カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスはイルミナティのメンバーであり、彼らが提唱した共産主義はイルミナティの思想を具体化したものという説が存在する。(2)

(2021/6/27)

『山の怪異大事典』

朝里樹   宝島社   2021/6/11

<青森県  赤倉の大人(おおびと)>

<村人を助けた岩木山の鬼>

・弘前市にある岩木山。この北東側に赤倉沢周辺に大人、鬼などの妖怪たちの伝説がいくつも伝わっている。

 特に赤倉の大人、赤倉鬼神などと呼ばれる鬼の話が有名。この鬼は、里に来ては親しくなった弥十郎という人の仕事を手伝うなどしていたという。

 しかし弥十郎の妻がこの鬼の姿を見てしまったため、二度と姿を現さなくなった。その時に鬼が置いて行った鍬と蓑笠を祀ったのが今の鬼神社であるとされる。

<岩手県 愛宕明神>

<顔が赤く目が輝いた異形の神>

・遠野市の愛宕山には、愛宕明神という神がいると伝えられている。ある若者が夕方道を歩いていたとき、愛宕山の方から下って来る背の高い者がおり、誰だろうと思いながら近づいてみると、道の角でばったりとでくわした。相手は非常に顔が赤く、目が輝いている大男で、いかにも驚いた様子で若者を見ていた。これは山の神だと思い、若者は後ろも見ずに走って逃げかえったという。

・愛宕山の神は火防の神であるという話が載っている。ある時、某家で火事があったとき、愛宕明神が和尚の姿になって現れ、手桶の水を小さな杓で汲んで火にかけただけで火を消してしまったと記されている。

<岩手県 猿の経立>

<女を攫う謎の類人猿>

・『遠野物語』によれば、猿の経立(ふったち)は人によく似ており、女色を好み、人里の女性をよく攫うのだという。また松脂を毛に塗り込んでおり、その上に砂をつけているため、毛皮は鎧のように硬く、銃弾も通さないという。

<宮城県 田代峠の怪>

<幽霊もUFOも目撃される>

・宮城県と山形県の県境に位置する田代峠。この場所は心霊スポットとして知られるほか、UFOの目撃談も多発する不思議な場所だ。

<秋田県 三吉鬼>

<幸も不幸ももたらす大酒飲みの鬼>

・三吉鬼は東北地方に広く伝わる鬼で、秋田の人里に現れ、勝手に酒を飲んでいったという。

<山形県 羽黒山金光坊>

<48しかいない大天狗の一人>

・鶴岡市の羽黒山にいるという天狗。江戸時代に作られた密教系の祈祷秘経『天狗経』では、全国の山に存在する48の大天狗の一人に数えられる。

<羽黒山三光坊>

<カラス天狗を従える羽黒山の天狗>

・鶴岡市にある羽黒山には、三光坊という名前の天狗が棲んでいるという。

 この天狗は羽黒山開運「七千日護摩行者長教」の護符に影像があり、もう一人の天狗である水天狗円光坊とともに並んで立っており、その下には火炎を中心に、15匹のカラス天狗が囲んでいるという。

<山形県  羽黒山の神隠し>

<一晩の宿で4日が経過>

・鶴岡市にある羽黒山では、昭和17年(1942年)頃、一人の男が行方不明になるということがあった。この男は羽黒山に柴を取りに行き、そのまま4日間失踪していたが、別の山で見つかり、帰って来た。そこで何をしていたのかと聞くと、年寄夫婦と美しい娘のいる山の中の一軒家に泊まり、もてなされたという。また本人は一晩しか経っていないと認識していたという。

<福島県 飯豊山(いいでさん)の神隠し>

<目を離した一瞬の隙に消えた少年>

・大正初期のこと、この飯豊山講を行う途中、山で一人の少年が行方不明になった。草履の紐が緩んだと前の人に告げて1,2分のことだったという。

 人々は大騒ぎをして探したが、見つからず、神隠しに遭ったと伝えられた。

<福島県 千貫森の宇宙人>

<空中を浮遊する修験者の目撃談>

・UFOが下りてくる場所、UFOの基地など、UFOに纏わる話が多い福島県の千貫森。この山を観光していたある男性が、空を見ていると修験者のような恰好をした男が空に浮いていた。男性がこの話を地元の人にしたところ、それは宇宙人じゃないかと答えられたという。

