ですから今は中国の分裂、さらに言えば北朝鮮の崩壊もわかります。繰り返しになりますが、中国、北朝鮮といった共産主義国家はいずれ、人類の歴史から消滅します。(8)

『あなたのすぐ隣にいる中国のスパイ』

鳴霞  千代田情報研究会  飛鳥新社  2013/4/6

<「日本人がいかに易々と中国人に騙されるか」>

・来日後の私は、大学や兵庫・大阪の中国語学校で教える傍ら、日本企業の通訳もしていたが、その折痛感したのは「日本人がいかに易々と中国人に騙されるか」である。

<中国人学者たちの怪しい行動>

・日本企業は「人権」「友好」「学術研究」という冠をつければ、技術も機密も公開、資金まで提供して丁寧に教えてくれると、中共政府は見くびっている。この状態こそ、日本が「スパイ天国」であると揶揄され、世界から嘲笑の的になっている理由である。

 中共は「スパイの21世紀的役割は、技術的遅れを埋め合わせる機密情報の入手」と規定している。国家として科学技術力が欠けていることを認識し、先進各国の先端技術を欲しがっている。しかし、先端技術を習ったり買ったりするような状況は想定していない。

 中共は、習うこと、または習うことによって入手した技術は古いもので、最先端のものではないという認識を強く持っている。

<美女スパイの手口>

・中国のスパイ活動といえば、すぐ「ハニートラップ」という言葉が浮かんでくる。女性を近づけて相手を油断させ、情報を取ったり、工作したりすることであるが、日本の橋本元首相や自民党の前総裁・谷垣禎一氏も、これに引っかかったのではないかという噂がある。亀井静香前国民新党代表は、自民党時代、中国を初訪問する際、後藤田官房長官に直々に呼ばれ「中国の女性通訳には気を付けろ」と注意を受けたという。実際、中国を訪れると、すこぶるつきの美人通訳が現れ、耳に吐息を吹きかけるように小声で通訳するので、非常に困惑したという。

 中国における「ハニートラップ」の歴史は古い。

・また、2005年に明らかになった駐上海日本国総領事館の男性館員が自殺した事件なども、現代の「中共によるハニートラップ」として記憶に残る事件だ。

・また、あるときは男性館員が犯したささいな法律違反(例えば中国では未婚の男女がホテルの一室にいるのは違法)を他の公安職員に摘発させ、自ら館員を助ける役を買って出た。その際に用いた中国語文書も存在しており、日本政府はこの文書を根拠として、中共政府に「領事関係に関するウィーン条約」違反として抗議した。

・古来、「英雄艶を好む」ということわざがある。為政者や事業家など、「精力的に仕事をこなす人々」は「女色を好む傾向が強い」というほどの意味だが、最近では、多くの日本人が「英雄」になってしまっており、それだけスパイの対象も増えていると言えなくもない。自衛隊や領事館員ばかりではない。企業の技術者や最先端の研究を担っている大学の准教授などもその対象であろうし、インターンの大学院生や国会議員の秘書なども「英雄」になってしまうのである。

・また、ビジネスは「グリーンと銀座で動く」といわれたが、料亭での政治が姿を潜めると同時に、政治家も、夜の銀座に蝟集することが多くなった。つまり、銀座だけでなく六本木や赤坂など、夜の街は日本のビジネスマンのみならず政治関係の「英雄」も集う場所となっていったのである。そのような夜の街の異変が2011年2月15日の夕刊紙に報じられた。「中国の軍幹部令嬢らが日本で謎のクラブ勤め」という記事であるが、筆者もコメンテーターとして登場しているので、以下に要約を紹介する。

 中国人民解放軍の幹部らの複数令嬢が、東京の銀座や新宿のクラブに勤めていることが、在日中国人社会でひそかに話題となっている。金銭的に余裕があるはずだけに、その目的や真意について、「日本の政財界に特別なコネクションを構築している」から「スパイ説」まで、さまざまな憶測が飛び交っている。

