私の目に見える日本の未来はこのようなものだ。人口が減り、借金が膨れ上がり、衰退を続ける。そうして生活水準はますます低下し続ける。日本人がそうした未来を望むのであれば、それでもいい。(1)

 『日本への警告』 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く ジム・ロジャーズ   講談社  2019/7/20 <日本が抱える課題を克服する> ・私が投資家として成功することができたのは、時代の変化を見極めることができたからだ。変化を見逃さなければ未来が見えてくる。これは複雑化したと言われる現代においても何ら変わらない。  もちろん投資に限らない。仕事であれ、人生そのものであれ、成功したければ将来を予測しなければならない。  とはいえ、私は未来を予知できる超能力を持っているわけではない。 ・変化というものは、ある日突然起きるものではない。世の中を揺るがす大きな出来事であっても、きっかけはほんの些細な変化だ。そうした変化は、人々が気づき口にしはじめるよりもずいぶん前から、私たちの前にいつも姿を見せている。 ・変化を受け入れ適応する者は、この世界で成功を収め、幸福に生きることができる。逆に変化を嫌う人はたいてい成功できず、めったに幸福感を抱かない。これが真理だ。変化は起きるものと理解することが、成功を得る最初の条件である。  また、今起きていることも、これから起きてくることも、歴史を紐解けば見えてくる。この認識も重要だ。 <「何かがおかしい」とわかっているはずなのに> ・東京を訪れるのは、いつでも私にとって楽しみだ。東京には素晴らしい文化がある。わけても日本の食文化は世界一だ。これは是非とも強調しておきたいが、日本は私の大のお気に入りの国のひとつである。 ・1990年に日本の新聞でゴルフ会員権の相場が100万ドルに達していることを知った私は、これは投機的なバブル以外の何物でもない、と感じた。どこの世界に100万ドルもするゴルフ会員権があるというのか。当時の日本の不動産も「皇居がある一角はフロリダ州全部よりも価値がある」と言われていたほど高騰していた。 ・私は、10年以上前から日本社会が抱えている問題を指摘してきた。少子高齢化や多額の財政赤字に伴う恐るべき長期債務残高など、今では多くの日本人が認識している問題について。  しかし、私の目から見ると、日本人は問題を認識しながらも、本気で解決しようとしてこなかったように見える。それはおそらく、彼らがまたも「日本は大丈夫」と根拠のない思い込みを持っていたからではないだろうか。 <途方にくれた巨人> ・日本が抱える具体的な問題点については、本章でこれから明らかにするが、問題を解決できなければ、数世紀後には日本語を話す人は世界から消えているかもしれない。日本人の血を引く人が残ったとしても、きっと彼らは中国語を使っているだろう。  覇権国家は、近隣諸国を直接的に、あるいは間接的に支配するものだ。 <子も生まず、移民も受け入れない日本人> ・日本の問題は言うまでもなく人口構成に端を発する。  出生率が世界で最も低い国の一つであり、国民年齢の中央値が世界で最も高い国の一つである。人口動態からすれば、21世紀の終わりを待たずして日本の人口が半分になるのは明らかだ。 ・日本は長年にわたって巨額の財政赤字を抱えている。その一方で税金や社会保障費を負担する人の数は減少し続けているのだ。財政赤字が減るどころか増え続ける一方の日本において、人口減少は致命的なリスクになっている。  現在の日本の人口を維持するには、女性ひとりあたり2.1人の子どもを生む必要があるとされている。つまり2人以上だ。それができないのであれば、外国から移民を受け入れるほかない。ところが日本人はどういうわけか外国人が好きでない人が多いため、なかなか移民を増やすことができないでいる。  子を生まず、移民を受け入れることも嫌なのであれば、生活水準の低下を受け入れるしかない。それもひとつの方法だろう。 <過去の失敗を強化し続ける日本政府> ・1955年以来、ほぼずっと与党であり続けてきた自由民主党の政治家は、無駄な公共事業を続けて財政赤字を膨らませてきた。