第三次世界大戦=「(中東で)シオニスト(イスラエル)とアラブ人との間にイルミナティのエージェントによって引き起こされる」ここでのイルミナティとは「フリーメイソンの中枢を支配する秘密組織」を指す。(4)

<替えがきかないのは家族と自分だけ>

・私自身の「幸福の絶対的基準」は、自分自身の健康と家族の二つです。それさえ満たされていれば、他のことは、二の次で構いません。

・仕事は替えがありますが、家族は替えがありません。本当にかけがえのない存在です。大事にするのは当然です。世の中には、離婚すれば替わりはいると言う人もいるでしょうが、家族をそんな風に「替えがきくもの」と考えている人生は、非常にむなしいと思います。そういう人は、人生の何を拠りどころとしているのでしょうか。

 繰り返しますが、他のことは、ほとんど替えがききます。仕事などいくらでも替えがききますし、友人も替えられます。にもかかわらず、現実には替えがきくものを大事にして、家族という替えがきかない存在をないがしろにする人が多いようですね。人は、いつもいる存在を当たり前だと思ってしまいがちです。

 すると行く末には何が待っているのか――熟年離婚です。

 子供が成人し、定年退職した後、突然、奥さんから、「もう、私、これ以上無理です。長いことやってきたけど、もうダメです」「あなたと同じ墓には入りたくありません」と三下り半を突きつけられるケースが最近非常に増えてきたと言われています。このとき、旦那のほうは、「まったく気付かなかった………」と呆然としてしまうことが多いようですが……。こういう人は、少しかわいそうですが、同情の余地はありません。

<守るものを見つけるべき>

・こうして、幸せの絶対的基準を考えていくと、家族がいる人は、「家族が一番大切だ」というという結論に達することが多いと思います。

 もっとも、読者の中には、独身で子供がいない人も少なからずいるでしょう。「国勢調査」による生涯未婚率(50歳までに一度も結婚しない人の比率)の調査によると、2015年は男性が23.4パーセント、女性が14.1パーセントに上っているそうです。実に男性の4人に1人が一生独身という状況になっています。

 そういう人は、幸せの基準を何に置くべきか、悩んでしまうかもしれません。

・しかし私は、このような時代に、あえて次のように述べたいと思います。人間は、「その人のために生きたい」「その人を守りたい」といえる存在を得るための努力を続けるべきである、と。

<国の危機から逃れる>

<抗議する力を持つ>

・私はこの本で「逃げる力」をすすめていますが、これらの国から「逃げる」とはどういうことでしょうか。

 私は国同士の間で「逃げる」ということは、「親しい付き合いをやめること」だと考えています。とはいえ、断交までは考えていません。ただ、経済協力や文化交流を含めた交流は距離を置くべきです。ODAやスワップなどはとんでもない。技術やその他の援助もストップします。そうした関係があるのは友好国に限られます。日本を敵視するどころか、領土を奪ったり、日本を貶めるための嘘と中傷を世界にばらまく国は、絶対に友好国ではありません。

<中国が日本侵略を企む理由>

・しかし残念ながら、中国が日本の領土と資源を狙っているのは間違いありません。

 なぜ、中国は日本への侵略を企むのでしょうか。

 北京大学の出身の評論家石平氏は、私との対談『「カエルの楽園』が地獄と化す日』(飛鳥新社)で、「いま、中華民族には『生存空間』が足りないというのが彼ら(中国のエリート)の常識であり、最大の危機意識です」とおっしゃっています。生存空間とは、14億人の中国人民が満足に暮らしていく環境全体を指す用語を指すそうです。

 いま中国では、大気汚染や砂漠化、水不足などで人が居住できる場所がどんどん失われていっています。すでに2001年に、中国で高く評価されている「新経済」という専門誌が、国土の3分の1は実は人の生息に適していない「荒漠地帯」だと指摘し、生活に適した良質な国土は29パーセントにすぎないと述べています。石平氏は、この「『良質な国土』もどんどん汚染され、環境が破壊されていったら、………(中略)………当然中国人民は自国の外に自らの生存空間を確保していかねばなりません」と仰いました。

 さらに石さんは、カネも水もあり、軍事的に弱腰な日本は、中国にとって「侵略する価値」もあり、「侵略できる可能性」も高い国だと指摘されています。その日本を侵略して大量の中国人を送り込めば、国内の人口問題を解決することができるのです。

