この本が皆さんの手元に届く頃には、私が立候補した東京都知事選の結果が出ています。(1)

(2025/5/10)

『シン・日本列島改造論』

石丸伸二   日本経営センター  2024/7/10

<はじめに>

・私が都知事選への出馬を決意したのは、ひとえに日本の未来への危機感からです。安芸高田市長を務めてわかったことは、地方からでは日本が直面している人口減少、少子高齢化は止められないという事実です。東京の一極集中を解消し、そこから全国にわたる多極分散に向かう。

<「伸」 石丸伸二の原動力>

<ふるさとから脱出することばかりを考えていた中・高校生時代>

・2020年に私が安芸高田市長選に出馬したのは、愛する故郷の衰退を止めたいと思ったからです。

<世界の最果てのまちで頭をよぎったふるさとの光景>

・1990年代にバブルが崩壊したあと、日本政府は有効な政策が打てずに、経済は衰退を続けており、「失われた30年」と呼ばれるようになりました。

<生まれ故郷の危機に居ても立ってもいられず>

・ある日テレビから生まれ故郷の名前が聞こえてきました。2019年7月の参議院選挙での、当時の衆院議員の河井克行氏による公職選挙法違反です。広島県選挙区で立候補していた河井氏の妻・案里氏を当選させるためにおこなわれた大規模な買収事件です。

<大差で当選も投票率の低さに市政の課題が見えた>

・当時の私は銀行でアナリストとして働いており、忙しくはありましたが、仕事自体はとても気に入っていました。いつか生まれ故郷に戻って、安芸高田市のために尽力したいと漫然と考えてはいましたが、それはまだまだ先の話だと思っていました。

<政治に興味を!「政治のエンタメ化」を標榜する意味>

・不謹慎に聞こえるかもしれませんが、私は「政治のエンタメ化」を提唱しています。

<議会は議論の場。根回しはいらない>

・だからこそ議会は、論じる場でなければいけません。私は議論は生産的、建設的でなければいけないと考えています。話が少し逸れましたが、要するに私は「政治のわかる化」をしたいのです。

<「深」 まちを深く知る>

<自分の住むまちを深く知ることが、まちを変革する第一歩>

・山口市は、室町時代の中国地方の豪族・大内弘世が京のまち並みに感銘を受け、山口に再現したことで、「西の京」と呼ばれています。

<自分にとっての当たり前が特別になる瞬間>

・現在、日本は人口減、少子高齢化という大きな課題を抱えています。そしてその危機は、安芸高田市のような地方の小さな行政区では、直近の問題として目の前に立ちはだかっています。私は安芸高田市を、持続可能なまちに変えたいと本気で考えています。

<安芸高田市だからこその魅力を発見していく>

・安芸高田市は、地理的には広島県の中心部に位置し、北は島根県、南は広島市に接している。

<エンタメとしての「あきたかた神楽」がもつ可能性>

・「安芸高田の神楽」は、「出雲流神楽」を源流とし、江戸時代にこの地に入ってきたとされています。日本全国で行われている神楽とは、少し異なった発展をしてきており、安芸高田市特有の郷土伝統芸能となっています。

<人心掌握に優れたリーダー「毛利元就」>

・毛利元就は、安芸高田市出身の人物で、最も全国的な知名度の高い人物です。しかし、安芸高田市との関係を知る人は少ないのではないでしょうか。

<J1リーグ、サンフレッチェ広島の足元を支える安芸高田市>

・サンフレッチェ広島と安芸高田市のつながりはもう一つあります。サンフレッチェ広島の練習拠点とユースアカデミーが安芸高田市にあることです。

<「真」真実のまちづくり>

・一つは、1人でも多くの住民の皆さんに、今このまちが抱えている問題を、自分事としてとらえてほしいということです。二つ目は、住民の皆さんが政治に注目することで、議会が正常に機能するようになると考えるからです。

