ちょっとしたボタンの掛け違いからEUが解体していくというシナリオも20年くらいのスパンで見るならば完全に否定することはできない。(1)
『新・100年予測 ヨーロッパ炎上』
ジョージ・フリードマン 早川書房 2015/7/23
<ドイツ・ロシアが急接近?フランスは衰退の道へ?ベルギーは消滅?>
・大ベストセラー『100年予測』『続・100年予測』で世界を驚かせたフリードマンが、次に注目するのはヨーロッパだ!クリミア危機を見事に予言した著者による最新の大胆予測。
<解説 作家・元外務省主任分析官 佐藤優>
・中期分析のノウハウは、具体的分析を積み重ねることによってのみ身につく、本書を読んで痛感したが、フリードマンは、中期分析に関して天賦の才がある。これは、フリードマンが中央のハンガリー出身のユダヤ人であることと関係しているのであろう。周囲を大国と大民族に囲まれているために、中央のユダヤ人は、アンテナを張りめぐらせ、情報を精査し、正しく分析した上で、素早く行動しなくては生き残れなかった。
・「もちろん、皆、過去に何があったかは知っているし、その過去に嫌悪感を抱いていないわけではない。過去に起きたこと、見聞きしてきたことはすべて踏まえた上で、長らく存在してきた悪魔をヨーロッパから切り離そうとする試み、それがEUなのだろうと思う。
・ヨーロッパは、本質においてエゴイスティックだ。文化と文明の表の下に隠れているヨーロッパの民族と国家の本質を見極めないと、国際情勢の正確な予測はできないのである。フリードマンの強さは、国際政治学者が目を背けがちなヨーロッパの暗黒部を見据えているところにある。第1次世界大戦で1600万人、第2次世界大戦で5500万人の死者が発生し、さらにスターリンの下で殺害されたり、餓死させられたりした約2000万人を加えると、1914年から1945年までの31年間に9100万人が死んでいる。まさに20世紀は大量殺戮と大量破壊の時代で、その原因はヨーロッパにあるのだ。
フリードマンは、ウクライナ、トランスコーカサス地方、バルカン半島など紛争の火種となる地域について詳細な分析を行うが、それとともにEU自体が解体するシナリオも排除すべきではないと考えている。
・今のところ、EU内部に限って言えば、戦争は一度も起きていない。それは確かだ。ヨーロッパに紛争を求める本能のようなものがあるとしても、EUはそれをきっと抑えることができる、そう信じる人にとって、これまでEU内で戦争が起きていないことは強力な論拠となる。だが、ここで一つ疑問が生じる。もしEUが失敗して、加盟国がばらばらになったら、あるいはEUは存続してもかたちだけで何も有効に機能しなくなったとしたら、EUという組織が戦争の発生を抑えているのだとして、その組織が消滅するか、あるいは無効になるかしたら、何がヨーロッパの暴走を抑えるのか。
・私は、EUは今、簡単に対処できない危機に直面していると考えている。このままではEUは失敗してしまう。問題は崩れたバランスを取り戻せるかどうかだ。私はバランスを取り戻せないだろうと思っている。問題は構造的なものなので、必然的に失敗することになる。ヨーロッパの統合が紛争を防いできたというのが本当なら、EUなしでは、バルカンやコーカサスのような紛争が他でも起き、ヨーロッパの未来は多くの人の期待とは大きく異なるものになる。
・ギリシャ危機で、EUの危機は現実の問題となっている。ギリシャが欧州共通通貨ユーロから離脱するような事態になると、ロシアが対ギリシャ支援に踏み切るかもしれない。その場合、ヨーロッパの秩序が抜本的に変化する。さらに英国がEUから離脱する可能性も強まっている。さらに英国からの分離傾向を強めているスコットランドが、EUへの加盟を求めるという錯綜した状況が生じるかもしれない。ちょっとしたボタンの掛け違いからEUが解体していくというシナリオも、20年くらいのスパンで見るならば、完全に否定することはできない。
