今の日本の経済は、未曽有の不調にある。「失われた30年」という言葉を聞くことも珍しくないが、わが国は1990年代から現在に至るまで、ほぼゼロ成長である。(1)

(2025/4/2)

『日本の新構想』

生成AI時代を生き抜く6つの英智

波頭亮、磯田道史、島田雅彦、西川伸一、中島岳志、神保哲生

小学館新書   2025/1/30

<まえがき>

・今は、世の中が大きく変わる時である。これから数年のうちに仕事の内容も働き方も、日々の生活も人間関係も、何に価値があって何に価値が無いかということの全てが大きく変わっていく。

 いつの時代でも世の中のあり様を根底から変えるのはテクノロジーである。

・今、起きつつある世の中の変化は、農耕の発明の以前と以後、あるいは産業革命の以前と以後にも匹敵するほどインパクトが大きいものになる。

・人間は「ホモ・サピエンス=知的人間」と呼ばれる。人間を人間たらしめている“知的”な部分は、文字の発明によって拡大・高度化してきたことによる。

・このように新しい時代のあり様は、テクノロジーによって変化させられる。

・このように産業革命は、人口増加、寿命の伸長、労働の内容と経済成長といった大変化をもたらしたのであるが、今、起きようとしている大変革はこうした農耕や産業革命に匹敵するほどの大きなものになる。この変革を推進するテクノロジーがAIである。AIは現行の生産様式を根底から変える。

・社会全体の大変革の夜明け前である今、何よりも大事なことは、これから起こる変化を見通した上で私たちが作り上げるべき社会を構想していくことである。

<我が国の今とこれからの方向性 ~経済からのスコープ~ 波頭亮>

・今の日本の経済は、未曽有の不調にある。「失われた30年」という言葉を聞くことも珍しくないが、わが国は1990年代から現在に至るまで、ほぼゼロ成長である。

・したがって、これからの日本を見通す上でこのような異常状態に陥っている日本経済の現在のあり様について理解しておくことが必要であろう。

<わが国の現状>

① 失われた30年を示すデータ

・まず、わが国の経済の現状を具体的に見ていこう。冷戦構造の終焉を経て、世界的に経済活動が活発化してきたこの30年間の世界各国のGDPの推移を見ると、ほぼ全ての国が経済成長を遂げている。そうした世界経済の中で日本だけが全く成長していない。

・世界中のほぼ全ての国が成長を謳歌したこの30年の間にマイナス成長というのは明らかに異常と言える状態なのだ。

・では国民一人一人の所得や生活はどうかと言うと、こちらも同様である。

 1人当たりGDPは2021年で3万9882ドルと平均4万4459ドルのOECD加盟国の38ヵ国中20位。約30年前の1995年には日本は3位であったのに、2021年には20位まで坂を滑り落ちるように凋落してしまっている。

・国民の生活に直結する具体的な所得の金額で見ても1995年には4万263ドルだったのが、2023年には4万2118ドルと微減(約0.99倍)となっている。この間、日本以外の全てのOECD諸国は順調に所得を伸ばしている中で日本だけが下がっている。

・日本企業の競争力も低落してきている。

・これらのデータを見れば、日本がこの30年間で全面的に大きく衰退してしまったことがうかがい知れる。

② 経済成長の方程式と照らして

・経済を成長させようとするならば、この成長方程式に当てはまる経済政策を展開すればよい。つまり、①経済活動に投入される資本を増やすこと、②労働量(労働者数と労働時間)を増やすこと、③技術レベル(テクノロジーや労働者の知識・スキル)上げること、の三つをやれば経済は成長する。では、この3点に適う経済政策がとられてきたかと言うと、残念ながら①、②、③の全てでノーである。

・まず第一のファクター「資本増加」について見てみると、経済活動への資金の投入量を表す設備投資額は、1990年代から現在までほとんど増えていない。

・次に第二のファクターである「労働増加」については、日本は構造的に不利な要因を抱えている。それは少子高齢化である。

・三つ目のファクターである「技術進歩」はというと、天然資源に恵まれない日本は手厚い教育と勤勉さで高い技術を開発し、成長を遂げてきた経済モデルであった。この技術に関する強みも今は失われてきている。

