80代に一番お勧めの運動は「歩く」です。歩くことは足の老化予防だけでなく、心臓のポンプ機能も強化してくれます。(1)

(2025/4/27)

『80歳の壁』

和田秀樹     幻冬舎新書  2022/3/28

<プロローグ 80歳の壁を越えていく>

<80歳の壁を越えていくためにこの現実を知っておきましょう>

・男性は9年間、女性は12年間――。この年数が何を示すかわかりますか?じつはこれ、病気や認知症などで寝たきりになったり、誰かに介助されたりしながら生きる平均期間を表したものです。

【健康寿命】

・心身ともに自立して健康でいられる年齢を「健康寿命」と言います。その年齢が72.68歳、女性が75.38歳です(令和元年の調べ)

【平均寿命】

・男性が81.64歳、女性が87.74歳です(令和2年の調べ)

【死亡数】

・「死亡数」とは、年齢別に亡くなった人の数を調べたものです。最も多くの人が亡くなった年齢は、男性が85歳、女性が90歳でした(平成17年の調べ)。

<幸せな晩年と不満足な晩年、どちらを選びますか?>

・診療した患者さんは6000人を超えます。介護の場や講演会など病院以外も含めると、その数は1万人を超えるでしょう。

<老いを受け入れ、できることを大事にする>

・この本では、80歳オーバーを「幸齢者」と呼びたいと思います。

<80歳を過ぎたらガンがある。それに気づかない人も多い>

・つまり、幸齢者になれば誰の体にもガンがある、ということです。

<認知症は必ずやってくる。ならばいまのうちにしたいことをする>

・ただし、幸齢になってから発症する認知症の多くは、とてもゆっくりと進行する病気です。つまり、認知症は病気というより「老化現象」に近いものであり、年を取ると誰にでも起こる症状、というわけです。

<「人生百年時代」という言葉が80歳の壁を高くしている>

・80歳と言えば、かつては「人生のゴール」という印象でした。ところが昨今では「人生百年」と言われ、ゴールがいきなり20年も先になってしまいました。

<医者・薬・病院の壁を越えていく>

<幸齢者になったら健康診断はしなくていい>

・とくに80歳を過ぎた幸齢者の場合は問題がある、というのが老年医療の現場に長年いる私の実感です。数値を正常にするために薬を服用し、体の調子を落とす人や、残っている能力を失ってしまう人、寿命を縮めてしまう人がいるのです。

<医療に頼るなかれ。医師には「健康」という視点がない>

・「医者の不養生」という言葉があります。医師は自分の健康や体には無頓着だという意味です。

<病院ではなく、自宅やホームで「老衰」で死ぬということ>

・老衰は、病気ではなく、少しずつ体が弱って死ぬことです。「天寿をまっとうした死に方」と言ってもいいでしょう。

<闘病ではなく「共病」で。闘うよりも手なずけて生きる>

・病気と闘うのではなく、病気を受け入れ、共に生きることです。

<医療難民になる前に。ドクターショッピングで、信頼できる医師を探す>

・医師の数がある程度いる地域に住んでいる方なら、医療難民になる前に、ドクターショッピングをして、自分の考え方を受け入れてくれるかかりつけ医を探すしかないと思っています。

<医療の自己決定。それは自分がどう生きるかの選択です>

・たとえば、今回のコロナ禍は自己決定ができなくなった最悪の例でしょう。

<ウィズコロナ――大きな病院の専門医より地域の町医者が幸齢者むき>

・しかし、やはり幸齢者になったら、大学病院の専門医ではなく、地域のいわゆる「町医者」をかかりつけ医にしたほうがいい、と私は思っています。

<どんな医師を選ぶか。それが晩年の幸・不幸を左右する>

・80歳の壁を越えていくには、いかによい医師を選び、よいつき合いができるか、が大きなカギを握ると言えます。

<嫌な医師とはつき合わない。自分にとっての「明医」を探す>

・医師選びでは、医師との相性も大事になってきます。80歳を迎える幸齢者にとって、病院や医師はとても身近な存在です。

<臓器別診療の弊害。幸齢者はトータルで健康を考えよ>

・日本の医療は基本的に「臓器別診療」のスタイルをとっています。年を取れば、臓器の機能は全体的に低下します。ある臓器だけの治療をしても、ほかの面に支障が出てしまうことは少なくありません。

