どんなことでも10年続けていけばプロになれるといわれます。あなたも、これからの10年をかけて「残せる仕事」に取り組んでみませんか。これが70歳へのあなたへの私からの最期の課題です。(1)

(2025/4/20)

『70歳からの人生の楽しみ方』

いまこそ「自分最高」の舞台に立とう!

櫻井秀勲  きずな出版  2019/7/30

<はじめに  70歳が見えてくると、人生をふり返りたくなる。しかし――>

・「過去より未来を見ていきましょう」というのが、この本で私があなたに伝えたい強いメッセージです。

・じっさい私の70代は、人生の中でいちばん本を書いた時代といっても過言ではありません。

・70歳からは、どんなかたちでもいいから、自分が楽しむこと、自分を喜ばせることが大事なのです。

・若いときには体力で貢献していたことを、年長者は知恵で貢献するのです。

<「歩ける」「食べられる」を長く保つ>

<からだが思うように動かなくなった?>

・70歳からの人生の楽しみ方には、さまざまな方法がありますが、その前提条件として、「健康であること」というのがあります。

・私の場合でいえば、70歳を過ぎたくらいから食堂が細くなり、食べたものが詰まりやすくなりました。

・脚のほうは丈夫で、歩くことはいまでも、それほど苦になりませんが、硬い椅子に長く座っていると、お尻が痛くなってしまいます。それだけ脂肪が減ってしまっているわけです。

・しっかり噛むことができれば、胃腸の負担は軽くてすみます。その意味で、歯のメンテナンスは、70代になったら、それまで以上に気をつけたいことの1つだと私は思っています。

・また、足腰は使うことで強くなります。疲れない程度に、歩くことは毎日の日課として心がけるようにしましょう。

・逆にいえば、多少のからだの支障はあったとしても、「食べたいもの」「行きたいところ」があるというのは、元気で、人生を楽しんでいる人です。

<まずは脳トレで、頭を活性化させて老化を防ぐ>

・いまのあなたのとって一番の恐怖といえば、「将来、ボケてしまったらどうしよう」ということではないでしょうか。

・この本の中で、「高齢者」「老人」という言葉は、できるだけ使いたくないと私は思っています。

・自分の興味のあることを深め、広げていくことで、脳は間違いなく活性化されていきます。

<健康法は、ゆるいくらいがちょうどいい>

・健康であることが大事となると、からだにいいものはなんでも取り入れたくなるのが人情です。

・食材の他にも、サプリメントや健康食品、健康器具なども、「買ったことがある」という人も多いでしょう。それ自体を悪いことだとは思いません。

・70歳で、いま入院するようなこともなく過ごせているとしたら、もともと健康だということがいえそうです。

・だから、いろいろな健康法を試すことは悪いことではありませんが、そればかりになっては生活が窮屈になってしまいます。

・健康法は、理想の通りといかないまでも、6割方できていれば「まあ、いいか」と思えたら、気が楽です。

・好きなものは我慢しない、というほうが、私のからだは、よいように思っています。

<からだに合うものが、からだにいいものになる>

・「身土不二(しんどふじ)」という言葉があります。「地元の旬の食品や伝統食がからだに合っている」という意味で、大正時代に食養会というところが創作したものだといわれています。