 テクノロジーや人材の能力レベルが最も如実に表れるのが労働生産性である。

・経済活動のテクノロジーと人材能力の両面から成る総合的な技術レベルを表す労働生産性で見ると、日本の時間当たり労働生産性は2022年OECD38ヵ国中30位とかなり低い順位である。しかも1970年代以降から2018年頃までは、ほぼ20位程度で安定していたのだが、為替が円安に振れた影響があるとはいえ2022年には30位にまで落ちてしまっている。

・以上のように、経済を成長させるために必要な資本、労働、技術という三つのファクターの全てにおいて経済成長を実現させ得るような手立てが取られていないことが見てとれる。

・こうして見ると失われた30年というのは、積極的意図によってとは言わないまでも、経済成長に繋がらない政策を取り続けてきたことによって引き起こされた必然的帰結であって、日本という国家と日本企業が選択してきた結果だと言わざるを得ない。

③ どのような経済政策だったのか、どのような経営戦略だったのか

・日本以外の成熟国はこの間も着実に成長を遂げているし、深刻な経済危機に見舞われた国も危機を克服して成長をしている。なぜ日本だけがこうも経済成長から外れてしまったのだろうか。

 よく挙げられる日本ならではの要因が、人口減少と少子高齢化である。

・こうした現実を見ると、日本経済の不調は人口減少、少子高齢化だけが原因ではないことが分かる。この間に取ってきた国の経済政策や企業の経営戦略にこそ本当の要因があると推察できる。

ⅰ国としての経済政策:消費税と法人税

・この間に日本政府が一貫してやり続けてきた経済政策を一言で言うと、法人税減税と消費税増税による財政構造の転換である。

・消費税の増税だけでなく、社会保険料もこの30年で約3割上がっており、所得が減少する中で消費税と社会保険料は増える一方というのが国民の置かれている状況である。

・消費税と社会保険料を上げて国民の可処分所得が抑えられるとGDPを構成する最大の項目である消費が増えないため、当然ながら経済は成長しない。

・国民経済を成長させていく最も重要なポイントは中間層を育てていくことにある。高度経済成長フェーズにある国は、中間層が順調に育っていくことによって消費が拡大し、その消費を満たすために産業が発展して国民経済の成長・発展が実現するのだ。逆に中間層がごく一部の富裕層と大多数の貧困層に解体され、格差が広がってしまうと国民経済は沈滞し成長はできなくなる。

 法人税を下げて企業の活力を増し、サプライサイドから国民経済を活性化させようとしたこの政策は、GDPの最大項目である消費を抑制してディマンドサイドの活力を奪い、成長をストップさせてしまったのだ。

ⅱ 日本企業の経営戦略:賃金抑制と配当

・それでは、国によって法人税率を下げてもらい優遇を受けてきた日本企業はどのような経営戦略を取ってきたのか。

国民の所得は増えず、税や社会保険料の負担ばかりが増してきたのに対して、この間の法人の業績は好調で利益額は拡大傾向を続けてきた。

・この30年間、日本のGDPは増えていない。すなわち日本企業が生み出した付加価値額のトータルは増えていないということになる。つまり企業全体も日本のGDPと同様に成長していないわけである。それにもかかわらず何度も史上最高益を達成できたのは、コストの圧縮=賃金の抑制による。長い間、賃上げをストップし、正社員を非常勤職員に換えて賃金を圧縮して利益の源泉としてきたのだ。企業が儲けても賃金として従業員=国民に還元しなかったので国民の所得は増えず消費が沈滞し、30年間続いてきたデフレの要因になったのだ。

・では次に、企業はその利益をどのように使ってきたのか。企業の生産性向上や競争力強化のために設備投資を増やしてこなかったことは先に示した。企業は利益を配当の拡大に振り向けてきたのだ。

・要するに、労働者の賃金を抑えて上げた利益の多くの部分を、企業は労働者への再分配や国内への投資に用いることなく、外国の株主に上納し続けているという、まるで植民地経済のような構図になっているのだ。

・国はこの30年間、消費税と社会保険料を上げて国民の可処分所得を抑えてきた。企業は賃金を圧縮して利益を増大させながら設備投資・R&D投資を抑えて配当にばかり回してきた。これが「これまでの日本がやってきたこと」の総括である。これでは、成長の方程式を持ち出すまでもなく、国民経済が成長するはずがないのは明らかであろう。