・米国では、2009年だけで、米司法省が捜査に着手した中国絡みのスパイ容疑事件は、なんと400件を超えたという。

・最近は銀座でも赤坂でも、中国人の経営するクラブや中国人ホステスが少なくない。中国人のホステス専門の店ではなく、かなり老舗の名前の通ったクラブにも「中国からの留学生」と称するホステスがいることがある。

・今はなくなったが、麻生太郎氏が首相になる前、昵懇の女性が経営する「シュミネ」という高級クラブがあり、そこにも、長期間北京出身のホステスが在籍していた。高名な政治家が通う店であるから、政界関係者や官僚、企業経営者などが多く集まっていた。

・もともと中国には「千金小姐」といって、どんな貧しい家の娘でも美人に生まれてくればカネになるという即物的な考え方があるほどなのだ。

・日本人の恥の文化に付け込むのが「ハニートラップ」の本質であり、同時に、これは日本のみならず、一夫一婦制を持つ数多くの近代法治国家の間で行われている、中共スパイの常套手段なのである。

<嵌められても気づかない国会議員たち>

<世界のどこよりも簡単な日本政界工作>

・2012年7月18日号の国際情報誌『SAPIO』に、衝撃的な記事が掲載された。ジャーナリストの山村明義氏の署名記事で、「お寒い事情、赤いスパイへの警戒感ゼロの野田民主党政権を中国への機密情報「筒抜け政権」と命名する」と題されていた。

・あまりにも無防備な事態に、日本に詳しい中国共産党のある幹部はこう嘯くのだ。「今の民主党政権は国家情報の危機管理意識が皆無に等しい。我々が日本人に近づき、日本の重要な情報を握るのはもはや難しいことではなく、裏の偽装すらする必要もない」

・現実に昨年(2011年)7月から11月にかけて、同じ東京・永田町の衆参の議員会館で、中国国内からと思われる国会議員のメールがウイルスに感染し、外国への情報が送られたとされる「サイバーテロ事件」が起きた。

・ところで、ウイグル会議開催直前、在京の中国大使名でウイグル国会議員連盟の各議員に、会議への参加を見合わせるよう強く求める要望書が届いたのだ。これだけでも明らかな内政干渉だが、それはさておき、その配布先を見てみると、議員連盟に当時参加していない議員にまで届いている。逆に参加しているのに、抗議文が届かなかった議員もいる。調べてみると、ある時期に作成された名簿を元に送付されていることが判明した。

 では、なぜ中国大使は「日本ウイグル国会議員連盟」の名簿を知ることができたのか。

・国会議員には「行政調査権」というものがあって、それを行使すると国の機密資料を簡単に手に入れることができる。以下は伝聞であり、未確認のものであるが、国政に関することなのであえて公開する。まだ民主党政権になる前の話であるが、辻本清美議員の秘書から行政調査権を使ってある資料の提出が要求された。

・したがって、財務省の官僚は議員のところに資料を持って直接出向いた。ところが議員本人に面会したところ、そのような調査の依頼はしていないという。

・民主党政権下で、首相官邸に出入りできる人間が1300人に膨れ上がっていたというのだ。その中には「80人ほどの左翼的メンバーがいたり、前科一犯の人」もいた。

・まさに現在の日本の情報管理の甘さ、為政者たちの情報に対する認識の決定的な欠如を示していたとしか言いようがない。

<熱烈歓迎(訪中)の中身>

・彼らは手荷物をあけてみたりなど、すぐわかるようなことはしない。しかし、パスポートは、実は個人情報の宝庫だ。本籍地は当然だが、過去に中国や他の国のどこに滞在したかまで記録されている。中共はその個人の情報を得て、調査を始める。特に、事前に中国の他のどこかを訪れていた場合、たちどころにそのときの行動を調べ上げる。ちなみに、イスラエルの場合、外国人訪問者が希望すれば、入国のスタンプは押さない。イスラエルに敵対するイスラム国に行った場合、迷惑をかけないようにという配慮からだ。

・さらに、前もってホテルの部屋などに運び込まれた荷物は、歓迎会の間にすべて中身を見られていると思ったほうがよい。書類などは、コピーされていることが少なくない。

・シャワーを浴び、一夜を共にしたりすれば、彼女たちの行為はより完璧となる。当然その前の全裸で抱き合う画像も撮られているので、男性がスパイ行為に気づいて文句を言えば、それを持ち出される。中国の役人に泣きついても、基本的には無意味である。中国には「夫婦、親子以外の男女(外国人同士の場合は除く)が、夜11時以降、ホテルの同じ部屋にいてはならない」とする法律があり、法律違反で逮捕されかねないのだ。

