ウクライナは独立したとはいえ、西欧に接近する西部とロシアとの関係を重視する東部が分裂気味に共存した国家となり、それが今日のクリミア・東部紛争を誘う導火線となったのである。(3)

<地政学的に脆弱な場所に位置>

・イスラエルは領土拡大に対して、強硬な姿勢を取り続けてきた。この要因に周囲がすべて敵国であることと、地政学的に脆弱な場所に位置していることが挙げられる。

 イスラエルは水資源の多くを、シリアのゴラン高原を水源とする川に頼っている。そのため第三次中東戦争では、水資源の確保を目的にゴラン高原を占領した。ゴラン高原はイスラエルを見下ろす位置にあるため、占領は防衛上も重要だった。

 またイスラエルには油田がなく、石油は輸入に頼っている。唯一の輸入ルートである紅海のアカバ湾の制海権も死守する必要がある。

 イスラエルが好戦的なのは、いわば地政学的な宿命とも言える。なお公的には宣言していないが、核兵器の保有もほぼ確実視されている。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

<アフリカが経済発展から取り残された理由とは>

<南北に長いことが不利に>

・(POINT);部族の多様性を無視した人工的な国家が多いことが、アフリカ諸国の政治の安定と経済発展を妨げる要因となってきた。

・さらにサハラ以南のアフリカは、他地域からの文化や技術の移入という点でも、不利な地理的環境にあった。何しろ北はサハラ砂漠に阻まれ、西には大西洋、東にはインド洋が広がっている。どの大陸からも孤絶した環境にあったため、文化面でも世界から取り残されてしまった。

<「無主の地」とみなされる>

・アフリカは天然資源に恵まれた大陸であり、ポルトガル人たちが最初に目をつけたのも金だった。しかしやがて奴隷も有力な「商品」であることに彼らは気がついた。

・15世紀以降、奴隷にされたアフリカ人の数は、1000万人から数千万人とされる。サハラ以南のアフリカは、ただでさえ不利な地理的環境にあったうえに、奴隷貿易によって膨大な労働力を奪われたことで、さらに発展の機会を失った。

 19世紀末、第2次産業革命が発展すると、今度はヨーロッパ列強はアフリカの豊富な天然資源に目を向けた。天然資源は列強が工業化を進めるうえで欠かせないものだからだ。

・ただし21世紀に入ってからは、アフリカ連合(AU)が紛争の予防・解決を担う機関として機能し始めたこともあり、かつてと比べれば紛争は減少傾向にある。

<なぜ中南米諸国は政情が安定しないのか>

<先住民不在の独立運動>

・(POINT);植民地時代から続く特殊な社会構造と、大国アメリカの介入が、中南米諸国の民主主義の定着の妨げとなってきた。

・ただしこのときスペインからの独立運動の主役を担ったのは、中南米の先住民ではなく、クリオーリョと呼ばれる現地生まれのスペイン人だった。

<富裕層と貧困層の二極化>

・このように中間層が薄いことが、富裕層優遇が大衆迎合かの極端な政策を招く要因となり、中南米に安定した民主主義を根付かせるうえでの障害となってきた。

<再びポピュリズムが台頭>

・その姿勢は冷戦期に入っても変わらなかった。1959年のキューバ革命後、キューバが社会主義国化すると、アメリカは中南米諸国への革命の波及を恐れ、軍事政権や独裁政権を支援。1960年代から70年代にかけて、メキシコなどの一部を除き、ほとんどの国が軍政となった。

・これに対する民衆の不満の高まりが、再びポピュリズム政治の台頭を招くことになる。1990年代末から2000年代初頭にかけて、左派政権が次々に誕生。公共料金の大幅値下げなどのばらまき政治を実行するが、やはり財政破綻を招くことになり、近年は右派の巻き返しが顕著になっている。つまりかつてと同じ光景が繰り返されているのである。