④ 国民はこの政策を望んできたのか

・現在の日本経済の不調は政策的選択によって必然的にもたらされたことを示したが、では我々国民は、こうした経済政策を望んできたのだろうか。

・失われた30年を生み出した数々の経済政策は、国民にとってマイナスでしかなかったことは、前項まで見た通りである。誰も自分のマイナスになるような政策は望まないはずなのに、それでも国民の大多数にとってマイナスとなる政策が継続的に続いてきたのは一体なぜなのだろうか。

・2024年度の報道の自由度ランキングで日本は70位だった。この順位は、日本では自由な報道が行われていないということを示している。つまり、国民は現実を正しく判断するために必要不可欠な情報を知らされていないということだ。

・ちなみに他の主要国の報道の自由度ランキングは、ドイツ10位、フランス21位、イギリス23位と続き、公共の放送局が存在せず、資本にメディアが支配されていると言われるアメリカが55位である。

・もし報道の自由度が高い国で大多数の国民にとってマイナスになる政策がとられていれば、その政策を問題視する分析や改善の提案が報道されていることになる。日本で言えば、失われた30年に関する具体的な経済データの提示や分析がマスコミを通じて国民にもたらされ、どのような政策が日本経済を停滞させているのかを知ることができる。

・2012年以降の与党自民党は、大幅な金融緩和政策による株価の上昇を以て「経済は絶好調」というメッセージを繰り返した。しかしその間、株価好調の恩恵に浴したのは大手企業と一部の富裕層のみで、大多数の国民は所得の停滞と増税に苦しんでいるままであった。

⑤ 主権者の責任

・とは言え、それでは失われた30年に対して国民には責任が無かったのかと言うと、そうとも言えない。国民は主権者として日本の政治と経済を自分たちが決定している自覚があったかと考えると、残念ながら疑わしい。

北欧4ヵ国では議会選挙の投票率は80%程度に達しているのに対して、近年の日本は55%程度と非常に低い水準にある。国民の半分近くの人が民主主義に参加していないのだ。

・つまり国民の20~30%しか支持していない自民党が衆議院選挙の過半数を獲得し、大多数の国民にとってマイナスとなるような政策を取り続けてきたのだということになる。したがって、その責任は、投票に参加すらしない国民自身にもあると考えられるのである。

・また国民だけでなく野党にも問題がある。有権者の20%程度の支持しか得られていないのに半数以上の議席を占めている自民党の選挙戦略はある意味で自民党にとっては合理性が高いと言えよう。

・大多数の国民にはマイナスだけれど自分たちを支持してくれる大企業や富裕層にとっては有利な経済政策を取り続けながら政権を維持している自民党は、政党としては合理的に振る舞っているとも言える。

<これからどうしていくべきか>

① 新自由主義と再分配

・前項までに、失われた30年のわが国の現状、その間にとられてきた経済政策、および30年を失われたものにしてしまった要因について見てきた。しかしながら過去は過去であり、嘆き悔やんだところで変えることはできない。我々がやるべきはより良い未来を築いていくことである。

・これから日本が成長を遂げていくために必要なことは、端的に言えば生産セクターの効率化と十分な再分配である。

・そして効率的に産出されたGDPを資本の増殖にばかり投入するのではなく、国民生活の向上のために再分配することがマストである。

新自由主義を提唱したミルトン・フリードマンも、低所得者には負の所得税を適用する等の提案をし、「新自由主義は適切な再分配機能を伴ってこそ、持続的な発展が実現する」ということを提唱している。

・その時の日本企業は国際競争力が現在よりも明らかに高かったし、国民生活も現在より明らかに豊かだった。法人税を軽減し、消費税と社会保険料を上げ始めた時から失われた30年が始まった。この頃から日本企業は、設備投資やR&Dを抑制し賃金アップを止めることで目先の利益額を拡大させたが、長期的には一貫して国際競争力を失ってきたことを重く見なければならない。

・それでは今後どのような国民経済の運営が有効かというと北欧諸国の国家運営が参考になる。

・資本主義という苛烈な競争を戦うことと同時に福祉国家的に国民を手厚く保護することは矛盾しないばかりか、成熟国家において非常に有効な国家運営の方法論だと考えられる。