・私が子どもの頃の東京の下町では、魚なら小魚類、肉は豚肉、野菜は大根、大豆類が地のものとされていました。

・私が88歳のいまも元気でいられるのは、この食生活のおかげだと信じています。

<飲み過ぎ、食べ過ぎは短命の元>

・70歳を過ぎると、かつての仲間たちの訃報が多くなりました。早い人は、それよりももっと若くして、この世から旅立っていきました。

・「お酒を飲む」「煙草を吸う」というのは、健康を害する二大巨頭のように思われがちですが、それをしていても、健康で長生きする人は大勢います。

・私の個人的な統計によれば、「狭い場所」「天井が低い場所」に何時間もこもって、煙草を吸う環境にある人は、命を縮める危険性が高いようです。

・お酒に限らず、食べすぎも。それによってエネルギーが過剰になると、内臓脂肪が増える原因になります。

<歩くときの姿勢を意識しよう>

・70歳を過ぎてから、足腰が重要だと考え、歩くことは心がけていましたが、歩幅については、それこそまったく気にしてはいませんでした。

・70歳という年齢は、つい縮こまってしまいがちですが、堂々とするだけで、逆に自信も沸いてきます。

・70歳を過ぎたら、転ぶのは命取りです。まずは転ばないようにすることが、第一です。

・私も、数年前から補聴器を使っています。最初は、それに頼るのがとてもイヤでした。私が経験から学んだことは、「文明の利器は使うべきだ」ということです。

<「未知の人」「未知の世界」に触れてみる>

<「生まれて初めて!」の体験を増やそう>

・年を重ねていくにつれて、残念なのは「新しい体験」に出会う機会が減っていくことです。

・「生まれて初めて!」と思えるような体験を、意識して増やしていきましょう。それが、感性を磨いていくことにつながります。

<70歳になったらコンプレックスは手放していい>

・退職しても、退職する以前の名刺を持ち歩く人がいる、という話を聞いたことがあります。実際に、「元・〇〇社 部長」というような名刺をもらったこともあります。

・「70歳」というのは不思議なもので、その年齢に達すると、自分というより、周囲の、あなたを見る目が変わってきます。

・そこで、「年寄り扱いされた」と憤慨する必要はありません。そのメリットを上手に受け取ることも、人生の楽しみ方の1つなのですから。

<面白そう!と思ったら、研究してみよう>

・70歳を過ぎると、心がドキドキすることはありません。それだけ身体の内部が落ち着いてしまったからです。

・さあ、あなたはこれから、どんな教養を身につけますか?研究テーマは無尽蔵にあります。自分が「面白そう!」と思ったことにフォーカスしていきましょう。

<「品格のある人」に人は集まる>

・70歳を過ぎたら「品格」が大切だと、前の項で書きました。

・人は、明るい場所に集まります。明るい人にも、人が集まるのです。

<資格を取って、新しい世界を開く>

・「学び直し」とは、その言葉の通り、「以前に学んだものをもう一度学ぶこと」です。

・それはともかく、「学ぶ」というのは、未知の世界に踏み出す一歩であり、未知の人と知り合う絶好の機会といえるでしょう。

・趣味や教養の世界を広げるものもあれば、資格を取得して開業すれば、仕事になりそうなものもあります。

<「期待されない自由」を楽しんでいこう>

・新たな世界に一歩を踏み出しても、必ずしもうまくいくとはいえません。

・70歳から学び直しをするというときに心得ておきたいのは、「うまくいかなくても気にしない」ということです。

・いまの私は88歳ですから、たいていの場所で、最高齢者になります。

「最高齢者」の役割とは、堂々としていることです。

<「使えるお金」「使わないお金」を使い分ける>

<いざというときのお金は本当に必要か>

・「まだまだ年寄りになりたくない」と思っても、老後は間違いなく、1日1日と迫ってきます。再雇用制度で定年が延びたとはいっても、すでに年金だけの生活という人も多いでしょう。

 いまの働いている人でも、70歳で、50代の頃と同じ収入を得ているという人はほとんどいないのが現実です。そこで、生活は切り詰め、いざというときのために貯金しておこう、となるわけです。

・その際の医療費、介護費の負担が心配で、保険に入っているという人も多いでしょう。

・保険と一口にいっても、国や自治体などの政府機関によって運営されている社会保険と、民間の保険会社で運営されているものがあります。

・健康保険では、収入によって、現状、自己負担額は1割から最大3割となっていますが、病気やケガで入院費用や治療費が高額となった場合には、「高額療養費および医療費限度額適用認定証制度」という公的制度もあります。

 こうした制度や保険を利用することで、いざというときが来ても、じっさいの支出は「それほどかからなかった」ということがあります。

・そうした備えは大切なことかもしれませんが、自分のことでいえば、墓石を使ったお墓はいらないと思っています。マンション式のお墓で十分です。

・たしかに認知症になる率は、50歳より、80歳のほうが高いかもしれませんが、80歳を過ぎても、認知症にならない人のほうが多いのです。

・人生100年と考えると、それまでお金が続くのかということに不安になりますが、だからこそ、使えるお金、使わなくてもいいお金を考えておく必要があるように思います。

<税金のことも、ちゃんと勉強しておこう>

・2018年12月のデータによれば、老齢厚生年金(65歳以上)の月額受給額の平均は、およそ1人あたり14万5千円になっています。

 収入が公的年金のみの人で、65歳以上の場合は、受給額が158万円以下の場合、所得税を払う必要がありません。158万円を超えた場合には、超えた分に所得税がかかり、源泉徴収が行われます。年金が振り込まれる際に、源泉税が天引きされるかたちになっています。

