バチカンは国家だが、多くの専門家が世界最大の情報組織であるという。それは13億のカトリック教徒がある意味、情報員で兵士だからだ。(4)
・ヨハネ・パウロ2世は1978年から2005年まで教皇だった。エイズは1981年、彼の在位期間の初期に現れ、以後数十年にわたり、3500万人以上の人々を死に至らしめた。世界中で3700万人の人々が、HIVに感染しながらも生存している。
・フレデリック・マルテルは、フランス在住の作家、ジャーナリスト、社会学者で、「オープンなゲイ」である。アメリカに長期間滞在した経験があり、アメリカ文化やLGBTに関する著書がある。
<そもそも日本では、欧米に比べてバチカンに関する情報が少ない>
<同性愛という現象は人類の歴史でそれほど珍しいものではない>
・同性愛という現象は人類の歴史でそれほど珍しいものではない。とくに男性においては、年長者と年少者、師と弟子、保護する者と保護される者とのあいだで、同性愛的な関係が結ばれることがある。古代ギリシャと古代ローマの少年愛は有名だし、日本でも武士や僧侶の世界で同じような現象が見られた。多くの社会で、同性愛はおおっぴらとまではいかなくても、少なくともある程度は黙認されていた。しかしキリスト教ではいつのころからか、同性愛を「罪」とみなすようになった。教義と自らの性向のあいだでなんとか折り合いをつけようとした結果が、「ホモフィリア」という性行為にとらわれない関係、別の言葉で言えば禁欲的な同性愛なのである。
禁欲できない人はどうしたらよいのだろうか? その場合、同性愛は念入りに隠されていることになる。表向きは厳格な教義を説きながら、プライベートでは同性愛を実践している。これがいわゆる「二重生活」であり、それを支えているのが教会の「秘密を守る文化」なのだ。未成年者への性的虐待が長年隠されてきた背景にも、こうした秘密主義がある。異性愛も含めてすべてがオープンになれば、つまり聖職者の独身制を廃止し、同性愛者の存在が認められるようになれば、偽善的な「二重生活」を送る必要もないし、性犯罪が隠蔽されることもなくなるはずだ、と著者は主張する。
・ヨーロッパ以外から初めて選ばれた教皇としてフランシスコがさっそうと登場したのは、2013年のことである。それまでに、バチカンの評判はさんざんなものになっていた。未成年者に対する性的虐待、金融スキャンダル、教義をめぐるかたくなな姿勢(妊娠中絶やコンドームの禁止など)、歯止めのきかないカトリック離れ………。信者でなくてもバチカンとカトリック教会はどうなってしまうのかと心配になるが、日本人にとってはしょせん対岸の火事である。キリスト教と縁のない日本では、フランシスコの改革もそれほど話題にならない。2019年秋に来日したとき私たちが最も注目したのは、核兵器の廃絶に向けて教皇がどんなメッセージを発するかであった。
(2021/12/15)
『もう黙っていられない!』
いまこそ「国家の危機」を救う55の憤怒直言
平沢勝栄 徳間書店 2011/9/17
この国難にもう失敗は許されない!