<薬は必要最小限に。飲み過ぎは毒と心得よ>

・臓器別診療の弊害は、薬の多さにも表れています。日常生活の活動レベルを落とさないよう、最小限の薬にとどめる。これが幸齢者の、薬との正しいつき合い方なのです。

<長生きの薬はない。薬は不調があるときに飲む>

・薬を飲み続けても長生きできるという保証はどこにもないと言っていい状況です。

<「なってから医療」は中高年までの医療と違う。予防のための薬は、なってからは要らない>

・もちろん、認知症を進行させることもあり得ます。要するに動脈硬化に「なってから」は、むしろ血圧や血糖値を高めにコントロールしたほうが健康になれると私は信じています。

<しょぼくれた老人になるか。いまのまま元気に生活するか>

・つまり、血圧や血糖値、コレステロール値を下げることは、動脈硬化には効果的ですが、活力が奪われたり、ガンのリスクが高まったりするわけです。

<もしもガンが見つかったなら。生活の質を重視する>

・特に、80歳を過ぎるような幸齢者は、手術の必要はないと思います。年を取れば取るほど、ガンの進行が遅くなり、転移もしにくくなるからです。それならば、何もせず、放っておけばいい、というのが私の考えです。

<ガンを切る、切らない。どちらが長生きできるのか>

・幸齢者はガンを切らないほうがいい理由は、ほかにもあります。年を取っているほど、ほかの臓器にもガンがある可能性があるからです。

<ゼロリスクなんてものはない。なったらなったで仕方ない>

・世の中には、可能性がゼロなんてものは、何一つありません。ゼロリスクのものなんて存在しないのです。

<本当は怖い健康診断。幸齢者は受けなくていい>

・つまり、どこまでが正常で、どこからが異常かは、個々人によるものなのです。

<血圧の数値の話。幸齢者は高くても大丈夫>

・とにかく、数値だけで「異常」と判断され、薬を飲み続けるという選択は間違いです。自分の体の状態から判断するのが、幸齢者の賢い選択です。

<新型コロナの教訓。なぜ高齢者が重症化したのか>

・なぜ、80代の人が、コロナにやられてしまうのか?それは、高齢になるほど免疫力が弱い、抵抗力が弱いからです。

<糖尿病の治療がアルツハイマーを促進する>

・現代医学では一般に、糖尿病の人はアルツハイマー型の認知症になりやすいと言われています。しかし、これは大いに疑問です。

・つまり、医学界の定説とは正反対のことが、実際には起きているのです。

<医学は不完全なもの。だから自分の思い通りに生きる>

・このように、医学常識や健康常識は変わっていくものなのです。

<老化の壁を越えていく>

<浴風会病院の高齢者医療。私が自信を持って話せる理由>

・この本にも、浴風会病院の知見を大きく取り入れています。さらに加えて、私の30年にわたる臨床経験から得た知見を交えて話をしています。

<明日死んでも後悔しない人生の時間の過ごし方。三つのムリをやめる>

・毎日の暮らしには、いくつもの我慢や無理がありますが、次の三つは、すぐにでもやめたほうがいいと思います。①薬の我慢、②食事の我慢、③興味あることへの我慢。

<食事は我慢しない。食べたいものは食べる>

・世間の常識では、太っていると健康が損なわれ、「塩分、糖分、脂質」は三大害悪のように言われているからです。

・くどいですが「少し太っている人のほうが長生き」というデータは世界中にあります。「食べたいものを我慢してダイエット」など自ら寿命を縮める行為です。栄養不足は、確実に老化を進めるからです。

