ヒトラーはアルゼンチン中部のサン・カルロス・デ・バリローチェから近い、エスタンジアという農場に隠れて、ナチス残党を密かに指揮したとされている。(1)
(2022/4/20)
『世界怪異伝説事典』 (2)
朝里樹 えいとえふ 笠間書院 2021/12/22
<アルゼンチン共和国>
<ヒトラーは南米で生きていた?>
・第ニ次世界大戦終結時、ナチスドイツの総統アドルフ・ヒトラーは、1945年4月30日にベルリンで自殺したと伝えられているが、密かに南米へ逃亡したという根強い噂がある。地下墓地で死んだのは実はヒトラーの影武者で、ヒトラーは潜水艦で南米に渡り、偽名を使い余生を過ごしたというのだ。ヒトラーはアルゼンチン中部のサン・カルロス・デ・バリローチェから近い、エスタンジアという農場に隠れて、ナチス残党を密かに指揮したとされている。
2018年、ドイツ軍の高性能潜水艦(Uボート)「U3523」がデンマークのスカーゲン沖合から見つかった。このUボートは、ヒトラーの命日から1週間後に、イギリスが撃沈したが行方不明となっていたUボートと同一のものとされ、乗組員全員が死亡したとされている。
この「U3523」が極秘の任務に就いていたという噂から、ヒトラーやナチス幹部の逃亡に使ったのではないか、という説が浮上したようだ。海底に沈んだままの「U3523」の引き上げ作業は未定で、ヒトラー南米生存説の真相はまだ明らかになっていない。
<ハイチ共和国>
<骸骨紳士バロン・サムディ>
・骸骨のような顔、黒い服、山高帽に黒眼鏡を身につけ、タバコとステッキを手にした骸骨紳士。ハイチのブードゥー教に登場する、ロアと呼ばれる生と死を司る精霊が、バロン・サムディ(サムディ男爵)である。ゲテというブードゥー教における死神、放蕩、好色などを司る精霊たちの長、または、ゲテの化身とする説もある。
死者の魂を冥界へと導くため、バロン・サムディは冥界へと続く「永遠の交差点」にて、死者の到来を待つという。また、死んだものをゾンビとして蘇らせる秘術を操るとも言われている。
<メキシコ合衆国>
<古代都市パレンケと宇宙人>
・メキシコ南東部、チアパス州の密林にある古代都市パレンケは、メキシコのマヤ文明を代表する遺跡である。3世紀から10世紀に繁栄した、石造りの神殿や広場が特徴の壮大な都市である。この遺跡から、宇宙人や宇宙船と思われる絵の描かれた謎の石棺が見つかっていることから、パレンケを治めていた王たちは地球外生命体だったのではないかという説がある。
1952年、パレンケの調査をしていた考古学者によって遺跡の神殿地下から石棺が発見された。7世紀頃にパレンケを治めていたパカル王のもので、地下の墓室に安置された巨大な石棺の中には、パカル王の遺骸と、翡翠(ひすい)の仮面などの副葬品が残されていた。この石棺の蓋に描かれたレリーフを横にして見ると、神官がエンジンを噴かせた宇宙船のような乗り物を操縦しているようにも見える。
さらに、マヤ人は高度な天体観測技術をもち、正確な暦を使っていた。車輪が存在しなかったのに巨大なピラミッドを建設できた理由も不明で、9世頃からなぜか都市は放棄され、10世紀末には無人の廃墟と化した理由もわかっていない。高度な文明を築いたにもかかわらず、その興亡について謎が多すぎるパレンケに、地球外生命体の存在を疑うような説が浮上するのもうなずける。
<マヤ文明終焉の謎>
・メキシコ、ユカタン半島の密林の奥地に、都市や神殿を残したまま、ある時、忽然と姿を消してしまったマヤ文明の人々、マヤ文明の終焉については、様々なミステリーが囁かれている。
紀元前1800年頃に誕生したとされるマヤ文明は、250年から900年頃にかけて、ユカタン半島で繁栄した。統一の政治機能はもたず、様々な地域の都市群からなる都市文明であったマヤは、メキシコのパレンケ、カラクルム、ホンジュラスのコパンといった数十の都市国家が栄えていたが、10世紀頃に滅びてしまう。