・実はこうした社会運営、すなわち市場主義(競争)と再分配(社会福祉)が車の両輪として機能することによって、資本主義が国家の社会発展と安定を両立させ得ることは歴史的にも示されている。

・イギリスで資本主義が導入された当初は、工場経営者が労働者を低賃金かつ劣悪な環境で1日に16時間も働かせるような労働の在り方が常態化していた。

・ソ連が崩壊して冷戦構造が終焉を迎えてから、アメリカは対立項を失って新自由主義へと舵を切り、市場原理主義へと傾斜していった。一方、ちょうど同じ時期にフランスではミッテランの社会党政権が誕生して、アメリカの新自由主義型とは一線を課した、再分配を軸にした社会民主主義が確立した。そしてこの社会民主主義型の社会運営はドイツ、イタリア、北欧諸国へと広がっていった。

・その意味でも同じような歴史背景や文化を持つのはヨーロッパ諸国であり、ヨーロッパ流の社会運営の方が日本社会には向いていると思われる。つまり歴史と文化を重視する保守的な考えと運営ルールを持つ日本においては、新自由主義型よりは社会民主主義型の社会運営の方が適していると考えられる。日本は1980年代までは世界で唯一成功した社会主義国とも言われ、1億総中流の文化と社会システムが機能していた。

② 成長と安定化のための具体策

・では具体的にどのように生産セクターを効率化して、どのような再分配を実現するべきか。それぞれについて見ていこう。

まずこれからの国民経済のあり方を考える上で、前提条件として忘れてはならないのが少子高齢化である。生産年齢人口がこの先も減少することを踏まえれば、わが国が目指すべきは高付加価値型の育成・強化である。

・しかし、観光産業がこれからの日本に適した産業なのか、これからの日本経済を支える主力産業にしていくべきか、と問われたら、答えは残念ながらノーである。

・日本が育成・強化すべきは、労働集約型の低付加価値型の産業ではなく、技術・知識集約型の高付加価値型産業である。一例としては、AI、エネルギー、医療・医薬といった分野が考えられる。

・現代においても、これからの世界的主力産業分野に人材や資金を集中投資して産業育成を促進するという傾斜生産方式がヒトとカネの効率的運用を実現し、将来性のある産業ポートフォリオを構成するための基本戦略になる。

・特に生産年齢人口が減少し続けている日本においては、労働力不足を解消するためのAIの活用が切り札になる。

③ 社会安定化政策:介護産業への支援

・ちなみに、戦後期に傾斜生産方式と並んで行われた産業政策がもう一つある。食糧管理制度/二重米価制度である。

・この二重米価制度と同じく雇用対策と国民生活の安定化という二つの効果が見込めるのが介護従業者の所得補填政策であり、これからの新しい公共インフラ整備だと言えよう。

・それは国民に安心と安定を保証するセーフティーネットを整備・充実させることである。

④ 新しい公共インフラ:BI(ベーシックインカム)

・そうした社会経済モデルの一つとして検討に値するのがBI(ベーシック・インカム)の導入である。BIによって月額8万円程度を全国民に支給すれば、国民の最低限の生活が保障されることになり、国民の安心と社会の安定に大きく寄与する。

・BIは国民が生きていく上での不安を解消し、治安の維持や社会的脱落者の防止といった安心・安定的な社会運営を可能にするだけでなく、日本経済の再興にも大きく寄与する。

・以上のように、格差を埋め、企業の戦略選択の幅を拡げ、消費を活性化することができるのがBI制度のメリットであり、新しい時代の社会基盤、公共インフラだと言えよう。

失われた30年の間、継続してきた国民から企業への所得移転を図るという経済政策を転換し、高付加価値型の知識集約型の産業の強化・育成を推進し、高齢化社会の不安を解消するために介護産業の充実を支援する政策が、これからの日本経済の成長と社会の安定のためには有効かつ不可欠であることはご理解いただけたであろう。

・AIの活用とBIの導入はセットで考えるのが妥当である。AIとBIが両軸となって新しい時代の生産様式と社会運営を構築できるのである。

⑤ 民主主義国家における主権者責任

・これからの日本の経済を活性化させ、社会の安定化を図るための方針を示してきたが、AIやエネルギー、医療・医薬といった高付加価値型産業への新しい傾斜生産方式にしても、300万人規模の介護従事者への支援にしても、これまでの経済政策や産業政策に比して非常に革新的な政策であり、国家的方針転換と言える。

