結論からいえば、邪馬台国があったのは幾内。三輪山を中心とする奈良盆地に女王・卑弥呼の都があり、居城は宇陀の鳥見山にあったという。(1)

(2022/11/20)

『オカルト編集王』

月刊「ムー」編集長のあやしい仕事術

三上丈晴  学研プラス  2022/6/2

<オカルト編集者と呼ばれて>

・日本一あやしい雑誌「ムー」の編集をさせていただいております。「三上丈晴」と申します。何卒よろしくお願いします。

 と、挨拶をしつづけて、はや30年。あっという間でした。

・たかだか30年で偉そうなことはいえませんが、編集者とは何かと問われれば、雑誌や書籍に関わることの雑用をすべてこなす「なんでも係」みたいなもんでしょうか。

<学研入社、「ムー」編集部配属>

<最初の本は「チンギス・ハーン」>

・チンギス・ハーン、すなわちジンギス汗には個人的に特別な思い入れがある。ジンギス汗の奇説といえば、そう、源義経である。衣川の戦いで自決したとされる源義経は実際のところ、死んではおらず、東北から北海道へと渡り、そこで自らの国を作る。先住民であるアイヌから尊敬され、ハンガンカムイとして神社に祀られたとも。

 さらには弁慶橋を経て海を渡り、大陸へ。持ち前の才能を生かして、ついには遊牧騎馬民族の王となった。源義経を音読みして「ゲンギケイ」、これが転訛して「ジンギスカン」と呼ばれるようになったという。

<第六天魔王信長、そして三角トレード>

・織田信長ときて個人的に思い入れがある故事は、なんといっても「第六天魔王」で、これは仏教の世界観でいう欲界の頂点に立つ他化自在天のことである。

世界を破滅へと導く恐ろしい第六天魔王は、まさに冷徹にして残虐な性格として描かれる織田信長にふさわしい。まさに「鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす」である。織田信長は武田信玄からの手紙に返信をする際、自ら第六天魔王と名乗って署名している。歴史学者によれば、これは武田信玄が天台座主沙門信玄と称したことに対抗する信長流の意志表明だという。

・このエピソードをヒントに描かれた漫画に荻野真氏の『孔雀王』がある。集英社の「週刊ヤングジャンプ」に連載され、映画にもなった人気シリーズである。孔雀王とは仏教における孔雀明王のことだが、一説に、ヤズディ教の孔雀天使マラク・ターウースのことだともされる。ヤズディ教はクルド人の宗教で、イスラム教徒からは悪魔崇拝として忌み嫌われることもある。

 というのも、孔雀天使は最初に創造された至高の天使であったが、あるとき自惚れて傲慢な存在となり、不遜にも仲間の天使を率いて神に戦いを挑んだ。結果は火を見るよりも明らかで、反逆天使たちは地獄へと落とされ、闇の中に幽閉されてしまう。彼らは悪魔となり、地上の人間を誘惑し、堕落させようとしているという。

 同様の伝説はユダヤ教やキリスト教、そしてイスラム教にもある。『旧約聖書』によれば、天界にはもっとも位階の高い光の天使がいた。輝ける暁の子という意味のヘブライ語でヘレル・ベン・サハル、光を運ぶ者という意味のラテン語ではルシファーと呼ぶ、ルシファーは傲慢になり、天使の3分の1を率いて神に反逆するも、これに敗れて地上へと投げ落とされる。堕天使とされた彼らは地獄へ幽閉されて悪魔となり、ルシファーは大魔王サタンと呼ばれるようになったという。

 孔雀天使の神話は、まさに堕天使ルシファーの物語である。『旧約聖書』を聖典とする人々にとって、孔雀天使は大魔王サタンである。よって、孔雀天使を崇拝するヤズディ教は悪魔教にほかならないというわけである。

<すべたは根底で深く結びついている>

・古代文明のルーツに関しては、異星人の関与があったのではないかという説もある。神話における神々の正体はエイリアンだったのではないかというのだ。原始的な状態にあった人類の祖先に遺伝子操作を行ってホモ・サピエンスを作りだしたとか、そもそも異星人が祖先なのではないかという説もある。

 人類発祥に深く関わっているからこそ、異星人は今も地球を訪れて、地球人を監視している。彼らが搭乗しているのがUFOだ。UFOに乗って異星人とテレパシーで交流しているという人もいる。通称、コンタクティだ。彼らによれば、もっとも進化した異星人は肉体をもっていないとか。地球人もやがて霊的進化を遂げるときがやってくる。

 実は、太古の昔から、こうした事実を知っている人たちがいる。彼らは秘密結社を組織し、やがて全人類を支配しようとしている。フリーメーソンやイルミナティ、最近ではディープステートだ。メンバーの中には人間に成りすましている悪い異星人がいる。爬虫類型人類レプティリアンだ。

・こうした陰謀論の行きつく先が人類滅亡である。『聖書』の終末預言からノストラダムスの大予言まで、やがて人類は大戦争によって滅ぶと語る。この世の終わり、富士山はもちろん、世界中の火山が噴火し、巨大地震が各地を襲う。彗星や小惑星が激突し、地球環境が一変。地軸が変化するポールシフトが起こり、人類は大混乱の中、恐怖のどん底に落とされる。恐怖心は猜疑を生み、やがて戦争を引き起こす。