<白人国家オーストラリアのアジア政策の行方>

<白豪主義により移民を制限>

・(POINT);1970年代に欧米重視からアジア重視へと舵を切ったオーストラリアは、中国の台頭により、また新たな局面を迎えている。

<遠くの欧米より近くのアジア>

・そんな中でオーストラリアは中国に対する警戒心を露わにしており、日本、アメリカ、インドとともにQuad(日米豪印戦略対話)を形成することで中国に対抗しようとしている。一方ニュージーランドは、アメリカと同盟関係を結びつつも、中国とのFTA(自由貿易協定)にも署名するなど、独自の外交路線を展開しようとしている。

<地政学ブームの行方と地政学の限界>

<第二次地政学ブームのさなかにある日本>

・第一のブームが起きたのは1940年代前半、つまり太平洋戦争のさなかだ。当時の日本の地政学はドイツ系地政学の理論に基づいた研究が中心であり、大東亜共栄圏の構想もその影響を色濃く受けたものであるとされる。

 ところが戦後になると、地政学に関する書籍の刊行点数は激減する。その要因として、戦後の日本では地政学は、日本を破滅的な戦争に導いた学問として忌避されたことがあげられる。

<なぜ今の日本で地政学が必要なのか>

・2000年代半ばより地政学ブームが続いているのは、隣国の韓国との関係悪化や、北朝鮮情勢の緊迫化など、多くの日本人にとって国際問題が他人事ではいられなくなったからだろう。

 中でも現在、多くの人が強い関心を抱いているのが、近年の中国の帝国主義的な行動についてだ。「一帯一路」政策にしても、第一列島線や第二列島線、九段線を定めたうえでの海洋進出にしても、中国の行動はきわめて地政学的だ。

・問題を困難にさせているのは、主要先進国と呼ばれてきた国々と中国との間で、国際社会のあり方についての価値観を共有できていないことだ。

<地政学的な視点では解決できない問題もある>

・地政学は、それぞれの国が置かれている地理的環境に注目して国家間の関係を分析したり、外交戦略や軍事戦略に活かしたりしようとする学問である。現在のように、国家と国家が国際社会における主導権や国益をめぐって激しく対立している時期ほど、地政学的な思考が必要となる。

 ただし一方で現代の世界では、地政学的な発想だけでは解決が困難な問題も山積みしている。その代表格は気候変動問題であり、新型コロナウイルス感染症対策だろう。

 工業化以降、世界の平均気温は約1度上昇しており、今も上昇を続けている。2015年に採択されたパリ協定では、その上昇を1.5度までに抑えることが盛り込まれた。もし2度まで上昇した場合、地球は私たちが住めない星になることが確実視されているからだ。ただし1.5度までに抑えるという目標すら、きわめてハードルが高いものである。

・また2020年以来世界を襲って新型コロナウイルス感染症も、本来は世界が一つになって対処すべき問題である。だが、現実に起きたのは、主要国がワクチンの開発中から争奪戦を繰り広げる「ワクチン・ナショナリズム」と言われる現象だった。WHOは、ワクチンを先進国と途上国に公平に届ける仕組みとして「COVAX・ファシリティ」を設けたが、実際には途上国の人々への接種は後回しにされた。

・世界には、自国の国益のみを追求しているだけでは解決できない問題がある。私たちには地政学的な視点で世界を見つつも、一方で地政学よりも巨視的な視点で世界のあり方を考えていくことが求められている。

『地政学』

ビジネス教養  サクッとわかる

防衛のプロへも指南、地政学の第一人者が伝授!

奥山真司  新星出版社  2020/6/13 

<国際政治が「劇」なら、地政学は「舞台装置」 国家の裏側にある思惑をひも解くスキル>

・世界はどんどん小さくなり、グローバル化が進んだ現在、教養として重要度を増しているのが、地球全体をマクロな視点でとらえ、世界各国の動向を分析する地政学です。

・では、地政学とは何なのでしょう。研究者によってさまざまな答えがあると思いますが、私は「国際政治を冷酷に見る視点やアプローチ」と考えています。多くの日本人が思うよりも、国際政治での国家のふるまいは冷酷で残虐です。