・2004年、自民党の山崎拓元副総裁と平沢勝栄議員が、中国の大連市で拉致問題解決のために北朝鮮の高官と交渉をしたことがある。この時、ここに書かれたような状況で、日本側の交渉の内容が事前に漏れていたということを、大連の『紡垂新聞』が報じている。このほど左様に、中国では十重二十重にスパイ網が存在するのだ。中国と一度でも関係した外国人はファイルが作られ、それが年々更新され、膨大なものとなっていく。

<「合弁会社」での「地下党組織活動」>

・中国には日本の会社が3万社ある。独立会社・日中合弁会社・日台合弁会社・日香合弁会社などであるが、それらの現地企業の中には当然「中共地下党組織」が作られ、情報収集のみならず企業が反中共活動をしていないかどうか、チェックし共産党中央に報告することを任務としている。

・筆者は、幼年時代から大学まで、中国の教育を受けてきたが、「南京大虐殺30万人」などということは一切教えられていなかった。なので、中国の教科書に「南京大虐殺」が載っていると知った時には、非常に違和感を持ったものだ。筆者のように外国に出た者は、まだ冷静なものの見方ができるが、そうでない場合、自分の働く日本企業を敵視し、「地下党」員として活動することになんらの痛苦も感じない。こうした工作を、中共は「文化戦」と称している。

・最近では日本に帰化した中国人だけで12万人を超えており、彼らには当然選挙権が与えられている。これに永住許可者を含めると、中共のコントロール下にある者の数は膨大で、実に恐ろしい動向である。では沖縄はどうか。永住外国人に参政権を与えようなどと言っているくらいだから、中国からの帰化華人の数など真剣に考えたことがないだろう。しかし、これは間違いなく脅威である。

<日本の経済援助が中国のスパイ活動を巨大化させた>

<中共スパイの原点は周恩来>

<南京大虐殺が1979年までの中国歴史教科書に一切掲載されていない不思議>

・まさに、外国人の目から見ても、当時の日本人の記録を見ても、略奪や殺人を犯していたのは中国兵のほうであり、日本軍ではないのである。

 それにしても、人口20万人の都市で30万人を虐殺するなど神様も不可能だ。

<中共は中国人のいる場所すべてにスパイを送り込む>

・従って、全軍のなかで、スパイより高級なポストはなく、スパイより機密なポストはない。さらに、すぐれた知恵がなければ、スパイを使いこなせないし、人徳がなければ、よく動かせず、洞察力がなければ、もたらされた情報の真偽を判断できない。

『足立無双の逆襲』  永田町アホばか列伝Ⅱ

日本維新の会 衆議院議員 足立康史 悟空出版  2018/6/11   

<国権の最高機関である国会を有名無実なものにしている>

・私はこれまで、プラカード掲げて暴行事件を起こしてきた「なんでもありの野党」のことを「アホばかだ」と批判してきましたが、そうした野党を野放しにし、甘やかし続け、そして追随までするようになってしまった「ひたすら我慢の与党」の責任も大きいと考えています。かてて加えて、そのように与党に気を遣うだけの「ゆ党」、いまや単なる規模の小さな既存政党と化してしまった国政維新も猛省しなければなりません。もちろん、自分も含めてです。

<国会でちゃんと議論がしたい!>

・処女作であった前著で私が述べたこと、お約束したことを、親愛なる読者の皆様は覚えていらっしゃいますでしょうか。それは、国会からアホばかを一掃したあとに本当の議論が待っていること、すなわち、国会を本来あるべき政策論争の場にすることです。

・政策なんて、小難しいことはできれば割愛したいのですが、イデオロギーの時代が終わって四半世紀、いまなお勢力を拡大し、むしろ開き直りつつあるアホばか政党と議員たちを一刻も早く退場させるための最大の武器は、政策です。彼ら彼女らの言っていることがいかに頓珍漢であるかを示すことにより、アホばか政党と議員たちを博物館に陳列し、そのうえで、日本という国家、そして私たち日本人の前に立ちはだかっている諸問題を国会でしっかり議論したい、これが私の願いです。