<東日本大震災>
・東日本大震災・東電福島第一原発事故が起きた2011年3月11日から半年以上が過ぎた。
・日本の世界における存在感そして信用は年々低下している。日本はここでもう一度、原点に帰って国家を新しく作り直していく必要があるのではないか。まず憲法改正が必要だ。1年ごとに総理が変っていては強力なリーダーシップを発揮することはできない。総理の選出方法も含め制度や法律を見直し、総理大臣は一定期間、例えば4~5年間は安定的に政権を担当できるようにすべきではないか。
手始めに衆参2院制を統合して1院制に変えることを検討すべきだろう。
・選挙制度については今の小選挙区制を中選挙区制に戻すべきと思う。
・これだけ首相が変わるようだと、外国からすれば「日本の首相と人間関係を作っても約束事をしても、すぐ交代するので意味がない」となり、日本は無視されてしまうことになる。
・この本は『夕刊フジ』に2004年1月から2011年8月までの約7年間、ほぼ毎月1回ずつ掲載されたコラム『永田町新潮流 俺がやらねば』をまとめたものである。
・今は変化の速い時代である。このため「特に前半部分のコラムは現状を反映してないのでは」と思われるかもしれない。しかし、コラムの文章はあえてそのまま収録した。なぜか。
各コラムで訴えた課題の中には今でも未解決のまま残っているものも少なくないからだ。その代表例が北朝鮮による日本人拉致問題である。
また、政治的な危機およびその解決の方向性に対する私の主張は、今でも十分に通用すると自負しているからでもある。
<迷走する民主党政権>
<01 2011/4/2 政府の無能無策 「原発不安」でいま政治不信の嵐 「人災」で被害拡大した愚策を指導! >
・今回の大震災は、被害のほとんどが津波によるものだった。テレビ画面に映す出される被害に世界中が息をのみ、「想定外」という言葉が何度も使われた。原発事故では、政府の連日の記者会見でも国民の不安は一向に解消せず、今や保安院は不安院といわれる。
千年に1回といわれる今回の大災害は、菅政権が末期症状を呈している時に起こった。
◉(そして今は…)(「大災害を政権の浮揚に使うな!」);
・2011年3月11日に東日本一帯を襲った巨大地震と大津波で、死者は1万5689人、行方不明者は4744人に達した。東京電力福島第一原発の事故も依然として収束しておらず、避難民は合計して約8万7000人に及んでいる。いずれも地震発生から5カ月が過ぎた8月11日現在の数字だ。
大災害が起きた時の政治の最大の使命は、国民の生命・財産を守ることだ。
<02 参院議長の爆弾発言 三権の長が「首相失格」の烙印 官邸は責任逃れの小者ばかりである! >
◉「(そして今は…)(彼の延命こそ最大の不幸だ」);
<03 国益より私益の愚 「裸の王様」菅首相の資質 「国政・外交の停滞」は前代未聞だ! >
◉(そして今は…)(「居座り続ける菅首相」――内閣不信任案否決);
<04 菅直人総理の闇 極左勢力へ「闇献金」のズブズブ関係 「亡国政権」へ、いまこそレッドカード! >
◉(そして今は…)(首相を取り巻く極左の人物);
<政権交代とは何だったのか>
<05 民主党の正体 民主党の政権交代とは 政権“後退”で“欠カン”内閣だった >
◉(そして今は…)(2011年を日本再生の元年にすべし!);
<06 大失態の真相 国家観なき民主党政権 「柳田法相」の舌禍事件は愚の骨頂だ >
◉(そして今は…)(大臣たる者「哲学と信念」を持て);
<07 政治家の信義 与謝野馨氏の「変説入閣」に物申す! 「有権者に対する重大な裏切りである」 >
◉(そして今は…)(与謝野馨氏に改革ができるのか);
<08 小沢問題の本質 「政治とカネ」の社会認識を改めよ! 「小沢事件」で広がった「失望と絶望」 >
◉(そして今は…)(一兵卒に振り回される醜悪の極み);
<09 国益とは何か マニフェストの呪縛で右往左往 「思いつき政治」では国民が不幸になる! >
◉(そして今は…)(この迷走は国民への「壮大なる詐欺」だ);
<10 事業仕分けの核心 不明朗な仕分け基準が混乱を招く 「議員特権」「国会手当」ムダはまだある >
◉(そして今は…)(2016年「1院制の国会創設」の提言);
<11 軽率発言が多発する元凶 「優柔不断と曖昧」だらけの統治能力 民主党はいつから「非民主党」になったか >