・さらにフリードマンの分析で秀逸なのは、トルコの近未来に関してだ。
地中海は今のところ静かだが、この状況は長くは続かないだろう。海も周囲の土地もあまりにも価値が高いため、どうしても争いは起きる。また元々多くの問題を抱えている地域でもある。アメリカとロシアの緊張が、さらに新たな紛争を生む恐れもある。北アフリカの状況によっては、経済的に危機にあり、国民の間に不満がたかまっている南ヨーロッパで何か起きるかもしれない。
・そして注目すべきはトルコが発展しているという事実だ。必ずしも一直線に成長しているというわけではないが、周囲の多くの国々が衰退しているか、紛争状態にある中、徐々に強くなっている。トルコでは、オスマン帝国への回帰という懸念が急速に広まっている。世俗主義者は、そうなれば、シャリーア法国家になってしまうと恐れる。微妙な問題を含むため慎重な扱いを必要とするが、今後のトルコのあり方を大きく変える可能性はある。トルコの力が強くなれば、コーカサスやバルカンを含めたヨーロッパに長期的に大きな影響を与えることになるだろう。これまでのように単にトルコや他のイスラム諸国から多くの移民が来るということにとどまらない影響があるはずだ。
・トルコが、オスマン帝国への回帰という表象で、帝国主義的傾向を強めていることは間違いない。さらに、トルコのエルドアン政権には、スンナ派イスラム原理主義的傾向もある。トルコ帝国主義とスンナ派イスラム原理主義が複雑に絡み合い、トルコが世界の不安定要因となっていることも間違いない。
<1914年からの31年間、ヨーロッパは真っ二つに分かれて戦うことになる>
・1914年から45年までの間に、ヨーロッパでは、戦争、集団虐殺、粛清、計画的飢餓などの政治的理由によって1億人もの人間が死んだ。それは他のどの時代と比べても、世界の他のどの場所と比べても極めて異常な数である。しかも、400年以上にもわたって世界の大半を支配下に置き、人々の世界観を大きく変えてきたヨーロッパで、これだけの死者を出したというのが驚きだ。
・ヨーロッパほど、狭い範囲に多くの国が集まっている大陸もないだろう。オーストラリア大陸より少し広いだけの場所に50もの独立国が存在する。国だけではなく、人も密集している。ヨーロッパの人口密度は1平方キロメートルあたり72.5人である。欧州連合(EU)諸国に限ると、1平方キロメートルあたり112人となる。アジアの86人と比べると多いことがわかるだろう。ヨーロッパは込み合っていて、細分化されている場所ということだ。
・つまり、隣国は長い間ずっと同じということも多いわけだ。そうなると、もはや相手を信頼することも許すことも不可能だというほど、悪い記憶が積もることになる。ヨーロッパ内部で戦争が絶えず繰り返されていたのはそういう理由からだ。20世紀の大戦争は、本質においてはそれ以前の戦争と変わらない。ただ、テクノロジーとイデオロギーが違っていただけだ。その違いがヨーロッパ大陸に破滅をもたらした。
<とてつもない大虐殺が普通のことに>
・一日に何万人という人が亡くなるのは異常事態のはずだが、それが毎日続くと当たり前になってしまう。ヨーロッパ人の心はもはや、それには驚かされなくなった。常態化により一つのタブーが破られてしまったということだろう。
大勢が殺し、殺される状況が長く続いたことで、ヨーロッパは永久にまったく違う場所へと変わってしまった。ただ、各国が疲弊しきったことと、まったく疲れていないアメリカ人が百万人単位でやって来たことにより、戦争自体は終わりを迎えることになった。
・1930年代には、ウクライナやその他の地域で、計画的な飢饉によって死んだ人は約2000万人にもなった。
・スターリンは、小作農から穀物を取りあげ、彼らが餓死するのに任せた。