 愚かな戦争によって人類が滅亡の淵に立たされた最後の瞬間、天からメシアが降臨する。それがキリスト教でいうイエス・キリストなのか。仏教の弥勒菩薩なのか。はたまたUFOに乗った異星人なのか。地球内部に存在する理想社会シャンバラから地底人が姿を現すという説もある。

<答えはひとつではない>

・最近、オカルト番組が少なくなったという話を聞く。コンプライアンス・コードが厳しくなり、一方的な主張を展開する番組が作りづらくなっているという。オカルトも、賛否両論を前面に出す必要があるのだとか。もっとも、ムー的なテーマの番組という意味では、さほど少なくなったという印象がないのも事実である。

<マーフィーの成功哲学>

・サラリーマンはもちろんだが、起業を目指す方は書店の自己啓発コーナーに行ったことがあるのではないだろうか。仕事術と称した本を中心に、いかにすばらしい人生を送るかといったテーマの書籍が数多く置かれている。

・基本的には自己肯定やポジティブシンキング、さらに引き寄せの法則などとうたった書籍もある。

・典型的なのは「マーフィーの成功哲学」である。ビジネスパーソンなら、一度は目にしたことがあるのではないだろうか。

・提唱者のジョセフ・マーフィーはキリスト教の牧師である。ディヴァイン・サイエンス協会といって、一種の新興宗教の指導者だ。キリスト教と合理主義を心理学をもって統合したニューソートという思想が中心にある。潜在意識に働きかけることで、成功を手にすることができると説き、潜在意識が『聖書』でいう神、もしくは神が創造したものであると位置づける。

・先述したアドラー心理学をベースにした本などと紹介されることもあるが、潜在意識や集合無意識を肯定している点で、むしろユング心理学に近い。カール・グスタフ・ユングはオカルトにも造詣が深く、易経を研究していたことはすでに述べた。

・当然ながら、マーフィーの成功哲学は昔から知っている。中学生のころには、すでに何冊か読んでいた。読んでいると、なんというか、安心する。

・今日、ビジネス書にはたくさんの自己啓発本が並んでいる。どれもがムー的である。すべてがオカルト本だとはいわないが、スピリチュアル本であることは確かだ。読むことでポジティブになれる。実践して、実際に成功するかどうかはわからないが、人生に行き詰まったら、読む価値はある。少なくとも、精神安定剤にはなるだろう。

<『聖書』を読むべし>

・世界的に有名な画家に『落穂拾い』がある。19世紀のフランスの画家ジャン=フランソワ・ミレーによって描かれた風景画である。刈り取られた麦畑に3人の人物が描かれている。彼女らは腰をかがめて、地盤の落穂を拾っている。穏やかな日差しを受けて、平和な日常を写実的に描いている。

 さて、ここで問題です。『落穂拾い』に描かれた3人は、いったい何者でしょうか。

・なぜミレーは麦泥棒を題材にして絵を描いたのだろうか。実は、これには深いわけがある。畑のオーナーは、なぜ、そもそも麦泥棒を追い払わなかったのか。なぜ、そのまま落ち穂を拾うことを許したのか。ここなのだ。

 理由は『聖書』にある。『旧約聖書』の「レビ記」にはイスラエル人に対する戒めとして、収穫の際に落ちた穂は拾ってはならないと定められているのだ。なぜなら、落穂は寄留者、つまり流浪の民や社会的な弱者のためのものだから、かつてはイスラエル人も寄留者だった。そのことを忘れてはならないというわけである。

 畑のオーナーは、これを知っていた。ユダヤ教徒、もしくはクリスチャンだったのであろう。『聖書』の教えを守っていた。だからこそ、落穂を拾わずに、そのままにした。あえて残された落穂を拾う人々を絵くことによって、ミレーは畑のオーナーはもちろん、この農村に住んでいる人々の敬虔な信仰を表現したものである。

 とはいえ、これは『聖書』を知らなければ、まったく理解できない。ほとんどの日本人が抱くように、拾っているのは畑の持ち主だと勘違いしてしまう。描いた人間はもちろん、描かれた時代や国、民族を知らなければ、絵画を理解したことにならない。とくに欧米はもとより、中東など、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教の世界では、すべての根本は『旧約聖書』である。これに『タルムード』でユダヤ教、『新約聖書』でキリスト教、さらには『コーラン』でイスラム教なのだ。

 世界史を理解するために『聖書』は必須である。『旧約聖書』と『新約聖書』は、絶対に読んで置かなければならない。ムー的なことでいえば、オカルトの基本は『聖書』にあるといっても過言ではない。

・世界を理解することはもちろん、回りまわって、最終的には日本の謎を解く鍵にもなる。日本人とユダヤ人が同じ祖先をもつ兄弟であることも、実は『聖書』を読むことでわかってくるはずだ。『旧約聖書』のモーセ五書、いわゆる『トーラー』の内容を知れば、いかに日本の神道と古代ユダヤ人の習慣が似ているか、驚くに違いない。

<ジョー・マクモニーグルFBI超能力捜査官>

・世の中、常に表と裏がある。表向き、超能力の存在は否定されているが、裏では存在することが前提で動いている世界がある。アメリカの連邦捜査局FBIである。正確にいえば、FBIに協力していたアメリカ軍である。かつてアメリカ軍の中には超能力部隊が存在していた。コードネームは「スターゲイト・プロジェクト」。全国から集められた優秀な超能力者が極秘ミッションに当たっていたのである。