◉(そして今は…)(世界の恥さらし「トラスト・ミー」の教訓);
<12 2010/2/27正しい政治継承とは 「自民党政権の全否定」政策に明日はない 露骨な予算の私物化が始まっている! >
◉(そして今は…)(政権交代で「政治が悪くなる」稀有なニッポン!);
<13 2010/3/27バラマキ政策の欠陥 子ども手当はまさに「選挙手当」だった 「財源なきバラマキ」を今すぐ撤回せよ! >
◉(そして今は…)(「児童手当」の手直しをなぜしなかったのか);
<14 2010/5/22首相の大罪 歴史に汚点を残す「無節操な首相」 「今の政治はメチャクチャである!」 >
・このまま進むと普天間問題は第2の成田にもなりかねず、日米の信頼関係も大きく揺らぎかねない。3月に渡米したとき、国務省高官は私に「ポスト鳩山は誰か」と聞いてきたが、鳩山政権は信頼できないということだろう。
◉(そして今は…)(「鳩山由紀夫」は稀代のワル総理大臣だった);
・辞めたことは当然としても、鳩山氏は国会にひとつの悪霊を残した。
・辞任の際、鳩山氏は「次の選挙にはもう出ない」という趣旨の発言をした。ところが、その舌の根も乾かないうちに「また出る」と言い出した。無責任極まりない話だ。日米関係に大きなヒビを入れたのも鳩山氏で、こんな無節操な人物を日本国民は首相として仰いでいたわけだ。
結局のところ鳩山氏は功罪のうち「功」はほとんどなく「罪」だけを残した稀代のワル総理大臣と言っていいだろう。
<自民党のあるべき姿とは>
<15 2005/8/25小泉劇場の裏側 あの「9.11革命元年」の政治ドラマは 日本の政治風土に何をもたらしたのか >
◉(そして今は…)(「テレビ政治」の異常な熱狂劇だった);
郵政法案は2005年7月5日の衆院本会議で可決されたものの、8月8日の参院本会議で否決された。当コラムは衆院が解散された後に書いたものだ。
私は元々、郵政改革法案に必ずしも賛成ではなかった。選挙の際、郵政関連団体から支援をうけていたこともあるが、それ以上に民営化すれば、地方の不採算の郵便局が閉鎖されかねないという問題点があったからだ。他方で地元の支持者からは「自民党を離れることだけは絶対に止めてくれ」と強く釘をさされていた。したがって内心では賛否いずれにするかで迷っていた。
・選挙戦で自民党は分裂選挙を強いられたものの、その後、「刺客騒動」が大々的にテレビに取り上げられたこともあり、結果として自民党は圧勝した。国民は、法案の中身ではなく、小泉劇場に酔って投票したと言える。
解散・総選挙の前の段階では私は「多数の造反議員を抱えての分裂選挙で(自民党が)勝つことはあり得ない」と思っていた。しかし、「分裂選挙になる」というところまでは正しかったものの、勝敗に関する見通しは完全に誤ってしまった。
なぜ誤ったか。それはテレビの力を見誤ったということだ。
・ちなみに菅氏は、私も出たテレビ番組で郵政選挙について一億総白痴化の結果と言っていた。
・要するに、民主党が勝った時の国民は賢明だったが、自民党が勝った時の国民は白痴だった、と言っているのだ。
<16 2005/10/6政治の情と理 もしも「後藤田正晴政権」だったら 「この国」はどう変わっていたか……… >
◉(そして今は…)(「尖閣ビデオ」はすぐに公開されていた);
・後藤田さんが亡くなったのは2005年で6年以上が過ぎた。今、言えることは「後藤田さんが今、政界にいたら、今の政治は大きく変わっていただろう」ということだ。
今の政治の不幸は、後藤田さんのような政治家がいなくなったことに尽きる。
・官房長官は内閣の要だ。官房長官を誰にするかで政権の安定性や方向に違いが出てくる。
<17 2007/5/17 天下分け目の参院選 選挙の成否を決する「応援演説」 政治家の危機感と記憶に残るメッセージ>
・さて、政局の焦点は終盤国会と参院選に移った。統一地方選と同様、私も応援のため全国を飛び回ることになる。私は歩き回っているせいか、健康には自信があるが、目の回るようなスケジュールになりそうだ。応援依頼が多いか否かは、政治家にとって実力・人気のバロメーターともいわれ、応援依頼が多いことはありがたい話だ。
・ところで、応援スピーチで留意しなければならない点がいくつかある。読者のみなさんは、以下の視点を持って街頭演説などをお聞きになれば、ひと味違った発見ができると思う。
一つは候補者の名前を絶対に間違えないこと。