・2020年現在、新型コロナウイルスの蔓延により世界中で未曽有の大混乱が起こっています。この混乱の背後で、アメリカと中国は世界の覇権をめぐって“新冷戦”ともいえる頂上決戦を行っているのにお気づきでしょうか?この決戦は、世界の将来を左右するものですから、海外で活躍するビジネスマンなどは当然として、ほとんどすべての人に影響を与えるでしょう。こうした世界的な動きを正確に把握するには、地政学な視点が絶対に必要なのです。

・例えるなら、国際政治を「劇」とすれば、地政学は「舞台装置」です。「劇」の裏側で、そのシステム全体の構造を決めているのは「舞台装置」ですから、国際政治の表面的な部分だけでなく、その裏にある各国の思惑を理解するには、地政学の考え方を身につける必要があるのです。

<地理的に衝突が頻発する3大エリアをめぐる“国のふるまい”の研究>

<3大エリアの衝突をマクロな視点で読み解く>

・上図は、地政学の重要な概念を提唱したマッキンダーという人が描いた世界地図を簡略化したものです。地政学とは、おおまかにいえば地図の中央上部エリアの勢力と、周辺の対抗勢力との衝突をマクロな視点で研究するもの。

 もう少し具体的にいえば、アジア・中東・ヨーロッパという3大エリアで、衝突に関係する国のふるまいの研究です。世界的なニュースのほとんどは、このエリアに関わっているため、地政学を知ることは、世界の情勢を知ることにつながるのです。

<地政学を戦略に活用すれば“道”や“要所”をおさえてエリアを一気に支配できる>

<効率的に、あるエリアを支配するには………>

・地政学における国際情勢の研究では、「ある国やエリアを誰がどうやって支配するのか」が非常に重要なポイントです。地政学的に、支配するのにもっとも効率が良く、効果的なのが「道」と「要所」を手に入れること。

・このように、地政学をミクロな視点でとらえると、あるエリアを支配するための戦略が見えてきます。

<地政学を知ると見えてくる世界の姿>

<地政学の理論では中国の外交は必ず失敗する>

・急成長をとげ、一帯一路構想などで海外進出をする中国。しかし、地政学の理論で見ると、かつてローマ帝国や大日本帝国が衰退したのと同じ、ある重大な欠陥が。

<中国やロシアなど、内陸の大国は領土を奪われないために拡大する宿命が>

・ニュースなどで見かける中国やロシアの領土問題。いつの時代も内陸の大国は拡大する性質があり、それは領土を奪われる恐怖が影響しています。

<ローマ帝国に大英帝国、アメリカも。覇権国のスタートは近海の制覇>

・かつて世界の覇権を握ったローマ帝国に大英帝国、そして、現在その座はアメリカです。実はこうした覇権国の海洋進出で最初に行うのは、常に“近海の制覇”です。

<日本では条約を守るのが当然。世界では地政学的メリットの優先が当たり前>

・日本人は、決まりを遵守するのが当然と考えますが、実は世界ではそれは少数派。世界では、自国の権益を守るため、地政学的なメリットを優先するのが当たり前なのです。

<国際社会でのふるまいはイデオロギーでも世論でもなく軍事力と経済力のパワーで決まる>

・地政学を知ると、軍事力と経済力というリアルなパワーのみで動く、世界の論理が見えてきます。そこに、イデオロギーや世論、カリスマなどは関係ありません。

<白村江の戦いから日中戦争、イラク戦争まで……。大きな国際紛争は陸vs海の権力闘争>

・地政学的な視点で見ると、これまで地球上で起きた大きな国際紛争は、陸戦力(ランドパワー)と海勢力(シーパワー)の闘争です。

<昔のセオリーがドイツやイギリス、アメリカで体系化されてきた! 地政学の歴史>

・はるか古代から、戦争や物流において人間が物理的に移動できる距離や移動に適した地形など、地理に関するセオリーは存在していました。こうした知識を近代的な戦略として初めて活用したのが、1800年代後半のプロイセン王国、現在のドイツといわれています。プロイセンは地理や地形のセオリーを戦略として活用し、当時の大帝国であったフランスとの普仏戦争に勝利したのです。

 こうして、「国際紛争や外交で役立つ実践的な学問として地理を研究しよう」という機運が高まっていきました。

 日本でいうと明治時代に、アメリカのマハンという軍人が、シーパワーやランドパワーの概念を提唱し、イギリスのマッキンダーという学者はマハンの主張を継承しながら、ハートランドという概念を提唱しました。