・通常であれば山に出現した修験者のような恰好をした存在であれば天狗と呼ばれそうだが、この山では宇宙人と見なされるようだ。

<東京都 飯綱(いづな)権現>

<ミシュラン三ツ星の山の天狗>

・八王子市に聳える高尾山。この山には飯綱大権現という天狗の伝説が伝わっている。

<東京都 隠し神様>

<隠れっこで遊ぶ子どもを連れ去る>

・町の大部分を山林に囲まれた東京都の奥多摩町。この町には、子どもを連れ去る隠し神様と呼ばれる神が伝わっていた。これは夜に子どもが隠れっこをしていると、連れて行くのだという。

<茨城県 加波山の白猿>

<娘を食らう白猿を退治した犬>

・シッペイ太郎と呼ばれる犬が生贄になる娘の代わりに箱に入り、猿の化け物を食い殺すという話は日本各地に伝わる。

<神奈川県 伯耆坊(ほうきぼう)>

<日本を代表する八天狗の一人>

・神奈川県の中心部にある大山には、伯耆坊という天狗がいると伝えられる。

<栃木県 義山法印>

<妖術を使う不老不死の僧侶>

・栃木県の日光山には、鎌倉時代、義山法印という僧侶がいたという。この僧侶は歳をとらず、様々な術を使うことができた。その由来として以下のような話が伝わる。

 ある時、義山が日光の山奥で熱心に修行をしていると、空中から光り輝く雲のような物体が下りてきた。義山がこれを見ていると、中からこの世の者とは思えない異人が現れ、義山を雲の中に招く。そこで義山がついて行くと、そこで異人から不思議な法を伝授されたという。

 それからというもの、義山は歳をとらなくなり、雲を起こして雨を降らす、嵐を呼ぶといった数々の術をつかうようになったという。

<栃木県 東光坊>

<徳川家康の化身とされる天狗>

・東光坊は日光山にいるという天狗で、江戸時代初期にこの山に移って来たというが、その正体は江戸幕府初代将軍徳川家康の化身であると言われている。

<栃木県 日光坊>

<霊山・日光山に棲んでいた天狗>

・栃木県の日光山には、かつて日光坊という天狗が棲んでいた。この天狗は元和三年(1617年)に群馬県の妙義山に移った。そして日光坊が去った後にやって来た天狗が東光坊という天狗だったが、この天狗は徳川家康が死後天狗に化身したものだと言われているという。

<群馬県 岩菅(いわすげ)山の天狗>

<少年ほどの小さな天狗>

・六合村(現中之条町)は四方を山に囲まれた山村だが、この村に住んでいた人が岩菅山に入った際、天狗と遭遇したという。

 その人物が土砂降りに遭い、山小屋に籠っていたところ、羽音が聞こえ、穴を覗いてみると、目が光った7、8歳の子どもぐらいの大きさの天狗がいたという。

<千葉県 成田山の神隠し>

<檜原村で失踪した男が成田山に>

・成田山で神隠しになった人物が見つかったことがある。

 その男性は神隠しで知られる呼ばわり山(今熊山)の今熊神社の息子で、東京都の檜原村に山仕事を頼まれてそこに向かう途中、行方不明になった。

 そのため村人たちは呼ばわり山に呼ばれたのだと今熊山を探したが、男性は遠く離れた成田山でうろついているところを見つかった。

 この男性は日頃から成田山に行きたいと考えていたが、神隠しに遭った当日、風が吹いて目にゴミが入ったため、目をこすっていると、それからいつの間にか知らない場所におり、それが成田山だったという。