・また中国はそのためにこの20年以上、年率7~17パーセントの凄まじい軍備拡張を続けています。1996年の中国の軍事費は702億元でしたが、2017年には約1兆200億元になっています。世界で、ここまで常軌を逸した軍拡を続けている国は他にありません。現在の中国の軍事力は安全保障という枠組みをはるかに超えた巨大なものになっています。

『日本人だけが知らないこの国の重大な真実』

闇の世界金融の日本占領政策

鈴木啓功  イーストプレス  2016/3/6

<幕末・明治維新の時代から「謀略の地下水脈」が存在する>

・前章では「世界の奥の院」である「地球支配階級の全貌」を提示した。その中核は「欧州ロスチャイルド家に代表されるユダヤ国際金融資本家」だ。彼らが現代世界情勢を動かしている。

<■構造=世界の奥の院(地球支配階級)→日本国の奥の院(日本国支配階級)>

・だがマスコミは両者の存在についてはなにも伝えない。

・先に結論を言うならば、幕末・明治維新の時代から、日本国は「彼ら」(欧州ロスチャイルド家)に操縦されてきた。日本国民は「歴史は勝手に動いている」「日本国の歴史は日本国民が築いてきた」と信じている。だが真実はそうではない。本書の立場から「歴史の真実」を言うならば、日本国の幕末、明治、大正、昭和、平成の歴史は「操縦された歴史」なのだ。

<■真実=幕末、明治、大正、昭和、平成の歴史は「操縦された歴史」である>

・幕末・明治維新の背後には「欧州ロスチャイルド家」が存在した。坂本龍馬に代表される江戸幕末の志士たちは「彼らの手先」(彼らに使われた道具)だったのだ。

<現代日本国は「田布施の人脈」が動かしている>

・戦後日本国(現代日本国)には「岸信介から安倍晋三に至る血脈のライン」が存在する。岸信介が安倍晋三の背後人脈はいかなるものか。

 先に結論を言うならば、彼らの背後には(幕末・明治維新以降の日本国を動かした)「謀略の地下水脈」が存在するのだ。だが日本国民はそのことをなにも知らされていないのだ。

<■透視=岸信介から安倍晋三に至る血脈の背後に「謀略の地下水脈」が存在する>

・本書ではその「謀略の地下水脈」を「田布施(たぶせ)の人脈」と表記する。

<■警告=日本国民は「田布施の秘密」(謀略の地下水脈)を透視すべし>

・先に結論を言うならば、幕末・明治維新以降の日本国は「田布施の人脈」が動かしてきた。そしてそれは「現代日本国首相・安倍晋三」に至るまで続くのだ。

<安倍晋三は「田布施の悪魔集団」に連なる血脈>

・多くの日本国民は「幕末・明治維新の時代」を(坂本龍馬に代表される)「幕末の志士たちが大活躍した時代」と信じている。だがそれは「奴隷集団の童話」にすぎない。

 幕末の志士たちの背後には「地球支配階級=欧州ロスチャイルド家」が存在した。彼らは幕府側と倒幕側を操って「明治維新」を実現した。幕末・明治維新は「操られた歴史」なのだ。

 18世紀、欧州世界でフランス革命を勃発させた欧州ロスチャイルド家は、19世紀には、日本列島で「幕末・明治維新」を実現させた。彼らの手先になったのは(その中核は)「長州藩・田布施の忍者集団」だった。田布施の忍者集団には木戸孝允や伊藤博文が存在する。

・田布施の忍者集団(悪魔集団)は日本国を支配するために各地で暗殺を繰り返した。幕末時代には孝明天皇とその親王が暗殺された。その主犯は(明治時代に日本国初の内閣総理大臣となった)「伊藤博文」だった。日本国は「暗殺犯」が「内閣総理大臣となる国家」なのである。

 明治天皇は「すり替えられた天皇(正体=大室寅之祐)だった。そして彼を「田布施の悪魔集団」が操った。そしてふつうの日本国民は「明治天皇」に絶対忠誠を要求された。

 結局、明治=大日本帝国は、どのような「支配構造」(操縦構造)だったか。

<■大日本帝国=田布施の悪魔集団→明治天皇→ふつうの日本国民>

・田布施の悪魔集団の背後に「地球支配階級=欧州ロスチャイルド家」が存在したことは言うまでもない。田布施の悪魔集団は「地球支配階級の手先」として日本国民を弾圧する。