・マヤ文明は、世界中の多くの文明と異なり、鉄器類をもたず、馬などの大型家畜も飼育していなかった。技術水準は低いものの、チチェン・イッツァなどの壮大な建築群や美術品といった高度な創作物を数多く残している。さらに驚くほど正確な天文学知識をもち、金星や、当時の技術では難しいとされた木星の軌道なども把握しており、独特な暦も使っていた。マヤ文明は「時の文明」とも呼ばれることもあり、宇宙人が飛来して暦をマヤ人に教えたのではないかという説もあるほどだ。
マヤ文明が滅びた理由については、今もなお論争が繰り広げられている。自然災害、気候変動、都市間の抗争、終末予言による都市の放棄など様々な説があるが、どれも突如消えたマヤ文明を十分に説明しきれないそうだ。
<マヤ歴と終末予言>
・マヤ人は古来、天文学に通じていて、最古のマヤ暦は少なくとも紀元前6世紀に遡る。13と20のサイクルを組み合わせてできる260日の暦で、宗教儀式や祭りなどに使われた。その他、現代の暦に似た太陽暦もあり、ほぼ誤差のない精密な金星暦、火星暦、さらには冥王星の暦まであった。
<中南米全域>
<バミューダ・トライアングル>
・「魔の三角海域」として恐れられているバミューダ・トライアングルでは、昔から様々な事故が多発している。もっとも有名なミステリーは米軍の航空事件史上に残る、1945年に起きた「フライト19事件」だ。
フロリダ州フォートローダーデール海軍基地から飛び立ったアメリカ海軍の5機の訓練機が、バミューダ諸島を飛行中に「白い水の中にいるようだ」という謎のメッセージを残して消息を絶った。海軍はただちに救助機を派遣したが、その救助機までも次々に消失し、1日で14名の搭乗員が消えてしまった。その後も、同海域で飛行機や船の謎の失踪事件が続いたことで、事件が多発するフロリダとバミューダ諸島、プエルトリコを結ぶ三角形の海域は、バミューダ・トライアングルと名づけられ、恐れられるようになった。
<太平洋>
<幻の超古代文明ムー大陸>
・ムー大陸は、かつて1万5000年前まで栄華を誇ったものの、天変地異によって太平洋のどこかに沈んだとされる幻の大陸のこと。アトランティス、レムリアと並ぶ、謎に満ちた超古代文明だ。
ムー大陸の噂のきっかけは、1886年、フランスの聖職者シャルル=エティエンヌ・ブラッスール・ド・ブルブールが、古代マヤ文明の書物を解読したところ、かつて太平洋に存在し、海に沈んで消滅した「ムー」という大陸について書かれた箇所を発見したことだ。これがアトランティスの消滅と類似性があるとして、論文を発表した。その後、1926年にアメリカの作家ジェームズ・チャーチワードが、『人類の母なる地失われたムー大陸』という本を書いた。彼は著書の中で、ムー大陸は太平洋に広がった大陸であること、1万2000年前に炎と水の渦の中に姿を消したというレムリア大陸と地理的な類似点があること、といった理論を展開した。この本をきっかけにムー大陸の噂が世界中に広まっていった。
・ムー大陸の正確な場所については様々な意見がある。ムー大陸=レムリア大陸という説もあり、マダガスカル島とインド南部とマレー半島を合わせた大陸であったという説。日本近郊にムー大陸があったという説。その他、イースター島やナンマトル、スンダランドをムー大陸とする説もある。
・現在ではその存在を疑問視する声もあるが、謎のベールに包まれたムー大陸を巡って今も熱い議論が続いている。
<北極>
<地底世界アルザル>
・アルザルとは、聖書外典に登場する地名。旧約聖書に記されている、行方不明となったイスラエルの10部族が辿り着いた先とされている。アルザルはシルクロードのどこかにある町だと言われているが、詳細な場所は判明していない。
一説によると、アルザルは地底の世界であり、その入口が北極圏にあるという。1946年から行われた南極調査の際に、米海軍少将のリチャード・イヴリン・バードが飛行機で地底世界に迷い込んだという報告がある。彼は、地面が真っ赤に染まった大陸、ジャングル、マンモスのような動物、都市などの写真を撮影している。そこで謎の飛行物体に誘導されて着陸し、現地の人にも会ったという。