<埼玉県 間瀬峠の神隠し>

<大人以上の速さで走り去った少女>

・埼玉県にある間瀬峠には、子どもが消えるという不思議な話が残されている。大正元年(1912年)のこと、山の麓にある家に住む夫妻が、6歳の娘を連れて山仕事に出た。途中、娘は眠気に誘われて1時間ほど眠っていたが、突然目を覚ますと間瀬峠に向かってせっせと歩き出した。

 夫婦はこれを見て娘を止めたが、娘は振り向きもせず歩いて行く。驚いて追いかけたが、娘は大人の足でも追いつけないほどの速さで走り出し、角を曲がった瞬間、消えてしまった。

・この娘の行方は、今も分かっていないという。

<山梨県 地蔵岳の狒々>

<銃で撃たれても平気な赤髪の化け物>

・近世の頃、地蔵岳(現山梨県の地蔵峠)の半腹までやって来た猟師が、谷の向こうに巨大な化け物を見た。その化け物は座っているにもかかわらず七尺(約2.1メートル)の大きさがあり、体には衣服を纏わず、頭には赤髪が生え、その髪を振り乱して東西を見ていた。猟師はこれに狙いを定め、銃を放ったが、弾丸を化け物の腹を貫いたにもかかわらず、化け物は痛がる様子もなく泰然として座っていた。

 しばらくするとその辺りに生えた草を引き抜き、血の滴る傷に押し込むと、悠々と立ち上がって山へ登って行った。これには猟師も恐ろしさに体が震えた。これは狒々の類ではなかったかと言われている。

・狒々は山に現れるという巨大な猿のような妖怪で、全国に伝承が残る。

<山梨県 孫右衛門天狗>

<百歳以上生きた言葉が通じない怪人>

・北杜市と甲斐市に跨る茅ヶ岳には孫右衛門という怪人の話が伝わっている。

 この怪人は元々人間であったが、山に入って行方不明になり、その後仙人となって百年以上にわたって生きたという。その姿は、髪は長く、目は大きく、草や木の皮を衣服として纏い、人の言葉は通じなかったとされる。

<山梨県 迷惑な山の神>

<謎の老人に連れまわされた少年>

・福地村(現富士吉田市)には、迷惑な山の神が現れたという。

 明治時代のこと、滝次郎という子どもがいつものように薪を取りに山に登ったところ、そのまま帰って来なくなった。

・滝次郎を介抱し、目を覚ましたところで何があったのか聞いてみると、滝次郎は山に登っていつも通り薪を集め、休憩していたところ、どこからか怪しげな白髪の老人が白馬に乗って現れたという。

<山梨県 夜叉神峠>

<疫病・洪水を引き起こした神>

・山梨県の南アルプスの入口に当たった夜叉神峠には、こんな由来が残されている。

 かつて水出川(現御刺使川)の上流に、身の丈20メートル以上の夜叉神が棲み付いていた。この悪神は疫病を流行らせ、洪水を起こし、暴風雨を操ったという。

<長野県 姥捨山の天狗>

<癇癪を起す酒好きの烏天狗>

・姥捨伝説で知られる長野県の姥捨山。この山にある長楽寺の庭に生えた赤松に、戦前、烏天狗が棲み付いたことがあるという。この烏天狗は本堂に祀っている小さな観音様を守っていたが、非常に酒好きで、毎晩観音様に供えられていた酒を飲みに来たという。

<長野県 大深山の天狗>

<行方不明の子どものもとに現れる>

・長野県にある大深山には、かつて天狗がいたという。かつて、この山で子どもが行方不明になったことがあったが、翌朝見つかった。そのため子どもに何があったのか聞いてみると、山の中腹に一人で松の木の下にいたが、夜になると天狗が現れ、「ソウメンだから食べろ」と言ってミミズとカエルをくれたという。

<長野県 御嶽山の死霊>

<行方不明事件が多発する山>

・長野県と岐阜県に跨る御嶽山は、多くの死霊がさ迷っているなどと言われている。そのためか、昭和54年(1979年)には御嶽神社へ登り、参拝するツアーに参加した女性と老人が行方不明になる事件が起きたり、その3年前にも若者がいなくなったりしており、死霊に引かれたのではないかと言われているという。