こうした公共工事は、地元有権者と地方の政治家のご機嫌をとる以外、何ら経済的意味のないものであるにもかかわらず、この悪しき伝統が日本の状態を悪化させてきたことは間違いない。 ・このままいけば、今10歳の日本人が40歳になる頃には、日本の借金は目も当てられない状態になっている。今でこそ日本政府は日本人に好きなだけ国債を売ることができるし、買ってくれる外国人もいるだろう。しかし、やがて日本の財政破綻がより人々の目に明らかになり国債が買われなくなれば、日本政府は金利を引き上げざるを得なくなる。 <黒田日銀総裁の金融政策は生活を破壊する> <安倍政権は日本円の価値を下げようとしている> ・無制限の紙幣とは………。昔の日本を思えば、考えられない事態だ。今から30年前、日本といえば高潔な魂、そして健全な財政によって世界に知られていた。中央銀行が自らお金を刷って日本円をダメにしようとするなどとは、誰一人として考えることもできなかっただろう。  日本人は気に入らないかもしれないが、20年後には日本円の価値は今より大幅に下がっているはずだ。 ・これはクレイジーな外国人のたわごとではなく、歴史的事実を述べているにすぎない。世界の歴史において、財政に問題を抱えた国の自国通貨はすべて値下がりしてきたのだ。  かつて、イギリスの通貨1ポンドあたりが5米ドルという時代があったことを思い出すといい。今は1ポンドあたり1.3米ドルだ。こうしたことが、歴史を通して実際に起きていることを日本人は認識しておくべきだろう。 ・1957年から1970年までの間、日本経済は年率10パーセントも成長し、そのスピードは米国より数倍も速かった。そして1980年までに自動車生産で日本は米国を凌駕し、1986年までに米国の輸入量のほぼ4分の1を供給するようになっていたのだ。  これほどまでに鮮やかに日本がアメリカを凌駕したのは、当時の日本が品質を武器にアメリカと競争をしていた一方で、アメリカは紙幣を刷る政策を実行していたからだ。「ドルの価値を下げれば、生産価格が抑えられ、もっと売れるに違いない」というアメリカの誤った思い込みは、結果として日本の成長を後押しした。 ・今の日本政府と日銀は、かつての日本人とは違い、ビジネスにより外貨を稼ごうとするよりも、紙幣を刷り続けて日本を救済しようとしている。これはとんでもない間違いだ。 ・しかし、日本株の株価が高くなったからといって、日本に暮す多くの人々の生活が豊かになるわけではない。株価の上昇と引き換えに、日本円の価値は下がっていくのだから、いずれ物価は上がり、高齢者や若者はむしろ深刻な苦しみを味わうことにもなりかねないのだ。 <日本の株式をすべて手放した理由> ・私が日本株を買い始めたのは東日本大震災(2011年)の直前だった。その後、震災による株価の下落を受けさらに買い増した。  震災前の時点で、世界中から一様にどうしようもない状況に陥っていると見られていた日本の株式は、バブル期最高値から4分の1の水準に下がり、さらに下がることもあり得る状況だった。自殺率は史上最悪(2003年)になり、出生率は史上最低(2005年)。人々は経済的な不安から子どもをつくりたがらず、誰も彼もが不安で取り乱していたのだ。 ・日本株をすべて手放したのは、2018年秋のことだった。予想どおり私が日本株を買った当時よりも株価は値上がりし、利益を得ることができた。そして今は株であれ通貨であれ、日本に関連する資産は何も持っていないし、この先買う予定もない。  日本経済を破壊するアベノミクスが続き、人口減少の問題を解決できない限り、この判断を変えることはないだろう。 <安倍首相が望むのは体制の維持> ・日本の今後を考えたときには暗澹たる気持ちにならざるを得ない。  アベノミクスの第一の矢である金融緩和は、日本の株価を押し上げるとともに、通貨の価値を円安に誘導した。このことにより日本企業が息を吹き返したように語られているが、こうした通貨切り下げ策が中長期的に一国の経済を成長させたことは一度としてない。これはすでに記したとおりだ。 ・実際、円安や株価の上昇によって、日本人の暮らしはよくなっているのだろうか。日本が輸入に頼る食品などの価格が上昇したことで、庶民の生活はむしろ苦しくなっているのではないか。企業も、建設コストや製造コストが上がったことで苦しんでいる。アベノミクスの恩恵を受けたのは一部のトレーダーや大企業だけだ。 ・アベノミクスの第二の矢、つまり財政出動もひどいものだった。これは私には「日本を破壊します」という宣言にしか聞こえなかった。先進国で最悪レベルの財政赤字を抱え、国の借金が増え続ける中で、さらに無駄な公共事業に公費を費やそうというのは正気の沙汰とは思えない。  安倍首相は素晴らしい人物には違いないと思うが、してきたことは、ほぼすべてが間違いだ。安倍首相が借金に目をつぶっているのは、最終的に借金を返さなくてはならない局面になったときには、自分がこの世にはいないからなのだろう。 ・足し算と引き算ができる人間であれば、簡単に日本の未来を予測することができる。人口や借金がどのように変動するのかを統計から確認すればいい。そうすれば、日本人の誰もが前向きな気持ちではいられなくなるだろう。 <東京オリンピックは日本の衰退を早める> ・しかし、歴史を見れば、オリンピックが国家にとってお金儲けになった例しがないことがわかる。一部の人に短期的な収入をもたらすことはあっても、国全体を救うことにはならず、むしろ弊害をおよぼす。  結局のところ、オリンピックのせいで日本の借金はさらに膨らむのだ。これは一般の人々にとって悪い結果にしかならない。やがてオリンピックが2020年に東京で開かれたことを、ほんの一握りの人しか思い出せなくなった頃に、オリンピックがもたらした弊害が日本を蝕む。 ・私の目に見える日本の未来はこのようなものだ。人口が減り、借金が膨れ上がり、衰退を続ける。そうして生活水準はますます低下し続ける。日本人がそうした未来を望むのであれば、それでもいい。しかし、私はそのような国で暮らしたいとは思わない。 <日本人が今克服すべき課題> ・日本人の女性の意識に前向きな変化がもっと起きれば、彼女たちが日本社会の不合理な現状に対して「NO」を突きつけられるようになるかもしれない。最初は、家事や育児の押し付けに対するNOなのかもしれないが、いずれ自信をつけ強くなった女性たちが、日本の政治や社会構造を抜本的に変える原動力になることを期待したい。 <外国人に対する差別意識をなくせ> ・女性の活躍を推進するとともに、少子化を防ぐための取り組みもおこなう。このことをトレードオフと考えるのではなく、両方進めなくてはならない。そうなると、残る選択肢はひとつに絞られる。移民を受け入れるのだ。 ・移民の受け入れを勧めると、多くの人は「外国人に仕事を奪われる」と言うが、実際は移民が雇用を生み出している。もし今アメリカからグーグルやアマゾンといった企業がなくなれば、どれだけの雇用が失われるかを考えると、そのインパクトがわかるだろう。 ・しかし、日本は移民の受け入れについて積極的ではない。島国である日本は、やすやすと国を閉ざすことができ、歴史的にも鎖国政策をとっていた期間が長くある。日本は同質性の高い国民、同一言語が当然のものとされ、移民を積極的に受け入れられるだけの土壌がないのだ。  私も日本が外国人に対してとる差別にはしばしばとまどうことがある。国連も2018年に、日本には在日外国人に対する職業差別、入居差別、教育差別などがあると勧告したほどだ。労働力不足が叫ばれているにもかかわらず、移民の受け入れにあまり積極的ではないのは、21世紀の今も差別意識が抜けないことに理由がある。その証拠に、あいかわらず外国人参政権を認めておらず、日本の有権者は外国人を排除する政策を支持する政治家を選び続けてきた。 <「移民はいらない」と言い始めたら、国家は衰退する> ・日本の人口減少については、労働力の減少の側面から問題視されているが、国内需要が減るという面も同じくらい大きな問題なのだ。これからは移民を受け入れるとともに、外国人に受け入れられるビジネスをすることも大切なことになってくる。 <日本の学校を外国人に開放せよ> ・仮に日本の政治家が日本の問題を認め、移民を受け入れる方向に大きく舵を切ったとしよう。私はそうした政治家が現れるのであれば、うまくいくように願う。しかし、その先行きはあまり期待できない。政策が実行に移されて半年ないし1年後、日本の国民は「この政策は間違いだった」と言いだすだろうから。  日本はすでに、何かを変化させる痛みが生じる段階に来ている。もし移民が日本に増えれば、国民から「これでは痛みが大きすぎる。