・さらに元CIA職員で、機密文書を暴露したことで有名なエドワード・スノーデンによると、地球内部のマントルには知的生命体、つまり地底人が存在しているという。これが、バード少将の辿り着いた地底世界のことではないかとも言われている。しかし、摂氏1500度になるマントルに生命が生息できるとは到底考えられず、地球内部には地磁気の生み出すプラズマによって発生した亜空間があり、そこに浮かぶ天体がアルザルである、とする説もある。だから地磁気の強い北極圏に出入口があるというのだ。
また、アルザルはアガルタやシャンバラのことだと主張する説もある。
・どの説も仮説の域を出ないものではあるが、地球内部という人類に残された数少ない未開のエリアにこそ、幻とされてきた世界が存在するのかもしれない。
<インド>
<神の歌と日本人の意外な関係>
・古代インドの叙事詩『マハーバーラタ』は、神の子である5人の王子と、従兄弟である悪の王子との、王位を巡る大戦争を描く長編物語。なかでも最終決戦直前、王子の一人アルジュナが英雄クリシュナと問答を繰り広げる『バガバッド・ギーター(神歌)』の話は、ヒンドゥー教で最重要の聖典とされ、ガンジーも心の拠り所にしていたという。「神はどこにでもいて、祭祀をしなくても祈れば通じる」という思想をわかりやすくまとめたもので、この思想は仏教に取り入れられ、やがて日本人の思想にも影響を与えたという説があるらしい。
<猿の神様ハヌマーンの伝説>
・叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する猿神ハヌマーンは、空を飛んだり、体の大きさを変えたりすることができ、ラーマ王子の活躍を大いに助けた神だ。『ラーマーヤナ』は中国にも伝わり、ハヌマーンは『西遊記』に登場する孫悟空のモデルになったとも言われている。
『ラーマーヤナ』には、ラーマ王子がラーヴァナとの戦いの中で意識不明に陥った際に、ハヌマーンがヒマラヤのカイラーサ山に薬草を取りに行き、ラーマ王子を救ったというエピソードがある。ヒマーチャル・プラデーシュ州の州都シムラーの山の上に立つジャクー寺院を囲む森は、この時にハヌマーンが休息をとった場所だと言われている。この森には猿が多く生息しており、巨大な赤いハヌマーン像がある寺院は観光スポットとなっている。
<スリランカ民主社会主義共和国>
<地底王国アガルタの伝説>
・アガルタとは、スリランカに伝わる幻の王国、中央アジアのどこかに存在すると言われている地底王国で、都には金や銀、宝石で彩られた美しい宮殿があるという。平和で、そこに住む人々の寿命は長く、高い知性を備えている。まさに理想の世界だ。
20世紀初頭にはヨーロッパの神秘主義者たちの間で話題となる。ナチスドイツも興味を示したと言われており、調査団を送ったという。いまだにその所在は明らかになっていないが、アガルタはチベットの奥地に存在するという説もある。
<チベット自治区>
<地底王国アガルタとポタラ宮殿>
・チベット自治区の奥地には、アガルタと呼ばれる地底王国が存在するという。
アガルタの人々は、古代大陸レムリアやアトランティスの民の末裔であり、地底に王国を築いたのは地上の争いから逃れてきたためだと言われている。チベット仏教徒であるロバート・E・ディクホフ博士は、レムリアやアトランティスにいた人々は200万年前以上に地球に降り立った火星人によって遺伝子操作された新人類だと主張した。そして、のちに地球にやってきた金星人との間に戦争が起き、人々は戦禍を逃れて地底に辿り着いたという。
アガルタは、高度な文明と特別な能力を備えた王国として栄え、都には壮麗なチベット仏教や黄金に輝く宮殿がそびえる。アガルタの首都はチベット仏教に伝わる理想郷シャンバラであるとする説もある。宮殿には、最高君主マニ・リンポーチェが住まうそうだ。アガルタは、現在のチベット自治区の区都であるラサのポタラ宮殿に通じているとされ、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマに、地底の主からの宣託が伝えられるという。