 ただし、その場合、日本年金機構により「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出が求められます。それを提出することにより、控除を受けられることもあるようです。

・年金受給者は、年金以外の収入が20万円以下の場合には、確定申告を免除されていますが、医療費控除などによって、確定申告で納めた税金が戻ることもあります。

・彼女のように、税務署の相談窓口を利用するというのは、間違いがない方法ともいえます。

・税金の勉強をすることは、自分の死後について考える、いい機会ともいえます。将来、財産分与はどのようにするのがいいのか。それを考えると、いまのお金の使い方も見えてくるかもしれません。

・70歳を過ぎたら、お金のトラブルに巻き込まれない、招かないように注意することです。そのための勉強はとても大切です。

<「お金を使っていいもの」リストをつくる>

・老後のことを考えると、できるだけお金は使いたくないと考える人もいるかもしれませんが、70歳を過ぎたら、すでに「老後」の生活はスタートしていると考えましょう。

・私は82歳のときに、ビジネスパートナーの岡村季子さんとともに、きずな出版を起ち上げました。

<人のために使うお金をケチらない>

・生まれたときから不況の中で育ってきた若い世代には、デートも割り勘、ホテル代さえ2人で折半する、というのは、私の世代からすると理解できないことです。

・お金の使い方で大事なのは、ケチになりすぎないことです。「情けは人のためならず」で、人のために使うお金もまた、「人のためならず」であることを覚えておきましょう。

<自分のスキル・教養をアウトプットして稼ぐ道もある>

・前の章で教養を身につけることが大切だと書きましたが、そうして身につけた教養をアウトプットして、お金に換えることも、いまの時代では可能です。

 

・「インターネットの発達により、個人が気軽に情報発信をできるようになり、ファンやコミュニティをつくってそこで稼ぐことができるようになったのです。つまり、誰もが社会の中にある舞台に登り、主役になれる時代です」

・舞台に立つといっても、最初から大舞台をめざす必要はありません。

そのためにFacebookなどのSNSがある、といってもいいほどです。

・人生100年時代を考えたら、まだ70歳の人が、「スマホもできない」「ウェブもわからない」ではすまないと思うのです。

<お金に制限されない人生を選ぼう>

・何か始めようと思っても、お金がかかると思うと躊躇してしまうことはあるでしょう。

・お金は大切です。ことに、人生100年時代を生き抜くには、いい加減な使い方をしていたのでは、お金はいくらあっても足りません。

 使うべきお金と、使わないお金を意識して、人生がより楽しくなるように工夫していきましょう。

<「病気をしたとき」「ケガをしたとき」を覚悟して>

<不慮の事故は誰にも起こる可能性がある>

・どんなに健康に気をつけていても、ある日突然、「その日」に見舞われることがあります。私が自宅の階段で足を滑らせたのは、いまから3年くらい前になります。

・とにかく誰かに助けてもらおうと、指を1センチ刻みで動かして、たった数メートルのところにあるケータイに、30分かけてたどり着きました。ようやく電話がつながったときには、心底ホッとしました。

・足を踏み外したのは、一瞬の出来事ですが、それが命取りになることも十分にあったわけです。

<病気をしたとき、ケガをしたときの心構え>

・前で書いた話をもう少し続けましょう。私の圧迫骨折は、じつは骨折としては、とても軽いものだったのです。

・ところが翌日、痛みは収まるどころか、もうじっとしてはいられないほどになってしまったのです。そして、ついに、救急車のお世話になったのです。

・私の場合は、圧迫骨折以外は頭も内臓も悪いところは見つかりませんでした。

・自分がケガをしたり病気になったりしたとき、それを治すことが1番ですが、老老介護で共倒れとなっては、元も子もありません。家族に負担がかかりすぎないように考えることも、70歳を過ぎたら必要だと思います。