・二つ目はあらかじめ準備するのではなくその場の雰囲気にフィットした臨機応変の応援演説をすること。
聴衆は次々に登場する弁士の話を聞くのだから、同じ話では飽き飽きするだろう。当意即妙でユーモアあふれる簡潔な応援演説が歓迎される。「この人の話は面白い」と思わせて魅きつけ、最後に「情勢は厳しい。あと一歩」といって危機感をあおることができれば上出来だ。
三つ目はその場の雰囲気で自在に演説時間を調整すること。次の弁士が到着するまでのつなぎだったり、聴衆が飽きている場合もある。2分などということもあるが、相手の記憶に残るメッセージが一つでも二つでも与えられれば成功だ。
最後に、参院選は自民党にとって大変厳しい選挙になるだろう。ただ民主党の小沢代表は「政界の不動産屋」といわれ、国会の本会議も欠席が多い。自民党は氏にどれだけ助けられていることか。
◉(そして今は…)(政治家にとってスピーチは命);
日本の政治家の中に「これは」と思わせるようなスピーチの名手は極めて少ないと思う。スピーチを行う場合、会場や聴衆の空気・表情を見ながら、当意即妙、ユーモアにあふれるフレーズを披露できれば万々歳だが、これがなかなか難しい。
・「(食事については)腹八分目が体にいいように、スピーチも(指定された時間の)8割ぐらいでやめるとちょうどいい」という趣旨のことを書いていた。「聴衆がもう少し聞きたい」と思っているぐらいの時に、余韻を残してやめれば、そのスピーチは成功ということらしい。
・中には指定された時間を大幅に超えて話す人もいる。ある政治家は、結婚式で乾杯の音頭を依頼され、30分間の挨拶をやったそうだ。その政治家は次の選挙で落選したとか。「腹八分に医者いらず」という諺があるが、スピーチも同じということだろう。
<18 2007/8/9歴史的大敗の意味 「怠慢とおごり」の政権運営に断! 切磋琢磨することの意義は大きい >
◉(そして今は…)(これからの「政権交代のあり方」を考える);
普通、先進国で政権交代が行われれば、政治は確実に良くなる。前政権の悪いところはやめ、良いところは引き継いでいくからだ。
ところが民主党政権は、自民党のどこを引き継ぎ、どこを取り止めるかという「政策の仕分け」はやらないまま「ザ・自民党」の政策のオール否定で走ってしまった。
<19 2007/9/6戦後初のねじれ国会 日本の政治が抱えた「混迷政治」の原点 この厳しい国会運営の現実を直視せよ! >
◉(そして今は…)(「安倍政権」の失敗に何を学ぶか);
<20 2007/12/27政府の責任とは「責任逃れ」に終始するリーダーは論外 国民目線に立った改革こそ再生への道だ >
◉(そして今は…)(「大連立構想」と緊張感を欠く政治運営);
<21 2008/5/22自民党の未来図 「政治家であることが恥ずかしい」時代に 大胆な改革を実行して「日本再生」を図れ!>
<22 2008/6/19民意を読めない政党 自民党は「謙虚さを失くしてしまった」民主党は「政権能力がないことがわかった」 >
◉(そして今は…)(名官房長官が名首相になれなかった理由);
<23 2008/9/11国家リーダーの新条件 トップが「乳母日傘」育ちではひ弱すぎる 「日本丸の船長」にふさわしい「信念と志」を >
◉(そして今は…)(短命政権では「国際社会」に相手にされない!);
<24 2008/12/4総選挙のタイミング 安倍、福田、麻生の「政権たらい回し」 「世界金融危機」に戦略出せず閉塞感が! >
◉(そして今は…)(「勇気と決断力」なきリーダーは失格だ);
<25 2009/1/8 自民党の失敗 裁判員、後期高齢者医療、定額給付金……首相の約束で「進むも地獄、退くも地獄」>
◉(そして今は…)(混乱の中から、政治空白が生まれただけ);
<26 2009/2/5自民復活への道 「衆参議員定数の半減」で国会議員大改革だ 政治家が自らを厳しく律する覚悟が必要! >
◉(そして今は…)(「首相経験者」は“外交”を);
<27 2009/6/18大転換時代の適応力 「指揮権発動」を提案する与党のメチャクチャ 「捜査と司法」からは独立しなければならない >
◉(そして今は…)(あきれた「指揮権発動」をめぐる二枚舌釈明);
<28 2009/7/18自民凋落の最大の要因 「生活者の視点」を忘れた党の体質改善 国民の汗と涙に応える真の政策立案を急げ!>
◉(そして今は…)「都議選は国政の先行指標」として連動する);
