その男はおれは天狗だといった。鼻は別段高いという程でも無かったが、顔は赤くまた大きかった。(1)

(2025/1/27)

『遠野物語と怪異』

遠野の呪術の世界

遠野市立博物館  監修   河出書房新社  2024/11/26

<はじめに>

・柳田國男の『遠野物語』は、日本民俗学の出発点とも言える記念碑的著作であり、発刊から110年以上を経た今なお多くの人びとを魅了し続けています。

<『遠野物語』に記された怪異>

・(白望(しろみ)山) 白望の山に行きて泊れば、深夜にあたりの薄明るくなることあり、秋の頃茸(きのこ)を採りに行き山中に宿する者、よく此(この)事に逢ふ。

・『遠野物語』が誕生した明治時代末の遠野では、河童や天狗、ザシキワラシなどの話が現在の出来事として語られていた。狐や狸や猫といった身近な動物たちにも不思議な能力があると信じられており、特に年を経た動物は経立(ふったち)と呼ばれ、人びとに恐れられていた。『遠野物語』の序文の中で柳田國男はこれらの怪異譚を「目前の出来事」「現在の事実」と記している。

・また、怪異と捉えられるような不思議な現象の中には、遭遇者が経験や知識に照らして河童や天狗、ザシキワラシ、狐や狸の仕業として説明できる現象がある一方、不思議な生物や物理現象(異常な音や光など)に遭遇した時、何の仕業か判断できず、恐怖や驚き、不思議に感じるような現象もある。『遠野物語』や民間伝承の中には、後者のような現象も数多く残されている。

<早池峰(はやちね)の七不思議>

・最近、宮守村の道者達が附馬牛口から、早池峰山をかけた時のことである。頂上の竜ヶ馬場で、風袋を背負った6、7人の大男が、山頂を南から北の方へ通り過ぎるのを見た。何でもむやみと大きな風袋と人の姿であったそうな。同じ道者達がその戻り道で日が暮れて、道に踏み迷って困っていると、一つの光り物が一行の前方を飛んで道を照らし、その明りでカラノ坊という辺まで降りることが出来た。そのうちに月が上って路が明るくなると、その光り物はいつの間にか消えてしまったということである。

・(天灯)頂上に於いて天より一点光の下降することあり、七月十六夜に多く見ると言ひ伝ふ

・(龍灯)頂上に於いて山下より一点光の昇る来ることあり、七月十六夜に多く見ると言ひ伝ふ

<子供等が恐れて近寄らぬ場所>

・村々には諸所に子供等が怖れて近寄らぬ場所がある。土淵村の竜ノ森もその一つである。

・先年死んだ村の某という女が生前と同じ姿でこの森にいたのを見たという若者もあった。また南沢のある老人は夜更けにこの森の傍を通ったら、森の中に見知らぬ態(なり)をした娘が二人でぼんやりと立っていたという。

<多種多様な妖怪たち>

・柳田國男は、『妖怪談義』の中で、「妖怪とは神が信仰を失って零落した姿」と定義した。この説は現在否定されており、小松和彦は「祭祀された妖怪が神であり、祭祀されない神が妖怪である」としている。

・大正から昭和時代にかけては妖怪画は衰退したが、昭和43年(1968)、水木しげる原作のテレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の放送により一大妖怪ブームが訪れ、現代日本人の妖怪観に大きな影響を与えることとなった。

<河童大博覧会>

・河童は川や沼地などの水界を棲みかとする妖怪の一種。その主な特徴は、子どものような背丈で、全身は緑色や赤色、水の入った頭頂部のくぼみ皿、左右に通り抜ける腕、水掻きのある手足、背中の甲羅などが広く知られている。

 河童の伝承は全国的に分布しており、キュウリが好物で、相撲を好み、金物を嫌うといった伝承の共通性も見られるが、その呼称は地域によって様々である。現在よく知られているカッパという呼び名は、以前は関東地方や東北地方を中心に使われていた呼称だった。全国に残る河童の呼称は、メドツ、スイコ・カワタロウ・ガメ・カワウソ・ガタロ・エンコウなど多様である。