 現代世界(近未来世界)に生きる日本国民は「右の構造」を完全に透視するべきだ。なぜなら、今の日本国首相・安倍晋三は、「田布施の悪魔集団」に連なる血脈だからである。

・日米戦争の根本的真因は「増長した悪魔(田布施の悪魔集団)が『親分』(地球支配階級)に逆らったので」→「徹底的に罰せられた」ということだ。

<大室寅之祐が生まれた「田布施」の秘密>

・明治天皇=大室寅之祐は、長州藩(山口県)の「田布施」(周防国熊毛郡麻郷村=現在の山口県稲毛郡田布施町)という地で生まれた。ここは暗殺者である木戸孝允や伊藤博文が生まれた場所でもある。

 正確には木戸孝允は「隣国」(長門国萩城下呉服町=現在の山口県萩市呉服町)、伊藤博文は「隣村」(熊毛郡束荷村=現在の山口県光市束荷)の出身だ。だが両者の関係は先に述べた通りである(上忍、下忍)。また伊藤博文は(大室寅之祐を監視、育成するために)「田布施の大室家」に日参していた。少年時代、伊藤博文と大室寅之祐は「親分、子分の関係」だった(伊藤博文は力士隊の隊長、大室寅之祐は力士隊の隊員。二人は相撲を取って遊んでいた)。

 右のような経緯と彼らの親密な関係を含め、ここでは彼ら全員を「田布施出身者」(関係者)と表記しておく。

<マスコミは「悪魔の手先」となっている>

<電通は「米国CIA」の別動隊>

・電通は「日本国最大の広告代理店」である。

・では米国は「電通」(米国CIAの別動隊)を使っていったいなにがしたいのか。彼らの目的はなにか。それは「日本国民の精神を徹底的に『破壊』すること」なのである。

・真面目な日本国民は「まさか」と言うかもしれないが、そのような真面目な人こそは(電通の広告に洗脳されて)「自らの精神が『破壊』されている」のである。余談になるが述べておく。

 近年の日本国では「AKB48」という「女性アイドル・グループ」が存在する。あれが、「メイド・イン・電通」であることは「業界人の常識」だ。

 最近では「AKB48のメンバーと電通社員のふしだらな写真」が流出して(「週刊文春」2015年4月9日号)、世間を騒がせたりもしているが、存在の起点を知れば不思議はない。本書の立場からは「悪魔が『日本人乙女』を食い物にしている」というだけだ。

<電通は「裸踊り」で仕事を取ってくる>

・クリエイティブディレクター、CMプランナーの岡康道(TUGBOAT代表)は、大学卒業後、電通に入社した。理由は「給料がよかった」からである。彼の言葉を引用する。

・では「電通の営業」とはいかなるものか、本書の立場からは「最低の仕事」である。

――ところが、広告会社の営業は異常とも言えるほど大変な職種でした。今の若い人には想像ができないかもしれませんが、得意先の接待は週に何度もあり、裸にネクタイで踊る余興など日常茶飯事。僕は酒が飲めなかったのでいつもシラフでやりましたよ(笑)。週末は、やはり得意先の引っ越しなど個人的な用事に駆り出され、「おい、トラックで来いよ、燃えないゴミがかなり出るからな」と廃棄物の処理までやらされました。同業者に仕事を取られるくらいならどんなことでもしろと言われましたからね。

・新聞やテレビなどのマスコミは「広告」で飯を食っている。その広告の大半を扱っているのが「電通」だ。その意味で電通は、マスコミの「影の支配者」なのだ。

 だがその電通の現場はどのようなものか。得意先を前にしての「裸踊り」や「引っ越しの手伝い」だ。端的に言えば「電通は『裸踊り』で仕事を取ってくる」――。

 こうして電通の営業が取ってきた仕事が、制作に回る。そしてそこで制作されたCMがテレビ電波で放送され、私たちはそれを見る。

<■透視=電通が「日本国の若者集団」を「殺しにかかっている」>

・現代世界に生きる日本国の若者は(生まれたときから)「電通の営業が『裸踊り』をして取ってきた仕事の結果である『広告』を見せられて育ってきた」のだ。その大半は「愚にもつかない代物」だ。これは「洗脳社会」「洗脳文化」「悲惨な文化」と言うしかない。そういうことであるならば(日本国の若者の意識の中で)「戦う意志が消滅する」のは「当然」だ。

