「脳トレ」に関するさまざまな本がありますが、ウォーキングこそが最強の脳トレです。脳にとって必須のトレーニングともいえるでしょう。(1)

(2022/7/12)

『最強のウォーキング脳』

毎日歩くだけ! 頭がよくなる

加藤俊徳    時事通信社   2022/1/21

<脳とウォーキングの密接な関係>

・運動脳がしっかり使われないと、身体やこころの悩みに関係してきます。例えばうつ、ADHD(注意欠陥多動性障害)、怒りっぽい、やる気の低下、イライラ、認知症………

 今、何か不満を感じている皆さんには、本書でもっと脳とウォーキングの密接な関係を知って欲しいと思います。私がさまざまな患者さんに行うべきであると勧めてきたのが運動脳を活性化するウォーキングです。

・この本を手にとったあなたには、脳について知り、歩くことに対する価値観をチェンジし、もっと健康的なウォーキング脳になって前向きな人生を歩んで欲しいのです。

<ウォーキング・セラピーを実施>

・歩くことによって、薬だけに頼らずにさまざまな症状が改善したのです。

・歩くことは、認知機能を高めていく行動であり、脳が成長する基本なのです。それは成人しても同じことで、いくつになっても脳は歩くことで成長します。

 「脳トレ」に関するさまざまな本がありますが、ウォーキングこそが最強の脳トレです。脳にとって必須のトレーニングともいえるでしょう。

・この本ではまず、なぜウォーキングこそが最強の脳トレといえるのか、脳科学の観点から解説します。やる気の低下やイライラなど、さまざまなトラブルの原因は「運動負債」であり、その根本に脳の不活が潜んでいることをご理解いただけると思います。

 脳のしくみを知ることは、ウォーキングを続けるためのモチベーションになります。

・この本を読み終えるころ、あなたは歩きたくてウズウズするはずです。すぐに歩いて、脳を喜ばせてください。ウォーキングは、あなたの脳と身体の健康を守るニューノーマル(新しい生活様式)になることでしょう。

<すべての悩みは運動脳から解決する>

<その悩み、トラブルの原因はあなたの脳にある!>

・いつも疲れている、日中にもかかわらず眠くなる、やる気が出ない――。

 これらの不調は、脳から送られているトラブル発生のサインです。多くの方は普段、自分の脳を意識しながら生活をしていません。ですから、不調があっても「原因が脳にある」とは思わないでしょう。脳は他の臓器のように痛くなったりせず、トラブルがあっても自覚しづらいので、私たちは脳が不調を引き起こしていることに気付きにくいのです。

・なぜ、ウォーキングが脳のさまざまなトラブルを解消できるのでしょうか? 

 人間の脳は場所によって果たす役割が異なり、私はこれらの場所を「脳番地」と呼んでいます。脳番地は主に運動系・感情系・視覚系・思考系・聴覚系・理解系・伝達系・記憶系の8つの系統に分けることができます。

 これらの脳番地で起こるトラブルが、さまざまな不調として現れます。物忘れが多いのなら理解系や記憶系の脳番地、怒りを抑えられないのなら感情系脳番地に問題があるのかもしれません。その中でも各脳番地と密接な関係をもち、影響を与える重要な脳番地が運動系脳番地=運動脳です。

 ウォーキングは、この運動脳にスイッチを入れ、脳全体を鍛えることができる最も簡単かつ効果的な方法なのです。

 

<ウォーキングは睡眠の質を上げる!>

・もう一つ皆さんに知って欲しいのは、日中に現れる不調の原因は夜の活動性にもあるということです。例えば睡眠時無呼吸症候群の人は、強い眠気で日中の活動が思うようにできません。男性の約7割、女性の約5割が睡眠時無呼吸を起こしているともいわれています。