 プロジェクトの主たる超能力者のひとりが伝説のインゴ・スワンである。彼の能力は恐るべきもので、火星の裏側まで透視するといわれていた。スターゲイト・プロジェクトでは、主に「遠隔透視=リモートビューイング」を活用していた。敵国の秘密基地などの内部を透視して、作戦に役立てるのが目的だ。

 インゴ・スワンをして、自分の能力に匹敵する人物だと評価されたのが、ジョー・マクモニーグル氏である。彼らの遠隔透視は非常に詳細で、描かれた地図をたどると、実際にターゲットに行きつく。そのために、しばしば人捜しの案件で、お声がかかることもある。軍を退役した今では、テレビ番組に協力したこともある。日本でも、行方不明者を捜し出すというテーマで何度か特番が組まれた。

 芸人の麒麟のひとり、『ホームレス中学生』(幻冬舎よしもと文庫)で話題になった田村裕氏が出演した際のエピソードは今でも語り草になっている。番組内で中学生のときに蒸発した父親をマクモニーグル氏の透視によって見つけだし、感動の再会を果たしたのだ。

<「卑弥呼の出身地は山口」と透視>

・テーマに選んだのが「邪馬台国」である。紀元3世紀、古代日本に存在した邪馬台国の所在地は今もって確定していない。大きく幾内説と九州説に分かれ、論争が続いている。歴史学者でもわからない謎を超能力を使って解き明かすというわけだ。これにはマクモニーグル氏も興味をもってくれて、さっそく作戦を開始することとなった。

 詳しい調査の経緯は『邪馬台国発見―FBI超能力捜査官ジョー・マクモニーグルのサイキック考古学』及び『ジョー・マクモニーグルのサイキック歴史学 謎の邪馬台国を発見』に譲るが、結論からいえば、邪馬台国があったのは幾内。三輪山を中心とする奈良盆地に女王・卑弥呼の都があり、居城は宇陀の鳥見山にあったという。

・ただし、ここからがおもしろい。邪馬台国は幾内だが、卑弥呼の出身地は山口であるという。夏は大和にいたが、冬になると故郷である山口に戻っていた。亡くなったのも山口で、下関にある豊田湖の湖畔に墓がある。現代、そこは安徳天皇御陵墓参考地になっており、宮内庁の管理下にある。

 幾内説では、卑弥呼の墓を箸墓古墳だとするが、そこに卑弥呼は眠っていないことになる。仮に、これが事実だとしたら、学者には無理だ。九州ならいざ知らず、卑弥呼が下関出身で、そこに陵墓があるなど、だれが想像できるだろう。まさに超能力だからこそ解明できたのだ。

 あとは安徳天皇御陵墓参考地を発掘調査すれば、すべての決着はつく。安徳天皇は平安時代の人物で、年代が合わないと指摘するかもしれないが、この御陵墓参考地、なぜか瓢箪形をしているのだ。これがもし、前方後円墳であれば、時代は一気に遡る。大型の前方後円墳が作られるようになるのは、まさに卑弥呼の時代からなのだ。

<相手の「胃袋」をつかめ!>

・マクモニーグル氏といっしょに現地調査をしていると、次第に彼の性格や嗜好性がわかってくる。何より、彼は粉モノが大好物である。お好み焼きやタコ焼き、焼きそばが大好きなのである。

・どうも、とんかつソースの味がお気に入りらしい。外国人をもてなす機会が多いビジネスマンが、アメリカ人には、お決まりの寿司やてんぷらよりも、とんかつ料理の店に連れていったほうが喜ばれるといっていたが、まさにその通り。

<木村秋則 奇跡のリンゴとUFO>

・男の名は木村秋則。映画『奇跡のリンゴ』の主人公である。彼は青森県に住むリンゴ農家で、世界で初めてリンゴの無農薬栽培を成功させたことで知られる。

 偉業を成し遂げた裏には、筆舌に尽しがたい苦労があり、一時は自殺まで考えた。

・映画は無農薬栽培を志し、それが実現するまでの実話をもとにした作品で、公開されるや、多くの人の感涙を誘った。

 だが、映画には描かれることのなかったもうひとつの奇跡がある。いや、ひとつだけではない。木村さんの人生そのものが奇跡、超常現象の連続だといってもけっして過言ではない。UFO遭遇事件は、その嚆矢といっていい。

<気が付くと、そこはUFOの中>

・まだリンゴの実がひとつも実らなかったころ、木村さんは日が暮れるまで畑にいた。明るいと人目につき、無農薬栽培の反対者たちの陰口が聞こえてくるからだ。その日も、頃合いを見計らって周囲に人がいないことを確かめると、バイクにまたがり、エンジンをかけた。

 と、次の瞬間、前方に人影が見えた。ふたりいる。ライトに浮かび上がった姿は明らかに地球人ではない。身長は130センチぐらいで大きな目、そして何より地上から少し浮いたまま立っている。