・だがそのような若者に対しても、本書の立場からは述べておかなければならない。それは次のことである――。右の記事にあるように(自分らの調査結果を土台に)電通は「老後に不安を抱える若者が増えていることが背景にある」と分析する。だが本書の立場から言うならば、現代世界に生きる日本国の若者に「老後」などは存在しない。なぜならば、私たちふつうの日本国民は「戦争で殺されるから」である。近未来には「1億総皆殺しの時代」が待っている。

『「カエルの楽園」が地獄と化す日』

百田尚樹   石平      飛鳥新社  2016/11/11

<『カエルの楽園』という寓話小説>

・多くの読者の方もご存知の、『カエルの楽園』という寓話小説、世紀の予言書である。この本が発売されて間もなく、岡山から松江へ向かう特急電車「やくも」のなかで読んだ。主人公のアマガエル、ソクラテスたちは、生まれ育ちの土地をダルマガエルに奪われ、苦難の旅の末に平和で豊かな国であるナパージュに辿り着いた。そこで安息の地を得たかと思いきや、「カエルはカエルと争わない」ことを信念とするナパージュのカエルたちはあまりにも「平和主義的」で無防備であるがゆえに、ナパージュの国は結局、近くの「気持ちの悪い国」に住む、巨大で凶悪なウシガエルによって侵略され、占領されることになる。そして平和を愛するナパージュのカエルたちは、虐殺されながら国を奪われていく。こうしたなか、やっとの思いでナパージュに亡命してきたソクラテスたちは再び、安息の楽園を失うことになるのである。

<史上もっとも安全な時代に、最大の軍拡に走る異常な国>

<アジアのルールは中国が決める>

(石平)2016年8月16日、中国紙の『環球時報』ネット版「環球網」は、中国国防大学戦略研究所元所長の楊毅教授(少将の階級を持つ現役軍人)の発言を掲載しました。中国に逆らって、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の国内配備を決めた「韓国を徹底的に懲らしめることによって、今後のための一つのルールを確立することができる。周辺国に分からせよう。中国と付き合うのにはルールがある」と。つまり楊教授は、力づくで周辺国をねじ伏せ、一方的にルールを作って周辺国に強制すべき、という中華帝国の本音を語っているのです。

(百田)前の章で「歴史的に見て中国の定義は難しい」と言いました。中華帝国は、中央の専制政治の力が強くなれば外に膨張し、弱体化すれば収縮して辺境地域を失うことの繰り返しですから、「国境」がはっきりしないのです。中華帝国に侵入してきた異民族を同化して、その領土も勝手に版図に加えるという特異な思考パターンがあります。満州族が建国した清帝国は、沿海州やハバロフスク、満州、モンゴル、新疆ウイグル、チベットを支配下に置き、史上最大の版図を築きました。すると国共内戦に勝利した毛沢東は、1840年のアヘン戦争以降、帝国主義列強に侵略された中国の版図を取り返すといって、満州や内モンゴル、新疆ウイグル、チベットを軍事力で押さえました(ただし、台湾は奪取に失敗し、沿海州はソ連に遠慮して手を出しませんでした)。

(百田)テレビ、新聞はこの本をまったく取り上げません。これだけマスコミに無視されると、通常なら売れないのですが、すでに27万部以上は売れています。その意味では希望はあります。マスコミでは一切報じられないけれども、口コミで「これは危ない。『カエルの楽園』は真実だ」と広まっている。アマゾンでは、発売数カ月経ってもランキング上位です。知り合いの某出版社の編集長は「この本が百万部売れたら日本は変わる」と発行時に話していました。

(石平)おそらくマスコミ人たちは、『カエルの楽園』の本当の価値と、ベストセラーになっている意味をわかっているからこそ、触れたくないのでしょう。27万人以上の読者が『カエルの楽園』のメッセージに真実味を感じて、日本をとりまく現実に目覚めた。そういう人たちに向けて、私たちは語りたいですね。