・本書を読めば、ウォーキングこそが不調や睡眠トラブルを改善し、充実した日々を過ごすための「最強の脳トレ」であると気付いていただけると思います。

<「歩く気が起きない」ときは要注意!>

・ウォーキングに限らず、身体を動かす行為は、自分で「動かしたい」と思わなければ基本的にはできません。ですから、ウォーキングは主体的な行動といえます。

<ウォーキングは仕事力を上げる>

・私は内科医として、クリニックで幅広い年齢層の方々を診察しています。ビジネスマンの患者さんが「仕事のスピードが遅い」「集中ができない」と自分の脳に不安を感じ、悩んでいるときは、クリニックの中を歩いてもらいます。するとたいていテキパキと歩くことができません。日頃からダラダラと歩くクセがついているのです。

 

・仕事がテキパキできない時、まずはテキパキ歩くようにすると不思議と仕事がこなせるようになります。

 これはウォーキングが、人類のとって目的達成という労働(仕事)力の原点にあるからです。

・歩くためには脳を使います。逆に脳を使わなければ歩くことができません。脳は歩けば歩くほど、イキキするしくみになっています。

<1日に必要なウォーキング量>

・「頭を良くしたい」「知的生産性を高めたい」という場合、1日にどのくらいの量を歩けば良いのでしょうか?

 デスクワークの人の場合、1日8時間労働だとすると1時間半くらいが、必要なウォーキング時間の目安となります。

<在宅時間増加で気を付けたい「運動負債」とは?>

・「運動不足」という言葉がありますが、これは単に運動量が不足していることを表す言葉です。それ以上に私が問題視しているのが、運動不足が蓄積する「運動負債」です。

 私の場合、1カ月(30日間)に必要なウォーキング量を距離にすると90㎞です。この距離を切ると調子が悪くなります。

・このような、運動脳を使うことが減り続けることで、運動脳以外の脳の不調が起こってくる状態を、私は「運動負債」と呼んでいます。

・コロナ禍以降、さまざまな場面で「ニューノーマル=新しい生活様式」が求められるようになりました。マスクの着用や、これまで通りに人と会えないことは、マイナスに感じやすいニューノーマルです。

 そんなときこそ、ウォーキングという脳にとってプラスとなるニューノーマルを取り入れていくことが必要ではないでしょうか?

<脳と身体は歩くほど鍛えられる!>

・私は、脳の健康を保つために大切なのは「基本的な生活」を送ることであると考えています。

 基本的な生活とは、時間のリスムと適度な活動のある規則正しい生活のこと。

・基本的な生活を怠ると、ウォーキング時に刺激される運動脳がどんどん衰えていきます。運動脳は理解系・伝達系・記憶系など他の脳番地とつながっているので、さまざまな症状が現れます。

・運動負債は、薬で無くすことができません。二足歩行である人間の脳と身体は、二足歩行で鍛えることができます。

 単純な話かもしれませんが、この事実は非常に重要です。私は、精神的な不調のほとんどは、運動負債による脳へのダメージが原因ではないかと考えています。

・人間には、呼吸などの欠かせない機能、知的能力や視覚などの基本的な機能に加え、行動を計画して実行する高度な機能があり、これらを「高次脳機能」と呼びます。自分の足でしっかりと立ち、目的をもって歩くこと。これは、高次脳機能です。

<こんな人はまずウォーキングしよう!>

・不調を訴える患者さんを検査しても、病気が見つからないことがあります。この状態を「不定愁訴」と呼びますが、不定愁訴の原因が運動負債と考えられるケースも目立ちます。

 私のクリニックを訪れる患者さんで、次のような症状を訴える方には、特に強くウォーキングをお勧めしています。

●イライラする・怒りのコントロールができない

●やる気がでない

●ADHD(注意欠陥多動性障害)・忘れ物が多い・記憶力が低下している

●依存症がある

●疲れが取れない

●心の病がある

●よく眠れない・睡眠障害

<ウォーキングは無理なく続けよう!>

・このようにウォーキングは、様々な不調や症状に効果を発揮する運動ですが、整形外科の症状がある方や、持病がある方は、専門の先生によく訊いた上で、無理のない範囲で行うようにしてください。