<御嶽山の天狗>

<役行者が開山した天狗の梁山泊>

・長野県と岐阜県に跨って聳える御嶽山。この山は修験道の開祖である役小角が開山したこともあり、修験道に関わりの深い妖怪である天狗が大量にいると言われている。

 中でも固有の名前をもつ天狗としては、前山の三笠山刀利天坊及び八開山大頭羅坊、阿留摩那山のアルマヤ坊がおり、さらにそれを取り仕切る御嶽山六尺坊がいるという。

 このため、山には様々な天狗の像などが残されているようだ。

<長野県 鬼女紅葉>

<美女に化けた鬼に酒を勧められる>

・紅葉伝説は長野県の戸隠、鬼無里、別所温泉などに伝わる伝説で、古くは江戸時代の『新府統記』にその名が見られる。

 また「紅葉」の名は見られないが、古くは『太平記』に戸隠山(とがくしやま)の鬼を退治する話があり、ここでは平惟茂ではなく多田満仲が鬼を退治したと記されている。

 さらに明治時代になると『北向山霊験記』などの文献において紅葉伝説は琴の名人の美しい娘であったと語られる。紅葉はその美貌から源基経の寵愛を受けるが、実は第六天魔王の娘として生まれた存在で、怪しい妖術を使って基経の妃を病にさせる。

 この行いが露見し、紅葉は信濃国の戸隠山に流されることとなり、そこで平惟茂に退治されたという。

<長野県 塩尻峠の神隠し>

<4時間で40キロ移動した生徒>

・塩尻市と岡谷市の境にある塩尻峠。昭和13年(1938年)、この峠に遠足に行った生徒が一人、行方不明になるという時間が起きた。

 村の人々や警察が捜したが見つからず、4時間ほど経った午後8時、伊那の本通りという場所でうずくまっているのが地元の人間によって発見された。

 塩尻峠から伊奈までは4、50キロあり、とても子どもが徒歩で移動できるような距離ではなかった。

 子どもにその時何があったのか聞いてみると、下に明かりがちらちらと見えた、風がびゅーびゅーと吹いていたというぐらいのことを言うだけで、神隠しか天狗にさらわれたのかと噂されたという。