「危害を加えることはないから安心しなさい」

 直接、頭の中に響いてきた。世にいうテレパシーだ。あっけにとられていると、やがて異星人たちは姿を消した。必死で無農薬栽培に挑んでいる木村さんを見て、異星人たちも応援に来たのだろうか。

 

・後日、木村さんは再び異星人と遭遇する。リンゴが少しずつ実りはじめたころ、夜中に突如、目が覚めた。見ると、窓の外に例のふたりが立っている。寝室は2階にあり、空中に浮遊していることは明らかだった。驚いていると、窓の鍵がひとりでに外れ、異星人が部屋に入ってくる。彼らは硬直して動けないでいる木村さんの両腕を抱えると、そのまま拉致していく。

 一瞬気絶し、気がつくと、そこはUFOの中だった。公園にあるようなベンチに座っている。隣には地球人がふたりいた。ひとりは海兵隊のような白人男性、もうひとりは金髪の白人女性だった。そう、後にUFO特番で自らの体験を語ることになる女性である。

 やがて、ふたりの白人は異星人によって別室に連行され、そこで人体実験のようなことをされた。次は自分の番だと思っていると、いつまでたっても異星人は来ない。窓の外を見ると、夜景が見える。竪穴式住居のような建物が並んでいるが、明らかに地球ではないように思えた。

 しばらくすると、異星人がひとり現れ、木村さんを操縦席らしき部屋に案内する。例によってテレパシーで語りかけてきたところによれば、UFOは地球人が知らない「ケー」という物質を動力源としており、これが実物だといって、異星人は30センチぐらいの三角形をした物体を手渡した。見た目よりも、おそろしく重い物質だったという。

 次に気がついたときは朝だった。自宅の寝室で目覚めた木村さんは、妙な夢を見たものだと、その内容を奥さんに話した。

・実は、この話には続きがある。リンゴの無農薬栽培を成功させると、その話は徐々に広がり、やがて商社の耳にも入る。商社Ⅰも、そのひとつ。しばしば木村さんを呼んで講演会を開くようになり、やがて上層部の人間がUFO事件の話を知る。

 ご存知のとおり、日本の商社がもつ情報収集力は世界一である。おそらくUFOに関しても、一般の人が知りえない情報を握っているに違いない。なんと、商社Ⅰの重役は全世界の支社に対して、木村さんといっしょに拉致された金髪の女性を捜しだせという檄を飛ばしたのだ。

 とはいえ、たまたまUFO特番の取材で、アメリカの地方都市で出会った女性である。名前もわからなければ、住んでいる場所も不明。ふつうならばお手上げ状態だが、さすがは商社Ⅰである。CIAなみの情報力で、なんと彼女を捜し当てたのだ。現在、フランスに住んでいるという。

・一方の木村さんもまた、彼女の映像を見て、少し歳をとって太ったようだが、間違いないという。やはりUFO事件は実際に起こったのだ。

<突然現れた謎のふたり組>

・となると、気になることがある。しばしばUFOに遭遇したり、異星人に誘拐された人たちは、命が惜しければ、事件の真相を他に話さないようにと、当局から圧力がかかる。

 映画『メン・イン・ブラック』のモチーフともなった、黒ずくめの男たちに脅迫されるのだ。

 木村さんにも、魔の手は伸びていた。ただし、彼の前に現れたのはメン・イン・ブラックではなく、別のふたり組だった。商社Mが主催した講演会を終えた木村さんが会場を出たときのことだ。突如、サングラスをかけた背の高い白人がふたり現れ、片言の日本語で「木村さんですか」と尋ねた。そうだと答えると、彼らは木村さんの両脇を抱え、そのまま拉致しようとしたのだ。

 幸い、たまたま、木村さんを見送っていた商社Mの社員が異変に気づき、大きな声で名前を叫び走ってきた。これに気づいた白人ふたり組は瞬間的に木村さんから離れ、どこかへ走り去ったという。

<高野誠鮮 ローマ法王もNASAも口説き落とすスーパー公務員>

・さっそく、高野さんはバチカン市国の駐日大使館を通じてお手紙を差し上げたところ、なんとローマ法王ベネディクト16世から返事が来た。申し出を受けるとのこと。かくして、羽咋の神子原米はローマ法王に、晴れて献上されることになったのだ。ローマ法王が召しあがった米の噂は、瞬く間に広がり、大手百貨店からも問い合わせが殺到した。このあたりの戦略は、高野さんの著書を読んでいただきたいが、実は、この裏で数奇な出会いがあったのである。

<運命的な出会い>

・無農薬にして、有機栽培でもない栽培法などがあるのか。いろいろ調査を進めるうち、ひとりの人物の名前を耳にする。奇跡のリンゴの木村秋則さんである。農薬も肥料も使わない自然栽培を実践しているということで、早速、羽咋に招聘。自然栽培についてレクチャーをしてもらった。

 木村さんと会うのは、このときが初めてだった。が、話を聞くうち、驚くべき事実が発覚する。おそらく、酒の席だったのだろう。木村さんがUFOの話をしたのだ。異星人らしき存在に会ったこと。UFOの内部に連れ込まれ、そこで金髪の白人女性と刈り上げ頭の白人男性がいたこと。さらには、その金髪女性が日本のUFO特番に出て、UFO内部で眼鏡をかけた東洋人を見かけた話をしたという。