<行政が抱える問題を見て見ぬふりをしてきた責任は住民にもある>

・私が市長に就任した時点で、安芸高田市は5期連続で赤字を出し続けている状態でした。しかし当時の市長や議会を含めて、誰もそれを問題にせず、放置されていたのです。

<政治家の自己保身が、政治を住民から遠ざける>

・よく「政治的無関心」という言葉が使われますが、実はその根底には「政治不信」があるように思います。

<真のまちづくりは、正しい政治から生まれる>

・私が市長に就任して、真っ先に掲げたのが安芸高田市を「世界で一番住みたいと思えるまち」にすることでした。そのために「政治再建」「都市開発」「産業創出」の3つを政策の柱としましたが、もっとも早く結果を出せるのが「政治再建」です。

<「開かれた議会」が緊張感のある、真の議会をつくり出す>

・現在では地方自治体においても、議会中継は当たり前のようになってきています。

<SNSを効果的に使って「政治のエンタメ化」を担う>

・私は、これからの政治は“エンタメ化”が必要であると考えています。

<「新」新しい時代のまちづくり>

・2014年、市となってちょうど10年目に、公共施設に対する今後の方針が発表されました。それは「公共施設を20年間で30%削減する」というものでした。

<未来の住民のための決断は、今しかできない>

・「2034年度までに公共施設の37%を削減する」。それが私が具体的に示した、公共施設の新しい廃止スケジュールです。

<「コンパクトシティ」公共施設の廃止・統廃合の先にあるもの>

・「コンパクトシティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。住居・交通・公共サービス・商業施設などの生活機能をコンパクトに集約し、効率化した都市のことをいいます。