<河童と信仰>

・河童は、妖怪や水界に棲む得体の知れない生物として畏れられる反面、その霊力や神性を信仰の対象として、また守護を与える神として、各地の寺社や旧家に伝えられてきた。

・北上市の染黒寺(ぜんこくじ)には、江戸時代に馬に悪さをする河童を捕らえ、見逃してやる代わりに二度と悪さをしないことを誓ったカッパの手形(カッパの詫び状)が残されている。陸前高田市には、カッパが伝授したと言われる家伝薬が伝えられており、各地に多くの信仰と伝承が残されている。

<遠野の河童淵>

・遠野の河童淵というと常堅寺裏の河童淵がよく知られており、毎年多くの観光客が訪れる場所である。

1、 綾織町(あやおりちょう)みさ崎の河童

2、 小友町(おともちょう)不動巌(ふどういわお)の淵の河童

3、 小友町長野の河童

・家の人が、河童から骨接ぎの仕方を伝授された話が残っている。

4、 附馬牛町(つきもうしちょう)猿ヶ石川の河童

・河童が馬を川に引き込もうとして逆に馬屋まで引っ張られ、馬槽に隠れていたところ、家人に見つかった。

5、 松崎町光興寺(こうこうじ)の河童

・むかしからいたずらをする河童が住んでいると伝わっている。特に女性にいたずらをする河童で、光興寺の淵に居て名前を「太郎」といい、洗濯などの水仕事に来る集落の女性にいたずらをして困らせていたという。また、この淵の下方にも淵があって、その太郎に言い寄る女河童が住んでいたともいわれる。この二つは今でも太郎淵、女ヶ淵と言われ、二匹の河童が住んでいるという。

6、 土淵町山口の河童

・『遠野物語』第58話の舞台となった淵で、多くの語り部たちの語りや資料で紹介されている。

7、 土淵町西内(にしない)の河童

8、 土淵町土淵の河童

・多くの観光客でにぎわう遠野の代表的な河童淵である。

9、 青笹町長谷場(はせば)付近の河童

10、 青笹町中妻(なかづま)の河童

・昔、上郷村細田の石淵には弟の赤河童が、その下流の青笹村の長瀞瀞淵には兄の青河童が住んでおり、兄弟河童と言われていた。

11、 上郷町板沢の河童

12、 宮守町鱒沢(ますざわ)高舘(たかだて)の河童

13、 宮守町上宮守(下村)の河童

14、 宮守町下宮守(不動淵)の河童

・見つかった河童はある薬の作り方を教えるから逃がしてほしいと許しを乞う。それで教えられたのが、「のどっぱれの薬」というものだった。

<遠野が河童の町になるまで>

・遠野市と河童のイメージを結び付けている大きな要因の一つは、『遠野物語』であろう。『遠野物語』119話のうち、河童の話は、第55話から第59話までの合計5話が掲載されている。第55、56話は河童の子どもを産んだ女の話、57話は河童の足跡の話、58話は姥子淵の河童駒引きの話、59話は遠野の河童は顔色が赤いという話である。

<「民話のふるさと遠野」の歩み>

・著名な文学者たちによる『遠野物語』再評価に呼応するかたちで遠野市民の間でも、『遠野物語』が再評価されていった。

・遠野では昔話を語る人を指す言葉として、「語り部」が定着しているが、昭和46年から「語り部」の草分け的存在が、観光客を相手に旅館や自宅で昔話を語り始めた。

<ザシキワラシ>

・ザシキワラシは、岩手県を中心とした東北地方に言い伝え信じられている、家にまつわる神、精霊で、旧家の座敷にいて常には見えないが、時に子どもの姿をして現れると言われている。

 ザシキワラシは、佐々木喜善が明治40年(1907)に『芸苑』に発表した短編小説「館の家」で初めて紹介された。近代になってから柳田國男の『遠野物語』や佐々木喜善の『奥州のザシキワラシの話』などによって広く知られるようになったと言われている。

・旧家にはザシキワラシと云ふ神の住みたまふ家少なからず、此(この)神は多くは十二三ばかりの童児なり。

・或年同じ村の何某と云ふ男、町より帰るとて留場(とめば)の橋のほとりにて見馴れざる二人のよき娘に逢へり。物思はしき様子にて此方(こちら)へ来る。お前たちはどこから来たと問へば、おら山口の孫左衛門が処から来たと答ふ。