<アホばかにとどめを刺すのは政策で>

・アホばか野党、事なかれ与党、そして偏向マスコミ………米軍でもやらなかった三正面作戦はさすがにキツい……私のことを心配してくださる方からは、「やっさん、あれこれ言い過ぎて潰されてしまわへん?」「ここで倒れたらもったいない。あまり無茶せず、生き急がんように」などという声をいただくこともあります。本当にご心配をおかけし、また不甲斐ない思いをさせてしまい、申し訳ありません。

 しかし私にとって、代議士であり続けること自体にはあまり意味がありません。政権を担うこと自体、あるいは大臣になること自体が目標でもありません。それらはあくまで手段であって、大事なことは、新しい政党をつくり、新しい国づくりを前に進めることです。

 先の総選挙でも痛感したことですが、議員の政治生命などいつ潰えるかわかりません。

<国対政治の狭間で続く猿芝居国会>

・足立康史に対する懲罰動議は、本書執筆中の平成30年5月現在も「吊るされた」ままである。ちなみに「吊るす」とは、国会の俗語で「法案が委員会に付託されないで放置されている状態のこと」を指す。

・本書冒頭で紹介をしたように、懲罰の範囲や懲罰のあり方そのものにも問題があり、動議に対する足立康史の反論にも自民党国対は答えない。そして、懲罰委員会を設置するだけの覚悟もない。足立康史の問題提起は、ズブズブの国対政治の狭間で矮小化されていくのだ。

・自民党国対は、本来、「あなたがた野党は、過去に委員会室でプラカードを掲げ、暴言を浴びせて議事を妨害し、委員長に暴力さえ振るったのに、何を言っているんだ!」と言い返さなければならない。そして、そんな万年野党に対してこそ懲罰動議を出すべきなのだ。

 持ちつ持たれつで60年以上続いてきた猿芝居が、一度滅んだかに見えて、再びゾンビのように生き返っている。足立康史が簡単に引き下がらないのは、このような55年体制の亡霊にとどめを刺したいからだ。大事なことは自民党本部で議論して、国会では万年与党と万年野党が猿芝居を演ずる。国会という芝居小屋の中では、「万年野党は何でもあり、万年与党はひたすら我慢」、いつまでたっても国会で真の論戦が行われることはないのである。

<事なかれ与党、レッテル貼りの野党、偏向マスコミ>

・そして、与野党の国対委員が夜な夜なつくり込んだ猿芝居のシナリオ、そのシナリオ通りに演ずることだけを強いる与野党国対、シナリオとは異なる発言を徹底的に排除しようとする国会の「空気」――これこそが、国会の論戦が停滞する元凶であり、足立康史に対する処分の背景でもある。そして、佐川前理財局長による決裁文書の改ざんや柳瀬元秘書官による国会答弁の混乱など、官僚たちによる過剰な国会対策も、こうした国会内の異様な「空気」の中で起こってしまったのだ。

<加計学園問題の本質>

・以上の通り、加計学園問題の本質は、安倍総理への忖度や総理と家計理事長との友人関係にではなく、穴を小さくして新規参入を1校に限定した岩盤側の獣医師会と政治家との癒着にある。

・ちなみに、大臣や国会議員が職務に関する請託を受け賄賂を受け取った場合には、いわゆる受託収賄罪が成立する可能性がある。

・もちろん、彼らの政治献金は政党支部で受けているため、「収支報告書の公開をもって説明責任を果たしている」と強弁する向きもあるかもしれないが、後援団体と政党支部を区別して批判を回避するようでは、到底、国民の理解を得ることはできない。