世界遺産に登録されているポタラ宮殿は、歴代のダライ・ラマの住居だったが、1959年にダライ・ラマ14世がインドに亡命して以降は中国政府によって博物館として公開されている。
<理想郷シャンバラ>
・シャンバラとは、チベットで信じられている理想郷のことだ。古くは紀元1世紀に編纂されたボン教(仏教以前にチベットにあった民族宗教)の経典に記載があるという。外界から隔絶したシャンバラには偉大なる王がいて、精霊たちを率いている。そこに暮らす人々は長寿で清らかな魂をもち、あらゆる悪から守られているという。王はこの世の終わりに起きるという最終戦争に勝利し、世界に平和をもたらすと信じられている。
・シャンバラの所在については諸説あり、実在する場所ではなく精神的境地とする説もある。実在すると主張する人たちの間では、チベットの奥地、ヒマラヤ山脈や中国の崑崙山脈のどこか、中央アジアの地下などが候補とされている。地底王国アガルタの首都とされる場合もある。
また、地球内部が空洞になっていて、そこの地球内世界には様々な生物が住んでいるという「地球空洞説」と、シャンバラが結びついて、地底世界をユートピアと考える人たちもいる。
<中華人民共和国>
<天子が築いたホワイトピラミッド>
・西安南西部の山岳地帯に、白色のピラミッドがあるという。1912年、旅行者によって目撃された謎の建造物は、1945年にアメリカの空軍パイロットが撮影した写真が1947年3月の「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されたことで世間に知られるようになった。のちの1994年には、NASAの宇宙飛行士が撮った写真が解析され、高さ100メートル以上のピラミッドが複数並んでいることが確認された。
現在、西安周辺には、100以上ものピラミッドが存在するとされ、宇宙人考古学者ハートウィグ・ハウスドルフによる、竜に乗って地球へ舞い降りた天子によって建造されたものとする説がある。
<アジア全域>
<古代大陸レムリア>
・かつてインド洋に存在したと信じられている幻の古代大陸がレムリアである。19世紀にイギリスの動物学者フィリップ・ラトリー・スクレーターが名づけた「レムリア」とは、アフリカのマダガスカル島に生息するキツネザル「レムール」を語源とする。レムリアはアフリカ大陸には生息していないにもかかわらず、インドやインドネシアなどの南アジアから東南アジアには生息する。このことから、マダガスカル島と南アジアや東南アジアが陸続きだったのではないかというのだ。ただし、現在の研究では、古生代の地球にあった巨大大陸パンゲアが移動したという大陸移動説が有力であり、レムリア大陸の存在は危ぶまれている。
・一方、レムリアは太平洋に存在したとする説もある。アメリカのシャスタ山の地下にレムリア文明の名残が残っているというのだ。1931年にレムリアを訪れたと主張するモーリス・ドーリル博士によると、レムリアには人工の太陽が輝き、巨大なドーム状のコロニーには彩り豊かな花々が咲いていたという。ロシアの神秘思想家のヘレナ・ブラバツキーは、人類の祖先だという「根源人種」なるものが住んでいたのがレムリアだと主張した。彼女によると、レムリア人は身長約2メートル、霊力を操り、両性具有であり、卵で子を産むらしい。レムリアは太平洋に沈んだため、レムリア人は中央アジアに移住したという。
ブラバツキーの主張を受け、レムリア人はアトランティス人の祖先である、レムリア人の末裔が逃れて辿り着いたのがチベットにある地底王国アガルタであるといった説も生まれた。
<オーストラリア>
<巨獣ヨーウィ>
・オーストラリアの森に暮らすと言われている未確認生物が、ヨーウィだ。身長は1.5~3メートル、全身が茶色の毛で覆われ、牙の生えた口、大きな足をもち、二足歩行をするのが特徴だという。1795年、ヨーロッパからの移民がヨーウィと遭遇したというのが最初の目撃情報で、その後も40センチを超える強大な足跡がいくつも発見されている。見た目に共通点があることから「オーストラリアのビッグフット」と呼ばれることもある。