<興味あることは我慢しない。どんどんおやりなさい>

・でもやはり、したいことは我慢せず、やったらいいと思います。

<男性ホルモンは元気の源。したいことをして脳も体も元気に>

・何かに興味を持つということは、脳が若い証拠です。実際、それを実行することで、脳は活性化し、体も元気になります。それは男性ホルモンから見ても明らかです。

<脳の前頭葉を刺激する。したいことをすると脳は喜び若返る>

・年を取ると、筋力や臓器だけでなく、脳も老化します。認知症はそうした老化現象の一つです。なかでも一番多いのは、アルツハイマー型で、「脳が縮む」と言われているタイプです。

・したいことをすることは、脳の老化を防ぐためにも必要なのです。

<エロティックは否定しない。いくつになっても刺激を求めていい>

・性欲についても再度話しておきましょう。日本人はタブー視しがちですが、本来、性欲は自然な欲求であり、とても大切なことです。

<金持ちのパラドックス。再婚したいのに許してもらえない>

・70代の前半くらいまでは、再婚の意思があった場合、子どもを説得して再婚する人が多いのですが、80代になると子どもの反対に折れる人が多くなります。

<子どもにお金を残さない。お金があるなら使ってしまう>

・年を取ったときの最大の財産は、「思い出」だと私は思っています。

・いずれにしても、財産を子どもに残すために、自分はしたいことを我慢する、というのは本末転倒です。

<年を取ると感動が薄れる。衰えではなく経験知が上がったのです>

・年を取るということは、経験知が上がるということです。ちょっとやそっとの刺激では、感動できなくなるのです。

<お酒は飲んでいい。でもやはりほどほどに>

・「お酒もタバコもギャンブルも、適度に楽しんでください」と。つまり「自分でコントロールできる範囲で楽しみましょう」ということです。

<タバコもやめなくていい。イライラは余計に害です>

・意外かもしれませんが、タバコの害は、年を取れば取るほど低くなってきます。浴風会病院のデータでは「高齢者の場合は、タバコを吸っても吸わなくても生存曲線は変わらない」という結果が出ています。

・精神的に安定しているほうが免疫力が上がり、ガン細胞を抑えることができる。これは十分に考えられることです。

<ギャンブルは考えもの。歯止めがきかなくなる危険あり>

・高齢者は「ギャンブル依存」になる人が多いことです。お金をかけないゲームに留めておく、のが賢明だと思います。

<高齢ドライバーはむしろ安全。できることは放棄しなくていい>

・クルマの運転に関しては、私は続けたほうがいいと思っています。

・そもそも24歳未満の人のほうが事故を起こす確率が高いのに、高齢者だけに「危険」というレッテルを貼るのは、やはりおかしいと思います。

・返納すると、6年後の要介護リスクは2.2倍にもなります。

<運動はほどほどに。一番いいのは散歩です>

・80歳を超えていこうとする幸齢者には、ウォーキングくらいがちょうどいいでしょう。要はお散歩です。1日30分くらい歩くのが理想的です。

・体をこまめに動かすことが大事です。「ああ面倒くさい」と思ったら、逆に動いてみる。残った能力をキープするには、日常生活の中で体を動かすことが一番です。

<高齢者に多いうつ症状。心と体を動かすことが予防になる>

・実際に、認知症とうつ病は、見分けがつきにくいところがあります。

・やはり「心と体が動かなくなること」はうつ病の大きな引き金になります。その意味でも自分がしたいことをするのは大事なのです。

<生きがいは求めない。楽しんでいるうちに見つかるもの>

・そうやって日々気楽に一日一日を過ごしていくことが、80歳の壁の乗り越え方なのかもしれません。

<終(しま)い支度をどうするか。最後まで安心して暮らすために>

・そもそも、親は子どもが社会に出るまで20年間ほどは面倒を見たのです。親が動けなくなった数年間は、子どもに面倒を見てもらって当然だと思うのですが、私の考えは間違っているのでしょうか。もちろん、それは在宅介護を強いるということではなく一緒に施設を探すことも含まれます。

<心を安定させるためには悪いことより、良いことを考える>

・こんなときの対処としては、忘れようとするのではなく「ほかのことに目を向ける」というのが正しい方法です。つまり、記憶を消そうとするではなく、新しいことを上書きするのです。