<天狗>

・或時人と賭をして一人にて前薬師に登りたり。帰りての物語に曰く、頂上に大なる岩あり、其岩の上に大男三人居たり。前にあまたの金銀をひろげたり。此男の近よるを見て、気色ばみて振り返る、その眼の光極めて恐ろし。早池峰に登りたるが途(みち)に迷ひて来たるなりと言えば、然らば送りて遣るべしとて先に立ち、麓近き処まで来り、眼を塞げと言ふままに、暫時(しばらく)そこに立ちて居る間に、忽(たちま)ち異人は見えずなりと云ふ。

・この家の主人万吉、ある年の冬稗貫郡(ひえぬきぐん)の鉛ノ温泉に湯治に行き、湯ぶねに浸っていると、戸を開けて一人の極めて背の高い男が入って来た。退屈していた時だからすぐに懇意になったが、その男はおれは天狗だといった。鼻は別段高いという程でも無かったが、顔は赤くまた大きかった。(略)こうしてニ、三日湯治をして、また逢うべしと言い置いてどこかへ往ってしまった。その次の年の冬のある夜であった。不意に万吉の家にかの天狗が訪ねて来た。今早池峰から出て来てこれから六角牛(ろっこうし)に往く処だ。一時も経てば帰るから、今夜は泊めてくれ、そんなら行って来ると言ってそのまま表へ出たが、はたして二時間とも経たぬうちに帰って来た。六角牛の頂上は思いの外、雪が深かった。そう言ってもお前たちが信用せぬかと思って、これこの木の葉を採って来たと言って、一束の梛(なぎ)の枝を見せた。町から六角牛の頂上の梛の葉の在る所までは、片道およそ五、六里もあろう。それも冬山の雪の中だから、家の人は驚き入って真に神業と思い、深く尊敬して多量の酒を飲ましめたが、天狗はその翌朝出羽の鳥海に行くと言って出て行った。

・万吉の家を訪れていたのは清六天狗という名の天狗だった。

<『遠野のくさぐさ』の天狗の記述>

・常に籠(こも)れ折り境内の姥杉(姥杉は旧記に地上一尺にて三丈廻と見え、神木に擬せられしが、前年雷火に焼け失せたり)の梢にてホイホイと聲(こえ)するを聞き、乃(すなわ)ち出で見しに形は燕に似て大(おおき)さ人程度の者腰うちかけつつありて、或る秘訣を口授したり。同人何人に問はるるも、其の授けられし事柄をば他に洩らさざりしが、其は天狗なりけるとぞ。

<『遠野物語』の評価>

・『遠野物語』初版の200部ほどは、知人の文学仲間や親族に贈呈された。

・『遠野物語』が一般読者に広く読まれるきっかけになったのは、昭和10年(1935)に佐々木喜善の遺稿「遠野物語拾遺(しゅうい)」299話を加え得た『遠野物語 増補版』が出版されたことである。

<戦後に来た再評価とブーム>

・次いで戦後、昭和35年以後に『遠野物語』の再評価が始まる。

 三島由紀夫は、『小説とは何か』で<この中で私が、「あ、ここに小説があった」と三嘆これ久しうしたのは、「裾にて炭取にさわりしに、丸き炭なればくるくるとまわりたり」という件りである。ここがこの短い怪異譚の焦点であり、日常性と怪異との疑いようのない接点である。この一行のおかげで、わずか一頁の物語が、百枚二百枚の似非(えせ)小説よりも、はるかにみごとな小説となっており、人の心に永久に忘れがたい印象を残すのである>と記し、日常生活にある炭取を、現実には存在しないはずの幽霊が回転させる描写は、「日常性と怪異との疑いようのない接点」として、怪異の表現に注目しながらその文学性を高く評価したのである。

<山に分け入る人びと>

・遠野の町に初めて電気が通ったのは大正2年(1913)。その時のことが、『遠野市史』に次のように書かれている。

「明治天皇が亡くなられた翌年の秋のある晩、家族全員がランプの下で晩御飯を食べていたところ、突然、頭の上に下げていた電燈が、ぱっと音をたてんばかりについた。皆が思わず、あっと声を上げて総立ちになった。そして聞きしにまさるその明るさに驚いた」

『遠野物語』に書かれている世界は電気がない時代のことだったから、夜といえば今では想像できないくらい深い闇の世界だった。

<山深く分け入る人びと>

・さらに、交通の要衝の城下町である遠野には、早池峰山を中心に活動していた修験者や、北上山系に広がる金や鉄の鉱山などに関わる人びとが全国から集っていた。奥深い山に分け入る彼らの中には、そこで不思議な体験をした者もいただろう。