 これを聞いて、高野さんは絶句した。なんと、そのUFO番組を制作したのは、何を隠そう。高野さん自身だったのだ。

<郷里に完成させた宇宙の出島>

・UFOに対する情報は地元に戻って公務員になってからは変わらなかった。嘱託公務員でありながら、羽咋市をUFOで町おこししようと提案。持ち前の行動力で、なんと世界中から宇宙飛行士やUFO研究家を呼んでシンポジウムを開いてしまった。素人の発想と機動力は、外務省を巻き込んで、えらい騒ぎになったらしい。

・かくして、どんどん話は大きくなり、ついには国から50億円の予算を引っ張ってきた。完成した施設に掲げた看板は「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」。コスモアイルとは宇宙の出島という意味だ。

・高野さんにとって、UFOは黒船である。開国ならぬ開星をしなければならない。たんなるお遊びではなく、真剣に、そう考えている。事実、公務員になる以前、高野さんは政党を立ち上げたこともある。その名も「UFO党」。1995年の参議院選挙では、バトル番組で有名になった、たま出版の韮澤潤一郎氏がUFO党の候補として出馬している。ちなみに、筆者はUFO党に一票投じている。

<飛鳥昭雄 サイエンス・エンターテイナーと圧巻の超新説>

・飛島氏が手掛けたあまたの月刊「ムー」の記事の中でも、圧巻は「反地球ヤハウェ」である。当時は、冥王星が惑星として数えられ、後述する第10番惑星と小惑星のもとになった惑星を含めて、「太陽系第12番惑星ヤハウェの謎」として総力特集を組んで、大反響を呼んだ。

<「極秘情報」で描く壮大な物語>

・漫画の中でギルモア博士は月の専門家ということになっている。NASAの極秘データから、月の内部は空洞であると断定。

・では、そもそも灼熱の巨大彗星ヤハウェは、どこから来たのか。ここでも飛鳥説は冴えわたる。木星だ。木星の大赤斑から噴出したのだ。かつて精神分析医イマヌエル・ヴェリコフスキーは著書『衝突する宇宙』の中で、約4000年前、金星は木星から誕生したと主張したが、まさにそれをほぼ肯定する。金星以前にも、もうひとつ巨大彗星が誕生しており、さらに出てきた場所は大赤斑だと特定。木星はガス惑星ではなく、巨大な地殻をもっており、大赤斑の直下には超巨大火山が存在するのだという。

 この奇想天外な話は、まだまだ続く。約4500年前に誕生した巨大彗星ヤハウェは太陽系を荒らしまわり、天王星の地軸を傾け、海王星の衛星を弾き飛ばして、冥王星にした。続いて惑星NOXに接近。結果、惑星NOXは太陽系の黄道面に対して約90度の角度をもった軌道を描くようになる。これが世にいう太陽系第10番惑星だ。

<ミステリーサークルの騒動>

・捏造の告白という意味では、ミステリーサークル騒動も典型的だ。

 ミステリーサークルもまた、和製英語で、現地ではクロップサークルと呼ぶ。1980年代ごろから、イギリスの麦畑に巨大な円形痕ができはじめた。最初はシンプルな円形だったものが、徐々に進化して、複雑化していく。しまいには300メートルにもおよぶ図形へと発展し、図形も立体的なレリーフのような構造をもつまでになる。

 だれもミステリーサークルが作られる場面を見た者はなく、ほとんど一夜、とくに深夜の1、2時間のうちに形成されると見られている。

 いったい何者がミステリーサークルを作っているのか。最初のシンプルな円形のときには、UFOの着陸痕、通称ソーサーネストではないかと見られたが、形状が複雑化するにしたがって、異星人が描いた地球人へのメッセージではないかと考えられるようになった。サークルメーカーの正体をめぐっては、異星人のほかに異次元の知的生命体なども可能性としてあげられたが、いずれも決定的な証拠に欠けていた。

<各界で提示された仮説>

・ミステリーサークルに関しては、超常現象研究家やスピリチュアリストのほかに、科学者も仮説を提示していた。ミステリーサークルの報告は中世にまで遡り、当時の人々は悪魔が麦刈りをしているのだと信じて、その挿話も残っている。初期のシンプルなミステリーサークルは特殊な自然現象の可能性がある。

 なかでも注目されたのがプラズマである。

<実証不可能な飛鳥説>

・では、いったいミステリーサークルができてしまう秘密兵器とは何なのか。これにずばり答えるのが、前出のサイエンス・エンターテイナー飛鳥昭雄氏である。爆弾発言と衝撃度において彼の右に出る者はいない。ムー的世界のスーパースターだ。飛鳥氏は秘密組織を通じて独自に入手したアメリカの諜報機関、国家安全保障局NSAの極秘文書をもとに、ミステリーサークルの秘密を暴露する。

 アメリカが秘密裏に開発していたのはプラズマ兵器である。コードネームはプラズナー。基本原理は、いたってシンプル。高周波の電磁波を交差させることによって火の玉を発生させる。ランチャータイプから軍事衛星連動型まで、プラズナーには多くのバリエーションがある。なかでも、エリア51から軍事衛星をリレーさせてイギリスの上空で火の玉を発生させ、麦畑に幾何学図形を描いたのが本物のミステリーサークルだというのだ。