私たちは苦しみたくない」といった意見が出ることだろう。そして政治家は辞任を余儀なくされる、というのが私の予想だ。  移民を増やさなければ日本に将来がないことに薄々気がついている日本人も、「外国人は好きではない」「日本に来てほしくない」と言う。そうした状況は変えなくてはならない。より多くの日本人が外国人に慣れるような環境をつくるべきだ。 ・そこで提案するのが、日本の学校を外国人に開放することである。少子化が進む日本では、廃校に追い込まれている学校がいくつもあり、外国人の若者を受け入れる余裕は大いにあるはずだ。  大学全入時代と言われているくらい、大学の数が余っているのだから、少なくとも定員に足りない枠を外国人で埋めればいい。大学は限られた日本人学生を奪い合うのではなく、留学生を受け入れるべき、というのが私の考えだ。 ・もっとも、単に外国人留学生を受け入れるだけでは意味がない。まず、 日本語は今後グローバルに使われる言語ではないのだから、英語による授業を提供するのは必須条件だ。その上で、日本の教育の良い面を残しながらも、グローバルに活躍するための知識や能力を高めるカリキュラムに刷新する必要がある。たとえば、世界各国の多くの大学で受験資格や入学資格として認められている、「国際バカロレア」のプログラムを実施する学校を増やすといった取り組みは、ますます重要になるだろう。 <移民は新たなビジネスチャンス> ・日本人にとって、移民は新しい投資対象になるだろう。今はまだ年間7万人程度という、取るに足らない数だが、政府がいずれ、さらに多くの移民の受け入れを認めることになれば、移民に向けた住宅供給や移民エージェントなどを手がけるビジネスが成長する。  移民に向けたビジネスとしてまず思い浮かぶのが不動産ビジネスだ。 ・日本の若者には外国に移住してビジネスをすることを勧めたいが、日本で暮らしながら成功したいと考える人も、海外と関わることは絶対条件として取り組むべきだ。  このようなことが実現すれば、日本人はより積極的に海外とビジネスをすることができるようになる。単に英語力をつけただけではグローバルに活躍することはできないが、外国人と接し、人間力を高めることができれば、世界中どこでも生きていけるだろう。 <移民の受け入れ方にはコントロールが必要> ・日本に移民が増えると、ビジネスチャンスが生まれ少子化対策にもなる。それでも、「移民を受け入れると、日本社会は不安定になる」という声が消えることはないだろう。  こうした意見は世界中で聞かれる。アメリカもそうだ。この点については拙著『お金の流れで読む日本と世界の未来』(PHP新書)でも指摘したが、実際には外国人の犯罪者よりもアメリカ人の犯罪者のほうが多いにもかかわらず、「移民が犯罪を起こす」と人々は言う。 ・だが、考えてもみてほしい。自国を出てきている移民は、勇気や能力があり、成功できる自信があるから出てきているのだ。テロリストでもないかぎり、犯罪を起こすためにわざわざ外国に移住する人間がどれだけいるだろう。 ・このような理由から、移民の受け入れに対して、まるで犯罪者に対して門を開くようなイメージを持つのは、まったくのお門違いだと言える。 ・急速に移民を受け入れ、突然ストップをかけたシンガポールは、今後高齢化に向けた道を進むことだろう。シンガポールの政府は、労働人口が減りゆく中で、増え続ける高齢者にたくさんの社会保障費を費やさなければならない。これは日本と同じく大きな問題となるはずだ。  ドイツでも、2015年に中東やアフリカ大陸からの難民に率先して門戸を開いた。以降、ドイツが受け入れた移民の数は100万人以上とも言われるが、これは国民の約1.2パーセントにあたり、他の欧州諸国と比べても 飛び抜けて高い。ドイツをはじめ、今はEUなどで移民排斥の動きが起きているが、これはあまりにも早く多くの移民を受け入れすぎたことも原因のひとつだ。突然の変化に、国民はアレルギーを起こす。 <子や孫に中国語を学ばせよ> ・私が今、投資家として日本人に最高のアドバイスをするとしたら、「子どもや孫には中国語を習わせなさい」ということだ。子孫の未来に希望を託すなら、必ず中国語、それもいわゆる標準中国語を学ばせるべきだ。 ・日本語については、いずれ誰も話さなくなることも考えられるため、日本の子どもには必ず第二言語を学ばせるべきだ。