<遠野の山の神>

・北上高地の山々に囲まれた遠野では、多くの人びとが木挽き・炭焼き・鉄砲打ち・金山稼ぎなどの山仕事に深い関わりを持ってきた。山は暮らしを支える場である一方で、山の神や山人、獣の棲む異郷であると考えられてきた。山仕事に携わる人びとは、山の神を畏れ敬い、言い伝えられてきた縁起をかたく守ることによって無事に仕事ができると信じてきた。

 また、山の神は出産を助ける神とされ、お産の神としても信仰されており、集落の女性たちで山の神講を組織している地域も多い。山の神の姿は多様で、斧やのこぎりを持つ男神像、男女一対の像、女神像など様々なものが存在する。山の神は、春になると山から下りてきて田の神になり、収穫が終わると山に帰るとされる。

・ふと大なる岩の陰に赭(あか)き顔の男と女とが立ちて何か話をして居る。

<家の神、オシラサマ>

・家の神は、家屋内や土地を含めた屋敷内に祀られる神で、家や家族を守る神である。屋敷神には、神棚・仏壇に祀る神、台所に祀る神、水場に祀る神、便所の神、厩の神などがある。屋外に祀る屋敷神は、稲荷神が多い。一軒で祀る場合と同族で祀る場合がある。

 遠野の旧家では家の神としてオシラサマやオクナイサマが祀られた。

 オシラサマは、桑の木などで二体一組のご神体を作り、主に家の神、養蚕の神、目の神、お知らせをする神として東北地方を中心に信仰される。オシラサマは、明治27年(1894)、遠野出身の人類学者・伊能嘉矩(いのうかのり)によって初めて全国に紹介され、さらに柳田國男の『遠野物語』によって養蚕の始まりを伝える馬と娘の話が広く知られるようになった。

・オクナイサマは遠野地方に伝わる家の神で、オコネサマなどとも呼ばれる。家によって形態は異なり、オシラサマのような棒状のご神体、仏像、掛け軸など様々である。

<笠通山(かさのかようやま)のキャシャ>

・綾織村から宮守村に超える路に小峠(ことうげ)と言う処がある。その傍の笠の通(かよう)と言う山に、キャシャというものがいて、死人を掘越してはどこかへ運んで行って喰うと伝えている。また、葬式の際に棺を襲うとも言い、その記事が遠野古事記にも出ている。

・「クハシャ(キャシャ)」は「火車」と表記される妖怪であろう。火車(かしゃ)は墓場や葬儀の場から死体を奪うとされ、全国に伝承がある。

『『遠野物語』を読み解く』

 石井正己  平凡社     2009/5/16

<天狗伝説と寺や家の宝物の関係>

・維新当時、赤い衣を着た僧侶が二人、大きな風船に乗って六角牛山の空を南に飛び過ぎるのを見た者があったということを、佐々木は祖父から聞いています(拾遺235話)。「大きな風船」が気球であるならば、これは気球が遠野の上空を飛んだ話ということになります。実際に気球が飛んだ事実があったのかどうかは確かめられませんが、大きな風船の飛んだ話もあれば、飛行機の飛んだ話もあるというのは、着実に遠野の上空に近代文明が入り込んでいたことを表します。

・そもそも遠野で上空を飛ぶものと言えば、まず思い起こされるのは天狗でした。天狗は山に住む妖怪で、自在にあちらこちらを移動しました。早池峰山の前面に立つ前薬師には天狗が住むと言いますが、土淵村山口のハネトという家の主人はこの前薬師に登って、三人の大男に出会い、麓まで送ってもらったという話があります(29話)。

・「遠野物語拾遺」にも、天狗の話が二話あります。一日市の万吉米屋の主人が稗貫郡の鉛温泉に湯治に行って天狗と懇意になり、天狗は最後に来た時、「天狗の衣」を残して行ったそうです(拾遺98話)。もう一説は次のようになります。