 その後、第ニ次世界大戦の時代にアメリカのジャーナリスト、スパイクマンによってリムランドという概念が提唱され、地政学の基礎が完成し、体系化されていったのです。当時考えだされた理論の多くは、現在の外交戦略でも活用されています。

<基本的な6つの概念>

<1、地政学を駆使すれば世界を「コントロール」できる ⁉>

・地政学とは、簡単にいうと「国の物理的な条件をもとに、他国との関係性や国際社会での行動を考える」アプローチ。

・イデオロギーを排除し、地理的な側面から国家のふるまいを検証する地政学を学べば、国の本音を見抜けます。

<2、他国をコントロールする戦略「バランス・オブ・パワー」は、要するに猿山理論>

・地政学の最大のメリットである“相手をコントロール”するための重要な考え方が、「バランス・オブ・パワー」と「チョーク・ポイント」です。

 まず「バランス・オブ・パワー」とは、日本語にすると“勢力均衡”。突出した強国をつくらず、勢力を同等にして秩序を保つという国際関係のメカニズムです。

<3、「チョーク・ポイント」をおさえて国家の命綱である「ルート」を支配する>

・ここでいうルートとは海上交通の道、つまりは海路のこと。グローバル化といわれる現在でも国から国、また、中東やアジアなどエリア間の大規模な物流の中心は海路であり、国家の運営においてルートは命綱です。「チョーク・ポイント」とは、このルートを航行するうえで絶対に通る、海上の関所。

・現在、世界の多くのチョーク・ポイントをおさえているのが米海軍です。アメリカが世界の覇権を握れるのは、世界最大規模の陸軍や、最新鋭の戦闘機をそろえる空軍ではなく、チョーク・ポイント、そしてルートを握る海軍の力なのです。

<4、国際的な紛争に見え隠れする「ランドパワー」と「シーパワー」の正体>

・人類の歴史では、大きな力を持ったランドパワーの国がさらなるパワーを求めて海洋へ進出すると、自らのフィールドを守るシーパワーの衝突する、という流れを何度も繰り返しています。つまり、大きな国際紛争は、常にランドパワーとシーパワーのせめぎ合いなのです。

 もう一つ、歴史から浮かび上がるポイントが、“ランドパワーとシーパワーは両立できない”こと。古くは、ローマ帝国はランドパワーの大国でしたが、海洋進出をして国力が低下し、崩壊。また、日本の敗戦も太平洋の支配に加え、中国内陸部への進出を目論み、シーとランドの両立を目指して失敗したと地政学では考えます。

<5、大きな紛争は「ハートランド」のランドパワーと「リムランド」のシーパワーの衝突>

・ハートランドとは、文字通りユーラシア大陸の心臓部で、現在のロシアのあたり。寒冷で雨量が少なく、平坦な平野が多いエリアです。

・リムランドは、主にユーラシア大陸の海岸線に沿った沿岸部で、温暖で雨量が多く、経済活動が盛んなエリアです。

・つまり、地政学的には、リムランドは「ハートランドのランドパワー」と「周辺のシーパワー」という勢力同士の国際紛争が起こる場所なのです。

<6、国同士の衝突の火種に ⁉ コントロールに必須の「拠点」の重要性>

・相手をコントロールする際に、もう一つ重要なのが、足がかりとして“拠点”をつくること。あるエリアをコントロールするには、その付近に拠点をつくり、レーダーで監視をしたり、軍隊を駐屯するなどして影響力を保持します。