「ヨーウィ」とは、もとは先住民アボリジナルに伝わる伝説の怪物を指す言葉だった。アボリジナルの信じるヨーウィの姿はUMAとしての獣人とは異なるというが、オーストラリアでは未知の生物を指す言葉として一般化しているようだ。
<天空神ウォンジナは異星人?>
・ウォンジナとは、オーストラリアの先住民アボリジナルの神話に登場する天空神(降雨の神ともいう)。アボリジナルにとっては、創造神であり、霊的な祖先でもあるという。太古の時代から、ウォンジナは岩壁画に描かれてきた。その姿は、目と鼻があり口はなく、頭の周りに後光のような放射状の輪がある。アボリジナルの伝承では、ウォンジナは天から偉大なる鳥に乗って地上に降り立ち、文明を与えたとされている。
一説では、ウォンジナは宇宙船に乗った異星人ではないか、とも言われている。
<ニュージーランド>
<エイモス・ミラーUFO殺人事件>
・ニュージーランドでUFOの仕業とされる死亡事件がある。
1968年、牧場を経営していたエイモス・ミラーは息子のビルと羊の柵の修理をしていた。すると、奇妙な音が聞こえたため、音のするほうを見上げると、200メートルほど先の林の上に、円盤のような形の物体が浮かんでいた。物体は光を放ち、丸い窓のようなものがついていた。そして三本の脚を出して小川の近くに着陸した。エイモスが小川の対岸まで近づいた時、円盤からエイモスに向かって光線が放たれた。エイモスはその場に倒れ、円盤は飛び去ったという。
一部始終を見ていた息子のビルは慌てて父親に駆け寄ったが、エイモスの頭部は骨が見えるほど溶けており、死亡していた。
<ハワイ(アメリカ領)>
<小人族メネフネはフローレス原人だった?>
・メネフネとは、ハワイ神話に登場する小人族。身長は60センチほどで、山奥や森に住んでいると言われている。日本のコロポックルや欧州のノーム、ドワーフと似た存在のようだ。体つきはがっしりしており、手先が器用で石の建造物を建設するのが得意だという。
メネフネがどこからやってきたかについては諸説ある。神(巨人という説もあり)が伸ばした腕がオアフ島まで届き、その上が伸ばした腕がオアフ島まで届き、その上を渡ってやってきた、ハワイにもともと住んでいた先住民だった、フランス領ポリネシアのマルケサス島から呼ばれてやってきたとする説などである。
また、メネフネが小人だったことから、インドネシアのフローレンス島で化石が発見されたフローレンス原人との関連性も指摘されている。1万数千年前まで存在していた原人で、身長が1メートルほどだったという絶滅した人類だ。インドネシアからポリネシアに辿り着いた人類がメネフネなのではないか、とする説だ。
カウアイ島にはメネフネが作ったと云われる遺跡がたくさん残っており、キキアオラ水路やポリアフヘイアウの祭祀場などのメネフネ遺跡が知られている。
<欧州全域>
<アトランティス大陸は実在するか>
・紀元前4世紀の古代ギリシャの哲学者プラトンが記述した伝説の島、それがアトランティスだ。対話篇『ティマイオス』『クリティアス』の中で、プラトンはヘラクレスの柱(ジブラルタル海峡の入口)と呼ばれる海峡の前にある強大な力をもつ島が、ヨーロッパやアジア全体の支配に乗り出したが、神の罰によってわずか一昼夜のうちに大地震と洪水で壊滅した、と記している。
これは、大噴火によって滅びたエーゲ海のティラ島にヒントを得たプラトンが、強大な国々の傲慢さを揶揄する寓話としてアトランティスの物語を描いたのではないか、と言われている。
アトランティスの物語が歴史的事実かはわからない。だが、今も世界中の探検家たちを熱狂させ、スぺイン、バハマ諸島、インドなど多くの海底で古代都市らしき痕跡は見つかっている。19世紀に活躍したプラトンの翻訳者ジュエット博士はこう記している。「アトランティスは雲の中に浮かぶ島のようなものだ。信じる者にはどこでも見えるのかもしれない」
<イギリス グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国>
<アーサー王は実在しか?>