・入院生活で痛感したのは、看護師というのは、本当に大変な仕事です。

<万が一の事態に見舞われたら覚悟を決める>

・男女とも寿命が延びたといっても、それはあくまでも平均です。いつ、余命宣告を受けないとも限りません。そのときどうするか。そうなるか。

・70歳を過ぎたら、その覚悟をしておきましょう。自分の死は覚悟できても、パートナーの死は受け入れがたいものがあります。

・最近では、生前葬をする人もいるそうですが、「あの世はここにありますよ」と、私の目の前を指さした矢作直樹先生の言葉を信じれば、それを体験するのも楽しみ、というふうにも思っています。

<自分にも人にもケガをさせないためにできること>

・高齢者の運転による交通事故があとを絶たない。被害者のことを思うと、運転者側の過失というだけですむ話ではないでしょう。

 私は運命学を専門としているので、事故を起こし、加害者となった人たちの運命を考えずにはいられません。

・私は75歳で、きっぱり自分で運転することをやめました。その日、思いきって自分で牛込警察署に行き、運転免許を返納したのです。

・免許返納は、高齢者の義務となっていくでしょう。若々しさは、別の面でアピールできます。

<病気やケガをしても人生は終わると限らない>

・「がんになったら人生はおしまいだ」そんなふうに思って、心を痛めている人もいるかもしれません。病気やケガをすると、弱気になります。

・70歳を過ぎたら、悲観的になりすぎないことだと、私は思います。悲観的になったとしても、どうして悲観的になってしまうのかと考えてみることです。

・悲観的になっている自分を受けとめることで、悲観的になりすぎるのをくい止めるのです。

<「恋愛」「セックス」を人生から締め出さない>

<老いらくの恋は恐るるものなし、でいこう>

・70歳にもなれば、墓場に行く日も近くなり、おだやかな日常を過ごすことができるでしょう。けれども、そんな日常だからこそ、恋をしてしまうこともあるのではないでしょうか。

<自分で「できない」と決めつけない>

・「性欲はいつまでもあるか」ということについて、あるデータによれば、男性は70歳代までは90パーセントの人が「性的欲求」を維持し続けています。ただし、セックスの頻度となると、60歳以降は低下が著しく、60代の夫婦の場合は、平均して月に1回というデータがありました。女性は、閉経とともに性欲が減退し、それとともにセックスをやめてしまうことも多いようです。

・じっさい、女性がセックスをやめてしまう最大の理由は、配偶者が亡くなってしまったから、ということのようです。

<70歳を過ぎるとモテるようになる!>

・60歳よりも、70歳のほうがモテる、といったら信じますか?でも、これは本当の話です。ことに男性の場合には、100パーセントそうだといっても過言ではありません。

・自分の年齢に遠慮することなく、恋愛もセックスも、積極的に楽しんでいく、というのはいかがでしょうか。

<出会いだけで終わらせない次の一手>

・大人の恋愛は、告白せずに前に進めていくことができます。意中の人ができたら、その人と会える機会を逃さないことです。

<世間のルールより、自分のルールを優先する>

・72歳で「恋人ができた」とこっそり教えてくれた友人がいますが、こちらのほうが照れてしまうくらい、楽しそうにしていました。

・70歳からの恋愛は、それが「人生最後の恋」になりうる可能性が高いでしょう。だとしたら、世間のルールより、自分の気持ち、相手との関係を大切にすべきです。

<「家族の絆」「仲間の絆」を断ち切らない>

<子どもに期待しないことが家族関係をよくする>

・子どももいつのまにか巣立って、家族で会うのはお盆と正月くらい、という人は多いのでしょう。

・「子どもに期待しないほうがいい」というのは、そんな気持ちにならないための対策といってもいいでしょう。

・お互いに、困ったことができたら相談できる関係であるなら、じっさいに連絡があるかどうかは、どちらでもよいではありませんか?

<パートナーとの時間を、いまこそ大切にしよう>

・あなたにとってパートナーとは、どんな存在ですか。

・ところで、女優の樹木希林さんが亡くなって、その半年後、夫である内田裕也さんも亡くなりました。2人はずっと別居婚で、一度は内田さんが離婚届を提出し、それを認めない樹木さんとのあいだで訴訟に発展したことで、マスコミを賑わせたこともありました。まさに型破りの夫婦関係だったと思いますが、夫婦のことは、夫婦にしかわからないものです。

・いまはパートナーがいない、という場合には、これから現れる可能性もあります。ぜひ、「パートナーを見つけたい」と思って、行動してみてください。70歳を過ぎたら、パートナーの存在が、安心をもたらします。