<長野県 天狗岳のUFO>

<登山者と山小屋の番人が目撃>

・茅野市にある八ヶ岳連峰の山のひとつ、天狗岳。この山にUFOが下りてきたという話がある。

 それによれば、1980年代の後半、山の麓で山小屋を営んでいた人物が外で登山者が「UFOが来た!」と叫んでいるのを聞いた。

 それで窓から見てみると、天狗岳の中腹に葉巻型の飛行物体が緑色の光を底から逆噴射するようにして降りてくるのが見えた。

 その人物は万が一宇宙人が来るのに備え、古いピッケルを用意して眠りについたが、朝4時頃に眠りから覚めるとUFOは空に向かって飛んで行き、突然消えてしまったという。

<長野県 松本地方の天狗>

<人をさらう天狗の弱点は鯖>

・長野県の松本地方の山では、神隠しに遭うことを天狗さまにさらわれると言った。

 この天狗による人さらいが起きる条件は分かっていないが、「鯖食った、鯖食った」と言うと回避できたと伝わる。これは天狗が鯖を非常に嫌うためだという。

<長野県 山夫>

<人間の3倍の大きさの妖怪>

・長野県と山梨県に跨る金峰山。不思議な話が多く残るこの山には、江戸時代、山夫と呼ばれる妖怪たちが暮らしていたという記録が残っている。

 山夫は人間の3倍もの大きさがあり、髪は乱れ、腰まで伸びている。

・獣を捕まえて食うが、たまに人を攫う。

<新潟県 妙高山足立坊>

<特に力を持った48の大天狗の一人>

・新潟県妙高市に聳える妙高山。この山には足立坊という名前の天狗がいると伝えられている。

 足立坊は阿弥陀堂を守る天狗とされ、普段は従者を引き連れて妙高山頂直下の天狗平あたりに棲んでいるとされる。

<富山県 黒部渓谷の狒々>

<熊と戦う剛力の者でも敵わない怪物>

・黒部市にある黒部峡谷には、狒々という怪獣が現れたという。

・源助が作兵衛という杣(そま)と一緒に井戸菊の谷を伐採しようと入ったとき、人が飛ばされるほどの風雲が巻き起こった。そのため谷を離れようとした途端、作兵衛が物の怪に取り憑かれて気を失い、狒狒が作兵衛を空宙に引き上げて引き裂こうとした。

 しかし源助は何とか狒々から作兵衛を取り戻し、作兵衛は血まみれになったが何とか連れ帰ることができたという。

<静岡県 狗賓(ぐひん)>

<信心深い若者を助けた天狗>

・天狗の一種。静岡県の西河内村(現静岡市)に伝わる話では、日頃信心深い若者が狗賓の手のひらに乗せられ、竜爪山に連れて行ってもらったという話がある。また村が火事になったとき、この若者の家だけは助かったともいう。

<静岡県 コボッチ>

<人間をたぶらかす子どもの妖怪>

・静岡県の遠江地方に伝わる妖怪で、小童の姿をしており、山中に現れるとされる。間の谷間にあるグミの林に棲み、往来の人をたぶらかしたり、取り憑いたりすると伝わる。

<静岡県 万三郎坊と万二郎坊>

<大蛇を退治した仲の良い兄弟天狗>

・静岡県の天城山には、主峰の万三郎岳と隣に聳える万二郎岳がある。これらの山にはそれぞれ万三郎坊と万二郎坊と呼ばれる天狗が棲んでおり、万三郎坊が兄で、万二郎坊が弟の兄弟だという。

<岐阜県 山の神婆>

<出会いを人に言うと死を招く老婆>

・岐阜県の下牧村(現美濃市)では11月7日に山の講を行うが、この日は山に行くことを禁じていた。

 もしこの山の講の日に山へ行くと、山の神婆というものに逢うことがある。

 すると山の神婆は必ず自分に逢ったことを人に告げるなと言うが、もしこれを破って誰かに告げれば、その人は死ぬと言われていた。

<三重県 鈴鹿御前>

<鈴鹿山を根城にした女盗賊>

・三重県に聳える鈴鹿山、この山には立烏帽子(たてえぼし)や鈴鹿御前と呼ばれる女盗賊、もしくは天女とも鬼女とも言われる女が住んでいたと伝えられている。

・これらが次第に習合して、鈴鹿山に住む女盗賊、立烏帽子や後述する鈴鹿御前の物語や伝承が生まれた。

 また、室町時代に記された戦記物語『太平記』においては、鈴鹿御前と征夷大将軍である坂上田村麻呂が鈴鹿山にて剣を合わせたという物語が記され、同時代の後期には『鈴鹿の草子』、『田村の草子』といった御伽草子にて鈴鹿山に住む天女、もしくは第六天魔王の娘として鈴鹿御前が登場する。この鈴鹿御前は空を駆ける車を持っていたり、三本の宝刀を自在に操るなどして人ならざるものとして力を見せるほか、田村麻呂と恋に落ち、共に悪路王などの鬼を退治し、夫婦となって子をもうけるといった描写が見られる。

<滋賀県 伊吹山の神>

<日本武尊を殺した山の神>

・滋賀県と岐阜県に跨る伊吹山。この山は日本神話に描かれる英雄、日本武尊の死の原因となった神が棲んでいたことで知られている。

・そして日本武尊は伊吹山の神により氷雨をぶつけられてしまい、これによって病に倒れ、ついには亡くなってしまったとされる。

 奈良時代の歴史書『古事記』に載る。『日本書紀』でも同様の話が載るが、伊吹山の神は大蛇の姿をしていたと記されている。

 またこの『日本書紀』における記述のためか、伊吹山の神は同じく日本神話に登場する八岐大蛇と同一視されることもある。室町時代の御伽草子『伊吹童子』では、八岐大蛇が素戔嗚尊に殺された後変じたのが伊吹大明神であり、伊吹大明神を司る伊吹の弥三郎という男の元に生まれたのが、後に平安京で略奪を働いた鬼、酒呑童子だという物語が語られている。

