ。
<我が反骨と抵抗の半世紀>
・カネがないからアパートにも住めない。それで、東大・本郷のキャンパス内にある合気道部の道場『七徳堂』の隅に布団とミカン箱を持ち込んだ。俺は合気道のヌシだったからできたんだ。
全日本学生合気道連盟を俺はつくって委員長だった。東大の合気道部を同好会から部にしたのも俺だ。副委員長が大平(正芳元首相)さんの息子だった。彼は慶応の合気道部のキャプテンで金持ちだから、飲んだら全部払ってくれた。
家から仕送りをしてもらうわけにもいかない。飯が食えない。仕方がないからアルバイトを見付けるしかなかった。石油モーターの消費実験をするアルバイトを見付けてきた。夜間のアルバイトもやって、朝方に帰ってきて、勉強を始めたんだ。
<嵐を呼ぶ警察官時代>
<自治省のおごりでピンサロ三昧>
・あまりにやることが派手だったから亀井対策として、後に新党さきがけの代表となる武村正義が自治省から地方課長として埼玉に送られてきたくらいだ。
で、夕方5時くらいになると、「亀ちゃん、行こう、行こう」とハイヤーを待たせて誘いにくる。俺も嫌いじゃないから、ピンクサロンなんかへ1軒、2軒と付き合ってやった。
ところがあいつは、「亀ちゃん、もう一軒行こう」って誘うんだ。仕方がないから付いて行ってやったけどね。
あいつが村山政権で大蔵大臣をしているとき、大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶ接待疑惑が持ち上がったんだよな。あいつが彼らを、「首にする」と言い出したから、「何言っているんだ。おまえだって、遊びまくったじゃないか」と脅すと、「昔のことは言わないでくれ、言わないでくれ」って懇願してきた。
結局、懲戒処分にするのを諦めて処分保留にしてたな。
<社会のゴミをなくすために国会を目指す>
<誰にも相談しないで出馬を決意>
・いくら警察で頑張っても所詮、社会のゴミ掃除だ。社会のゴミを出さないようにするしかない。そんな考えで政治家になろうとした。
<晋三の親父さんから「帰ってこい」と言われ>
・代議士となり、自民党では清和会に入った。俺を推挙してくれた永山先生の流れからだ。当時は晋三の父晋太郎さんが派閥の長で安倍派と呼ばれていた。
実は一度、清和会(安倍派)を除名処分になっている。
<政権内でも暴れまくり>
<今でもスチュワーデスに礼を言われる俺>
・村山政権が誕生して、野坂さんが俺に、「組閣では、好きな大臣を選んでくれ」と言ってきた。俺も久し振りに日の当たるところでやれるんだなあ。よかったわいと思って涙が出たよ。そして運輸大臣になったんだ。
・「ダメだ。俺は認めない。日航に取り消させろ。スチュワーデスは、お茶汲みじゃない。あれは重要な安全要員なんだ。同じキャビンで同じ仕事をしているのに待遇が全然違う。更に、安く使おうというのか。そんなことでコスト削減を図ろうなんてとんでもない話だ。ただちにやめさせろ」と指示した。
・どの会社でも試用期間っていうのはあるから、3年間は試用期間。アルバイトじゃない。3年経ったら無条件で正社員にする。事故のときは正社員並みに扱うという文言を、自ら書いたんだ。給料も2倍以上に引き上げた。
「これは最終案だぞ。文句があるなら辞めろ」と通達したんだ。今でも、国際線や国内線に乗っていて、年配のスチュワーデスから、
「私は、先生のおかげでアルバイトからスチュワーデスになれて、今は責任者の立場で働いています」と何人も礼を言うんだよ。スチュワーデス神社ができたって言われるくらい、俺は救いの神になったんだ。
<ハワイでゴルフをしながら2兆8000億円の財源確保>
・俺がハワイでゴルフをしていたわずか10日ほどで、223事業を中止にし、2兆8000億円くらいをカットしたのだ。
結果、2兆8000億円の財源をつくったわけだ。財源づくりまでこっちはしてやったんだから、大蔵省がガタガタ言うことではない。そして、建設省、農林省に必要と思われる新規事業をバーンと付けた。
<自衛隊全軍をすぐ福島に派遣しろ!>
・「どのくらいだ」
「8000名の陸上自衛隊を派遣しました」
「おまえ、何を言っているんだ。こういうときに頼りになるのは、自衛隊と警察と消防だぞ。特に自衛隊だ。陸海空を全部派遣しろ。全指揮を統幕議長にとらせろ」と命じたのだ。その後、菅に、「副総理をやってくれ」と2時間近く口説かれた。菅は、俺が一応剛腕だというイメージがあるから、それを副総理にすることで格好付けようとしたんだ。
<真の敵は外来種の新自由主義>
<人類は文明から大反逆を受けている>
・自然環境だけじゃない。人間社会でも異常が常態化し、人々の心も文明から反逆を受けている。原発事故や公害、あるいは薬害問題など、人々の命を脅かすことが頻発している。
<人々の幸福や生命までも奪われていく>