<ウォーキングで自分の脳のコンディションを知る>

・1週間ほどウォーキングなどの運動をせず、身体が重いなどの症状が出た場合は、脳の状態が1週間前と変わっているというサインです。このサインを見逃さなければ、運動負債を早い段階で自覚することができます。

 そのためには、自分のウォーキングに基準をつくっておくことが必要です。

・歩いている最中にいろいろなひらめきがあったり、悩みが解決したりするのは良いウォーキングができている証拠です。

・先ほどお話しした通り、私は運動負債を起こさないために1日4㎞以上歩くことにしています。また、よく歩くコースも基準にしています。

<脳と心の問題は混同しがち>

・毎日クリニックで診察していると、患者さんがさまざまな症状を訴えます。患者さんが自覚し、主に訴える症状のことを主訴といいます。

・何が言いたいかというと、主訴で伝えている身体の部位とは別の部位に本当の原因があるかもしれないということです。

 イライラがあると、脳や手足などではなく、目に見えない心の問題だと決めつけてしまう。特に多くの人は心と脳を混同しがちです。

<ウォーキングが起こす脳番地シフトの効果>

・朝、会社や学校に行くのが億劫だなと思っていても、勤務先や学校まで歩いているうちにだんだんそのような気持ちが薄れ、仕事や勉強モードになった経験はありませんか?

 この感覚の正体は、ウォーキングによる脳番地シフトです。

<ウォーキングが生きている実感を与えてくれる>

・先述の通り、クリニックでウォーキングを勧めるようになってから、多くの患者さんの治療が順調に進むようになりました。以前は不定愁訴の原因を探すのに時間がかかっていたのですが、ウォーキングで患者さんたちの症状が改善し、原因が運動負債であることを突き止めやすくなったのです。

<「運動負債」は病気のリスクを高める>

・運動負債の影響で、私が最も危惧しているのが認知症です。

 今から8年ほど前、アルツハイマー協会主催の国際学会で、「運動が不足している人は、将来認知症になるリスクが4倍になる」というデータが示されました。当時の私はウォーキングを習慣にしていなかったので、この発表は徹底的にウォーキングをするきっかけになりました。

・ムーアらの研究チームは、余暇の身体運動が、心臓病だけでなく、13種類のがんのリスクを低下させると報告しています。13種類のがんの低下率は、食道腺がん(42%)、肝臓がん(27%)、肺がん(26%)、腎臓がん(23%)、胃噴門がん(22%)、子宮体がん(21%)、骨髄性白血病(20%)、骨髄腫(17%)結腸がん(16%)、頭頸部がん(15%)、直腸がん(13%)、膀胱がん(13%)、乳がん(13%)でした。ただし、外を歩くときは皮膚がん予防のために直射日光をさけ、十分な日焼け予防をこころがけましょう。

・このように、歩かないことで病気のリスクが上がり、将来のQOL(生活の質)が低下する恐れがあります。人生100年時代を楽しむためには、老後の健康が必要不可欠。充実した人生を送るためにも、若いうちから歩くことを習慣化しましょう。

<「運動負債」は「運動貯金」に変えられる!>

・人は、年齢と共に運動貯金が減っていきます。大切なのは、歩けるうちに歩いて運動貯金を貯めておくこと。

・実際、運動貯金は老後のお金の消費にも関係します。運動貯金がある人は、90歳を過ぎても自宅で元気に過ごし、余計なお金を使わずに済みます。しかし、70代や80代で運動貯金が尽きてしまうと、早めに介護施設や老人ホームに入らなければなりません。そのぶん、大金を消費する期間が長くなってしまうのです。

<ウォーキングは習慣にするもの>

・ウォーキングを習慣化するためのコツはウォーキングを特別な運動とは思わないこと。ジム通いがなかなか長続きしないのと同じで、特別な運動と捉えると三日坊主で終わり、習慣化させるのが難しくなります。