英語でもいいが、もともと日本語は中国由来の漢字文化圏に属するのだから、中国語を学ぶことを勧めたい。  正しく中国語を聞き取り、また話すことができればゲームで優位に立つことができる。 <ファーウェイで繰り返される衰退の兆候> ・まずはアメリカについて、アメリカではトランプ政権が保護主義を強めているが、愚策でしかない。これはアメリカの先行きをさらに悪化させる要因になるだろう。  もともと、トランプが大統領になる前からアメリカは一部の業界を保護してきた。たとえば鉄鋼はアメリカで長年保護されてきた業界だ。アメリカの鉄鋼業界は、何十年も前から、「外国企業から自分たちを守ってくれ」と政府に頼んできた。  その要望をアメリカ政府は受け入れてきたため、鉄鋼業界の人々は、リストラをおこなって効率を上げたり、成功している外国企業の手法を学んだりすることもなく、政府による保護頼みとなってしまったのだ。 ・ファーウェイに対してもトランプは強硬な姿勢を崩さないが、ここから私が読み取ったのはトランプの焦りだ。中国はアメリカの8倍以上のエンジニアを毎年輩出している。このまま市場競争に任せていて、中国に勝てないとトランプは考えているのだろう。もっとも、アメリカがファーウェイ製品の使用を禁じたところで、それをもって米中のテクノロジー戦争にアメリカが勝てるわけではない。すでに世界の多くの国でファーウェイ製品は使われているのだから。  市場で戦えないから、政治家に頼る。これはアメリカの鉄鋼業界がおこなってきたことと何ら変わらない。その愚かな歴史を繰り返しているのだ。長期的に見れば、アメリカ経済の衰退につながることだろう。 <米中貿易戦争の末は武力衝突もあり得る> ・保護主義を強めるほどに、アメリカの経済は悪化していく。そのとき、トランプは保護政策をやめるだろうか?実は、私は逆の予想をしている。  トランプはこれまで経済や市場の活況を自身の手柄としてきた。そのため、もし自らの失策のせいで国内経済が悪化したと認めれば立場を失うことになる。 ・大規模な貿易戦争に陥れば、影響は世界中に波及する。世界の人々は将来に不安を感じ、消費や投資意欲は減退するため、世界の景気は急速に悪化することだろう。世界各国の債務がかつてなく積み上がっている今、政府や企業の信用力が低下してしまえば、返済不安から債券が買われなくなり、金利を上げざるを得なくなる。そして、金利が急上昇すれば、債務を抱えている国が苦境に陥るのは明らかだ。 ・彼らが自らの過ちを認めるのは、取り返しがつかなくなった後になるだろう。世界最大の対外債務を抱えるアメリカは、経済悪化により国債の債務不履行を引き起こす可能性がある。債務不履行の懸念が高まればアメリカ国債の価値は相対的に下がり金利は上昇する。この金利を支払う余力を持たないアメリカは、さらに紙幣を刷り続けることになり、未曽有のインフレに見舞われてしまう。そのときに直面する問題は、「2008年の金融危機よりさらに深刻であり、過去最悪なものになるはずだ。  1930年代、アメリカが始めた貿易戦争は経済の崩壊につながり、第2次世界大戦を引き起こした。あのときのように、貿易戦争から武力衝突のような事態に陥ることも今は否定できない。 ・いつの時代にも戦争はあった。これまでに哲学者や宗教指導者が戦争を止める方法を見つけ出そうとしているが、まだ実現できていない。今も世の中のどこかで戦争はおこなわれているし、今後も完全に戦争がなくなることはない。変化があるとすれば、これからの戦争には女性も参加するだろう、ということくらいだ。 <中国のパワーは資本主義の伝統から作られた> ・すべての弾丸を撃ち尽くしたアメリカに代わって台頭するのは、やはり中国だ。好むと好まざるとにかかわらず、中国が21世紀で最も重要な国になることは間違いない。  19世紀はイギリスの世紀であり、20世紀はアメリカの世紀であった。そして次なる超大国は中国というわけだ。 ・一般に中国人は共産主義者だと思われているようだが、私の考えは違う。歴史的に見て、中国人こそが最も優秀な資本主義者だったのだ。  彼らには長い企業家精神の歴史がある。 <「先賞試、後管制(まず試しにやってみよう。問題があれば後で政府が規制に乗り出す)」が明らかにするもの> ・中国には有利な点がたくさんある。