<何度も言う、「朝日は万死に値する」>

・平成29年の特別国会では、与党の大物、野党幹部を「犯罪者(の疑いあり)」呼ばわりした足立くんだが、同じ質疑で、朝日新聞に対しても思いっきり攻撃しておいた。

足立(前略)さて、今回の加計問題は、資料でお配りをしていますこの朝日新聞の<平成29年>5月17日の、この総理の意向という、こういう捏造報道から始まっています。

 具体的にここに写真で出ている文科省の文書、これについては、総理の意向と確かに書いてありますよ。総理の意向と書いてあるけれども、これは加計学園についてじゃないんです。規制改革についてなんです。

・おいおい(怒)、自分の捏造報道で拡大した風評を自ら取り上げ、「あの『総理のご意向』をめぐる疑い」としゃあしゃあと繰り返す、絶対に許せない。そこで、思わず、ではなく、確信的に、「朝日新聞、死ね」とツイートしたのだ。

・まあ、足立くんは国会議員だから、いくらでも戦う。言論戦が仕事なのだから当然だ。しかし、許せないのは、文芸評論家・小川榮太郎氏の著書『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)の内容を巡って、同氏と出版社に対し名誉棄損で5千万円の損害賠償請求訴訟を起こしたことだ。日本を代表する大マスコミ、大手の言論機関である朝日新聞が、一個人を訴えたのだ。係争中の書籍が媒体に広告掲載されるのが難しくなることを狙ってやっているとしたら、おぞましい言論弾圧である。

<いまこそ文書管理のパラダイム転換を>

・さて、森友学園に関する財務省公文書書き換え問題、加計学園にかかわる官邸での総理秘書官面会記録、そして自衛隊の日報問題――「モリカケ日報」を巡るバカ騒ぎには辟易するばかりだが、いずれも、公文書管理を徹底することで、未然に防止できる。

 よくないのは、これを政局に利用しようとする野党六党の姿勢である。

・では、これを「民主党は官僚を犠牲にして口封じした!」「長妻大臣は説明責任を果たせ!」と蒸し返すか?いや、そんなことはまったく非建設的で無意味だ。森友学園でも野田中央公園でも起きていることは全国で起こっている。同じように、菅政権の厚労省東北厚生局でも、安倍政権の財務省近畿財務局でも起きていることは、あらゆる官庁で起こっていると考えるほうが合理的ではないか。ゴキブリは一匹見たら百匹はいる。そう考えた方がいい。

・アメリカでは、すでに2000年から国立公文書館でERAと呼ばれる電子記録アーカイブを運用しているという、さすがイノベーションの国。ホワイトハウスの記録はすべてが永遠に保存される。廃棄という概念自体がないのだ。

 南スーダンの日報で言うと、4万人の自衛隊員がアクセス、ダウンロード可能な状態で管理されていたという。そうなると、オリジナルを廃棄しても、各所でコピーされたものが、後に見つかるのは至極当然だ。逆に、完全に廃棄すること自体が技術的に不可能なのだ。完全に廃棄しようとすれば、それこそ最初から自動的消去プログラムでも組み込んでおかなければ無理なのだ。

<中央官庁に文書管理と統計のプロを配置せよ>

・モリカケから離れるが、裁量労働制の議論の際、厚生労働省のデータの不備が問題になった。

 実を言うと、このデータ問題はそもそも旧民主党政権の責任である。時間外労働の実態調査予算を概算要求したのは民主党政権の小宮山洋子厚労相の時代、比較不可能なデータを比べさせたのも、野党に転落した後の民主党厚生労働部門会議で「労働制度ごとに時間を比較したらどうなるかを示せ」と言われて、無意味とわかりつつ、仕方なく、比較できないデータを比較する表を提示したという。そして、データ不備を見抜ける専門家を育てられなかったのも、旧民主党を支えている公務員労組が専門家の導入に反対しているからだ。

・では、中央官庁にアーキビスト(文書管理の専門職)の育成配置が進まないのはなぜか。統計のプロが少ないのはなぜか。私は、その元凶こそが官公労(日本官公労労働組合協議会)であり、彼らに支えられている民主党と共産党だと思っている。

<立憲民主・国民民主――アホばか野党分裂の果てに>

<旧民主党、旧民進党>

<「五五体制の亡霊」に成り下がった民主党政権の末路>

・国政が混沌としている。昭和30年(1955年)の保守合同以来、40年近く続いた自民党1党独裁が崩壊したのは、ちょうど四半世紀前の平成5年(1993年)だった。万年与党の自民党と万年野党の社会党が表では相争っているように振る舞いながら、裏では握り合っているという「予定調和的な猿芝居」、いわゆる「五五年体制」が細川護熙政権の樹立をもって終焉を迎えたのである。