・したがって、日本経済を成長させ、社会の安定を図るためにまず必要となるのは、国民が正しい政策を選択する意識と行動、すなわち国民の主権的行動の確立である。

・自由競争による経済成長と再分配による生活の保障という経済運営は、北欧諸国がそれを実現していることを見れば現実的に可能である。

・そういう経済政策を実現するための鍵は、国家政策を決める責任を担っているのは国民であるという主権者責任の意識を国民一人一人しっかりと持つことである。新しい日本を創り出すための第一歩はここにあると考える。

<これからの世界で起きる変化>

・第1節では現在の日本経済の不調について、すなわち失われた30年と言われる今の不調は世界的に見ても極めて稀なレベルの深刻なものであり、“非合理な対応を取り続けている政策に因るものである”ことを示した。

・今、起きようとしているAI革命はこの大変革に匹敵するものである。

AIが知的業務を担うようになった後の人間の仕事はどのようなものになるのか、圧倒的な生産性の向上が実現すると人間のライフスタイルはどのように変わるのか、資本主義と民主主義はこれからも社会を運営する二大方法論として続いていくのか等々、世の中のあり様を形作る主要なテーマについて考えてみなければならない。

・本節ではこうした問題意識を踏まえて、50年~100年というタイムスパンでAI化による生産様式の変化がもたらす社会、価値観、ライフスタイルへの影響とインパクトについて検討してみる。

① AI導入による生産様式の変革と圧倒的な生産性向上

・AIの導入によってまず起きるのは、「生産様式の変革と圧倒的な生産性向上」である。

・こうした農耕革命、産業革命による社会の変革になぞらえてAI革命の影響と社会の変化を考えてみよう。AI革命によって起きる最大の変化は財貨の増大ではなく労働形態、すなわち人々の働き方の変化となるだろう。

② 良きこと/正しいことへの価値基準のシフト

・今はまだ資本の支配力が強く富の再分配が歪んでいるために、世界で産み出される財貨の総量は世界中の人々を養うのに十分な水準に達しているにもかかわらず、飢えている人も学校に行くことができない子供も存在する。

・有史以来、洋の東西、時代の古今を問わず、「働かざる者、食うべからず」という規範は人間社会の共通基盤であった。

・だが、AIの導入によって圧倒的な生産力がもたらされれば、働かない者に食わせても、その集団が飢えたり社会が衰退したりしてしまうことは無くなり、この規範の合理性・必然性は根拠を失うことになる。圧倒的な生産力さえあれば、「働かなくても、食って良し」となっても、その社会にとっての致命的な不都合はなくなるのである。

③ 権力構造/社会構造の再構築

・AI革命によって実現する新しい生産様式や価値基準に合わせて、権力構造/社会構造も再構築されるであろう。

・一番想像しやすいのは、現行の資本家支配のままで同じ支配構造が続いていくという未来である。

・もう一つ考えられる未来の形がある。AI化生産様式のオーナーが国家/国民になる未来である。

・筆者は民主主義が資本主義を凌駕して、国民がAIのオーナーになる未来を予想している。飢える者がいなくなったレベルの成熟国家では社会民主主義へ移行する流れは既に存在している。

④ ライフスタイルの変化

・それではそういう生産様式、価値基準、社会構造になった時、人々はどういうライフスタイルを営むのか、市民が生存維持的労働から解放されていた古代ギリシア市民の生活が参考になるだろう。

・AIによって生存維持的労働から解放された時、人間は専ら政治と学問・芸術に人生を費やすようになると予想できる。

実は留意しておかなければならないのは、経済合理性を軸にした社会で勤勉と競争のルールの中で生きてきた時代の人々が「暇と退屈の不幸」に陥るリスクである。

<あとがき>

・本書はこれからの世の中のあり様と日本のあるべき姿についての日本構想フォーラムからの提言である。

・こうしてみると、生成AIの登場がワット、エジソンの発明に当たるとすると、これからの現実世界のあり様はとてつもなく早く、大きく変わっていくことになる。その変化を的確に予測することは非常に困難であるが、どうなっていくのかを予想してみることには意義があると思っている。

(2021/12/10)