・このように、国と国の小競り合いを見ると、コントロールに必須の拠点争いが原因であることが多いのです。

<日本の地政学>

・地政学的にとらえると、島国であること以外にも日本には多くのめぐまれた環境がありました。

<歴史 地政学的に見ると日本は①ランドパワー➡②シー&ランドパワー➡③シーパワー>

<国土 攻めにくい自然環境&自給できる国土により独立を守る>

<衝突 長らく中国と朝鮮半島のランドパワー勢力と対立。韓国がある現在は例外的な時代>

・現在の日本の対立国は主に中国と北朝鮮で、米軍基地のある韓国とは、基本的には協力関係にあります。

<地政学的な優位性で独立を守れた島国日本>

・イギリスは、1066年に「ノルマン・コンクエスト」という戦いでノルマン人に征服された。

<なんで北方領土はロシアから返還されない?>

1、 海を挟んでアメリカ本土に面した北方領土。ロシアがアメリカ、そして中国をもけん制する重要拠点です。

2、 2000年頃に航行可能となったロシアの北の海を通る「北極海ルート」を守ります。

3、 ロシアにとっては重要ですが、日本にとっては地政学的メリットはほとんどありません。

<アメリカと中東諸国の関係って今どうなってるの?>

<自国で石油生産ができるようになり、中東から手を引きたい>

・石油の産出地である中東は重要視されてきましたが、2010年代、アメリカが自国内で石油を生産できるようになったために、関心は低くなっています。

<中東の大国イランの後ろにロシア・中国が迫る>

・中東最大の敵はイラン。そこに中東での覇権をねらうロシアだけでなく、中国が絡みます。

<地政学で考える中国の特徴>

<国土 はるか昔から、国土の広さのせいで周辺国から攻められる恐怖心が!>

・アジア最大の国土面積を持つ中国。古来より、漢民族と四方に住む異民族との争いや、ロシアやベトナムなどの隣接国との国境紛争が絶えず、常に陸の脅威に悩まされてきました。

<統制 漢民族のほかに50以上の少数民族がいる>

・中国は国内に50以上の少数民族がいます。国内を監視・統制するための治安維持費用が国防費を上回るという、珍しい状態です。

・右肩上がりの国防費と治安維持費。特に治安維持費は2010年以降、国防費を上回っています。治安維持費には、反体制派の監視やジャーナリストの盗聴、過激派対策、ネット上の政治的内容の削除なども含まれるといわれています。

<戦略 中国史上2度目のシーパワー国家を目指す>

・1400年代に海洋進出したことがありますが、周辺国との戦いに注力するために中止に。そして現在、再びシーパワー国家を目指し、海洋へ進出しています。

<海上に線を引く ⁉ 地政学的にはありえない軍事戦略「第一・第二列島線>

<独自の線を海に引きアメリカの接近を抑止する>

・海洋進出をする際、シーパワー国家は「拠点」を確保することを第一に考えます。つまり、まずは「点」をおさえ、そこから周囲ににらみを効かせてそのエリアをコントロールに入れるのです。