<日本を守ることに反対するおかしさ>

・(百田)中国の脅威を語ろうとしないマスコミの言論空間は改められねばなりません。日本の新聞社やNHK「日中記者交換取極」に従って、①中国を敵視してはならない②米国に追随して「2つの中国」をつくる陰謀を弄しない③両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない、という政治三原則を守り、中国に対して不利な報道を行なわないことを約束し、北京に記者を置くことが許されています。中国の意に反する報道を行なえば、記者の常駐が禁じられるのです。

・(石平)日本人はよくスイスを平和国家だというけれど、私も行ったことがありますが、あちこちで兵隊さんと会いますよ。街中の日常風景に、兵士が溶け込んでいます。

(百田)スイスは国民皆兵の国です。男子は全員徴兵の義務があり(女子は任意)、除隊すると60歳まで予備役として登録され、いざ戦争が起きれば軍に直ちに復帰します。21万人の兵力を持っていて、自衛隊とほとんど変わらないんです。

(石平)自衛隊員は22万人、日本とスイスは人口の規模がまったく違いますね。

(百田)日本の人口は1億2千万人ですが、スイスは8百万人くらいです。日本の人口比に当て嵌めれば、スイスは3百万人以上の強大な軍事力を、持っている計算になります。ソ連崩壊と冷戦終結で、西ヨーロッパでは戦争の危機はほぼ去ったといわれましたが、スイスは国民投票で徴兵制の義務を改めて決めたほど、国防意識が高いわけです。2百年間も戦争をしていない国が、これほど高い国防意識を持っているのです。いや、そこまでの国防意識があるから2百年も戦争をしていないとも言えます。

 現在でも、「侵略を受けたら徹底抗戦する」と宣言し、もし敗れるようなことがあれば、国内の発電所、ダム、橋梁などあらゆる施設を破壊し、国土を焦土化して侵略国に何も与えない。一家に1冊『民間防衛』という本が配られ、市民がどのようにゲリラ戦を行うかが書かれています。民間人でも予備役にも小銃が支給され、90年代までは家に実弾まであった。いまは公的機関の倉庫に備蓄されていて、いざという時に支給されるそうですが、有事に際して国民が立ち上がって戦う覚悟を決めている国だということがわかります。

(石平)だからといって、日本人はスイスを「戦争のできる悪い国」だとは思っていません。日本より立派なでまともな国だと思っている。なぜ日本がスイスと同じように自国を防衛しようとすると、「戦争ができる悪い国」になるのか?おかしいですね。

<狙い目は日本のマスコミ論調>

・(石平)日本を守ろうとすれば戦争になる。戦争は悪でやってはいけないから、守ること自体を放棄すべきだ、という単純な議論を、マスコミはいまだに語り続けています。

(百田)困ったことに、戦後70年間で日本人は平和に慣れきってしまって、世界のなかでもっとも国防意識の低い国になってしまいました。同時期のヨーロッパも同じ冷戦の時代を過ごしていましたが、それでも軍隊はしっかり維持していた。中立国のスイスとオーストリアは国民投票で徴兵制廃止を否決したし、ロシアと国境を接するフィンランドも徴兵制を維持しています。一度は徴兵制を廃止したウクライナでは、ロシアのクリミア侵攻後に徴兵制を復活させました。

 NATO加盟国でも徴兵制度を持っている国は多い。冷戦終結後に、フランス、ドイツ、スウェーデンが徴兵制を廃止しましたが、現在でもNATO加盟国でエストニア、トルコ、ギリシャ、デンマーク、ノルウェーの5ヵ国が徴兵制を採用しています。さらに、2018年からスウェーデンが徴兵制を復活させる方針を固めたと報道されています。冷戦が終わって、現実にはヨーロッパで戦争が起きる確率はすごく低くなったのですが、国防という国の基本は絶対に忘れないのです。

<人が住めない環境、暮らせない社会>

・(石平)第1に環境破壊、第2に極端な格差と経済崩壊による2億6千万人の流民の処遇、第3に一人っ子政策の歪みによる3400万人の「男性余剰」の問題を解決するには、「中国人の生存空間を国外に求める」しかないのです。これは彼らにとって、きわめて論理的な結論です。

 中国の環境問題はPM2.5で有名な大気汚染だけでなく、砂漠化や水質汚染、水不足で彼らの生存空間が破壊され、狭められているために、国外に出なければ生きていけないし、領土を新たに獲得しなければならない。