・彼らは国を超え自由に経済活動をすることで人類の繁栄をもたらすと考えているようだ。「グローバリズム」(世界主義)とも呼ばれているが、要は自分たちが独占したいだけ。自分たちの価値観やルールを「グローバルスタンダード」とか言って世界中に押し付け、自己の止まるところを知らない欲望を、ただ満足させようとしている連中である。
<日本人よ、洗脳から目を覚まして立ち上がれ>
・そんな新自由主義的なグローバリズムに対して、「冗談じゃない!」と声を上げる人々が現れた。何が正しくて何が間違っているかを自己判断でき、行動できる人たちだな。
お膝元のアメリカでもヨーロッパでも。またアジアの国々でも新自由主義的なグローバリズムに対して、デモや言論による抵抗と反発の動きが起こり始めている。
<外来種の思想ではなく土俗の政治が日本を救う>
<地方再生は農漁業がカギ>
<日本人の根っこは農漁村にあるんだ>
・そこにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でしょ。TPPは新自由主義の典型的な政策。日本の農家が大打撃を受けるのは明らか。関税が撤廃された、安い米やら野菜、果物が大量に入ってきたら、間違いなく壊滅する。アメリカやオーストラリア、ニュージーランドといった農業大国と戦ったら、中小零細の日本の農業なんかあっという間に木端微塵だ。
今でも食料自給率は40パーセントだが、TPPでは10パーセント台になると言われている。文明の反逆を受ける現在、天候不順などで日本に食料が入ってこないと、餓死者が続出することだってあり得るんだ。俺は、農業は森の番人、漁業は水の番人として大切に守らなければならないと言ってきた。これらの風景は日本人にとって心の原風景だけでなく命の支えでもあるんだよ。
農業と漁業は食糧安全保障の要。それを価格で勝負が決まる自由競争の場に出すということ自体、そもそも考えが間違っている。
<狙われた農協と農業潰しの背景にある意図>
・食べるものがなければ、いくら最新の車や電化製品があっても生きていけない。日本にとって大事なのは、TPPで輸出を促進したり安い農作物を輸入したりするのではなく、日本の農業を立て直すことだ。
<アベノミクスは絵空事だ>
<所信表明演説から消えたアベノミクス>
・今まで、わかっていても書かなかったが、各週刊誌もいろいろ書き始めている。隠し子騒動の話まで飛び出した。上り調子のときには書けなくても、今なら大丈夫というところだろう。見るに敏というか、マスコミもいい加減なものだ。
<晋三に注意した、博打場となった株式市場>
・だから俺は総理に直接電話でも言ってやった。
「なあ晋三、今、兜町はどうなっていると思ってる。近頃の株式市場は産業資金を調達する場ではなく、ただの博打場になっているじゃねえか」
それに対して信三から特に否定する言葉は返ってこなかった。だから心のどこかでそう思っているのかもしれないな。
<株価が上がれば景気がよくなるというのは嘘>
・アベノミクス実施後、株価は上昇し、兜町界隈の懐は暖かいかもしれないが、それ以外の場所で景気がいいという話はほとんど聞かない。むしろ、寂れて荒廃しているのが今の姿なんだよ。
<今の日本では円安はマイナス要因だ>
・現在の日本の産業構造では、円安というのは、日本人が一所懸命つくっているものを外国に安売りしていることに他ならない。
円高対策で数兆円程度の為替介入をしたところでその効果は一時的だ。逆に投機的な動きがある中、「虚の世界」にもてあそばれるだけ。ここでも、まさにグローバルな資金を使った外資たちが、儲けている。
もちろん為替を安定的に推移させるためにはいろいろな施策をやらなければならない。だが、実体経済を伴わず、ただ日銀がカネを出しまくって円安に持っていくというのは通貨の価値が下がるだけだ。
<アベノミクスは日本を叩き売っている>
・アベノミクスは円安で日本売りを図る政策だが、バナナの叩き売りみたいもの。日本の財産を投げうっているというもんだ。
<黒田の馬鹿たれは欲求不満を爆発させている>
・黒田は財務省では本流から外れていたんだよ。欲求不満が溜まっていたのかもしれないね。いずれにせよ中央銀行の立ち位置を踏み出し、政治的な動きになっている。これは、日銀の独立性を尊重した従来の日銀総裁はやらなかったことだ。前任の白川だって「この石頭!」と言われながらも、一応かたくなに守っていた。
とにかく日本は、アベノミクスの下、国を挙げてマネーゲームに走っているんだよ。
・実体経済は小泉改革以降、ガタガタになっているから、使い道のないカネが結局、兜町に流れたってことだ。日銀の通貨政策で実体経済が上向くというのは、今の日本では絶対に不可能なこと。そんなの現場を見れば馬鹿でもわかる。
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