<昔との引き算で考えない。差を考えると不幸になる>

・なくなったことではなく、増えたことに目を向ける、というのが私の提案です。

<孤独は気楽でいい。誰にも気兼ねせず楽しめる>

・高齢になると、配偶者の死、友人の死などに直面することになります。

<考え方を変えるのではなく、選択肢を増やしていく>

・そもそも、幸齢者は人生経験が豊かなので、たくさんの選択肢を持っています。

<ボケ・認知症の壁を越えていく>

< 認知症への誤解。思い込みがみんなを不幸にする>

・私の専門は老年精神医学です。さまざまな症状の患者さんを診ていますが、なかでも多いのがうつ病と認知症です。

・認知症は多くの場合、「もの忘れ」から始まります。その次に起こるのが「失見当識」です。

・認知症には、このような段階があるのに、一口に「認知症です」と断じてしまうのは、とても乱暴な話だと、私は思っているのです。

<知らない不幸。生きる知恵は残っている>

・知恵絡みのことに関しては、認知症の症状が出てからでも優秀な人が結構な割合でいます。

<認知症は600万人。幅のある障害だと知りましょう>

・何度も言いますが、認知症は基本的に老化現象です。専門的な用語を使うと、認知症は「スぺクトラム障害」と考えられるもので、軽度から重度まで、幅のある障害なのです。

<記憶は苦手だが判断はできる。だから詐欺にあいやすい>

・ただし、注意してほしいこともあります。それは、勘違いが増えることにより、詐欺などにもあいやすくなることです。

<頭がシャキッとしているうちに大事なことは決めておくべきか>

・認知症と診断された途端に、仕事をやめたり、免許を返納したりする人がいますが、軽度から重度まで幅があるわけですから、できるうちは続けたほうがいい。

・そういう現実の中で、たとえば、遺言などの大事な意思決定は、どのタイミングでしたらよいのか?これは正直、結構ややこしい問題だと言えます。なぜなら、老年精神医学の専門家の立場では、認知症の中間くらいまでは「意思能力は有効」と診ても、一般的な捉え方は違っており、裁判になるようなケースもあるからです。

<認知症を遅らせる方法。薬より頭を使うほうが有効です>

・一般に、認知症は早期発見が大事だと言われます。でも、いまの医学の現状では「少し効くかもしれない」というレベルの薬しかありません。つまり、早期発見しても、医療の力では「どうすることもできない」わけです。