<2009/8/15 マニフェスト選挙の功罪 小選挙区制の選挙は「党VS党」の戦い 「実行できぬ政権公約」を排し建設的論争を >
◉(そして今は…)(実感は「高い授業料を払ってしまったな」!);
・第45回衆院総選挙は2009年7月21日に解散され、8月18日に公示された。投開票日は8月30日。当コラムは公示の3日前に掲載された。
厳しい選挙戦だった。
・「今度だけは自民党の応援は勘弁してくれ」と、わざわざ言いにくる有権者が何人いたことか。麻生首相がテレビ画面に出ると、チャンネルを変えるという人も多かった。石原伸晃氏は駅頭でツバを吐きかけられ、鴨下一郎は駅頭で「死ね」と言われたそうだ。
党の幹部に「大変厳しい」と伝えても、中には「勝てる」と楽観的な見通しを言う人もいた。まさに太平洋戦争の時の大本営で、現場の空気を知らないこと実におびただしかった。
そういう人たちは街宣車の上に乗っての演説はしたのかもしれない。しかし、それでは有権者の本当の気持ちは分からないだろう。街宣車から降り、有権者と同じ高さの目線で接してこそ初めて国民の空気が分かるというものだ。
<30 2009/10/3今こそ党益を捨てよ! 自民党を再生させる真の新総理は誰か いでよ!何事も恐れない「革命的リーダー」 >
・今、自民党内には首相経験者が4人もいて、人事などで大きな影響力をもっている。もし、民間会社で、経営責任をとって辞めた社長が引き続き経営に介入していたら、その会社は倒産だろう。ちなみに、今回の街頭演説でもっとも拍手が大きかったのは、首相経験者は政界を引退せよと言った時だった。
。今の自民党に必要なことは何事も恐れない強力なリーダーのもと革命的に党の体質を改革することだ。同時に政党としての新たな目標を定め、健全野党、そして責任野党として国会内外で建設的な論戦をすることだ。
◉(そして今は…)(党改革の本丸は「人を変えよ」!);
・それには抜本的な党改革が必要だ。「党名を変えよう」と言う人がいるが、名前を変えても中身(人と体質)が同じままであれば無意味だ。
党改革については前述したが、それに加えて自民党は一人一人の議員と支持者が作っているのだから、人を大幅に変えてみたらどうか。具体的には私を含めて現職議員を含む全選挙区支部長を選び直すぐらいの荒療治をしたらどうかと思う。
公認候補者を決める際、予備選挙を全選挙区で行うことにする。選挙区支部長と公募組を戦わせ、党員が無記名の投票で1人に絞り込むわけだ。その結果、公認からはずれる現職が出てくるかもしれない。しかし、これぐらいのことをやらないと「自民党は本当に変わった」とは言えないのではないか。
<日本が抱える内政問題>
<31 2004/2/11日本の治安危機 もはや「世界一安全な国」ではない! 治安回復に「警察モンロー主義」を見直せ >
◉(そして今は…)(欧米型の捜査と懸賞制度が成果を上げる);
・いま日本の治安は危機水域にある。刑法犯認知件数は戦後最多、街頭犯罪や侵入犯罪の急増、来日外国人犯罪の凶悪化、組織化、戦後最低の20%近くまで低下した検挙率。国民は今や景気より犯罪に大きな不安を感じている。
どうしたら良いのか。私は日本の治安回復は「警察モンロー主義の見直しから」とみている。
日本の警察はよくやっているが、警察独力で治安回復しようという考えが問題なのだ。かつて日本は「世界で一番安全な国」といわれた。この警察の成功体験が、幅広い社会参加を得て、治安回復を図る国民的システムの構築を妨げているのではないか。
私は治安回復の抜本案として、次の4点を提案したい。
第一は、外部参加だ、警察官は全国で24万人だが、消防団は90万人、ガードマンも40万人、タクシー運転手も40万人いる。パトロールの警察官は見かけないが、タクシーの運転手はどこでも見かける。早朝から働く新聞配達人もいる。郵便屋さんもいる。これらの人々に不審者の通報などで協力してもらい、成果が出ればそれなりの懸賞金を払うシステムを作ったらどうか。
・第二は、治安関係機関相互の密接な協力だ。
・第三は、おとり捜査や潜入捜査、司法取引などの捜査手法を認める。同時に法制度の見直しで軽すぎる量刑を改め、犯罪を厳しく罰することだ。