99 遠野の町の某といふ家には、天狗の衣といふ物を伝へて居る。袖の小さな襦袢のやうなもので、品は薄くさらさらとして寒冷紗(かんれいしゃ)に似て要る。袖には十六弁の菊の綾を織り、胴には瓢箪形の中に同じく菊の紋がある。色は青色であった。昔此家の主人と懇意にして居た清六天狗といふ者の着用であったといふ。清六天狗は伝ふる所に依れば、花巻あたりの人であったさうで、おれは物の王だと常に謂って居た。早池峰山などに登るにも、いつでも人の後から行って、頂上に著いて見ると知らぬ間に既に先へ来て居る。さうしてお前たちは如何して斯んなに遅かったかと言って笑ったさうである。酒が好きで常に小さな瓢箪を持ちあるき、それに幾らでも酒を量り入れて少しも溢れなかった。酒代にはよく錆びた小銭を以て払って居たといふ。此家には又天狗の衣の他に、下駄を貰って宝物として居た。右の清六天狗の末孫といふ者が、今も花巻の近村に住んで、人は之を天狗の家と呼んで居る。此家の娘が近い頃女郎になって、遠野の某屋に住み込んで居たことがある。此女は夜分如何に厳重に戸締りをして置いても、何所からか出て行って街をあるきまはり、又は人の家の林檎園に入って、果物を取って食べるのを楽しみにして居たが、今は一ノ関の方へ行って住んで居るといふ話である。

・先の万吉米屋の子孫は、実際、天狗の持っていた「衣」「下駄」「網袋」「弓矢」「掛軸」「湯呑茶碗」を保管してきましたが、今は遠野市立博物館に寄贈されています。

・遠野南部家は八戸から移封されてきましたが、その後も無関係ではなかったはずです。藩主と寺院、民衆との間には何の関係もなさそうですが、天狗を置いてみることで、隠れたネットワークが見えてくるように思われます。

『プレアデス星訪問記』

上平剛史  たま出版   2009/3

<UFOに招かれる>

<宇宙太子との再会>

・それは、私が故郷である岩手県に住んでいた16歳のときのことである。

<葉巻型巨大宇宙船へ>

・「葉巻型母船は長さ4キロメートル以上で、太さは一番太いところで、直径7、8百メートル以上あります」

                     

・「この母船はひとつの都市機能を持っており、ありとあらゆるものが備わっています。生き物のような船であると言っても過言ではないでしょう」

・なんと、これでも中規模程度の母船らしい。10キロメートル、20キロメートル、さらにそれ以上の大きさの地球人類には想像もできないほどの巨大な母船も存在するという。この母船では縦横およそ50メートルおきに道路が設けられ、階層は最も厚いところで40~50層になっているそうである。母船の中に公園や山河まであるらしい。この母船で生まれ育ち、一生を過ごす者もいるそうである。

・宇宙人にはそれぞれ母星があるが、母船には母星の都市機能が備わっており、母星の社会がそのまま存在している。母船の惑星としての役目を果たすため母船が故郷となる者もいて、そういった者は、ある意味で、母星で暮らしている人間よりも精神的に進化しているらしい。

・「この母船には我々プレアデス星人だけでなく、様々な星人が協力のために同乗しています。地球人類がグレイと呼んでいる宇宙人もいます。もっともグレイは我々が遺伝子工学、バイオ化学、宇宙科学を駆使して造ったロボットでしたが、今では宇宙や特定の星の調査など、さまざまな分野で活躍しています。他にも爬虫類、鳥類、魚類、昆虫、植物などの生態から進化した人間もいます」

・「この母船は、最大収容能力は5千人ですが、現在は4千人くらいでしょう。ただ、乗せるだけならば、1万人は乗せられるでしょうが、常時生活して長く滞在するとなると5千人が限度です。食料やその他の問題がありますからね。この母船には、ここで生まれた子供たちを教育する係もちゃんといるのですよ。子供達が大きくなれば、母星の学校や他の進んだ星へ留学する場合もあります」

・UFO研究家で有名な韮澤潤一郎氏も「微に入り細に入る教訓的宇宙オデッセイであり、近頃には珍しい詳細な本物の体験記であると思う」と記している。

・だれしも、ある時夢での宇宙をさまよったこともあるのだろうが、本書によって、しばし宇宙旅行を楽しまれることをおすすめする。

<惑星化された母船内部>

・私は船長に言われたとおりに宇宙太子に従い、自走機で艦内を案内してもらった。艦内のどこを回っても、光源がないのに真昼のように明るい。壁全体から光が出ているようだが、影は映らなかった。小型宇宙船の駐機場、公園、スポーツクラブ、談話室、宇宙パノラマ室、図書館、レストラン、健康クラブ、プライベートルームなどを早足で回った。駐機場にはざっと数えただけで宇宙船が30機以上あり、宇宙太子に聞くと、「全部で100機あるでしょう」ということであった。