・認知症の進行を遅らせる最良の方法は、頭を使ったり、体を動かしたりし続けることだと私は考えています。

<ボケてからも死は怖い。意外に事故が少ない理由>

・私は認知症の人を6000人くらいは診ていますが、これまでクルマに撥ね殺されたどころか、事故に遭って大ケガした人もいない。

<いよいよ最期の瞬間。意識はなく、永遠に眠った状態か>

・要するに、寝ていて起きてこない状態なのです。だから「死」そのものは、過剰に恐れる必要はないと、私は考えています。

・これを逆に捉えれば、生まれた瞬間から死に向かって進んでいるのだと言えます。80歳を過ぎた幸齢者は、まさにその最終段階。

<前頭葉が縮み意欲がなくなる。ならば脳を使って刺激すればいい>

・認知症は脳の老化によって起こります。記憶を司る海馬も縮みます。感情や行動の司令塔である前頭葉も委縮します。するとやはり、意欲がなくなるのです。

・認知症の進行を遅らせるには、やはり体と頭をどんどん動かすことが効果的なのです。

<認知症が進むとニコニコ笑顔。神様が最後にくれたチャンス>

・ところが、高齢になると、過去のレッテルは意味のないものになります。

<認知症は終わりじゃない。生きる知恵と力は残っている>

・認知症になったら何もできない、なんて決めてかかる必要はありません。最期まで生きる力、生き抜く知恵が備わっている。人間はとても強いのです。

<高い壁を低くするヒント 50音カルタ>

<長生きが大事なのか。残りの人生が大事なのか>

・答えは人それぞれでしょうが、老年医学の専門医である私は、こう考えます。長生きが大事なのか、残りの人生が大事なのか――。

・ある日「脳梗塞になりました」「認知症になりました」ということが起こり、突然寝たきりになるリスクが飛躍的に高まる年代なのです。

<寝たきりは終わりではない。だからこそできることもある>

・私の知り合いでALSという病気になった学者がいます。筋肉が徐々にやせていき、体を思うように動かせなくなる重い病気です。

・「動けなくなったらどうしよう」と考えて生きれば、寂しくなります。そういう日はやがてくると腹をくくり、それまでは、生きている日を大事にする。

<老いや衰えを受け入れる。まだある機能で勝負する>

・衰えを受け入れつつ、残存機能で勝負する――。なんとなく家に引きこもっているうちに動けなくなってしまう人も結構多いのです。できることを自ら放棄し、何もできない体になってしまう。これって本当にもったいないことだと思いませんか?

<あ 歩き続けよう。歩かないと歩けなくなる>

・80代に一番お勧めの運動は「歩く」です。歩くことは足の老化予防だけでなく、心臓のポンプ機能も強化してくれます。すると、脳や体の隅々の細胞にも十分な量の血液を送ることができます。

 また、歩くために外出して日を浴びることで「幸せホルモン」と呼ばれる脳内伝達物質が分泌されます。1日30分歩くのが理想的です。朝昼晩に10分ずつでもかまいません。杖や歩行器を使うのもよいと思います。

<い イライラしたら深呼吸。水や美味しいものも効果的>

・深呼吸のほかに、水を飲んだり、好きなものを食べたりするのも有効です。消化器系が働くと、交感神経の興奮を抑えることができるからです。

<う 運動は体がきつくない程度に>

・過度に運動すれば、必要以上に活性酵素が増えて、体は大きなダメージを負います。また、無理な運動は、筋肉や関節、骨を痛めることになります。

<え エアコンをつけて水を飲み、猛暑から命を守れ>

・毎年、熱中症で1000人くらいが亡くなり、その8割を65歳以上が占めています。夏はエアコンと共にこまめに水分補給を徹底しましょう。

<お おむつを恥じるな。行動を広げる味方です>

・排泄の問題に悩む人もいるでしょう。でもこれは「仕方がない」と割り切るしかないと思います。

<か 噛めば噛むほどに、体と脳はイキイキする>

・高齢になると、胃腸の働きは弱り、消火吸収の能力が衰えます。これを補ってくれるのが「嚙む」という行為です。

<き 記憶力は年齢ではなく、使わないから落ちる>

・一般に、高齢になると記憶力は低下すると言われます。それは否定できませんが、「年を取ると記憶力が落ちる」と決めつけるのは早計です。

・体の筋肉は、使わなければ衰えます。脳もこれと同じです。使い続けることが大切なのです。

<く 薬を見直そう。我慢して飲む必要はない>

・「クスリはリスク」。単なるダジャレではなく、じつは医師の多くが気づいている真実です。たしかに、薬は症状を改善してくれますが、薬を飲んだほうが長生きできるのかはわかりません。

<け 血圧、血糖値は下げなくていい>

・血圧、血糖値、コレステロール値を下げる薬は、動脈硬化を防いだり、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中のリスクを下げたりする効果はあります。

 しかし、80歳を過ぎた幸齢者の場合、体がだるくなったり、頭がぼーっとしたりして、活力が失われることがあります。

・私の答えは「元気に長生きしたいなら血圧、血糖値、コレステロール値は薬で正常値まで下げないほうがいい」です。

<こ 孤独は寂しいことではない。気楽な時間を楽しもう>

・年を取ると、身近な人の訃報が増えていきます。

<さ サボることは恥ではない。我慢して続けなくていい>

・「休みたいな」と思うなら休めばいいのです。我慢せずに、心がどんどん軽くなる生き方を心がけましょう。

<し 自動車の運転免許は返納しなくていい>

・(平成30年)最も事故を起こしているのは16~19歳の1489件、次いで20~24歳の876件となっています。一方の高齢者は、80~84歳は604件、85歳以上は645件、70代は500件前後となっています。つまり高齢者だけが危険というわけではありません。