<ペンタゴンのUFO機密情報>

・2021年、この年はアメリカにとって歴史的な節目となった。6月25日、アメリカ政府はUFOの存在を公式に認めたののだ。国防総省ペンタゴンの正式な調査レポートをもとに、UFOが実在することを政府として公認したのである。

・追及は、ここで終わらない。トランプ大統領の任期が切れる直前、様々な法案が提出された。トランプ大統領は多くの法案にサインをしたが、この中にペンタゴンがもっているUFO情報を開示するよう求める案件が含まれていた。これらの法案は、大統領の署名から180日以内に発動しなければならない決まりになっている。かくして、期限ぎりぎりの2021年6月25日、奇しくもUFOの日とされる6月24日の翌日に、ペンタゴンはUFOに関する調査報告書をアメリカ議会に提出したのである。

 実は、ペンタゴンがUFO映像を認めた前後で、アメリカ軍に動きがあった。懸案だった宇宙軍が正式に発足したのだ。

・もはや日本政府も、UFOの実在を認めざるをえなくなったのだ。これまでは、予算委員会などでUFOに対する質問が議員からなされると、きまって日本政府としてはUFOの存在を承知しておりませんと答えていたが、もう許されない。正面からUFOに対して、どう認識し、対処しているのかを答弁しなくてはならないのだ。

 UFOに関する一連のアメリカ軍の動きには、ひとつ特徴がある。一貫して、UFOという言葉を使っていないのだ。代わりに「UAP=未確認航空現象」という言葉を用いている。現象と表現することによって、エイリアンの宇宙船などではなく、もっと広い意味でUFOを捉えている。

<UFOは軍事用語>

・UFOに関してアメリカ軍の動きは早い。そう遠くない将来、アメリカ軍が地球外知的生命体の存在を正式に認めるだろう。それに向けて、着々と準備を始めている。

<ロズウェル事件と日本人>

・ところが、1990年代に入ると、流れが変わる。グレイから、だんだん人間に姿が近づいてくるのだ。グレイの親分はラージノーズグレイ、その背後には地球人とそっくりなノルディックやオレンジといった異星人が登場する。ロズウェル事件の異星人もまた、異星人解剖フィルムに見られるように、かなり地球人に近くなる。

<飛鳥説で解き明かされるエイリアンの正体>

・驚異の飛鳥情報によれば、ロズウェル事件で回収されたエイリアンは確かにモンゴロイドだった。血液型はO型。解剖の結果、地球人とまったく同じ、DNAにはYAPという特殊な遺伝子があることがわかった。

 現在、この地球上でYAP因子をもつ民族はふたつ。日本人とユダヤ人なのだ。

・日本人とユダヤ人は民族的にも兄弟なのだ。かつて月刊「ムー」でも日ユ同祖論を取り上げたことが何度かあるが、現在、科学的に証明されたといっても過言ではない。それを踏まえたうえで、さらに、ここにエイリアンが加わったことになる。

・飛鳥説の破壊力は、とどまるところを知らない。墜落したUFOの機体の内部には、確かに文書があった。ただし紙ではなく、特殊な金属でできており、完全な状態で見つかった。アメリカ軍は文書に書かれた文字をすぐさま解読にかかったのだが、なんと、あっさり読めてしまった。なぜか。少し変形していたが、ヘブライ語だったのである。しかも、文書の正体は『旧約聖書』だった。冒頭の部分は、まさに『創世記』だ。

 途中から一般に流布する『旧約聖書』と内容が異なるのだが、そこにエイリアンたちの素性が記されていた。彼らは「失われたイスラエル10支族」だったのだ。ユダヤ人は、もともとイスラエル人と呼ばれ、12支族から成っていた。紀元前930年ごろ、古代イスラエル王国が南北に分裂し、10支族から成る北朝イスラエル王国と2支族から成る南朝ユダヤ王国が誕生し、それぞれ後にアッシリア帝国と新バビロニア王国によって滅ぼされる。

 南朝ユダヤ王国の民は、やがてユダヤ人と呼ばれ、今日に至っているのだが、北朝イスラエル王国のイスラエル人は歴史上から忽然と消えてしまうのだ。これが世界史最大の謎とされる失われたイスラエル10支族である。失われた10支族は中東からアジア全域に広がったとされ、その一部は日本列島にやってきて、日本人の祖先の一部になったといわれる。

 しかし、膨大な数である失われたイスラエル10支族の本体は行方不明のまま。今もって所在がわからない。それがなんと、エイリアンだった。UFOを製造し、その中に乗り込んでいるエイリアンの正体は失われたイスラエル10支族だった。だからこそ、日本人とユダヤ人、両方に存在するYAP因子をもっていたのだ‼ 

<古代宇宙飛行士来訪説>

・しかし、メソポタミア文明の中でももっとも古いシュメール文明は別格である。最初から、すべてがそろっていた。社会制度や法律、建築技術、数学など、文明と呼ぶために必要な要素がほぼ完ぺきな状態でスタートしている。文明は徐々に発達するというマルクス史観な常識からすれば、明らかに異常である。シュメール文明に先行する先史文明が存在したのではないかといった仮説は、かなり古くからある。場違いな工芸品として知られるオーパ-ツは、まさしく、その証拠だ。