 それから間もない平成8年(1996年)に設立された民主党は、野党第一党として政局をリードし、平成21年(2009年)には政権交代を果たした。しかし、その政権運営は大失敗し、「悪夢の3年3カ月」として国民の記憶に深く刻まれてしまう。そして下野したあとは、単なる自民党一強政治を支える反面教師となり、選挙のたびに、まるで「食中毒を起こしたレストラン」のように、看板を掛けかえ合従連衡を繰り返してきた。

・そして、民主党から看板を掛け替えただけの民進党は、前回の総選挙を経て四分五裂し、20年余り続いた「民主党の歴史」は事実上、幕を閉じたのである。

<足立康史は安倍総理の別動隊なのか?>

・永田町では、党内からも含めて安倍政権に「肩入れ」し過ぎていると言われることの多い足立康史、ご声援もいただくが、ご批判も少なくない。

「足立は野党議員なのに、誰の目にも明らかなくらい安倍政権を擁護する。そればかりか安倍政権を攻撃する野党に対し、頼まれもしないのに側面から反撃を繰り返し、さらには安倍総理のライバルと目される自民党の大物議員のタブーを突いたりしている」

・――私は正面から憲法を議論しようとしない、というかそもそも議論する能力を持ち合わせていないアホ政治家、バカ政党を見るにつけ、心底怒りを覚える。憲法改正を正面から進めている安倍晋三総理の仕事に、私は深く敬意を抱いている。だからと言って、安倍政権の各種政策に無条件で賛成しているわけでもない。憲法改正を論じること自体に反対している連中こそ、反立憲主義、反民主主義の輩だと思っているだけだ。

<安倍総理が「余人をもって代えがたい」理由>

・与党にも、野党にも、党内の同僚にも「是々非々」を貫く足立くんが、安倍政権の大きな成果だと考えているポイントが3つある。経済、外交、そして憲法である。

・以上、大国日本のトップリーダーである安倍総理の仕事のうち、足立康史が特に注目する経済、外交、憲法の三点を一瞥するだけで、安倍総理が「余人をもって代えがたいリーダー」であることは明らかだろう。もちろん、人口減少や北朝鮮といった内憂外患に対処していくためには、さらにチャレンジしていかなければならないが。

・残念なのは、ほとんどの有権者が、自民党にも「よい自民党」と「アホばか自民党」があることを十分に認識していないことだ。選挙になれば、迷わず自民党候補に投票する有権者の方もおられるかもしれない。それが現実なのだ。そしてその責任は、選択肢を提供できていない野党にもあるのだ。

<大阪自民党のやっていることは共産党以下!>

・自民党にも「よい自民党」と「アホばか自民党」があると書いた。そのうち、後者「アホばか自民党」の代表的存在が、大阪自民党、つまり自民党の大阪府連である。

 再び、2月5日の足立康史の質疑を見ていただきたい。いわゆる議員年金の復活を画策する大阪自民党を取り上げて、「共産党以下だ!」の断罪している部分だ。共産党は、この部分を取り上げて、足立くんに対する懲罰動議に名を連ねてきたが、「共産党は大阪自民党よりは上やで」とほめてしまったのが気に入らんかったのかね。

・このように大阪自民党は、自分たち政治家がおいしい思いをするために、地方議員も厚生年金(掛け金の半額を公費負担)に加入できる制度の創設を目指しており、住民の税金を食い物にしようとしているのだ。もちろん、地方の自民党はあまねく同じ動きをしているのだが、大阪以外は、議員年金の必要性を訴えているから、まだ許せる。

 ところが大阪自民党は、かつて存在した議員年金を「特権的な地方議会議員年金」(掛け金の8割以上が公費負担)と称し、それに反対の意思表示をすることで、あたかも議員年金の復活に反対しているような「芝居」を打っているのだ。