<独り暮らしを孤独と決めつけない>

・パートナーはいないよりはいたほうがいい、とはいっても、では1人ではダメなのかといえば、もちろん、そんなことはありません。年を重ねて独り暮らしをしている人がいちばん恐れるのは、孤独死だ、という人がいます。

・私が階段から落ちたときも、落ち方によっては、命を落とす可能性もあったわけです。そのとき家族は留守でしたが、その意味では、独り暮らしでなくても、たまたま偶然で、独りで死を迎えることもあります。

・いまは「8050問題」もあります。ひきこもりの子どもが50歳になると、親は80歳になります。それまで子どもの生活のすべての面倒を見ていた親が、体力的にも経済的にも支えられなくなるわけです。

<たとえケンカしても絶交はしない>

・70歳を過ぎて、会えなくなる人がいるというのは、つらいものです。もしもケンカをしたとしても、そのまま絶交にならない逃げ道をつくっておくことも大切です。

<70代で生涯のパートナーに出会うこともある>

・70歳になって、人生のパートナーに出会えるかといえば、もちろん答えはイエスです。私のことでも、それを証明することができます。パートナーといってもビジネスパートナーですが、私が現在、きずな出版の専務である岡村季子さんと出会ったのも、72歳のときでした。

・私の70代からの人生は、このビジネスパートナーによって、大きく変わったといっても過言ではありません。

<「したいこと」「しないこと」を決めておく>

<限りある時間を、どう過ごすか>

・仮に100歳まで生きるとして、それを1000メートルとすれば、ゴールまでは300メートルです。

・70歳を過ぎたら、「自分に残された時間」を考えてみましょう。70歳になると、パートナーや家族の介護をしなければならない状況に陥る人もいるでしょう。

・70代で、いちばん損な時間の使い方は、不満を抱きながら、毎日を過ごすことです。もしも自分の中で「不満」が燻っているとしたら、どうしたら、それを消し去ることができるかを考えてみましょう。

<おつき合いですることは免除してもらおう>

・昔は60歳を過ぎたら、隠居したものでした。隠居とは、第一線を退くことですが、明治31(1898)年に公布、施行された民法によって制度化されていました。そこでは、隠居ができる条件の1つとして、「(年齢)満60年以上になること」をあげています。

・70歳を過ぎたら、この「隠居」のいいとこ取りをする、というのはどうでしょうか。

・SNSを始めたばかりというときには、友達申請をされると、つい承認したくなりますが、その相手がどんな人とつながっているかを確認した上で、判断するようにしましょう。

 

・70歳になったら、おつき合いのルールも、自分の都合にいいかたちで改定していくのはどうでしょうか。

<自分を満たすことで、周囲も満たしていく>

・70歳になったら、「わがまま」になったほうがいいと私は思っています。

・まわりの人のことを考えて、自分のことは後回しにしてしまうことがありますが、70歳を過ぎたら、自分優先でいいのです。

・70歳を過ぎたら、あなたが元気でいることが、あなただけでなく、あなたの周囲の人たちにとっても、幸せなことだと気づくのではないでしょうか。

<老後のことを心配しすぎると、人生がつまらなくなる>

・老後にいくら必要か、いまの貯金で死ぬまで生活していけるのか、ということを心配する人は相当多いはずです。というより、それを心配しない人はいない、といってもいいでしょう。

・自分がしたいことを楽しむのが一番です。そこで、「老後のことを考えたら何もできない」というのでは、なんのための老後なのかと思ってしまいます。

・お金のことは横に置いて、自分のしたいこと、したくないことを考えてみましょう。そうして、したいことができたときに初めて、それにどれだけお金をかけられるかを考えるのです。

 そこで、「お金は使えない」となったら、知恵を絞りましょう。

<これからの人生で最優先にしなければならないこと>

・本書では、70歳になっても、未来に希望を持っていただきたい、という思いで書き留めてきました。

・年を取ると、とくに仕事をやめたり、一線から引いてしまうと、私たちの目は過去に行きがちです。

・後悔している時間は、70歳にはないのです。「今日、何をするのか」「明日、何をするのか」ということを考えていきましょう。

・私は82歳で、きずな出版を起ち上げましたが、それは自分に自信があったからです。「自分は失敗しない」ということではありません。むしろ、失敗する確率のほうが高いと思っていました。