・ちなみに、ある調査によると80代の多くが「自分の運転に自信がある」と答えています。この過信は事故の元になります。運転の際は気を引きしめましょう。

<す 好きなことをする。嫌なことはしない>

・好きなことをする。嫌なことはしない。これは幸齢者の生き方の基本です。

<せ 性的な欲もあって当然。恥ずかしがらなくていい>

・それはともかく、高齢者の性欲に関しては、女性も男性も「ある人もいれば、ない人もいる」。つまり、個人差があるわけです。

<そ 外に出よう。引きこもると脳は暗くなる>

・80歳を過ぎた幸齢者にとって、最適な運動は「歩く」ことです。

・その原因の一つと考えられるのが、セロトニンという神経伝達物質の分泌量が減ったことです。

<た 食べたいものは食べてよし。小太りくらいでちょうどいい>

・くり返しますが、世界中のありとあらゆるデータで、「やや肥満な人が一番長生きする」という結果が出ています。

<ち 「ちょっとずつ」こまめにやるのがちょうどいい>

・80代になると増えるものがあります。それは自由な時間です。一方で、筋力や内臓の働きは落ちていきます。この二つを相殺するのが「ちょっとずつ」です。

<つ つき合いを見直す。嫌な人とはつき合うな>

・80代になると、自然と嫌な付き合いから解放されます。とにかく、無理な人づき合いをやめること、肩の凝らない関係なら続けること、これが一番です。

<て テレビを捨てよ、町に出よう>

・「テレビを見続けるとバカになる」というのが私の持論の一つです。ところが、テレビを1日中つけっぱなしにして、なんとなく見続けている人が多くいます。テレビのスイッチを切って町に出ませんか?

<と 闘病より共病。「在宅看取り」の選択もあり>

・「在宅看取り」はガンのように死期がわかっている場合、残された時間を自宅で過ごし、好きなことをしたり好きなものを食べたりしながら、最期を看取るというものです。つまり、闘病ではなく「共病」です。

・ただし、いつまで続くかわからない「在宅介護」では、くれぐれも無理をしないで下さい。

<な 「なんとかなるさ」は幸齢者の魔法の言葉>

・そこで、マイナス思考に囚われそうになったときにつぶやきたい言葉が「なんとかなるさ」。たったこれだけのことですが、脳内にはドーパミンという「やる気ホルモン」が出て、思考力や意欲が高まるのです。

<に 肉を食べよう。しかも安い赤身がいい>

・90歳、100歳を超えても元気な人には、肉好きの人が多くいます。牛肉や豚肉には、セロトニンの材料となる物質が含まれており、これが元気の素になるというわけです。もちろん、お肉のタンパク質は、筋肉や骨、血管などの材料にもなるため、健康な体づくりには欠かせません。お肉を食べないとタンパク質が不足し、筋肉量や骨密度が減り、転倒や骨折をしやすくなってしまうのです。