・5世紀後半から6世紀にかけて、ブリテン島南西部で活躍した英雄アーサー王。アーサー王と円卓の騎士の物語は、古来、多くの人々に愛され、芸術家たちの想像力をかき立ててきた。
石に刺さった剣を引き抜いた人がイングランドの正統な王になるとされ、多くの人々がこれに挑戦したが、失敗。この剣を見事抜いたのが、弱冠15歳のアーサーだった。彼はその後、名剣エクスカリバーを手に入れ、数々の冒険に出かけ、勇敢な円卓の騎士たち、かけがえのない師であり助言者の魔術師マーリンなどの力を借りて、立派に国を治めていく。
・アーサー王は、15世紀にトーマス・マロリーの小説『アーサー王の死』などに描かれた創作上の人物とされる一方、アーサーが実在する可能性を示す遺跡も発見されているという。
1960年代後半、イングランドのサマセットにあるキャドベリーの丘で、6世紀頃に堅固な要塞が存在していたことが明らかになった。とある武装集団がここを拠点に活躍していたといい、その首領がアーサーと呼ばれていた。6世紀頃といえばアーサー王が活躍していたとされる時代でもある。
・古い文献にも、アーサー王の実在を思わせる記述がある。830年頃、ウェールズ人の歴史家ネンニウスが記した『ブリトン人の歴史』にはアーサー王の12の戦いを記録しており、12世紀にはジェフリー・オブ・モンマスが記した『ブリタニア列王史』には、王に昇格したアーサー、王妃グィネヴィア、魔術師マーリンといった人物の名前が登場する。さらに10世紀に書かれた『ウェールズ年代記』には、アーサー王が538年に死亡したという記述もあるそうだ。
<二匹の竜を目撃した魔術師マーリン>
・世界でもっとも有名な魔術師のひとりが、ケルトの伝承に登場するマーリンだ。5世紀後半から6世紀にかけて、ブリテン島南西部で活躍したアーサー王やその父王ウーテル(ユーサ)を助けた大魔法使いで、ストーンヘンジの建設にも関わる。母親は、悪魔にかどわかされた南ウェールズの王の娘で、悪魔の子として生まれたマーリンは、強力な魔力や知識を受け継いだ。
歴史書『ブリタニア列王史』によると、少年時代のマーリンのエピソードが語られている。ブリタニアのヴォーティガン王がウェールズのマウント・スノードンに塔を築くよう命じたところ、何度試みても塔が崩れるので占い師に尋ねたら、「父親のいない少年の血を塔の礎石にふりかけよ」と言われた。そこで条件に該当するマーリンが連れてこられたが、マーリンは王の前で「その占い師は間違っている」と指摘し、塔の下にある空洞で二匹の竜が争っていると告げた。その通りだったので、王はマーリンの命を助けた。さらにマーリンは、国の未来や、王の失脚などを次々に予言し、予言者としての名声を得た。
・その後、ウーテルをブリタニア王へと導き、コーンウォール公の娘イガーナへの想いを遂げさせるなど、アーサーの出生にも大きく関わる。マーリンはアーサーを養育し、アーサーが王になったあとも数々の助言をし、手助けした。マーリンの最期は、彼を愛しすぎて正気を失ってしまった湖の貴婦人ニムエによる。マーリンは琥珀の玉に閉じ込められ、ニムエは樫の木に変身すると彼のそばで静かに眠りについた。
なお、魔術師マーリンの実在や、伝説のモデルとなった人物を巡っては、6世紀に実在した詩人・占い師であったミルディン説、祈禱や占いを行うドルイドの僧など諸説ある。
<スペイン王国>
<掃除をするエルフのドゥエンデ>
・スペインでは、家に住み着き、夜になると現れるドゥエンデというエルフがいると信じられている。女のドゥエンデは、見た目は中年女性で、緑や赤、灰色の服を着ていることが多い。指が長いのが特徴だ。男のドゥエンデは、つばなしの帽子か暗い色の頭巾などを被っている。
ドゥエンデは、夜になると壁から出てきて、朝まで家の掃除や修理をしてくれる。ただし、家を片づけない者には悪さをすることもあるそうだ。また、性格の悪いドゥエンデもいる。彼らは掃除などはせずに、部屋を散らかしたり、物を破壊したりする。しまいには、眠っている家の者に、悪夢を見せることもあるそうだ。
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