誰の目にも明らかな利点は、膨大な人口と資本だ。人口規模は国の力に直結する。すでに記したように、中国は今やアメリカの10倍近いエンジニアを毎年輩出するようになっており、これは驚くほど膨大な数だ。21世紀に中国が台頭するのを止められる国はどこにもないと感じさせる。ファーウェイに対してトランプが危機感を抱くのも当然だ。 ・私の目から見ると、今の中国政府は、中国人を上から管理するのではなく、国民が備える商魂や勤勉さを発揮させようと考えている。このことは、李国強首相が唱えた方針である「先賞試、後管制」からも明らかだ。「まず試しにやってみよう、問題があれば後で政府が規制に乗り出す」という意味のこの言葉は、今の中国共産党の姿勢を示している。  勤勉な人間が成功しないはずがない、というのが私の考えだ。この意味においても中国の先行きは明るい。 <覇権国は近隣国を支配する> ・中国は、他国への影響力も徐々に強めている。たとえば、アフリカの首脳たちは今やアメリカよりも中国のことを信頼しているのだ。 ・言うまでもなく、日本は中国にとっての近隣国だ。今後、中国はますます日本人に大きな影響を及ぼすようになるだろう。 <金正恩のスキーリゾート建設が意味するもの> ・日本人にとって嫌な話かもしれないが、韓国は日本よりも成功する見込みが高い。その理由は北朝鮮にある。まずは北朝鮮の現状を見ておこう。  北朝鮮の経済状況は今、世界の最下位と言っていいほど低いレベルにある。これは事実だ。しかし、間もなく状況は変わると私は見ている。 <活気に溢れた北朝鮮> ・共産主義者が北朝鮮をダメにしてしまったが、もともと北朝鮮は資源が豊富で、韓国よりも裕福な国だった。1970年代から徐々に韓国との差が開き、今では経済力において北朝鮮は遅れを取っているが、経済を開放すれば、豊富に残る地下資源を活かして再び豊かな国になれる。 <韓国は北朝鮮のおかげで復活する> ・もともと韓国は、少子化に加えて、「女性が少ない」という問題を抱えていた。かつて韓国では胎児が女児だと中絶する傾向があったためだ。最近は状況が変わってきたようだが、長年にわたり男児を優先してきた結果は人口構造に歪みをもたらした。 ・経済を悪化させる世界の各国よりも韓国のほうに見込みがあると考えるのは、北朝鮮というフロンティアがあるからだ。南北統一が実現すれば、サムスンはもちろん、韓国経済全体に素晴らしい追い風が吹くことになる。 <南北統一によるビジネスチャンス> ・日本や中国が現状のままでいれば、5年後のアジアで最も幸福な国になるのは、朝鮮半島の統一国家だと私は見ている。さらに先の未来を考えると、人口の面などから中国に軍配が上がるが、中期的に考えると朝鮮半島の繁栄は既定路線だ。 <中国に続くBRICs期待株はロシア> ・著しい経済発展を遂げているという意味で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に注目している人もいるだろう。 ・まずはブラジル、ブラジル人によると、次に大国になるのはブラジルという話だが、彼らは昔から同じことを言い続けている。「ブラジルは神様のお気に入りの国である」と。  しかし、ブラジルは商品の騰落の振れ幅が大きい。相場が急騰するときにはブラジルはいつでも素晴らしい国だが、下落するときにはブラジルでは軍事クーデーターが起き、すべてが崩壊する。彼らは借金を増やし、厄介な事態に陥るのだ。日本人にとって、日系人が多く住むブラジルは暮らしやすい場所かもしれないが、投資先にするのは難しい。 <アメリカの経済制裁がロシアの農業を後押し> ・ロシアには農業に適した土壌が豊富にあり、何百年もの間、農業を大規模に営んできていた歴史がある。  アメリカがロシアと中国両国に経済制裁措置をとっていることを忘れてはならない。これもアメリカのひどい間違いだ。なぜなら、この経済制裁がロシアと中国を接近させ、両国の発展に寄与しているからだ。  債務が少ない国であることも、ロシアにとって有効に働く。アメリカや日本をはじめとする多くの国が借金を重ね、次世代に負担を押し付けているが、ロシアは違うのだ。これは誰もロシアに金を貸さないことが理由だが、昔の中国や今の北朝鮮とも似ている。 ・現在、世界の中で、国債を購入するのにふさわしい国はロシアくらいしか思いつかない。事実、私はロシアの短期債を持っている。 <大麻ビジネス拡大はコロンビア経済成長の起爆剤> ・さきほどウラジオストクについて紹介したが、もうひとつ、今後20年から30年の間に世界で最も刺激的になる都市を挙げるなら、コロンビアの大都市であるメデジンを選ぶ、理由は簡単である。コロンビアで医療用大麻(マリファナ)が合法化されたからだ。 <変化の触媒を見つける> ・大きな変化とは、3年ごとに起きるようなものではなく、10年に一度、あるいは100年に一度の大きな変化のことだ。そうした変化に出くわすのは難しいと思われるかもしれないが、私はよく遭遇している。なぜならば、“触媒”をとらえるように努めているからだ。  何かが変化するときには、必ず触媒が存在する。 <家族とお金を守るために私が学んだ9つの成功法則> 1、 人の言うとおりにしてはいけない 2、 故郷にとどまるな 3、 結婚・出産を急ぐな 4、 自分の能力を過信するな 5、 情熱を無視するな 6、 お金のことを気にするな 7、 子どもの情熱を尊重せよ 8、 お金について学ぶことを怠るな 9、 何のために稼ぐのかを忘れるな <これからの時代に勝つ投資> 1、 安く買って、高く売る 2、 価値があると「知っていた」から投資で勝てた 3、 よく知らないものに分散投資してはいけない 4、 情報源は今も新聞と年次報告書 5、 情報を疑う 6、 「安全」という言葉を信じない 7、 好機は危機に潜む 8、 金融業界が儲かる時代は終わりつつある 9、 大衆のヒストリーを見抜く 10、 間違いから学ぶ 『新しい宇宙時代の幕開け』② 地球はすでに友好的宇宙人が居住する惑星だった! ジョン・B・リース  ヒカルランド   2012/12/28 シャンバラ・惑星連邦・地球内部の知られざる新事実 <プラトー氏は地球にワン・ワールド・ガバメントの創設を求めていた> ・プラトー氏の政治的・宗教的・哲学的考えに対していくつかの単刀直入な質問と回答が続いた。 ・まず、ルーズベルト大統領にとって受け入れられなかったのは、私が意のままに物質化できたこと、この太陽系内の他惑星では概して人々は地下で暮らしていること、そして金星は地上と地下の双方に住民がいる例外的な惑星であるという事実でした。地球の問題に集中した議論に続いて、宇宙の他の惑星は地球の発展を原始的な社会から何世紀にも及んで監視してきたことがあなた方の大統領に教えられました。しかし、核戦争の可能性によって、外部の監視によって、外部の監視は地球の惑星間連邦加盟に対する直接の懸念に変わりました。しかし、私が言及した惑星間連邦に地球が仲間入りすることになれば、最終的に一人の選ばれし長の下で全世界の政府がすべて参加することを私たちは強く望んでいるとルーズベルト大統領に警告しました。 <ルーズベルト大統領にプラトー氏が伝えた「ワン・ワールド」の要諦> ・プラトー氏にワン・ワールド・ガバメントに関して質問する前、筆者らはホワイトハウスの記録を調査して、第2次世界大戦の新たな集合国家体の指導者になろうとしたルーズベルト大統領の夢に関してさまざまな資料があるのを確認した。 ・彼が紙に写した他の走り書きは、単に「世界のための彼らの計画」と呼ばれた。自身のことを宇宙の使者と呼んだ男が語ったことは、ルーズベルト大統領が思い出した会話(メモ)と同じ文脈で、ここに再現する。そのメモはこのように始まった。「すべての異なる地球の政治、文化、宗教は『ワン・ワールド』になる」 「人々が剣を鋤に打ち直す時」というテニスンの詩のように、すべての軍はまとめて消され、兵士らは解放され、装甲(甲冑)は解体して溶かされた。  国家的な紛争の場合には小さな国際警察隊が司法機関としてふるまい、紛争加担者が懲罰行為を取った際には、直接警備行動が取られる。  軍用金は、教育や公共事業(そのいくつかは明示されていた)、医学研究などに転換されよう。新たな作業計画や発明(彼は原子力の平和利用について話した)によって失業問題はなくなるだろう。大学への入学ではメリットだけが得られるだろう。大学外の優秀な学生は、試験によって特別な技能が十分に発揮されるような地域へと向けられるだろう。  