・また同じく御伽草子の『酒呑童子』では、殺された八岐大蛇の御霊が伊吹明神として崇められ、その伊吹大明神がある美しい娘の元に通って生まれたのが後の酒呑童子だと語られている。つまりこの話では酒呑童子は八岐大蛇の息子ということになる。

<滋賀県 飛行上人>

<体重3グラムの空飛ぶ僧侶>

・滋賀県と岐阜県に跨る伊吹山には、三朱沙門飛行上人と呼ばれる怪人の伝説が残り、数百年もの間この山に棲んであちこちに仏跡を残したとされる。

 この飛行上人は体重が三朱(約3グラム)しかなく、風に乗ってどんな障害も乗り越えることができたため、飛行上人と呼ばれたという。

 ある時、都で時の皇后が重い病にかかり、飛行上人が祈祷のため呼ばれた。上人は使いに来た勅使を摑むと、伊吹山の頂から飛んで琵琶湖を飛び越え、帝と皇后の元に馳せ参じ、休むことなく加持祈祷を行った。皇后の病気はたちまち癒えたという。この功績により飛行上人は帝から地神明神の正一位を賜ったとされる。

<京都府 愛宕山の竜神>

<龍神の願いを叶えた僧侶>

・京都市にある愛宕山。天狗で有名な山だが、謡曲『愛宕空也』では、平安時代の僧侶である空也が竜神と出会う舞台として描かれている。

 空也が愛宕山に参拝した時のこと、山の地蔵権現に行った際、法華経を読誦していると、どこからともなく一人の老人が現れた。老人は空也に対し願いを聞いてほしいという。

 そこで空也がその内容を問うと、老人は実は自分はこの山に住む竜神で、空也が感得した仏舎利を与えられれば三熱(仏教において竜蛇が受ける三つの苦悩)の苦しみから解放されるという。

 そこで空也が仏舎利を老人に渡すと、老人は礼として何でも望みを叶えるという。

<京都府 鞍馬天狗>

<源義経に剣術と兵法を伝授>

・京都府の鞍馬山には、鞍馬天狗と呼ばれる大天狗が棲むと伝えられている。

 この天狗は源義経が師事したことで有名で、能『鞍馬天狗』などでは、義経が鞍馬寺に預けられていた時代、剣術や兵法をこの天狗に習ったと語られている。

 鞍馬天狗は義経の稽古が終わった後、中国の故事を例として兵法を伝える。平家打倒を志す義経を称賛し、最後にどこにいてもお前を守ると告げ、去って行く。

<大阪府 前鬼・後鬼>

<役小角に仕えた二匹の鬼>

・飛鳥時代に、修験道の開祖とも伝えられた役小角によって使役されたことで知られる前鬼・後鬼。彼らにはこんな伝説が残されている。

 白鳳元年(672年)のこと。現在でいう奈良県と大阪府の県境に位置する生駒岳に役小角が登り、修行をしていた時のこと。夫婦の鬼が彼の前に現れ、自分たちは天ノ手力男神の末裔であり、先祖の神の使いで役小角に仕えたいと申し出た。