 まずは通勤や買い物をしながら、永めに歩くだけでも十分です。

・ウォーキングは筋トレなどと比べてみても、日常生活の中で実践しやすく安全性の高い運動です。年齢や健康状態に関係なく取り組むこともできます。

<なぜ、ウォーキングが最強の脳トレなのか?>

<足と脳のてっぺんはつながっている!>

・脳は場所によってその役割が異なり、私はそれらを8つの脳番地に分けて説明しています。そのうちの一つである運動脳(運動系脳番地)は、身体を動かすための指示を出す脳番地です。

・身体を鍛えると脳が鍛えられ、脳を鍛えると身体が鍛えられる。脳を使わなければ身体が衰え、身体を使わなければ脳が衰えるしくみになっているともいえます。

 脳のてんぺんが壊れてしまうと、人間は足を使って動くことができなくなってしまうのです。

 ベンフィールドマップの足が対応する部分をよく見てみると、足の中でも「足の裏」は脳のより深部にあることがわかります。

<大脳は運動脳から成長する>

・人間は生まれたときから、運動脳を起点に脳に血液が巡り、成長していきます。その成長過程は、運動脳を通過する脳のSPECT画像で知ることができます。

 これは、脳の成長過程を追跡していくために。MRIで脳の形の成長とともに、脳の血流分布でその成長過程を追跡したものです。

・赤ちゃんは胎児から数えておよそ40週の時期に生まれます。このときは、脳幹と小脳の他、大脳のてっぺんの血流が多い状態で生まれます。この部分が、足を動かす運動脳と感情系脳番地です。この時期には、前頭葉の先端あたりにはまだ血流が少ない状態です。

・つまり、大脳では、脳のてっぺんから徐々に成長し、さまざまな脳番地が連動して働くことで、これらの行動が可能となるわけです。

 脳は成長するために、情報収集をしなければなりません。その役割を担っているのが足、つまり、身体を動かすということです。

・脳は身体を使うことによって、大きく変化していくのです。

<脳の暴走はウォーキングでストップできる>

・ストレス要因が多い現代社会ですが、近年はコロナ禍で急激な生活の変化も起こり、現代人の脳はさまざまな処理が追いつけない状態になっています。こうした悩みにも、ウォーキングは効果を発揮します。

・このような状態になったときは歩いてもう一度、運動脳から脳を活性化させましょう。ウォーキングには脳をリセットさせる効果があるからです。

・ところが、歩かないことで思考系など他の脳番地が極端に働いてしまうと、悩みやストレスを制御するのが難しくなってしまうのです。

 運動脳を使い、歩くことは脳にとってガソリンのようなパワーとなります。

 では、障害などで歩けなくなった場合はどうすればいいのか? という疑問をもつ方もいるのでしょう。

 歩けなくなっても運動脳を働かせることができます。それには、口や手などを動かして、運動脳にある足以外の領域を刺激することです。また、車いすやロボットスーツを使って移動することができれば、ウォーキング時に得られる刺激をカバーすることができます。

・さらに、運動のイマジネーションをすることで、運動脳を取り巻く、理解系や視覚系の脳番地が活性化することも明らかになっています。

「座っているだけで億万長者になった」「座って勉強しているだけで難関大学に合格した」。中にはそのような特別な人もいるかもしれませんが、基本的に人間の脳は、運動脳を活性化させなければ、徐々に衰えていきます。

<人間とサルの脳の違い>

・人間に最も近い動物はサルです。サルの脳は人間同様、運動脳が発達しています。人間と脳とサルの脳の決定的な違いは、サルの脳には人間の理解系脳番地に相当する領域がないことです。ですから餌を与える人間に襲いかかるなど、ときに暴走することがあります。人間も理解系脳番地など他の脳番地が働かなくなると、同じような状態となります。