<「スマートシティ」を視野に入れたインフラ整備が必要>

・「コンパクトシティ」の、さらに先にあるのが、IoTやAIといった先端技術を駆使した「スマートシティ」です。

<「心」心を通わせるコミュニケーション>

・とはいえ対話コミュニケーションが嫌いなわけではありません。むしろ大好きといっていいでしょう。

<少数での直接対話だからこそ相手の本音が見える>

・安芸高田市では約1ヶ月に1回程度のペースで「あきたかたMeet・up」という、住民との意見交換の場を設けています。

<住民に向けて財政説明会をする意味とは?>

・市長として実現したかったことに「政治の見える化」があります。就任時の公約として挙げた「政治再建」に深く関わるものです。

<兵庫県明石市はなぜ人口増を実現できたのか>

・そんな中で成功例といえるのは、子育て支援に注力した兵庫県明石市です。

<小さな地方自治体が、今後注力すべきは「関係人口」の増加>

・どこかが増えれば、どこかが減る。それでは日本が抱える、人口減・少子高齢化の根本的な解決にはなりません。そこで考えだされたのが「関係人口」です。

<オンラインでつながるコミュニケーションで関係人口を構築>

・私は就任当初から首長は発信力を磨くべきだ、インフルエンサーになるべきだと言ってきました。

<「世界で一番住みたいと思えるまち」の真意>

・私が市長に就任した時に掲げた、目指すべきまちの姿が「世界で一番住みたいと思えるまち」でした。

<「無印良品」出店計画が否決された背景>

・要するに「事前の説明がなかった」という理由で、無印良品の出店を許さなかったのです。

<政治課題は、皆さんの日常に転がっている>

・私が安芸高田市長としてコミュニケーションを大切にしたのは、多くの人に政治に興味・関心をもってもらうためです。

<「親」親子世代をつなぐまち>

<市のキャッチフレーズ最終選考を中・高校生に任せる意味>

・最後は市内の公立中学校・公立高校の生徒会から各1名選出の委員によって選考がおこなわれました。

<「国際子ども平和賞」の授賞式で発された17歳の言葉>

・彼女は、世界には政治的な事情で教育を受けられない子どもたちがいることを知り、教育や人権についての活動を開始。

<子どもにとって「かっこいい大人」でいるために>

・問題を先送りするということは、将来世代にツケを払わせるということです。

<立場を理解し、正しく振る舞うのが「かっこいい大人」>

・そうやって得た「立場」には責任が伴います。自分で選んで得た「立場」は、周囲に任された「役割」です。

<次世代にツケを先送りしてはいけない>

・安芸高田市においては、おそらく日本で初めて一般財源の中でやりくりをして、小・中学校の給食費無償化を実現しました。

<今を生きる大人ができる未来への投資とは?>

・現在、市内6つの中学校の生徒会長たちを、市の全面負担で海外短期留学に送り出す制度を計画中です。

<市内の中学校を統合することで持続可能な環境をつくりだす>

・安芸高田市では現在、市立中学校の統合計画を進めています。

<デメリットを隠さないことで関係者の理解を得られる>

・しかしこれらのデメリットを受け入れてでも、中学校の統合は必要なのです。

<「進」日本が進むべき道とは>

<現在の日本は、確実に破滅へと進んでいる>

・そして感じたことが、このままでは日本は、やがて国として終わってしまうかもしれないという危機感でした。

<世界の一流国から転がり落ちていく日本>

<東京一極集中がもたらすデメリットとは>

・東京一極集中のリスクはまだあります。

<「大阪都構想」に日本の将来へのヒントがあった>

・大阪都構想とは、大阪府と大阪市によってそれぞれ行われてきた広域行政を一元化し、自民に最も近い基礎自治体として4つの特別区を設置しようとしたものです。

<日本列島改造論がもたらしたもの>

・日本列島改造論には、増えていく人口を地方に分散させ、全国の人口バランスをとる狙いもあったかと思います。しかし先にも述べましたが、現在の日本を見てわかるように、その目論見は失敗だったと言わざるを得ません。

 さらに日本列島の隅々まで伸ばした各種インフラは、約40年経った現在は老朽化が目立ってきています。

<持続可能な日本にしていくには「東京一極集中」を解消するしかない>

・しかしその東京も、2040年には人口減少に転じると予測されています。

<地方復活のカギは「東京都」>

・地方に人口を分散させるために中央省庁と地方に移転することは安全保障の面でも、経済面においても有用な政策だと思います。理想は、行政機能が各都道府県に分散し、そこを中心にまちとして発展していくことです。

<「申」 石丸伸二が物申す>

・もちろん私も市長を続けられるものなら続けたいという思いは強くありました。

<市長の任期中でできることはすべてやり切った>

・私は市長に就任した時に3つの公約を掲げました。「政治再建」「都市開発」「産業創出」です。

<私の人生くらいなら、いくらでも賭けてやる>

・今、日本は少子高齢化に加え、人口減という未曽有の国難状態にあります。手の打ちようがあるうちに、なんとか日本をいい方向へと向かわせたい。

<東京が抱える最大の問題は「人口の過密」>

・現在の日本の人口は東京に一極集中しています。その数約1400万人。実に日本の人口の10%以上です。さらに東京の中でも23区とそれ以外での格差があります。東京23区の人口は約970万人もいるのです。

・もし私が都知事の立場なら、まず東京都内での人口のリバランスから手をつけるでしょう。

<このままでは東京と地方の格差は広がるばかり>

・第二段階は東京都と隣接する神奈川県、千葉県、埼玉県との関係調整です。

<人口リバランスを実現させるシステムを双方で考える>

・都内の人口リバランス、隣接権との格差調整を経て、最終的には東京から地方へと人が流れていくシステムづくりが必要になるでしょう。

<人口分散がもたらす新しい可能性>

・東京一極集中の解消は、前述の災害へのリスクなど、様々なメリットをもたらします。

<東京都でも「未来の投資」を実現したい>

・もし東京都でやろうと思ったら、都立高校だけでも197校あるので、2億円近い予算が必要になります。

<子どもたちの未来のために「私たちは変われるし、変えられる」>

<今の政治を変えられるのは私たち大人>

・私が市長に就任した時に挙げた公約の1つ「政治再建」は、まず住民の皆さんに政治に興味をもってもらうのが出発点です。

<おわりに>

・この本が皆さんの手元に届く頃には、私が立候補した東京都知事選の結果が出ています。

・人が行動を起こす一番の背景は、危機感と問題意識です。

・安芸高田市長を務めて実感したことは、日本の崩壊は想像以上に早く進行しているということでした。そしてそれ以上に痛感したのが国民の危機感のなさでした。

(2023/11/1)

『自民党の魔力』

権力と執念のキメラ  自民党はなぜ勝ち続けるのか?