・ところがランドパワー国家の中国は海も陸と同じように「面」で考えます。それが表れているのが、鄧小平が提唱した「第一列島線」「第二列島線」という概念。

<いかにも“陸の国”らいしい海洋進出アプローチとは?>

<海を制すには、拠点を取るのが地政学の常識>

・海の覇権を握るには、島に拠点をつくり、そこから周囲の海域をコントロールするのが地政学の常識とされています。

<中国のランドパワー的海洋進出アプローチ>

<海に線を引き、“面”で取ろうとする>

・国境という“線”の概念が強い中国は、海にも独自の線を引き、点ではなく、面でとろうとしているのです。

<現代版シルクロードといわれる「一帯一路」とは“いったい”どんな構想なの?>

<シーパワーとランドパワーを両立させ貿易を促進させる構想だが裏にはさまざまな問題が>

<世界を豊かにする構想に見えるがその裏には………>

・中国の本音としては国内で過剰になった製品を国外で売って利益を得たいという思いや、13億の国民に国外で仕事を与える意図もあるようです。

 さらに、中国の貸しつけに対し、返済不能になると中国が使用権を独占するという“債務の罠”も国際的に問題視されています。

 ランドとシーの力を両立し、存続できた国家はこれまでになく、一帯一路の先行きは不透明です。

<世界情勢を大きく変える! 新型コロナウイルス後の世界は中国がさらに台頭 ⁉>

<コロナウイルスのまん延 国境封鎖にともない、一時的に「グローバリズム」が減退>

<国際情勢を大きく揺るがす新型コロナの流行>

<シーパワー優位の現状から収束直後は「中国の台頭」、その後「シーパワーの復権へ>

・2020年初頭から一気に広まった新型コロナウイルスは、世界を大混乱におとしいれました。国際情勢において、第ニ次世界大戦並の影響があるといわれています。

・このウイルスの流行を地政学的にとらえると、まず国境封鎖などによって、現代の国際社会の前提ともいえる「グローバリズム」の流れが一時的に減退すると考えられます。「グローバリズム」はシーパワーの土台であるため、相反するランドパワーの勢力が強くなります。なかでも、人口が多く、ある程度自国内で経済を回せる中国は、世界の経済が大きな打撃を受けるなかで、さらに躍進を遂げると予測されています。ただし、ウイルスの危機が収束して5~10年程度たつと、一帯一路で拡大した中国の勢力に、流行以前に影響力のあったシーパワー勢力が戻ってくるため、以降は中国も成長を続けられないと思われます。

<ISは崩壊したのに混乱の増すシリア内戦……なぜこんなに衝突が続く?>

<露支援の独裁政権vs欧米支援の反体制組織に>

<宗教問題や民族問題が重なり、状況は複雑化>

<世界中の国を巻き込むシリア内戦>

・2010年代初頭から続くシリア内戦。イスラム国(IS)崩壊後も争いが続く現在の様子を見てみましょう。

 もともとシリア国内では、シーア派の独裁体制であるアサド政権と、国民の多数を占めるスンニ派の反体制武装組織が対立していました。そこへ、シーア派やアメリカへの不満を募らせ、イラクで生まれたスンニ派のISが合流し、「アサド政権」対「反体制組織+IS」という構図になりました。

・世界中でテロを起こし、勢力を拡大したISですが、米軍を中心とする部隊に空爆を受け、2017年10月にはISが首都と称していたラッカが陥落し、崩壊したようです。その後、同地で勢力を得たのが、「国家を持たない世界最大の民族」といわれ、独立を目指すクルド人です。現在は、アメリカやロシア、イランからの支援を受け、アサド政権と反体制組織とクルド人が三つ巴の争いを展開しています。

<宗教も絡んでよくわからない問題を歴史から整理して!>

<要はユダヤ人のイスラエルとアラブ人のパレスチナの争い>

<いつまでも争いが続くイスラエルの紛争>

・イスラエルで続く紛争の経緯を振り返ってみましょう。

 第一次世界大戦後、バルフォア宣言の影響もあり、世界に散らばるユダヤ人は独立国家を建設するため、パレスチナに移住。すると、長年現地に住んでいたパレスチナ人(アラブ人)と対立します。これが紛争の大きなきっかけの一つです。また、ユダヤ人が信仰するユダヤ教と、パレスチナ人が信仰するイスラム教は、互いにエルサレムという都市が聖地であり、この場所の領有をめぐる争いも、紛争を大きくする原因になりました。

・1947年に国連が「イスラエルとパレスチナ」に分割しますが双方反発。アメリカ支援のイスラエルと、アラブ諸国支援のパレスチナで中東戦争が勃発します。その後、二国共存を認めるパレスチナ暫定自治協定が結ばれますが、再び抵抗運動が展開され、争いが続いています。

<現在の問題>

・イスラエルにとっては、武装組織ハマスや過激派組織ヒズボラなどが現在の主な脅威。

<地政学で考えるヨーロッパの特徴>

<歴史 ヨーロッパは大きな半島。揺れ動きが激しく、安定しづらいという特徴が>

<同盟 ヨーロッパ諸国が締結しているのが政治経済の「EU」と軍事の「NATO」>

<大国同士のせめぎ合いの影響を受け続ける>

・地政学的に、ヨーロッパはユーラシア大陸の西に位置する「半島」です。海洋に進出しやすい反面、陸続きのロシアからの脅威に常にさらされ、またヨーロッパの南にはイスラム諸国が控えています。つまり、東のロシアと南のイスラム、2つの勢力とせめぎ合いを続けてきたのがヨーロッパの歴史なのです。

 第ニ次大戦後はさらにアメリカが介入。

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