・第四は、警察モンロー主義からの脱却。むろん警察は治安の中枢機関だが、警察独力で治安を維持する時代は終わった。自衛隊に任せようとした原子力発電所の警備を、警察が1000丁の軽機関銃を購入し、多数の警察官を投入して担当している。こんなヒマがあったら、街のパトロールをしたらどうか。ドイツでは原発警備のガードマンに拳銃を持たせている。
構造改革が求められているのは郵政や道路公団だけではない。治安についても思い切った構造改革が必要ではないか。
<32 2004/6/9少年法の考察 増加する「触法少年事件」への大疑問 警察に事実解明の権限を与えるべきだ >
・長崎県佐世保市の小6女児同級生殺害事件は、日本人列島に衝撃を与えた。
15年前、私は警察庁の少年課長だったが、当時では考えられなかった事件だ。日本の少年犯罪も凶悪化や年少化などで米英並みになった。米英ではそうした現実を踏まえて、少年犯罪に厳正かつ迅速に取り組む態勢ができている。
ところが、日本では今回のような14歳未満の触法少年事案は、少年法の保護主義が強く作用して、証拠物の押収や司法解剖、事情聴取など、事実解明には不可欠な強制力を伴う権限が警察に与えられていない。あくまで任意なのである。
◉(そして今は…)(「取調の可視化」と「権限付与」の一体改革);
・現在、検察庁や警察庁も取り調べの一部についてだけの可視化を試行中だが、可視化には問題点が全くないわけではない。
そもそも欧米諸国の取調べは基本的に容疑者の言い分を聞くために行われるが、日本の場合は事件の真相究明にために行われる。その日本でもし全面可視化が実施されれば、供述を得ることが難しくなり、事件の解決が難しくなるだろう。
もし可視化を導入するなら、それに代わって欧米諸国のように取り調べ当局に権限を与えるべきだ。例えば英国の場合は黙秘権の一部制限が行われている。その他、多くの国で潜入捜査やおとり捜査、司法取引、刑事免責の他、通信・会話傍受やDNAのデータベース化など幅広い権限が捜査当局に認められている。
要するに冤罪は絶対に阻止しなければならないが、同時に事案の真相解明と犯人検挙も行わなければならないのである。その双方を同時に実現するにはいどうしたらいいか。権限付与とセットで可視化を考えるべきだろう。
<33 2004/10/30危機管理の要諦 災害は「必ず起こる」が大前提 危機こそ、強い、リーダーシップが肝要だ >
・今回のような直下型地震はいつどこで起きるか予測するのは不可能に近い。もし、インフラやライフラインが集中して、地盤が脆弱な首都・東京、特に下町などで起こったら被害は甚大だ。
「必ず起こる」という前提に立ち、全国の活断層の徹底調査、災害に強いインフラやライフライン構築、防災都市づくりに、政治が強いリーダーシップを発揮しなければならない。
◉(そして今は…)(疑問だらけの北朝鮮「延坪島砲撃」への対応);
・砲撃事件自体は日本に直接波及することはなかった。しかし、結果はそうであっても最悪の事態を想定して最大限の備えをするのが危機管理の要諦である。担当閣僚の迅速な当庁と指揮は、現場に直ちに伝わり、緊張感が走るのである。
菅直人内閣は危機をコントロールできない「管理危機」に陥っていた。そうした内閣に国民は自分たちの生命・財産の安全を委ねていたのである。
<34 2005/3/2犯罪者の親の責任 家庭問題抜きに凶悪事件の解決は無理だ 加害者の人権偏重では治安は悪化する!>
・奈良女児誘拐殺人事件、安城市乳児刺殺事件、寝屋川市教師殺傷事件など異常な事件が相次いでいる。日本の社会自体が大きく構造変化したことをうかがわせ、かつてはまれだった幼児性愛者や心に深い闇をかかえた犯罪予備軍がどこにも潜伏する社会……。それが残念ながら今の日本社会の現状だ。この社会の変化にもかかわらず、関係省庁は今日まで、犯罪者の人権や社会復帰のみを考え抜本的対策を怠ってきた。
奈良の事件では容疑者は2回の前歴があったが警察は一切把握していなかった。刑務所内での矯正教育もほとんど行われていなかった。再犯率に関する基本的なデータすら集めていなかった。加害者の人権も必要だが、社会を犯罪から守るシステムの構築も考えていく必要があろう。
◉(そして今は…)(「親の責任の法制化」やむなしか);
・「少年犯罪について親の責任をとう」というのは欧米諸国では当たり前のことだ。犬が人に噛みついた時に飼い主の責任が問われるのと同じである。翻って日本では子供が問題を起こしても、特に学校内では親の責任が追及されることは稀だった。