 そこで役小角は天の鬼に善童鬼、妻の鬼に妙童鬼という名を与え、自分に仕えることを許した。

<兵庫県 姫路城>

<天守に住む妖怪の姫>

・兵庫県の姫山に築かれた姫路城。この城には、様々な妖怪や怪異が出現することでも知られている。

 まず有名なものは刑部姫と呼ばれる妖怪だろう。長壁姫、小坂部姫とも記されるこの妖怪は、姫路城の天守に棲むと伝えられ、年に一度城主と会ったという。

・姫路城の城主であった池田輝政が刑部姫によって殺害された話が記されている。それによれば、輝政が病みついたため、比叡山から阿闍梨を呼んで天守で祈祷させたところ、七日目の夜に齢30ほどの女が現れた。女は阿闍梨に対し、「なにゆえそのように加持祈祷をなさるのか。どうせ意味のないことです。早くやめなさい」と言うため、阿闍梨が「女の姿で私と言葉を交わそうとするお前は何者だ」と問うと、女は身の丈二丈(約6メートル)の鬼の姿に変化し、阿闍梨を蹴り殺して消えてしまったという。

<広島県 クイゴン>

<馬鹿と言うと追いかけてくるUMA>

・広島県の久井町の山に出現するという未確認動物。見た目は同県の比婆山に現れるというヒバゴンにそっくりで、小さいキングコングのような姿をしている。弁当の握り飯や畑の作物を盗られた、馬鹿と言うと追いかけてきた、といった体験談が語られているようだ。

・平成15年(2003年)12月25日に書き込まれているのが確認できる未確認動物。ヒバゴンに比べるとマイナーのようだが、古くは昭和57年(1982年)頃から目撃談があるようだ。

<広島県 ヒバゴン>

<巨大な猿型のUMA>

・広島県の比婆山連峰には、ヒバゴンと呼ばれる未確認動物が現れることで知られている。ヒバゴンは体長1.5~1.6メートルほどの巨大な猿のような姿をしており、頭部の形は逆三角形、茶色の剛毛を生やしている。目は鋭く、耳は大きいが手は小さく、体は筋骨隆々で全身は褐色もしくは黒色の毛で覆われている。また、左足を引き摺るようにして歩くという特徴がある。

 知能は人間並みにあると考えられているが、臆病で滅多に人前に姿を現さず、危害を加えることもないという。

・ヒバゴンが最初に目撃されたのは昭和45年(1970年)のことで、それ以降幾度も目撃されており、写真にその姿が収められたり、足跡が発見されたりしているのだという。

<高知県 不入山の巨人>

<身長6.3メートルの巨人の骨>

・高知県には不入山と呼ばれる山があり、かつてこの山に入ると妖怪のために生きて帰ることはできないと言われていいた。

 明治時代になり、そんなことは迷信と山に入る者も出てきたころ、その山に入った人間の一人が天を突く大樹の下に横たわる巨大な人骨を発見した。その大きさは頭から足まで三間半(約6.3メートル)、腕の長さだけでも六尺(約1.8メートル)あり、歯の本数は48本もあったという。また指の本数は手足全て4本ずつだったと記されている。

<福岡県 黒い山男>

<山奥で遭遇した謎の類人猿>

・福岡県の南方町でのこと。石炭産業で栄えていたこの町は、良い石炭を求めて山奥まで人が入り込むということがよくあった。ある時、山口村(現筑柴野市)の菊池という人物が山奥へ入ったところ、狒々に似た怪しい獣と遭遇した。菊池も驚いたが、その怪物もどうやらかなり驚いた様子で、慌てて逃げて行ったという。

 その姿は身の丈四尺(約1.2メートル)余り、顔は黒いが、立ち姿は人に似ており、手足の形も人とそっくりで二足歩行で素早く動いていたという。

<福岡県 白い猿人>

<目撃された全身が真っ白の類人猿>

・福岡県の筑前でのこと。明治16年(1883年)4月5日、山口村(現宮若市)菊池保平という男性が吉田村というところに行くため、山女を登っていたところ、峠を越えて谷間の道へ出る頃に突然猿に似た奇妙な獣が現れた。この獣は全身が真っ白で、のそのそと歩いて来るのを見た保平は悲鳴を上げて倒れてしまった。一方、この獣も驚いたのか峠に向かって逃げて行ったが、この獣を見て以来、保平は高熱を出し、5日間に渡り寝込むことになったという。

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