・アドルフ・ヒトラーがなぜそれほどドイツ人の心を強くとらえたか、ということについては、何度も繰り返し議論になっている。まず、わかっているのは、ヒトラーが第1次世界大戦に従事しており、一般の兵士として(最高でも伍長より上の階級には昇進してない)、前線で戦ったということである。苦しい戦争に耐え、鉄十字勲章を受けるという栄誉にも浴している。彼は何も持たず戦場に行き、戻ってきた時には毒ガスにより視力を一時的に失っていた。いつの時代でも戦争に行った人間はそうなりやすいが、彼もやはり「戦争のために自分を犠牲にしたが、何も得るものはなかった。自分が得るはずのものを誰かが盗んだ」と感じたようだ。
・ヴェルサイユ条約によって講和は成立したものの、その条約でドイツの経済は壊滅的な打撃を受けた。しかも戦後、政権を取ったリベラル勢力は、無為無策だった。ヒトラーを含め、生きて戦場から戻ってきた兵士の中には、戦争神経症にかかった者が多くいたが、その彼らでさえ、戦後の生活の苦しさに、軍隊の方がまだよかったと頻繁に思うほどだった。
・20世紀の知の巨人の一人とも言えるマルティン・ハイデガーのような人が、ヒトラーに服従する姿勢を見せたほどである。ハイデガーのこの態度を単なる日和見主義者だと批判した人は多かった。確かにそういう面はあっただろう。しかし、ハイデガーは生き残るためにそんなことをする必要はなかったはずだ。全面的にではなくても、ある程度までヒトラーに賛同したからこその行動だったのではないだろうか。ヒトラーの分析は学術的に見て洗練されているものとは言い難く、洞察の深さも十分ではなかったが、彼の思考の持つ強い力にハイデガーは惹きつけられたのかもしれない。
・ヒトラーは、ドイツの復興のためにはまず、ドイツ人が誇りを取り戻す必要があると考えた。彼はドイツという国を、根本から定義し直した。国の文化から、国民の血統、歴史、神話にいたるまで、すべてを見直し、ドイツとはこういう国である、と改めて定義したのだ。ヒトラーは、国家を「血筋」で決まると主張した。
・さらにヒトラーは、民俗はすべて平等というわけではないとも主張した。民族には優劣があるというのである。特にスカンジナビア人とドイツ人は生来、他に類のない優れた能力を持っており、世界を支配する資格があるとした。歴史の創作もした。ヒトラーの語るドイツの歴史は、神聖ローマ帝国やルター主義から成るものではなかった。それはたとえば、ドイツの黒い森やチュートン騎士団、そして英雄たちの歴史である。英雄の中には実在が疑われる人もいるが、同じ血筋、民族の人たちを一つに束ねる枠組みになればそれでよかった。歴史は、ヒトラーの手によって一つの芸術作品となった。
・ヒトラーの意図は、ドイツから弱みになりそうな要素を取り除くことだ。キリスト教の慈悲の代わりに、アーリア人本来の無慈悲さを取り戻したいと考えていた。他国に戦争を仕掛けることは、ヒトラーにとって単なる国家の政策の選択肢ではなく、兵士と国家の健全性の試験でもあった。ヒトラーのキリスト教に対する敵意は、啓蒙主義思想の延長線上にあるものだろう。彼はいわば自分の神を信じる異教徒であったと言える。
第1次世界大戦中、ドイツ軍では、兵士にニーチェの著作を配布していた。ニーチェは著作の中でキリスト教を攻撃するとともに「超人」、「地平」といった概念を提唱した。人間は常に「地平」、つまり「ここから先は見えない、見なくていい」という境界線を必要としているというのだ。
・ヒトラーはユダヤ人を差別の対象としたが、その根拠についてはこんな説明をしている。まず、ユダヤ人はあらゆる土地にいるが、どこにいても、必ずそこに悲しみをもたらしているというのだ。住んでいる国を利用して自らを富ませるのが彼らの戦略だからだという。自らは豊かになった上で、利用した国は破滅に追いやる。それがユダヤ人だとヒトラーは決めつけた。また、ヒトラーは、ユダヤ人を啓蒙主義の受益者と見ていた。