<ぬ ぬるめの湯、浸かる時間は10分以内>

・高齢者の浴槽内での事故死は、交通事故死の2倍と言われます。とくに冬場は多いのですが、これは急激に温度が変化するため。

<ね 眠れなかったら寝なくていい>

・高齢になればなるほど、深い睡眠が減り、熟眠できなくなります。高齢者には睡眠導入剤を服用している人が多数います。

<の 脳トレよりも、楽しいことが脳にはいい>

・脳トレは、じつは効果が限定的なことが近年わかってきました。「ボケ防止に」と無理やり何かをしても、楽しいと思うものでなければ、効果は薄いのです。

<は 話したいことは遠慮せず。話せば気分も晴れてくる>

・精神科医という職業柄、これまで多数の高齢者の話を聞いてきましたが、そこにはさまざまな「物語」があり、それが私の人間観や人生観につながっています。

<ひ 病院は「かかりつけ医」を決めておく>

・80代にとって病院は、遠ざけられない場所です。できるなら、かかりつけ医(主治医)を決めておきましょう。自宅に近い内科医がお勧めです。

<ふ 不良高年でいい。いい人を演じると健康不良になる>

・ところが高齢者になると、無理や我慢は体と心を疲弊させ、健康を損ねることになります。

<へ 変節を恐れるな。朝令暮改は大いに結構>

・たとえば認知症の患者さんにも、それまで「延命措置は嫌だ」と言っていたのに延命を求めてくる人がいます。

<ほ ボケるのは、悪いことばかりじゃない>

・私が診てきた認知症の高齢者には、不幸な人はほとんどいませんでした。

<ま 学びをやめたら年老いる。行動は学びの先生だ>

・20歳であろうが80歳であろうが、学ぶことをやめてしまった人は年老いる。学び続ける人はいつまでも若い――。

<み 見栄を張らない。あるもので生きる>

・いまある能力を大事にする。いまあるもので生きる――。この生き方をするときに大事なのが、見栄を張らないことです。

<む 無邪気になれるのは老いの特権>

・高齢者は行動を起こすことに対し、とかく逃げ腰になりがちです。

<め 面倒なことほど、じつは面白い>

・嫌なことは我慢してやらなくていい、と話してきました。

<も もっと光を。脳は光でご機嫌になる>

・「幸せホルモン」のセロトニンを手っ取り早く増やすには、日の光を浴びるのがいちばんです。セロトニンが減ると、「うつ症状がでる」。散歩などで外出するのが理想。

<や 役に立つことをする。自分の経験を生かせばよい>

・この本では、自分の好きに生きたほうがいいと話しています。

<ゆ ゆっくりと今日を生きる。終わりは決めない>

・気の向くままに生きていいのが幸齢者。

<よ 欲望は長生きの源。枯れて生きるなんて百年早い>

・何らかの欲望があるなら「まだまだ私も枯れていないな」と喜べばいいと思います。

<ら 楽天主義は幸齢者にこそ必要>

・私は高齢の人にこそ「楽天主義」で生きてほしいと考えています。

<り 「リラックスの呼吸」で老い退治>

・やり方は簡単です。深い呼吸をくり返すだけです。

<る ルールは自分で決めていい>

・お勧めのルールは次の二つです。①自分でできることはする②嫌なことは我慢しない。したいことをする

<れ 「レットイットビー」で生きる>

・その意味は「あるがままに」とか「なすがままに」。

<ろ 老化より朗化。これが愛される理由>

・医療現場で長年、高齢者を見続けていると、二つのタイプの人がいます。「ボケても愛される人」と「ボケて疎んじられる人」です。

<わ 笑う門には福来る>

・楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ――。

<エピローグ 人生100年の壁も越えていく>

<おかしな現実がいっぱい。幸齢者は怒っていい>

・80歳になったら、我慢しないでしたいことをする――。この本ではくり返しそう言い、その理由についても話してきました。

・日本はいま1000兆円の借金があり、福祉のせいで財政が厳しくなったなんて言われ方をしていることにも怒っていい。借金は高齢者が使ったからではありません。政治家が必要以上に地方の公共事業にばらまくからです。

・それなのに特別養護老人ホームの入所待ちが40万人いるわけです。「シルバー民主主義」なんて言われているのも全然ウソです。

<年寄りに不寛容なこの国。幸齢者が自由に生きれば活性化する>

・日本は高齢者大国になりました。65歳以上の高齢者が3640万人もいて、全体のおよそ3割を占めています。つまり、年を取れば取るほど、個人差が大きくなるわけです、

<Withを生きる。使えるものは何でも使う>

・アルツハイマーがあるのなら、それを受け入れて、いまできることをする。80歳の壁を越えていくには、このように現状を受け入れながら、方策を立てていくことが大事です。

<人生とは何か。幸せとは何か>

・楽しんでこその「人生100年」です。80歳の壁を越え、あと20年、新たに挑戦する日々を楽しみましょう。

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