・公園は中央の中段上にあり、綺麗に整備されていた。樹木や草花が咲き乱れ、とてもいい芳香を放っている。植物の色合いはとても濃く、元気である。自然の中に小川が流れ、散策路やベンチがあった。歩くと心が癒される素晴らしい公園に作られていた。ここからさらに農場や150メートルほどの山岳に連なっており、まさに自然そのものが存在していた。

・「プレアデス星人は、現在では本を使いません。家にいながら世界中のことを見たり、知ったりできるからです。子供達が勉強するのにも本は使いません。年齢によって脳に知識を植えつけていくシステムがありますから、記憶装置を使ってどんどん知識を増やしていけます。子供達はやがて自分の得意分野へと進んでいき、個性を活かした社会奉仕へと向かっていくのですよ」

<すべてをリサイクルするシステム>

・続いて、プライベートルームに案内された。ここは寝室のある個室で、寝泊まりができるらしい。石鹸やシャンプーを使わないため風呂場はなく、シャワールームのようになっていた。そこで霧状のシャワーを浴びるだけだが、波動の加わった特殊な水なので、肌の油や垢がきれいに洗い流されるのだという。トイレは私たちのよく見るような便器ではなく、シャワールームの壁側にある人形の凹みに腰かけるようになっていた。私もためしに用を足してみたが、用が終るとその思いを感知するらしく、終ったあとのお尻に気持ちのいい温風が流れて乾かしてくれる。そのあとは軽やかな音楽が流れ、香水の香りが漂った。あまりにも不思議だったので、私は宇宙太子に質問してみた。

「大便や小便の始末はどうなっているのですか。それから、おならのガスはどうなるのですか」

「大便や小便は完全に分類し、利用しています。宇宙生活ではすべての物を再利用するシステムが完全に備わっており、ムダになる物はひとつもありません。おならのガスだけでなく、我々が呼吸で吐き出す炭酸ガスも空調システムで完全に集めて分類し、活かしているのですよ。循環システムが完全に稼働しているために、我々は星で生活しているような錯覚さえ起こすのです。母船は星と都市の機能を備えているのです」

・私がさらに驚いたのは洗面台である。歯ブラシを使って歯を磨いたり、カミソリでヒゲを剃ったりする習慣はないのだという。壁側に顔形の凹みがあり、そこに顔を当てると顔が洗われ、ヒゲもきれいに剃れるのだ。その装置の中のちょうど口にあたる部分には出っ張りがあり、それをくわえると口の中がきれいに洗浄されるのである。

「この装置はどういうシステムになっているのですか」

「ヒゲは、簡単に言えば特殊な電気でヒゲだけをきれいに焼いてしまうのです。顔の皮膚は火傷しないようにそれとは違う電気システムを使っています」

「皮膚が焼けないシステムといっても、睫や眉毛、髪の毛はどうなるのですか」

「もっともな疑問点です。我々の装置は人間の思考を感じ取って、人間の思い通りに働いてくれる完璧なシステムに作られています。ですから、本人がすることを完全にこなしてくれるわけで、髪の毛や、眉毛、睫まで焼いてしまうということはないのです。念のため、システムの中に髪の毛、眉毛、睫、ヒゲのサンプルを入れて記憶させていますから、完全に区別できます。このように、百パーセント安全なシステムでなければ、日常生活に使用しないですよ」

・「地球にあるほとんどの食物は、実はその昔、我々の祖先がプレアデスから持っていったものが多いのですよ。地球で生活するために持っていったものが地球で野生化したり、地球人が改良を加えたり、混ざり合ったりして、新種ができて今日に至っています」

・「人工太陽も利用しますが、自然の太陽の光を天井から農場まで引いて照射しているのですよ。太陽の光と熱を貯蔵して利用し、効率よくしています。また、成長ホルモンをコントロールして高単位の栄養を与え、成長を速めているのです」

<プレアデス人の宇宙科学>

<中心都市の宇宙空港>

・映像パネルに宇宙図が現れた。その中に、ひときわ美しく、金色に輝く星が見えた。星々の流れがシャワーのように後に流れはじめると、金色の星が少しづつ大きくなった。ゴルフボールから野球のボールの大きさへ、それがサッカーボール、アドバルーン大、と大きくなった。すると、星の両側に巨大な太陽が見え、まぶしき輝くの見えた。私の驚きを感じて、船長が言った。