・啓蒙主義の時代となってから多くのユダヤ人が頭角を現した。スピノザは何冊もの偉大な著作を生んだし、ロスチャイルドは大銀行を作った。マルクスは、唯物論を基礎にした自らの革命理論を打ち立てた。ヒトラーは、資本主義、共産主義の両方を良く思っておらず、どちらも悪いものになったのは主にユダヤ人の責任だとしていた。そして、すべての悪の根源は啓蒙主義だと考えた。
・ユダヤ人が支配する大銀行、ユダヤ人の主導する共産主義、リベラリズムが邪魔をするため、前身したくてもできない。1914年に戦争が起きたのはなぜか。ユダヤ人がそうなることを仕組んだからだ。ドイツが戦争に負けたのはなぜか。ユダヤ人がドイツを弱体化させたからだ。なぜそんなことをしたのか。自分たちを富ませるためだ。
このように、多数の問いが立てられ、個々に答えが提示された。ヒトラーにとって最も重要だったのは、ユダヤ人がなぜこのような民族なのか、という問いだった。そして、その問いへの答えは、「ユダヤ人の血がそうさせている」だった。この答えはまったく科学的ではない。だが科学ではなくても、魅力的な芸術作品にはなり得る。
・そう言うと正気とは思えないかもしれないが、第2次世界大戦は地政学的事件であると同時に、一つの芸術作品でもあった。ソ連に侵攻したドイツ国防軍の後方には「アインザッツグルッペン」という特別行動隊がおり、劣等民族とされたユダヤ人を集め、殺害する任務を担った。彼らはヨーロッパをヒトラーが頭に描いたスケッチのとおりの姿にすべく動いていたのだ。
・文明の進んだ国であったはずのドイツがなぜ、怪物のようになってしまったのか。それはヨーロッパの歴史上の謎だった。
<神々の黄昏>
・この戦争によりヨーロッパで一体、何人が死んだのか、正確な数字は誰にもわからないが、5100万人に達するのではないかと言われる。これは兵士、民間人を含めた数字だ。従来型の戦闘で死亡した人以外に、民族虐殺や空爆で死亡した人も含まれている。1939年時点でのヨーロッパの人口は中立国も含めて5億5000万人ほどだったので、なんと1939年から45年までのたった6年の間に、ヨーロッパ人の10分の1が戦争で死んだ計算になる。
<イギリス>
・イギリスに危機が訪れるとしたら、それはEUからではないだろう。危機はアメリカから訪れる。ヨーロッパでの地位を保つために利用しているはずのアメリカが危機の原因になるのだ。イギリスはヨーロッパ内の大国の一つにすぎないが、アメリカは世界の超大国である。イギリスはヨーロッパとアメリカとを天秤にかえているが、アメリカは地域と世界全体とを天秤にかけている。イギリスはアメリカにとって地域の一部分にすぎない。にもかかわらず、一定の影響力を持てたのは、アメリカにとって「有用」だからだ。今後もその影響力を失いたくないと思えば、アメリカが何かの紛争に関わる度にそれに追随しなくてはならない。自らの身を守るために積極的にどこかの紛争に関与する、イギリスはそんな世にも珍しい国家になっている。
・イギリスにとっての紛争の火種は、世界中のどこになるかはわからない。歴史を見ればそれは当然のこととも言えるが、今のイギリスが特殊なのは、紛争に巻き込まれる場合には選択の余地なく巻き込まれてしまうということだ。たとえば、再び力を持ち始めたロシアがますます強くなれば、アメリカは、ロシアとヨーロッパ大陸の境界地帯に大部隊を展開するかもしれない。その時もイギリスは、アメリカに追随して動くのである。それは、ヨーロッパの中で、紛争後の世界で一定の影響力を持つために支払う代償だ。
『激動予測』 「影のCIA」が明かす近未来パワーバランス
ジョージ・フリードマン 早川書房 2011/6/20
<中国と日本>
・中国の生産経済の規模が、消費経済に比べて不釣り合いに大きいことを考えると、問題は避けられない。