<生存空間とは>

・(石平)生存空間とは、14億人の中国人民が暮らしていく環境全体を指す用語です。民族が生存していく基本要素として水と空気と土地が必要ですが、中国ではいずれも汚染が進んで、ほとんど回復不可能な状態です。その結果、中国大陸といういままでの生存空間は、人が生存できないようになってきたのです。

 まず水問題から見ていきますと、中国全土で水不足が深刻化しています。2007年の政府発表によると、全国660都市のうち511都市が水不足に陥っており、なかでも110都市はとくに深刻な状況だと指摘されています。中国の水資源は人口に必要な量の3割しかなく、今後の枯渇をどう乗り切るかは国民全体のテーマと位置づけられています。

 にもかかわらず、水質汚染が深刻です。全国の地下水源の80%と地下水の45%がすでに汚染されており、都市部に限れば地下水源の97%、地上の水源の90%がコントロール不可能な汚染を受けてしまっているのです。すでに2億人以上が安全でない飲み水を使っています。

 さらに淡水系の5割、海域でも渤海の79%、東シナ海の78%、黄海の45%、南シナ海も28%が漁業に適さない水質になってしまったと報道されています。

・水質汚染と並んで、大気汚染もひどい状態です。すでに2006年、中国の全都市の3分の2近くが、大気汚染問題を抱えていることが国家環境保護局の報告で明らかになりましたが、とりわけ石炭の産地で石炭火力発電に頼っている北部の山西省や北東部の遼寧省、北京市、天津市、河北省の39都市の汚染度がひどく、マスクが必要どころか、「もはや人間が暮らすことのできない程度にまで汚染が広がっている」と中国人自身が指摘するほど悪化しています。

 その結果として、たとえば2013年の中国で、大気汚染を原因とする死者は91万6千人に及んだと、精華大学と米の研究チームが発表しました。このままでは2030年に年間最大130万人が犠牲になると警鐘を鳴らしています。中国では肺ガン患者が毎年27%ずつ増えているといわれ、ガンによる死因の第1位です。たとえば、2012年に新しく肺がんになった人は世界で182万人でしたが、そのうち3割以上の65万人を中国人が占めた、とWHOが報告しています。

・「水土流出」が進むと土壌がますます痩せてしまい、植物や動物などの命を育むことができなくなってしまいます。その先に待っているのは土地の荒廃、荒れ地化です。現在、中国全土で水土流出が進んでいる土地の面積は356万平方キロメートルで、国土の何と38%を占めています。

 それに追い打ちをかけているのが、国土の砂漠化です。中国国家林業局の発表によると、2014年時点で荒れ地化したのは261万平方キロメートルで、国土面積の27%、4分の1以上ですが、砂漠化した土地は175平方キロメートルに達し(日本の総面積の4.6倍)、国土面積の18%、6分の1以上が砂漠化したというのです。現在も進む国土の荒廃で、4億人以上の生活に影響が出ているといわれます。

・すると、総人口の98%が暮らしているのはそれ以外の3分の2の土地ですが、その半分はまた「水土流出で荒漠化が進んでいる最中」の土地です。結局、このまま荒廃が進めば、14億人の中国人民にとっての「生息に適する良質の土地」、つまり国民に必要な「生存空間」は全国土の3割未満になってしまいます。しかも、その3割に属するはずの数多くの都市が水不足に苦しみ、地下水と地上水の大半が汚染されていて、至るところに汚れた大気に覆われているのが実情です。

(百田)聞いているだけで、背筋が寒くなってきます。まるで、ディストピア小説のあらすじを聞かされているようです。いや、ホラーSF小説の設定です。

(石平)これが、中国という巨大な公害国家が置かれている厳しい現実です。当然のことながら、今後、こうした状況が大きく改善される見通しはまったく立ちません。むしろ環境破壊はますます深刻化していく、と専門家は警告しています。なぜなら、中国人民はさらに豊かになろうと本格的な大量生産、大量消費の産業社会の建設に向かって一路ひた走っているからです。

 では、わずかに残った3分の1弱の「良質な国土」もどんどん汚染され、環境が破壊されていったら、14億人の民は一体どこで生存していけばよいのでしょうか。当然、中国人民は自国の外に自らの生存空間を確保していかねばなりません。これこそ、21世紀の世界に突き付けられた最大の難題のひとつなのです。