 多くの自営業者、非正規労働者が国民年金にしか加入できないのに、非常勤の職業政治家だけが厚生年金に入れる制度を創設しようとしている。そんな大阪自民党を、足立康史は絶対に許すことができない。

<安倍政権でも払拭できない自民党の宿痾>

・最後に足立康史が考える安倍政権の問題点を指摘したい。戦後最高の政治家のひとりとして安倍総理を支持しているが、自民党政権のゆえの課題、問題点も少なくない。

 その最たるものは、いわゆる「融合型行政」を続けていることである。

 融合型行政という言葉は聞き慣れない方も多いだろうから説明しよう。広い意味での日本の行政は、基本的に関係者が一堂に会し、みんなでテーブルを囲み「そうですよね」「こういうこともありますよね」というノリで、誰も主導権を握らず、また握らせずに、まったりと、うまく全員が責任を回避しながら進んでいく。そして、いざ問題が起きても、責任を明確化することなく、「みんなが悪かった」「1億総懺悔」という形で、誰も責任を取らずに収拾する。公共事業も、社会保障も、原子力政策もすべて同じパターンだ。

 社会保障と税の一体改革でも、本来は社会保険である年金・医療・介護に税金をどんどん入れていく。もはや日本の社会保険は、保険なのか税なのかわからなくなってしまっている。

<「自衛隊」明記か「自衛権」明記か>

・自衛隊の合憲性を巡る神学論争に終止符を打つためにも、憲法9条に自衛隊を明記するという安倍総理のイニシアティブには大賛成だ。しかし、自民党のアホばか議員たちは、党利党略というより自利自略で様々な提案をしてくる。もちろん、議論自体は活発にやってもらって結構なのだが、その挙句に安倍総理の構想が頓挫するようでは困る。

<日米同盟の足元が揺らぎ始めるとき>

・日本は、戦後長く続いてきた日米同盟と「核の傘」による平和を、いつまでも当然視していてはいけない。これだけ日本を取り巻く安全保障環境が急激に変化する時代である。日本が国家として自立し、国民の生命と財産をどうすれば守っていけるのか、不断に考えていかなければならないと痛感する日々である。

<北朝鮮が素直に核放棄するとは思えない>

・米国本土を射程に収める大陸間弾道ミサイルの廃棄だけで米朝が合意し、日本を射程に入れる中距離や短距離弾道ミサイルが残ってしまえば意味がない。日本にとっては、拉致、核、そして中距離を含むミサイルという3つの問題が解決されなければならないのだ。

<ポストNPTを被爆国・日本が主導せよ>

・朝鮮半島の非核化が仮に頓挫すれば、どうなるだろうか。

・そうした最悪の事態に至るまでに、日本にできることはないのだろうか。足立康史は、70年代の欧州が対ソ核抑止の強化に取り組んだように、日本も核に手をかける準備を始めるべきだと訴えてきた。核に手をかけると言っても、使うためではない。北朝鮮の核開発により、東アジアのみならず世界の核抑止に亀裂が入る中で、改めてその均衡を探る手段として、アナウンスだけでも意味がある。「仮に北朝鮮が核保有を続けるなら、日本も核に手をかけざるを得ない」と国際社会に宣言をするのだ。

<いちばん大切なのは経済論!>

・日本経済は長い間、経済の「がん」とも言われるデフレに苦しんできたが、ようやく脱却に向けて光が見えてきつつある。もし、それが実現しないまま経済が十分に回復せず、税収も確保できなければ、どんな理想を語っても、それは絵に画いた餅にならざるをえない。

 にもかかわらず、アホばか野党からときどき聞こえてくる「もう経済成長なんてしなくてもいい」「経済成長しても幸せになれない」論を耳にすると、無性に腹が立ってくる。経済が破壊されたときに、どれほどの惨事が待っているのか、この人たちは本当に分かっているのだろうか、と頭を抱えざるを得ないのだ。

<アホばか「成長しなくてもいい」論をブッタ切る>

・いわゆるベーシックインカム(政府が全国民に最低限の金額を定期的に支給する政策)など国民全員に必要な収入を保障するといった社会を仮に実現できるとすれば、生産性革命を起こし、十分な経済成長が実現した、その結果としてであろう。経済成長なしにベーシックインカムをいくら約束しても、財政的に成立し得ない。