・何より、毎日が楽しいのです。考えること、行動することが喜びをもたらす、ということを実感しています。

<「80歳の自分」「90歳の自分」を楽しみに迎えよう>

<人生の舞台の中央に立とう>

・「人生の主役は自分自身」とよくいわれることですが、本当に主役を張ってきたかというと、どうでしょうか。とくに女性の場合には、男女雇用機会均等法もなく、女性というだけで脇にまわされたと思うようなこともあったかもしれません。

・でも、いまは違います。高齢化が進み、寿命が100年にも届くようになる、という時代は、これまでの人類では経験できなかったことです。

・若い人だけのものだと思っていたことにも、挑戦してみましょう。私の場合は、その1つが「スマホ」でした。

<話材の多い人は、年齢を超越する>

・雑誌の編集長時代にお会いした作家で、印象深いのは川端康成先生です。川端先生に初めてお会いしたのは、私が仲間とともに祥伝社を起ち上げた39歳のときです。

・川端先生がちょうど70歳になろうとしていた頃で、ノーベル文学賞を受賞した翌年だったと記憶しています。

・もっともっと、いろんなお話がしたかったと後悔は残りますが、先生が年齢を超越していたことには合点がいきました。私も、まだまだ精進あるのみです。

<自分のこれからの予定を手帳に書き込んでいこう>

・仕事を離れると、手帳を持たなくなる人もいるかもしれません。予定があっても、カレンダーに買き込むだけですませてしまうものです。私は、70歳になった人にこそ、手帳を持つことをオススメします。

 105歳で亡くなるまで、生涯現役を貫いた医師、日野原重明先生は、100歳のときに「10年日記」を買って、3年後の予定も書き込んでいたといいます。

・本書で何度も書いてきましたが、人生というのは、気を抜いていると、あっという間に、なんとなく過ぎてしまうものです。

・そのために、日記や手帳を使って、これからの予定や、その日に知ったこと、気づいたこと、考えたことなどを書き込んでいきましょう。

<存在感で貢献できることを知る>

・70代というのは、88歳の私が自分のことをふり返っても、まだまだ元気で、いちばん充実していたといっても過言ではない時代でした。

・たとえば、きずな出版は創業7年の若い会社ですが、私が社長をしていることで、信頼度が増すということがあります。

出版業界に66年たずさわってきた、というのは私にとっては、たまたまそうなったくらいのことですが、私以上の長い経験を持つ人は、もういないといってもいいでしょう。そのことに価値を見てくれる人は、多いのです。

・年を重ねれば重ねるほど、その存在感は大きくなっていきます。逆にいえば、存在感が大きくなるような生き方をしなければなりません。

<人生100年時代を自分らしく生きる>

・「時代遅れの人間にはなりたくない」そう思っている人は少なくないでしょう。あなたもそうではありませんか?

・私からすれば、70歳の若さで、自分を老人扱いしてしまうほど、もったいないことはないと思っています。本書で書いてきたように、まだまだ仕事もできれば、お金だって稼げる。恋愛もできるのです。社会貢献の場はいくらでもあります。

・私の知り合いで、からだは元気ですが、夫が亡くなったことをきっかけに、「食事は外食ですませることにしました」という女性もいました。

・70歳になれば、できないことや、できないまでも億劫になることが増えていきます。どんなに若々しい人でも、老化はもちろんあるわけです。

・たとえ時代には遅れていたとしても、自分らしく生きられている、としたら、それが一番のことではないでしょうか。

<おわりに>

<70歳、あるいは70代という年齢で、あなたにしてほしい最後の1つ――>

・70歳を過ぎたら、何か残せるものをつくる、というのは1つの楽しみになると考えます。

 私は絵を残したいと思いますが、書でも焼き物でもよいかもしれません。

私の講座には、自分史を残す、という受講生もいます。

・歴史にも地図にも残らなくても、何か、自分で残せるものはないか。それを考え、じっさいに始めてみるのです。いままでにやったことがないことでも構いません。むしろ、そのほうが面白いのではないでしょうか。

 どんなことでも10年続けていけばプロになれる、といわれます。あなたも、これからの10年をかけて、「残せる仕事」に取り組んでみませんか。これが、70歳へのあなたへの、私からの最期の課題です。

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