・それでいて中国は、人件費ではもうパキスタンやフィリピンなどに勝てなくなっている。半熟練労働者の不足から(未熟練の農民工は無尽蔵に存在する)、人件費が上昇している。そのため競争圧力から価格引き下げを余儀なくされ、輸出品の利益率は低下している。今後中国では、競争の激化と輸出相手国の景気低迷から、競争力が損なわれ、企業の返済能力が低下し、金融システム全体がますます大きな負債にさらされるだろう。
・中国は次の10年で国内治安を強化するしかない。人民解放軍はいまでもすでに強大である。国を最終的に一つにまとめるのは人民解放軍だが、その大前提として社会の最貧層から集めたこの軍がまとまりと忠誠を保っていなければならない。中国政府は階級的反感を鎮めるために沿岸部と6000万人の富裕層に課税し、人民解放軍や小作農に分配する必要がある。課税される側は、抵抗し、政府が恩恵を与えようとする側にとっては不十分な税収しか得られないが、少なくとも軍の忠誠をつなぎとめることはできるだろう。
・しかし、日本には、中国にない圧倒的な強みが一つある。それは貧困にあえぐ10億の国民がいないことだ。日本は米国とは違って、必要とあれば社会不安を起こさずに、乏しきに耐えることができるのだ。
<日本のパワーバランス>
・日本社会は大規模な移民を受け入れることができない。移民は日本文化が大切にしてきた一体性を損なうからだ。したがって日本の工場に労働者を招くより、労働者のいる場所に工場を建設することで、問題解決を図ることになる。
・また中国は輸出に依存しているものの、必要があれば、苦痛を伴うが、経済体制を組み替えることができる。
そういうわけで、中国は強硬姿勢をとることも望まないし、そうする能力も乏しい。中国は主に海路によって世界と交易しているが、地理的な環境のわりに、またアメリカ海軍と比べて、それほど強力な海軍を持たない。海軍力の構築には数世代を要する。必要な技術を開発し、またそれ以上に培われた経験を伝え、優れた司令官を育てるには時間がかかるのだ。中国がアメリカや日本と海上で対決できるようになるのは、まだまだ先のことだ。
<アメリカの戦略―時間稼ぎ>
・この地域では必然的に「時間を稼ぎ、関心をそらす」戦略をとらざるを得ない。
・少なくとも現時点では、アメリカに無害な軌道を歩んでいる。したがって、アメリカは、時間稼ぎをしながら、今後起こることに備えて地ならしをする方針をとる。
・中国の経済的「奇跡」は、経済成長の例に漏れず、やがて必ず鈍化する。そのため中国は、急成長に頼らずに安定を維持することに取り組むだろう。
・日本は力をつけるにつれて、必然的に海軍力を増強する。アメリカの基本方針は、海軍国の台頭を阻止することだが、もちろんだからといって1941年にやったような方法で、2015年や2020年に日本と戦争を始めることはない。とはいえ、自己主張を増した日本に対処するための戦略を考えなくてはならない。
・アメリカにおける対日戦略における第一歩は、中国が分裂しないよう万全の手を打つことだ。中国が弱体化すれば日本は思うまま力を誇示できるようになる。
・アメリカの対日戦略の第2段階として、日本をできるかぎり友好的な関係を保たなくてはならない。アメリカのとるべき戦略は、日本の依存をできるかぎり引き延ばすことだ。
<これから10年間の激動の世界を予測>
・金融危機が世界的に経済ナショナリズムをもたらす。
・世界帝国になったアメリカは、イスラエルから距離を置き、イランと和解する。
・ドイツはEUに見切りをつけロシアに接近する。
・日本は短期的に経済問題にとらわれる。長期的には軍事力を増強する。
・中国は国内問題に足をとられ、弱体化し始める。
・マイクロチップやインターネットに相当する次の画期的な新技術が現れるのは、10年以上先になる。
『100年予測』
世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