 そして、人間の脳は情報を収集するしくみが、他の動物よりも優れています。

 その情報が整理されず、情報過多になると、さまざまな問題が起こります。

 必要な情報だけ残し、不必要な情報は削除する。そのスイッチを押すのがウォーキングの役割です。

<ウォーキングで覚醒中枢と運動脳にスイッチを入れる>

・目覚めるためには、自分の足で歩かなければなりません。

<足を動かせなくても運動負債はなくせる!>

・歩くということは、「移動をする」ということでもあります。移動中には運動系だけでなく、感情系・視覚系・聴覚系など、さまざまな脳番地を使います。たとえ身体や足が不自由であっても移動することで同じような効果を得ることができます。

 その事実は、2021年の東京パラリンピックに出場した選手たちが証明をしてくれました。

<ウォーキングは幸せのバロメーターになる!>

・脳や身体のしくみを無視して生活をしていると、人間は幸せになれません。例えば、タバコやお酒が身体に悪いことを知っているのに、それを無視して喫煙や飲酒を続ければ、当然ながら健康を害します。ウォーキングは、人間を健康にするため生まれたときから組み込まれているしくみです。それを無視して歩かなければ、不調や病気があらわれるということです。

 今は人生100年時代。いくらお金があっても、脳が元気でなければ、幸せは手に入りません。

<運動脳と7つの脳番地強化トレーニング>

<運動脳×感情系脳番地>

・感情系脳番地は、運動脳と並行して発達していきます。感情系脳番地の中には、運動脳と接した感覚系と呼ばれる部分があり、そこに刺激が入らないと、情報収集や情報処理が下手になるという特徴があります。

 わかりやすいのは、小さい頃からもっている「熱い」「冷たい」といった皮膚感覚です。この感覚は感情とすぐにつながります。

<大人になってからでも脳の感度は高くなる>

・大人になってからでは手遅れということはありません。大人もウォーキングをすることで、感覚が研ぎ澄まされ、感情も豊かになり情報処理能力が上がります。

 私は刑務官に向けた講演を行うこともあるのですが、講演では「受刑者も積極的に歩かせるべきである」とお話ししています。よく歩く方が、脳は感情を上手にコントロールすることができるからです。

<運動脳×視覚系脳番地>

・運動脳と視覚系脳番地の結びつきは、赤ちゃんの成長にも関係しています。人間は生まれてから3カ月ほど経つと、事物の認知が明確になり、それに伴い手足が動くようになります。

 1歳2カ月ほどで歩き始めるわけですが、立ち上がって歩くためには運動脳と視覚系脳番地がしっかりと結びついていなければなりません。「見る×動く」という関係がきちんと出来上がっていないと、しっかりと歩くことができないからです。

・家で長時間ゴロゴロと寝てばかりいるなどの行動は、その結びつきが乖離するため、生産性が低くなります。同時に理解系脳番地の働きも弱くなり、理解力が低下するという現象も起こります。最近、座り過ぎを防止するため、スタンディングデスクを導入するオフィスが増えていますが、立つことで二つの脳番地の結びつきが強くなり、より生産性が高まるはずですが、脳科学の観点からも理にかなっています。

<速度が上がるほど視野は狭くなる>

・人間が見たものは、事物の視覚認知として側頭葉に入ります。これが視覚系脳番地です。この脳番地はものを見るだけでなく、見たものの色や形などを分析する役割もあります。見ることは動態視と静止視というものがあり、静止視の方が事物をしっかり認知することができます。そのためには、走るよりも歩くことの方が良いのです。ジョギングでは動態視となり、事物の認知がうまくいきません。

<運動脳× ⁉ 思考系脳番地>

・前頭葉にある思考系脳番地は、運動脳に対して、歩くことを命令する役割があります。

・思考系脳番地が強化されている人はやる気が漲っていて、ストレスに強いという特徴があります。物事を頑張れる人は、頑張るための脳をもっている、自分に命令ができる脳をもっているということです。