(百田)中国の政府高官は、子弟を世界中に移住させていますね。

(石平)もちろん、数千万円以上をかけて子供に海外で高等教育を受けさせ、永住権を取得できる高官たちの家族にとっては、生存空間の問題は解決しています。しかし、そんな経済力のある階層は人口の最上位2%にすぎません。庶民たちは困っています。

<最下層の流動人口、「男余り」、無戸籍者>

・(石平)2013年に政府が正式に発表した数字ですが、安定した生活基盤を持たず、職場と住居を転々としている流動人口が2億6千万人、そのうちの8割が農村戸籍を持つ、いわゆる農民工で、平均年齢は28歳とされています。この「暴動者予備軍」とされる、農村から都市部に流れてきた出稼ぎ労働者をどうするか。彼らははっきり言って、奴隷的な存在です。今後、そういう人々の生活をどう安定させるか、政権の死活にかかわる問題です。

 中国の経済成長は、もっとも安い賃金で働く彼らの犠牲のうえに成り立ってきました。農民から土地を取り上げ、開発した土地に投資してインフラや工場、住宅を建設する。土地を失った農民たちが農民工として安価な労働力となり、主に輸出向けの加工産業などで低賃金労働に従事し、リーマンショック以降は公共投資や不動産バブルに吸収されて、建設現場で働いてきました。しかし不動産バブルの崩壊と低成長によって、彼らは切り捨てられます。土地がありませんから、農村に帰ることもできません。中国にはまだ7億人もの農民がいるのです。2億6千万人もの怒れる不満層をどう養うのか、中国社会の抱える時限爆弾です。

・(石平)1980年代生まれで、大学を卒業しているのに収入の低い若者です。仕事が見つからない、あるいは非正規労働で賃金が安いため、1人で住む部屋が借りられず、何人か集まって劣悪な環境で共同生活を送る若者が、北京だけでも10万人、上海その他にも多数いて、全国で100万人を超えると推計されています。大卒でも3割しか正規の職は得られません。中国はすでに、究極の格差社会なのです。

・(石平)国内問題を解決できないから、戦争も辞さずといって中国人の生存空間を拡張しなければならない。習近平政権が領土で強硬姿勢を崩さない背景に、2億人以上の怒れる下層民の存在があるのです。

 もうひとつ、中国の深刻な人口問題に、結婚適齢期の男女比のバランスが崩れていることがあります。長年の一人っ子政策に男尊女卑が加わり、後継ぎに男の子を求める家庭が多く、妊娠中の子が女の子だとわかると中絶したりで、出生するする男女比が120対100と歪になった結果、すでに3400万人もの「男余り」状態です。

 確実に結婚相手がいない若い男性が、社会への不満を蓄積する。考えてみれば、これも深刻な社会問題です。しかも、3400万人の適齢期の女性を短期間で確保するのは不可能ですから、国内で解決することは物理的にできません。そうなると、余った男たちを外国に送り込むしかない。領土を増やして流動人口を送り込むメリットは、ここにもあります。

<『カエルの楽園』>

・この対談では拙著『カエルの楽園』が素材として使われています。『カエルの楽園』は、「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」という不思議な「三戒」を守って平和に暮らしているツチガエルの国が、凶暴なウシガエルたちに滅亡させられるという寓話です。

 石平さんは『カエルの楽園』を非常に深く読みといておられました。それは石平さんご自身がおっしゃっていたように、彼の半生が、作中のソクラテスという名前のアマガエルの境遇と似ていたせいかもしれません。石平さんと話していると、作者の私よりも作品に深く通じているのではないかと思うことがしばしばありました。

 日本にもしっかりした研究に基づいて「中国の脅威」を語る人は数多くおられます。しかし石平さんの語る言葉は巷にいる中国ウォッチャーとは一線を画します。なぜなら、石平さんは中国で生まれ育ち、中華人民共和国の教育を受け(中国の最高学府である北京大学卒です)、中国の歴史についても、中国人の気質についても非常に深く知っておられるからです。中国という国を知り尽くした石平さんだからこそ、語る言葉にはリアリティがあり、その洞窟と分析は限りなく深いものがありました(現在、石平さんは日本に帰化されています)。

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