ジョージ・フリードマン 早川書房 2009/10/10
<アメリカの基本戦略とイスラム戦争>
1、 アメリカ陸軍が北米を完全に支配すること
2、 アメリカを脅かす強国を西半球に存在させないこと
3、 侵略の可能性を排除するため、アメリカへの海上接近経路を海軍が完全に支配すること
4、 アメリカの物理的安全と国際貿易体制の支配を確保するため全海洋を支配すること
5、 いかなる国にもアメリカのグローバルな海軍力に挑ませないこと
・世界中の海洋を支配するという、前例のない偉業を達成したアメリカは、当然ながらその支配を維持したいと考えた。
・20年前のソ連崩壊により冷戦時代は動きを抑えられていたイスラム地域が急激に不安定になった。
・アメリカの基本戦略を知れば、対テロ戦争がどのような結果に終わろうと、イスラム世界が混迷さえしなければ、アメリカは勝ったと言える。
・アメリカの支配はまだ始まったばかりであり、21世紀にはアメリカの世紀になる。
・現在のアメリカ合衆国は、文化的にも歴史的にも発展の初期段階にある。
『100年予測』
世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
ジョージ・フリードマン 早川書房 2009/10/10
・「影のCIA」と呼ばれる情報機関ストラトフォーの創立者でCEOをつとめる政治アナリスト・フリードマンが予想する衝撃のこれからの世界は……。
・アメリカ・イスラム戦争は近く終局をむかえる。
・勢力を回復したロシアは、アメリカと第2の冷戦をひきおこす。
・アメリカへの次の挑戦者は中国ではない。中国は本質的に不安定だ。
・今後、力を蓄えていき傑出する国は、日本、トルコ、ポーランドである。
・今世紀半ばには、新たな世界大戦が引き起こされるだろう。その勝敗を左右するのはエネルギー技術であり、宇宙開発である。
・そして、今世紀の終わりには、メキシコが台頭し、アメリカと覇権を争う。
・地政学の手法を駆使してフリードマンが見通す未来は、一見荒唐無稽に感じられても合理的で、的確な洞察力を感じさせる。示唆に富む未来覇権地図がここに描かれている。
<2020年の中国―張子の虎>
・中国は過去30年にわたってとてつもない発展を遂げている。これほどの成長が無期限に、あるいは永久に続くというのは、経済の基本原則を無視した考え方だ。いつか景気循環が醜い顔をもたげて脆弱な企業を淘汰するはずであり、実際そうなるだろう。そして技術力を持った労働者の不足が持続する成長にいずれ終止符を打つだろう。成長には構造的限界があり、中国はその限界に達しつつある。
<中国の政治危機>
・中国では忠誠は金で買うか、強制するものだ。金がないなら、強制するしかない。景気低迷時には、企業倒産や失業が多発するため、一般に社会不安が起こる。貧困が広く存在し、失業が蔓延する国に、景気悪化の圧力が加われば、政情不安が広がる。
・あり得るシナリオの二つ目が、中国の再集権化である。景気低迷をきっかけに相反する諸勢力が台頭するも、強力な中央政府が秩序を打ち立て、地方の裁量を強めることによってこれを抑え込む。
・第3の可能性は、景気悪化がもたらすひずみにより、中国が伝統的な地方の境界線に沿って分裂するうちに、中央政府が弱体化して力を失うというものだ。
・これが実現すれば、中国は毛沢東時代と同じ状況に陥る。地域間の競争や、紛争さえ起きる中、中央政府は必死に支配を維持しようとするだろう。中国経済がいつか必ず調整局面に入る事、そしてどんな国でもそうだが、これが深刻な緊張をもたらすことを踏まえれば、この第3のシナリオが中国の実情と歴史に最も即していると言える。
<日本の場合>
・大方の予想に反して、中国が世界的国家となることはない。