<行動範囲が広がると思考系脳番地が強化される>

・私のクリニックは不安障害やうつ病の患者さんも訪れます。薬を処方する前に、まずは毎日のウォーキングを始めてもらい、きちんと睡眠をとり、生活のリズム改善することをお願いします。

 習慣になるまで時間がかかる場合もありますが、患者さんたちの目覚しい変化を見ていると、やはり外に出て歩くことが人間にとっていかに重要であるかがわかります。

・最初のうちはあまり歩けないかもしれませんが、徐々に行動範囲を広げていく。その動いた範囲は、すなわち思考の範囲ということになります。行動範囲を広げるということは、思考系脳番地を強化するのと同じ意味合いがあるのです。

<運動脳×聴覚系脳番地>

・家で音楽を聴いたり、テレビを観たりしていても、聴覚系脳番地はそれほど刺激されません。その音が予想外の音ではないからです。

 しかし外に出てみると、大きな音で走る車や電車など予想外の音と出会います。脳を刺激するという意味でも、外に出て音を感じるのは大切なことです。

<運動脳×理解系脳番地>

・ウォーキングによって刺激されるのは、特に右脳の理解系脳番地です。左脳が言語を理解する役割があるのに対し、右脳は非言語を理解します。ウォーキングによって得られる情報はほとんどが非言語なので、必然的に右脳の理解系脳番地を刺激するということです。

 本に書かている文字を理解したり、文章を書いたりするときに使うのは左脳の理解系脳番地。日常生活の中で、自然と刺激される機会が多くなります。しかし、右脳の理解系脳番地を刺激するのは意外と難しいことです。イメージを膨らませたり、状況を把握したりするのは、意図的でなければできないことだからです。

<想像力と対応力が成長する>

・人とたくさん会っている人の脳は、右脳の理解系脳番地が強化されています。たくさんの場面に遭遇してわかりあうことで、右脳の理解系脳番地が強化されることはありません。とっさの場面の対応力を磨きたい人は、ウォーキングで強化しましょう。

<運動脳×伝達系脳番地>

・運動脳の前に在る伝達系脳番地。歩くことで刺激されると、発想が豊かになるという特徴があります。誰かと歩いているとき、最初は会話が弾まなくても、歩いているうちに会話が弾むことがあります。これは、伝達系脳番地が刺激され、発想が豊かになり、会話がしやすくなるためです。

・運動脳を鍛えると伝達系脳番地が強化され、スピーチ能力も上がります。仕事でプレゼンをする機会が多い人も、ウォーキングを習慣にして欲しいと思います。

<運動脳×記憶系脳番地>

・私自身の研究からも明らかなのは、身体を動かすと記憶系脳番地が刺激されることです。というのも、運動をすると連動するように脳の「海馬」という場所も働くのです。海馬は記憶系脳番地にあります。運動と記憶はつながっているということです。

<応用の利く記憶で多角的な分析が可能に>

・記憶系脳番地にとって、ウォーキングが有効な理由はまだあります。それは、ただ情報を記憶するだけでなく、その情報が「応用できる記憶」になるということです。丸暗記ではなく、応用可能な記憶なので、いろいろな角度から物事を考えられるようになるのです。歩いている最中に、疑問が生じることもあります。

<ウォーキングは脳番地同士を結び付ける道路をつくる>

・脳番地同士は道路のようにつながることで、人間特有の高次脳機能を可能としてます。

 実際、脳番地同士のつながりが悪いと、子どもの発育にも影響を及ぼすことがあります。子どもの知的発達が遅いという場合に、脳番地同士のつながりが弱いということが考えられます。

 このような子どもの根本的な原因となっているのが、運動脳を鍛えていないことです。そのため運動脳だけでなく、他の脳番地のスイッチも入らず、発達しにくい状況が生まれます。つまり、子どもはどんどん歩かせた方がいいということです。