・考えられる可能性は大きくふたつ。超古代文明からの継承か、もしくは異星人から文化を教授されたか。前者は、失われたアトランティス文明やムー文明、さらにはレムリア文明などが知られる。これに対して後者は、神話における神々の正体は異星人で、彼らが高度な社会システムや技術を原始人に教えたと考える。かつては宇宙考古学とも呼ばれたが、最近では古代宇宙飛行士来訪説といった表現が一般的だ。

・メソポタミア文明も、しかり、とくにシュメール文明に関しては、もうひとりの論客ゼカリア・シッチン氏が有名だ。彼は神話に登場するアヌンナキは地球を訪れた異星人であると主張。彼らの故郷は太陽系第10番惑星ニビルだと指摘する。惑星ニビルは長楕円軌道をもっており、約3600年周期で地球に接近するという。

 惑星ニビルと反地球ヤハウェの関係が気になるところであるが、シッチン氏によれば地球を訪れた異星人アヌンナキが猿人に遺伝子操作を行って原人、さらにはホモ・サピエンスを作りあげた。当初は奴隷として生まれた人類であったが、やがて文化をもつようになり、古代文明が発祥したという。

<ノストラダムスの大予言>

・ユダヤはムー的世界においては重要なキーワードである。『聖書』から西洋魔術カバラ、陰謀論に至るまで、とかくユダヤ人の存在は大きい。先述の通り、最近では異星人問題にまで顔を出す。『旧約聖書』の創造神はエイリアンではないのかという説も、アメリカのテレビ番組『古代の宇宙人』では、さかんに取り上げられている。

 

・日本において、もっとも有名な予言者といえば、ご存知、ミシェル・ノストラダムスである。彼はカトリック教徒であるが、両親ともユダヤ系である。

・しかも、これを象徴するのが、何を隠そう1999年の予言詩なのだ。ノストラダムスの代名詞ともいえる『諸世紀』第10章72番は、かねてから人類滅亡の予言詩ではないかといわれてきた。日本でも大ブームになり、筆者も、かなりハマった。

<グランドクロス説明の衝撃>

・実際、1999年7月、もしくは8月には特別な事件は起こらなかった。ノストラダムスの本がベストセラーとなった作家の五島勉氏によれば、予言は2年ずれた。2001年9月11日に起こった世界同時多発テロである。ニューヨークの世界貿易センタービルにハイジャックされた飛行機が突っ込むという衝撃的な事件を予言していたのだと結論づけている。もっとも、世間的にはノストラダムスの予言は外れたのだという認識で、ほぼ一致している。人類が滅亡しなくてよかった、と。

 予言詩の解釈は別にして、1999年の7の月、旧暦を考慮して8月には、実に興味深い現象が起こっていた。グランドクロスである。地球を中心にして、太陽系の惑星が十字架を形成していたのだ。

・飛鳥情報は独自である。他の研究家が検証しようにも、出どころがわからない怪情報がいくつもある。なかでも、ショックの度合でいえば、おそらくナンバーワンなのが、前章でも紹介した太陽系第12番惑星である。なんと太陽を挟んで地球の反対側をほぼ同じ軌道で同じ速度で公転している惑星が存在する。ちょうど地球からは太陽の陰になり、直接、見ることはできない。SF小説でいう反地球が存在するというのである。

・真偽は定かではないが、NASAのネーミングも絶妙である。彼らの中にもノストラダムスのようなカバリストがいたのではないか。そう思わせてしまうのが、肝心の反地球のコードネームである。これが、なんと「ヤハウェ」なのだ。創造神の名前をつけるとは、ユダヤ教徒からすれば、なんとも罰当たりな話ではあるのだが、隠された暗号名という意味では、なるほどと思えなくもない。

<謎の渡来人「秦氏」とユダヤ>

・歴史的に三上氏には、いくつかの流れがある。弘前の三上氏は南部氏の一派、もしくは近江の佐々木源氏系だという説もある。が、十三湊の北前貿易を考えると、少なくともルーツは近江にあることは間違いない。

・忌部氏の配下には多くの渡来人がいた。『古語拾遺』によると、殖産豪族として、もっとも勢力をもっていたのは秦氏である。近江に秦荘(はたしょう)(現・愛荘町)という地名があり、そこには依知(えち)秦氏がいた。恐らく三上氏の実体は秦氏だったのではないか。事実、三重には秦氏流の三上氏がいる。個人的には、近江の佐々木源氏や南部氏も渡来系ではないかと見ている。源氏を名乗ってはいるが、多くは秦氏だった可能性が高い。

 秦氏は3世紀ごろ、朝鮮半島からやってきた日本最大の渡来人集団である。大陸の進んだ技術をもたらし、日本文化の基礎を築いた。ちょうど古墳が巨大化し、大阪の平野部が干拓されたのは、ひとえに秦氏のおかげである。土木技術は優秀で、後に秦氏は平安京を建設する。

<まだまだ謎は尽きない>

・また、秦氏は絹織物を手掛けていた。秦氏のハタは機織りのハタに由来するという説もあるぐらいだ。ご存知のように、養蚕技術は中国大陸からもたらされた。シルクロードという言葉があるように、秦氏の先祖は朝鮮半島の先、中国でも一番西域に近い秦という国にあった。

 