蔵前勝久  朝日新聞出版  2022/7/13

<自民党とは何か? 強者をのみ込むブラックホールか?>

・自民党所属の政治家は、数字上は、国会議員より圧倒的に地方議員の方が多い。「官邸主導」の第2次安倍政権以降はトップダウン組織に見えるが、地方ではボトムアップの側面がいまだ強い。

<「一番強いやつが自民党」>

・永田町の国会議員や秘書、霞が関の官僚たちからよく聞くのは「自民党は『右』から『左』までいる鵺(ぬえ)のようなもの」である。鵺とは、顔は猿、胴はタヌキ、尾っぽはヘビ、手足は虎、声はトラツグミに似ているという謎の妖怪のことだ。そこから転じて、素性がよく分からない、得体の知れない、正体不明のうさんくさいなどの意味で使われる。

 ギリシャ神話でいえば、キメラだろうか。ライオンの頭、ヤギの胴、ヘビの尾を持った怪獣のことだ。そこから転じて、遺伝子の異なる細胞を一つの体にあわせもつ生物のことをいう。

・そんな中、得心した答えは「その土地で一番強いやつが自民党なんだ」というものだった。

<白いまち針、ピンクのまち針、赤いまち針>

・「一番強いやつが自民党」という答えは、蔵内氏自身の経験から導き出されている。

・回れど回れど、ピンクは増えたが、なかなか赤(支持者)には変わらない。

<「自民党を牛耳る」という執念を結実>

・赤いまち針(支持者)が増え始めたのは、落選から3年半が経った頃だった。

<選挙に強いことが最低条件>

・強くなければ自民党に仲間入りできず、自民党を牛耳ろうと思えば、力をつけなければならない。そのために党内で切磋琢磨する。自民党は戦いに勝って、勝ち続けるために戦う強者たちの集まりである。「良い悪い」「好き嫌い」は別にして、自民党は強いのである。

「自民党とは何か」。この問いに対する私の当座の答えは「強者をのみ込むブラックホール」である。

 強者とは、人を惹きつける、何らかの力を持つ人物である。政治家で言えば、選挙に強いことが最低条件だ。

・肩書きはなくとも、人望のあるインフォーマルなリーダーも含んでいる。俗な言い方をすれば、「面倒見のいい、ひとたらし」ということだろう。

・自民党に所属する政治家は、数字上は、国会議員よりも圧倒的に地方議員の方が多い。

<自民党の地方議員たち>

<圧倒的に数が多いのは地方議員>

・「無所属の市町村議の少なくとも半分は自民党員である」という仮説は、大きくは外れていないのではないか。

<「安倍1強」下の自民党は共産党だったのか>

・なぜ、異論が許されない空気ができていたのか。

・自民党総裁として12年末に政権奪還を成し遂げた安倍首相は、中堅、ベテランにとっては与党に返り咲かせてくれた「恩人」だった。

・安倍首相はその後も国政選挙で連勝した。選挙で勝てるリーダーに対する批判をタブー視する空気は強まり、安倍氏の意向に沿うような考え方だけが党内で「正論」とされるようになったことで、異論が消えていった。

・「イデオロギー政党は内側に対しては自由な論争や試行錯誤を許容せずに硬直化し、外側に対してはこのイデオロギーを強引に押しつけようとして圧政を加える」

<党内の「多様性」を保つ地方議員たち>

・香山氏は論文で自民党について「人間関係中心主義の非イデオロギー政党と言うべき独自の特質を持った日本型政党」と位置づけ、その特徴について、こう書いた。「ありとあらゆる多様な立場を最大限に包容することのできる、幅広い、寛容な組織となることができる。党員がどのような思想、信条、信仰を持とうが、それは各人の自由に属する問題であって、党は決してその内面にまで立ち入ろうとはしない」「組織原理はあくまで人間関係」。

・先に見たように、安倍自民党は「人間関係中心主義の非イデオロギー政党」から変質したようであり、「多様な立場を最大限に包容することのできる、幅広い、寛容な組織」からかけ離れていた。しかし、地方議員にまで視野を広げると、自民党は「人間関係中心主義の非イデオロギー政党」であり、「多様な立場を最大限に包容することのできる、幅広い、寛容な組織」であると言える。

<「外からポッと来た候補者が国会議員に」>

・「『政治改革』の柱として小選挙区制度が導入されてから20年余になります。この制度は政権交代を可能にする制度として受け入れられてきましたが、4割台の得票率で7割台の議席獲得が可能になるなど、民意と議席数に大きな乖離が生じる問題があり、有権者の政治離れなど政治の劣化を招いているといえます」