プラトー氏の計画は社会の全側面に触れていた。学校を改革し、刑務所を廃止して、青少年犯罪はなくなるように教育される。人の性質がなおも犯罪に傾くことを想定して、特別な学校が提案され、そこで、犯罪者に見られる「社会的異常」は最長でも6カ月以内で矯正されるだろう。指導で道を示せる刑事事件の場合には、犯罪者は矯正病院(更生施設)へ送られ、社会復帰の前にそこで異常な傾向が根絶される。矯正できない者は当局によって孤立した地域へと送られ、彼らは社会と離れて普通の生活を送る。  ルーズベルトの回想の要約は、宇宙人が伝えた地球のためのユートピアの核であった。提案された教育と警察力の利用を示唆した。 ・大統領を訪問した1943年のあの夜、プラトー氏はおよそ1時間45分滞在していた。その短い時間内で、彼は未知の時空の次元から姿を現し、人間、そして指導者として、地球人フランクリン・デラノ・ルーズベルトの内なる衝動と性格に対して深い理解を見せた。訪問者はルーズベルトの精神奥部の源泉を調べたが、それはルーズベルト本人でも決して推し量ることのできないものと思われた。 ・プラトー氏は、この10年間、現在の国連――そこから将来の世界指導者(ワールド・リーダー)が現れる――は人類の利益のためにも、平和の手段としても機能していないことを認めている。金星人は、その理由を理解していた。それは多くの代表国家によるアメリカ国内での邪な不正にあった。彼らは概して世界の利益のためではなく、自分たちの権力の拡大と妨害を考慮して投票する。政治的提携に基づいた現在の国連は、相互信頼を基盤とするのではなく、代表国の間では信用に足らない媒介組織となっているのだ。 <世界各国に金星人や他星の調査官がいる/すべての情報はプラトー氏に集ってくる!> ・金星人は地球のどの政府ともあからさまに連絡を取っていない。だが、プラトー氏は、統合された世界秩序に向けて地球がどれだけ前進しているのか、金星の国王、議会、そして太陽系連邦の最高皇帝に伝える使命を持って、金星から地球に送られた最初の代表者であると自身のことを見なしている。彼の本部への報告と地球での出来事に対する警戒は、均衡を保つ世界の国々が核の危機にあるため非常に重要である。 ・大使は、多様な人種が自由に集まって構成されたアメリカが、この惑星を全体的に見て永続的な平和と繁栄に導くには最有望であるがために、これまで本部としてアメリカを選んできたという。だが、プラトー氏の変わらぬ不安は、(1)地球が主にロシアの妨害によって四海同胞に遅れをとること(2)さまざまな国家を本当の武装状態に保つことで武器メーカーが国際的な結束を妨げていることである。  プラトー氏によると、地球規模の軍備競争は、どこの国家にも忠実でない国際的な勢力によって工作されたものだという。このような隠された権力構造がロシアとアメリカを含めたすべての政府と軍隊に影響を与えている。 ・プラトー氏は、すべての人々による世界的な国民投票が認められれば、戦争や戦争のためのすべての器械や武器はすぐさま不法になると信じている。金星での最後の戦争は3000年前に起こったと彼は言明した。この戦争の前、金星は高度に文明を発展させていたが、惑星の偉大さは何千年も後退した。その戦争が勃発する前、太陽系連邦は16カ国のいくつかの間では国際的な恨みが暴力へと噴出していた。不必要な核の衝突が勃発した。破壊は途方もなく大きかった。主要都市は瓦礫と化し、無数の人々が死んだ。  しかし、先見の明のある人々が事前に地下深くの洞窟やトンネル、ピラミッドの中に作った、学問、化学式、工業デザインの広大な図書館を守った。生存者が停戦中に集まった際、まず最初になされたのは、戦争の永久放棄だった。新たな土地での新しい都市は、これまで敵対してきた加盟16カ国ではなく、一つの国家の首都となった。過去の灰の中から蘇った不死鳥のように、金星は再生した。今日、地球の国家は、まさに金星が惑星規模で自滅戦争を行った直前の状態にあるとプラトー氏は言った。金星の歴史家は「人類が平和の教訓を理解していながら、自己崇拝的な地球国家が平和的な共存を実践しようとしないのは皮肉なことだ」と言って締めくくった。   

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