・想像以上に、東アジアには西域、西アジアの人間が多数やってきていた。なかには住民がすべて古代ローマ人の末裔である村も近年、確認されている。

 秦氏も、そうした西アジア出身だという説がある。秦氏が多数住んでいた場所に京都の太秦がある。太秦は大秦とも表記するのだが、これは中国における古代ローマ帝国のことなのだ。秦氏は古くはハダ氏といい、彼らが奉じた八幡神に由来するとも。

・長い歴史の中で、ユダヤ人は国を失い、世界中に散った。彼らの流れのひとつがシルクロードを通って、はるばる日本列島にまでやってきた。おそらく、いくつもの流れがあったことだろう。途中で、ユダヤ教からキリスト教やイスラム教に改宗した人たちもいた。なかでもイエス・キリスト直系のユダヤ人原始キリスト教徒たちこそ、渡来人・秦氏の本流だった。

・太秦のウズマサとはヘブライ語、もしくはアラム語のイシュ・マシャ、すなわちイエス・キリストのことだ。

 秦氏の主張は「太秦」の称号をもっていた。有名なウズマサが秦河勝である。彼は聖徳太子の舎人だった。聖徳太子は厩戸皇子と称した。馬小屋で生まれたからだ。世界広しといえども、馬小屋で生まれた聖人は、ふたりしかいない。もうひとりはイエス・キリストである。聖徳太子の誕生伝説には明らかにキリスト教の影響がある。

 イエスの職業は大工であったが、日本の大工の祖は聖徳太子である。今でも、関西などの大工さんたちは聖徳太子講を組んでいる。聖徳太子は世界最古の木造建築である法隆寺を建設したが、イエスは神の王国を建設しようとした。中心となるエルサレム神殿を建設したのはヒラム・アビムなる人物で、彼こそは秘密結社フリーメーソンの祖である。聖徳太子の周辺に秦氏の建築者集団があり、そのひとつが世界最古の企業として知られる金剛組だ。金剛組は聖徳太子のフリーメーソンだったといっても過言ではない。

 とまぁ、秦氏について話しだしたら切りがない。朝まで話していられるだろう。ついには「秦氏研究会」や「秦氏を学ぶ会」にまでコンタクトをとってしまうほど、ライフワークは全国の秦氏のゆかりの神社巡りで、まさに、ハタを訪ねて三千里。根っからのハタニストである。

・サイエンス・エンターテイナーの飛鳥昭雄氏に言わせれば、エイリアンの正体は失われたイスラエル10支族である。秦氏がユダヤ人とすれば、兄弟である。UFOが日本にやってきて、木村さんにコンタクトしているのは、ひょっとして秦氏だからなのかもしれない。こうして月刊「ムー」の編集長になっているのも、すべてはエイリアンが仕組んだのかも。

きっと、そうに違いないと、積極的幻想論に走りたくなる。

<人間とは何か>

・と、そこには、ひとりの御老人が上座に座っておられた。見た目は、まさに仙人。なんとか幻妖斎とでも名づけたくなるような風貌だ。白髪で白く長い髭、細面の顔は骨皮筋右衛門。にこにこ顔で、こちらを見ている。「よう来たのう」

 聞けば、この仙人、名前がないらしい。なんでも本名を捨てたのだとか。名前がないから、戸籍もない。法律的に、名前がないと裁判にもかけられない。社会的に存在しない。

・だが、考えてみれば、これほど恐ろしいことはない。夢枕獏先生の小説『陰陽師』(文藝春秋)では主人公の安倍晴明が呪術について語る場面が描かれている。そこで安倍晴明は「呪とは名である」と述べているのだ。名前がなければ、呪うことができない。霊能者や呪術師、占い師がしばしば本命と生年月日を秘密にするのは、他者から呪われないためである。彼らは仮の名前を標榜しているが、この仙人、そもそも名前がない。まったくもって付け入る隙がないとは、このことか。

 ちなみに、ユダヤ教神秘主義カバラにおいて、名前を意味するヘブライ語「シェム」に定冠詞を付けた「ハ・シェム」は、それだけで創造神ヤハウェを意味する。ヤハウェとは「ありてある者」を意味するヘブライ語の三人称単数形で、これまた本名ではない。イスラム教とヒンドゥー教の教義を取り入れたシーク教では、この世の唯一絶対神を名前を付けることができない存在として「イク・オン・カール(唯一至高の主)」「サトナーム(真の名前)」などと称している。

 しかたがないので、周りの人たちは仙人のことを「名無しのおっさん」、もしくは「おっさん」と呼んでいる。

<「自己を知れ」>

・超AIの誕生により、人類は、すべて管理されるだろう。ユートピアならぬ、ディストピアの到来である。人間の脳がもっている情報量など、たかが知れている。一説には、1パタバイトもあれば、一生の記憶が記録できるとも。脳がもっている記憶をデータとして取り出したとき、自我は、どこにあるのか。體がなくても、自我は存続できるのか。オカルトでいえば、魂は永遠なのか。霊は、どうなるのか。

 様々な問題に人類は直面する。スーパーコンピューターの予想によれば、この先、人類が滅亡する確率は100パーセントであるという。自らが作り出したコンピューターとAIによって、人類は自滅するのだ。

 しかし、希望はある。ディストピアにならないための起死回生の一手、それが「人とは何か」という命題に対する解答である。これしかない。

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