<ウォーキングと脳の「自動化」>

・脳番地を結ぶ道路ができると、私たちはさまざまな行動が簡単にできるようになります。例えば本を読んだとき、書いてあることを理解したり、記憶として定着したりします。

 これは脳に備わっている「自動化」というしくみです。この無意識化の脳のしくみを活かして、歩くことで脳に道路をつくり、ネットワークを構築することができます。

<脳は内面だけでなく外面も変える!>

・顔の表情が冴えない患者さんの脳画像を撮って診断すると、日頃歩いていないことが一目瞭然でわかります。そこでウォーキングの習慣化をお勧めするわけですが、ウォーキングを実践してもらってから、次に診療でお会いすると見違えるように表情が明るくなって、話し方まで元気になっています。

<脳を楽しくさせるウォーキング生活の工夫>

<歩く時間帯によるウォーキング効果の違いは?>

・患者さんにウォーキングを勧めると、よく「朝、昼、夜はどの時間帯に歩けばいいですか?」という質問を受けます。

 ウォーキングは朝、昼、夜で得られる効果が違ってきます。

 朝のウォーキングには覚醒効果があります。下がっていた血圧が上がり、やる気のアップにもつながります。私自身が毎朝のウォーキングを日課にしているのは、この覚醒効果を得るためです。

・昼のウォーキングはリセット効果、次の行動を起こすためのスイッチ、そして疲れを取る効果があります。

・夕方や夜のウォーキングは、脳の疲れを癒やし、血圧を下げるためのウォーキングです。

<勉強をする人ほどウォーキングが必要!>

・これまでの私の人生を振り返り、あらためて思うのは「勉強をする人ほど歩いたほうがいいい」ということです。

 さまざまな脳のトラブルを抱えながらもなんとか医師となり、人生を破綻せずやってこられたのも、ウォーキングを続けたおかげだと思っています。

 なぜかというと、勉強というものは往々にして動かずに高次脳機能を使うしくみになっているからです。

<年齢別のウォーキング効果の違い>

・社会人は特に歩いたほうがいい理由は、他にもあります。社会人は、特定の脳を使います。万能性よりも、秀でている能力を求められるのです。その偏りを解消するのがウォーキングです。脳のバランスを保つため、50歳ぐらいまでは、脳を偏らせないようにしましょう。

<歩いて脳を変えるニューノーマル>

・最後に、脳科学者としてこれからのニューノーマルとして提唱したいことがあります。

 まず、デスクワークの人は自分の脳の健康を守るため、デスクワークにおける知的活動とウォーキングのバランスを取ること。座る時間が長くなるほど、寿命が短くなるという研究もあります。自分が座り過ぎていないか、ウォーキングが不足していないかをチェックするようにして欲しいと思います。

<歩けば自分の脳を取り戻せる>

・現代社会は、見たくもない多くの事実を突きつけられます。それは大人も子どもも同じ、さまざまな環境のなかで、不本意な気持ちで過ごしている方も多いのではないでしょうか?

・まず知っていただきたいのは、悩みを感じているときは、脳が情報処理をしきれずに混乱しているということ、そのため、脳がもつ本来の働きが失われているのです。

<歩くことで脳のひずみを解消する>

・これは、ただ単に農業のひずみの解消という生易しいものではなく、マストとしてウォーキングを習慣にしなければ、必然的に脳が衰えていくでしょう。

<ウォーキングには脳を活かす無限の可能性がある>

・そもそも、人間にとってウォーキングは楽しいものです。歩けば歩くほどメリットが得られるのですから。

・運動負債の解消だけにとどまらないのもウォーキングの魅力です。そのメリットを振り返ってみましょう。

◎頭が良くなる

◎やる気がアップする

◎集中力が上がる

◎アイデアが生まれる

◎記憶力が上がる

◎スピーチ能力が上がる

◎睡眠障害が解消する

◎イライラが解消する

◎認知症を予防する

 以上はウォーキングによる効果の一部です。ウォーキングというシンプルな行動には脳を活かす無限の可能性が秘められているのです。

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