<アベノミクスの評価は「A・B・E」>

・安倍政権を評価する理由の一つがアベノミクスであると第4章に書いた。特に、一本目の矢=金融緩和は、大学の成績で言えば、文句なしの「優」評価、「A」評価である。

 だが、残りの二本の矢、財政政策と成長戦略については、方向性こそ間違ってはいないものの、評価としては厳しくなる。財政政策は「良」評価、つまり「B」評価であり、成長戦略に至っては落第、「E」評価と言わざるを得ない。

 つまり、アベノミクスの成績は「A・B・E」(アベ)である、ということだ。これは足立くんのオリジナルではなく、安倍総理の経済政策のメンター、イェール大学名誉教授の浜田宏一氏(内閣官房参与)によるものである。

・成長戦略に至っては、国家戦略特区も「働き方改革」と呼んでいる労働規制改革も、残念ながらすべて失敗している。

・国家戦略特区制度は事実上ストップ。厚労省のデータ問題や過労死問題を背景に、裁量労働制の対象拡大もできなくなってしまった。

・しかし、野党は本当にアホばかである。彼らが批判すべき安倍政権の失政は、言うまでもなくE評価の成長戦略なのに、加計学園問題の追及に執着して、本質的な成長戦略の議論が深まっていかない。

<消費税増税すれば再びデフレの谷底へ?>

・足立康史は予言しておこう。いまこの状態で消費税率を上げたら、大変なことになる。

<減税で可処分所得拡大を!>

・結論から述べれば、いま必要なのは、緊縮政策や増税の流れではなく、積極的な財政政策である。そして国民の可処分所得を増やすには、従来型のバラマキ公共事業のようなやり方を重視するのではなく、最も公平でみんなに行き渡りやすい、減税措置が有効だろう。

<イノベーションと生産性革命>

・遠くない将来、AIの普及によって大企業も大胆な変化にさらされるだろう。銀行はすでに採用を絞り始めているし、弁護士や会計士、そしてそれらのアシスタント業務なども大半がAIに代替され得るとの指摘も多い。そして、その次は医師かもしれない。

・このような変化をポジティブに捉えれば、たとえば少子高齢化と人口減少のもとでの人手不足が緩和されるなど、国民の生活に大きく貢献することが期待できる。イノベーションは恩恵を受ける人のほうが絶対に多いし、従来の「構造改革」という言葉からイメージされる世界とはまったく異なる未来をつくってくれるはずだ。

<アホ野党は「働かないおじさん」の味方>

・以上の通り見てくると、生産性革命と並行して、いわゆる「働き方改革」が当然のように必要になってくる。

 特に、企業は一度人を雇うと、容易に解雇することができない。それがいまの日本の制度だ。

<ろくに守れない労働法制がなぜまかり通るのか>

・既存の労働法制ですら、実際はさして正しく運用されているわけではない。これはむしろ民間にお勤めの方のほうが実感はあるだろうが、労働法制、それに基づく就労規則や労使協定などが形の上では存在しても、実際の運用はきわめて杜撰、もっと言えば違反だらけである。加藤勝信厚生労働大臣の国会答弁によれば、労基署が一定の情報をもとに定期監督をしたら、7割近くの事業所で法令違反が見つかったという。つまり、ろくに守ることもできない法律が存在しているのだ。

<移民政策をどう考えるか――政治は逃げずに方針を示せ!>

・「移民」ではないと言いつつ実質的には「外国人労働者」の受け入れを拡大していこうとする今の政治のやり方では、社会の受け入れ準備等が不十分なまま、実際の地域には在留外国人が増えていくことになる。実際、技能実習で入国して失踪した外国人は数千人に及び、実習先企業での人権侵害や賃金不払いも絶えない。それでは、地域にとっても外国人の方々にとっても不幸だ。

<道州制、地域の自立でイノベーションを>

・地方分権、地域の自立、東京一極集中と縦割り解消、誰でも総論は賛成であるが、各論になると途端に反対が始まる。しかし、それこそが日本におけるイノベーションを阻んでいる「何か」なのだ。

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