『シン・人類史』

ウマヅラヒデオ   サンマーク出版 2021/3/30

・世間で常識とされていること、学校で習った教科書の歴史は、いとも簡単に崩れ去る。「真実」は非常識、異端などと呼ばれ、軽視されるもののなかに隠されている。

<すべてが繋がる!これが人類史の真実だ>

<世界から争いがなくならないのは、人類にインプットされた思想が原因だった!>

・人類は2人の“宇宙人”の争いの果てに生まれた。

・そして、この世界には1954年から続く、世界のシナリオを裏で決定している“ある会議”が存在している。

 その会議の開催地、そして招待者は、一貫してテクノロジー重視の宇宙人の血統が支配する土地であり、その子孫なのだ。

 彼らが裏の権力を持つことによって、世界の歴史から、スピリチュアルな血統は、瀬戸際に追い込まれようとしている。

・2045年には、人工知能が人類を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」を迎えるとの予測もある。このとき人類は人工知能と融合し、仮想現実の空間に移行するのだ!

<進化論では説明がつかない人類誕生の裏に潜む決定的な矛盾>

<突きつけられた世界の常識 「ダーウィンの進化論」への科学的反証>

・しかし、ダーウィニズムには数々の矛盾点があることも、これまで多くの研究者によって指摘されていることをご存じだろうか。

 一例を挙げよう。約5億4000万年前に突如として始まった、生命の爆発的な進化「カンブリア爆発」。ダーウィンの進化論によれば、生物は漸進的に進化するはずである。実はダーウィン自身も、この現象を説明することができず頭を悩ませていたという。

・それは、人類を含む全生物種の約90%が10万~20万年前に同時に現れたというもの。

<手がかりはシュメールの石板に記されていた「謎の惑星」にあった>

・シュメールの人々が残した何万枚もの石板のなかには、正確な太陽系図を描いたものがあった。そこには、太陽系の太陽と月、8惑星のみならず、1930年になって始めてわれわれがその存在を知った準惑星・冥王星まで刻まれていたのだ。

 それだけではない、シュメールの太陽系図には、もうひとつ、現代天文学で観測されていない謎の10個目の星が刻まれていた。それが惑星ニビルである。

<すべての始まりは、地球に活路を見出した2人の“宇宙人”>

<20億年前の原子炉が雄弁に語る、人類以前に存在した知的生命体の痕跡>

<地球に再起の望みをかけた宇宙からの使者により、人類誕生への歩みが始まる>

・それは惑星ニビルから地球に訪れた宇宙人アヌンナキによって現生人類が創り出されたという壮大な神話である。

<「科学のエンキ」と「超感覚のエンリル」地球での邂逅>

・ニビルの優れた科学者でもあったエアは、地球の海水から金を抽出するという発明で大量の金をニビルに送り出した。また、地中の鉱脈から金を掘り出すことに成功した。

 この功績から、「地球の支配者」という意味の「エンキ」という称号を与えられた(なお、シュメール神話でエンキは知識と科学の象徴であり、その容姿は上半身が人間、下半身は蛇であるという)。

・エンキが地球にやってきてから数万年後、ニビルからエンキの異母弟である「エンリル」が地球にやってきた。

 エンリルはヒューマノイド型のアヌンナキで、角を持ち、長い髭をたくわえた、現生人類のような姿をしていた。また、エンキとは対照的に、超感覚、スピリチュアルな精神を持っていた。

 科学のエンキと超感覚のエンリル………当然、2人の間では考え方に大きな齟齬がある。やがて地球の支配権を巡り、兄弟の間で溝が深まることとなった。

<奴隷創出プロジェクト「ルルアメル・プロジェクト」>

・このエンキ、エンリルによるアヌンナキ同士の争いとは別の問題が、地球で起きた。それがレプティリアンの反乱である。

 レプティリアンは、アヌンナキたちが金を採掘するための労働力が足りないことから、優れた科学力を持っていたエンキが創り出した奴隷だ。エンキが自身の遺伝子操作に恐竜の遺伝子(諸説あり)をかけ合わせ、女性アヌンナキに人工授精し、生み出された人工生命体がレプティリアンである。

 レプティリアンは生殖能力を持たないが、その代わりに寿命が長い生命体だったので、長期間(数万年ともいわれる)にわたって働かせるには好都合だったのだ。

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