・中国のもっともともありそうなシナリオは、日本をはじめとする強国が中国に経済進出を活発化させるうちに、中央政府が力を失い分裂するというもの。
<アメリカの力と2030年の危機>
・アメリカは50年周期で経済的・社会的危機に見舞われている。
・次の危機は労働力不足で、2028年か2032年の大統領選挙で頂点に達する。アメリカは移民の受け入れ拡大政策で問題の解決にあたるだろう。
<新世界の勃興>
・2020年代のロシアの崩壊と中国の分裂が、ユーラシア大陸に真空地帯を生み出す。
・その機会を利用して勢力を伸ばしていくのが、アメリカと同盟を組んだ、日本、トルコ、ポーランドである。
<(『岩手県昭和震災誌』岩手県知事官房、1934年)>
<1933(昭和8)年3月3日の昭和三陸津波の後も、津波危険地帯に集落を再興>
・当時、政府の外郭団体であった震災予防協議会の幹事であり、かつ地震学会の会長であった今村明恒博士(元・東大地震学科主任教授)ら、学者の進言に基づいて内務省と岩手 県当局が一致して勧めた復興策の基本は、集落をあげての高所移転であった。
・すなわち「将来津波の際に於ける人命並びに住宅の安全を期する為、今次並びに明治29年に於ける津波襲来の浸水線を標準として其れ以上の高所に住宅を移転せしむる」こと、その際、倒壊家屋が少なく多額の工事を要しない部落については資金を提供せず、各戸に分散移転するように勧めるが、被害の大きい20カ町村45部落については預金部から低利の宅地造成資金(5カ年据え置きの15年償還)を融通し、町村を事業主体として宅地を造成、集団的に高所に移転させる。
・ただし例えば釜石、大槌、山田などは諸般の事情(主に市街地を移転させることの困難)により高所移転が不可能であるから、原地に復旧することを認めるというものであった(『岩手県昭和震災誌』岩手県知事官房、1934年)
『続 未来からの警告』 ジュセリーノ予言集2ジュセリーノ・ノーブレガ・ルース / サンドラ・マイア
たま出版 2008年4月5日
<カナリア諸島の噴火と津波>
・独立した災害として注目すべきなのは、カナリア諸島にあるパルマにある火山が噴火して山が海に崩落するために起きる大津波である。被害が大西洋全域に及ぶため、ブラジルでも非常に注目されている予言である。
・1949年に最後の噴火を起こした際、水蒸気爆発のためコンプリ・ビジャの尾根の西半分が数メートル大西洋の方にすり落ちたといわれる。今度はそれが海の底に落ちてしまうということにある。このとき、崩れ落ちる土砂の大きさは、容積的には、おそらく富士山が一つ海に落ちて行くのに近いと思われる。
・この大災害の予言は、随分初期に出ているようで、先の文書から1972年には、警告書簡を送っているようである。これ以後さまざまな国の政府や科学者に文書が送られ、最近になって各国のマスコミや研究者が科学的シミュレーションを発表しています。
・興味深いことにその内容はジュセリーノ氏の予言に非常に近いのである。その一例は次のようにレポートしている。
・最初に発生する津波の高さは、9百メートルであるという。これが大西洋に広がっていくのだ。まず1時間後に、アフリカ大陸西岸を最大百メートルの津波が襲う。3時間後には、スペインの海岸に回り込んで減衰した5メートルの津波が届く。しかし、真正面から大陸に向かった津波は、50~百メートルの高さで南北アメリカ大陸に向かう。
・6時間後に北アメリカ東岸全域に10メートル。南アメリカには15メートル、そして、またイギリスにも5メートルの津波が及ぶという。地形によってはさらに高くなるところもでる。この予測は2004年に科学者によって計算された数値である。
・これらの警告情報をアメリカは宇宙人からのメッセージとしてすでに受け取っていると言っていることである。
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