<「ノルマ未達成は落選」の脅し>

・ただ、「安倍チルドレン」が当選回数を重ねるにつれ、地方からの不満は減りつつある。党関係者によると、国会議員に党員獲得のノルマを課し、未達成者へのペナルティーが次第に強められたことで、国会議員も党員獲得に励むようになったことが理由という。

 自民党は2014年、「党員120万人」を目標に設定した。当時の党員数は約70万人。「1億2千万人の国民の1%を党員にする」という目標で、選挙区選出の国会議員に年間に獲得する党員数について1千人のノルマを課した。目標が達成できない場合、足りない人数分について1人あたり2千円を党に収める「罰則」を設けた。

<与野党実力者同士の裏取引>

・過去のこととはいえ、機微に触れるので、どの県議会のことであるかは伏せておかねばならない。自民と旧民主党の県議同士の裏取引の話である。

 民主党が政権を奪わんとする勢いがある2000年代、自民党県議が無投票を繰り返してきた県議選の1人区であっても、その牙城を崩そうと民主党が候補を擁立することが多々あった。勝ち目は薄くとも選挙で戦うことによって民主党の地盤を拡大・強化する狙いだった。

<地域の実情――勝ち上がれば自民入り>

・自民党は全国各地に支持の網の目を広げている。市町村から中学校区、小学校単位、さらに町内会・自治会まで国民が生活する身近な地域との関係なしには自民党全体を分析できないからだ。

<勝ち上がれば自民党入り>

<名簿作りをやめた横浜市の町内会>

・このベテラン秘書は言う。「連絡がなくなった今では、自分たちで日程を探るしかない」。町内会・自治会の行事や冠婚葬祭の日程を調べる専属のスタッフも設けている。「宝の山は、町内会の掲示板。かつては住人が亡くなると回覧板で知らせていたが、最近は掲示板。祭りの案内も載っている。あとはメール。住人から転送してもらうこともある」。自分たちで調べて、呼ばれてもいない夏祭りなどの行事に出向くと、「なぜ、来るんだ?」といぶかられるが、それでも行き続けると、「よく来たなあ」と歓迎されるようになるという。たとえ自民党であっても事務所を挙げて日程調べに必死にならざるを得ないのは、都市部ならでは、なのかもしれない。

<「労組OBは自民党の集票マシンになる」>

・神奈川県議会議長を務めるなどした自民党のベテラン県議は、後援会のナンバー2が、自治労OBだったことがある。そのOBは、かつて地元の野党議員の選挙対策本部長を務めるなど、自治労の幹部として自民とは敵対関係にあったが、定年退職後、趣味の野球を通じて関係ができた。OBが住む地元の陳情をこなすことで親交が深まり、後援会幹部を務めてくれるまでになったという。

<公明党が進める「LINE」通報>

・無料通信アプリ「LINE」を使って、道路や公園といった公共施設の破損を見つけた住民から通報を受ける自治体が増えている。

・ラインでの通報は、公明党が率先して導入を進める地域が多く、公明の地方議員が成果をアピールする事例が目立つ。しかし、同党のベテランの地方議員は首をかしげる。「地方議員が『中抜き』されるだけじゃないか」。

・ベテラン議員は「地方議員の役割とは何か」という根本的な疑問が強まる可能性を危惧する。身近な住民との関係が深いことを自らの売りにしている自民党や公明党の地方議員の存在意義を強く揺さぶるのは、野党の地方議員ではなく、技術の進歩なのかもしれない。

<国会議員と「どぶ板戦」>

・ここからは永田町の自民党が持つ「強さこそ正義」の体質を見ていきたい。

・22年4月の参院石川補選を経た時点の同党所属の衆参国会議員は374人。このうち、一貫型は323人(86%)、出戻り型が15人(4%)、流入型は36人(10%)となる。圧倒的に一貫型が多いが、政権中枢の陣容や実力者という観点から見ると、出戻り型や流入型の存在感が際立っていることが分かる。