最近になって子供が学校のガラスを故意に割った場合、修理代を親に請求するなどの自治体が日本でも出てきたが、当然のことがやっと行われ始めたと言える。
当コラムの中で指摘したように、親がもっと責任感を持って、真剣に家庭教育をするためにも、「親の責任の法定化」はやむを得ないのではないか。
<35 2006/6/1子どもの虐待 欧米では子どもの命が最優先される 「子は親のもの」とする考えを改めよ! >
・子供が被害者となる痛ましい事件や事故が続発している。かつては「渡る世間に鬼はなし」、今や「渡る世間は鬼ばかり」と子供たちに教えなければならない時代だ。家庭内虐待も増えつつある。
こうした事件や事故の中には、事前に防止できたケースもあったのではないか。国によって差異はあるが、欧米では子供が一定の年齢に達するまで、親には安全保護の義務がある。子供だけで留守番させることも、遊びに出かけることも許されず、誰かが付き添わなければならない。登下校もスクールバスに乗るか親と一緒に通学するかだ。
◉(そして今は…)(虐待者の親権を一定期間停止する法整備);
・かつての日本で家庭内暴力と言えば、子供が親に暴力を振るうことを意味した。ところが今はそれが逆になり、親が子供を虐待するようになっている。
欧米諸国では養子縁組や子連れ再婚が多いこともあり、こうした児童虐待が昔からよく起きていたが、日本ではほとんど見られなかった。ところが日本でも最近は急増しているが、なぜか。それは欧米諸国と同じように、日本でも離婚や再婚が増えたことなどから、実子ではない子供を育てるケースが多くなったことも背景にあるのではないか。
・こうした反省に立って児童相談所に虐待家庭への強制立ち入り検査権限を付与するなど法制度の見直しが進められている。最近、虐待者の親権を最長2年間停止できる民法などの改正も行われた。
日本の親子関係が“欧米化”していることを考え合わせると、さらに抜本的な対策が必要となるかもしれない。
<36 2007/6/14年金記録漏れと自治労の傍若無人 犯罪的な労組の暗躍を許してきた 社保庁、厚労省、政府の責任は重い >
・国会は終盤に入ってから大荒れ。年金記録漏れ問題や松岡前農水相の自殺問題などが安倍内閣を直撃しているからだ。
とりわけ年金問題では、厚労省キャリア出身の社会保険庁幹部は全くのお飾りに過ぎないことを知った。同時に、自治労加盟労組が組織を私物化し傍若無人にふるまっていたこともわかった。社保庁は労組との間で、合理化反対やオンライン化反対などに関して100件以上の覚書を交わしてきた。その中には窓口装置の1日1人のキータッチは平均5000以内とする(人事院規則は4万件、民間は無制限。ちなみに5000タッチは通常30分以内で終わる)、窓口装置の1人1日の操作時間は180分以内とするなどの非常識極まる内容も多い。
・ところで、全日本自治団体労働組合・国費評議会作成の資料「社会保険職場の国一元化は許さない」には、組合員が覚書を印籠よろしくふりかざし、社保庁幹部が平身低頭している絵がある。まさに噴飯モノといえないだろうか。
◉(そして今は…)(社保庁における自治労問題の本質);
・当コラムでは、年金記録を「宙に浮かせた」として批判の矢面に立たされた社会保険庁(現在は日本年金機構)にからんで、同庁と自治労の問題点や責任などを指摘した。
まず自治労で問題なのは、ある意味で労組自体が特権階級になっていることだ。それは自治労に限らない。他の行政関係の労組にも言えることだ。憲法で守られていることをいいことに傍若無人に振る舞い、逆差別さえ招いている労組も多い。
・ところが民主党の場合は特定の労組だけから応援をもらって国会に出て来ている議員が多い。それらの議員は労組からの働きかけを無視することはできないだろう。例えば民主主義党が国民に約束した国家公務員の人件費の2割削減は労組が反対している以上、実現はまず不可能と思う。
労組問題は自民党政権時代からあった。しかし、労組は大きな力を持っているので自民党は見て見ぬふりをしてきたところがある。そうした労組の積年の弊害が象徴的に出たのが、社保庁における自治労問題だったともいえるわけで、自民党も謙虚に反省しなければならない。
ともかく民主党はもっと労組問題に切り込まないとダメだ。しかし、労組に切り込んで改革することが果たして今の民主党にできるかどうか。
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