<自民県議だったのに日本新党で初当選した遠藤氏>

・政治の道を意識し始めたのは、小学校高学年のころ。県議のおじのところへ、いろんな人が相談事を持ち込んでくるのを見ながら、「自分も、人の役に立つことをしてみたいと思った」。中学の作文ですでに、「将来は政治家になりたい」と書いていた。

・33歳で県議初当選。あとは、一気に走った。自民党県連の参院選の公認候補選びに名乗りをあげ、投票で敗れると、時を置かず、衆院選への転身を表明した。

<「出戻り型」と「流入型」には旧型と新型>

・流入型の茂木、高市、遠藤の3氏はいずれも自民党公認が得られず、他党の公認や無所属として国政入りを果たした後、自民党の衆院議員となった。

・こうしてみると、出戻り型、流入型には選挙に強い政治家が少なくない。やはり、自民党には強者を引きつける力がある。

<出戻り型の出世頭は二階氏>

・出戻り型のうち、抜群の知名度を誇るのは、先述した二階氏と石破氏だろう。いずれも幹事長を務め、派閥領袖にもなった。

<首相の座が遠いのは出戻り型の限界か>

・二階氏は自民党に復党したが、トップ、つまり首相をめざさなかった。一方、同じ出戻り組で首相の座を求め続け、届かないでいるのが石破氏である。

・「能力、経験がある人でも現行の中選挙区制では選挙区内に名前を広めるだけでも大変。しかし、2世、3世は3ばん(地盤、看板、かばん)のうち看板があり比較的でやすい」

・「二世はよく父の意志を継いで、というがこれは絶対に言うべきではない。父の遺志が何たるかを知っているのは父と一緒に苦労した県議や役人、県民です」

・「自分の主義主張はこの10年間、一度も変えていない。周りがものすごく振れるので、まっすぐなことを言っている方が振れているように見えてしまう」

・「議員は政策の実現が一番の仕事だが、無所属のままでは一方的に主張を述べるばかりだ」

・政治家が権力闘争を勝ち抜くためには、良かれあしかれ、理屈ではなく、大きな流れを読んで立ち回ることが必要な時もあるだろう。

・「面倒見の良さ」が政治家の美徳の一つとされる永田町にあって、石破氏の「面倒見の悪さ」はつとに有名で、それも首相に届かぬ理由の一つだろう」

<強者を引き込む「二階方式」>

・流入型、出戻り型の政治家の遍歴を見ると、強者を引き抜く自民党の体質が表れている。

・4人全員を無所属で立候補させ、それぞれの選挙区で当選した方を自民党が追加公認することで決着した。まさに「強者こそが自民党」という論理そのものだった。

<派閥は「強者の論理」の象徴>

・二階派は、二階氏が幹事長に就任した16年8月時点では36人だったが、幹事長を退任して迎えた21年秋の衆院解散時には47人まで拡張していた。

・そして、「強い者こそ自民党」「競い合いこそが全体を強くする」という、中選挙区時代以来の自民党が持つ思想の現れだろう。

・融通無碍に強者を取り込む吸引力、「いい加減さ」がゆえのおおらかさから生まれる魅力、「数こそ力」の論理――。

・とはいえ、やはり派閥は非公式な組織であり、党の公式文書に振り分けを記すことはできなかった。

<「自民党はふるさと」>

・自民党関係者はこう語った。「自民党にいたことがある人にとっては、最後は戻りたい。自民党はふるさとなんだろう」。

<自民公認で出馬する旧民主党議員たち>

・22年夏の参院選でも、かつて民主党議員だった複数の政治家が自民党公認を得た。野党議員だった政治家自らが自民党に接近し、自民党側も強者を求めるように吸い寄せていく。

・世論調査で優勢な方を自民候補に決める手法は、まさに「強者をのみ込むブラックホール」である自民党の「らしさ」がつまっていた。

<選挙で勝てるかどうかが最優先>

・県連幹部に茂木敏充幹事長が言ったのは「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕る猫がいい猫なんだ」。中国の鄧小平氏の言葉を使って、良い悪いよりも好き嫌いよりも、選挙で勝てるかどうかを最優先する考えを示した。「県連が擁立しようとしている県議で参院選に勝てるのか」という強い牽制だった。

・6年前に共産と組んだ政治家であろうと、次に勝てるとみれば、どんな理屈をつけてでものみ込んでいく。

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