「我々の母星は伴星の恒星にしたがっている惑星です。双星の太陽の源に我々の母星「プレアデスXⅡ」は育まれ、多種多様な生命が発生しました。宇宙の進化の目的にしたがって我々は成長を遂げ、現在の宇宙科学を駆使できるまでに進化を遂げたのです。」

・船長が命令すると、母船はプレアデスXⅡへぐんぐん近づいて行き、青く輝いていた大気圏に一気に突入し、丸く見えていた惑星に山脈や青い海が見えると、スピードがゆるやかになった。それからゆっくり降下し地表に近づくにつれて、都市の形状がはっきりしてきた。透明の丸いドームが大小延々と連なっており、それらが透明の太いパイプで連結されているのが見えた。

 宇宙空港は都市郊外の山脈近くにあった。さまざまな宇宙船がそれぞれの着陸場所に降り立ち、駐機していた。葉巻型宇宙母船が台のような構造物でしっかりと固定され、何十機と駐機している。私達の乗る母船も船長の指令により、ひとつの台に降り立った。その台はやがて山脈のほうへ向かって動き出し、中へと吸い込まれていった。山脈の中は空洞で、母船と同じく光源がなくても真昼のように明るい。

・地球人類が滅亡へ向かう根本原因は、社会の基本に貨幣制度を敷き、競争社会を造っていることです。我々の社会には貨幣制度は存在しません。貨幣がなくても、『必要な人が、必要な物を、必要なときに、必要なときに、必要な分だけ受けられる社会』が確立されています。『真に平等で平和な社会』です。したがって、地球人類が『真に平等で平和な社会』を心から願うのであれば、現在の貨幣経済から一日も早く脱却しなければならないでしょう。

・「これは手品や魔術ではなく、私の思念、創造の産物です。『思考は目に見えないが、生きた産物であり、精神は感応する』という性質を、私達は宇宙科学に応用したのです。宇宙ジャンプ、テレポート、非物質化、物質化現象を応用することで、光よりも速く飛べる宇宙船を開発できました。ですから、光の速さなら何百年、何千年、何万年もかかる距離でも、宇宙船は瞬く間に目的地に着けるのですよ」

・地球人類と私達の社会では、人が亡くなったときの処理の方法も違います。街には必要と思われる箇所に『平安の屋形』という小さな家が設けられています。そこには『やすらぎの器』という遺体処理機が置かれています。これは遺体を記録し、完全処理する機械です。ある人が道で倒れたりした場合、通りすがりの人間がその人を平安の屋形に運び、やすらぎの器に乗せてあげます。機械は霊魂が昇天しているかどうかを判断し、まだ死亡していなければ生存していることを知らせ、どこへ連れて行くべきかの指示を出します。そこで遺体の発見者は、指示されたところへ自走機で連れて行きます。誰もが必ず連絡先の書かれたカードかチップを携行しているので、それを見て家族へ連絡します。

<愛の奉仕活動を基本とする社会>

<工業都市ミールの宇宙船製造工場>

・宇宙太子が「さあ、出かけましょう」と私をうながした。彼は私を自走機に乗せ、館内を見せてくれた。パブリックホールにはさまざまな星人、人種がおり、楽しそうにくつろいでいた。宇宙太子が「あれはオリオン人、あちらはシリウス人、むこうはアンドロメダ人、それからリラ人、カシオペア人、牡牛座人、ヘルクレス人、レチクル人、リゲル人………」などと教えてくれたが、とても覚え切れるものではなかった。

「みなさん、それぞれの目的のもとに我が母星を訪問しているのです。研修や宇宙旅行の途中に立ち寄ったり、剛史と同じような目的だったり、宇宙人連合の会議に出席するためだったりします。今、私がそれぞれを紹介しましたが、地球人の星座を使って、地球人にわかる形で表現しただけで、実際には違う名称です。我々の科学も本当はピクス科学といいますが、地球人にわかりやすいように、プレアデスという名称を使っています」

・彼らは顔や体形にそれぞれ特徴があった。目立ったのは、鳥、爬虫類、牛などの特徴を持った人間である。

「彼らもまた、進化した人間なのですね」

「もちろんそうです。科学力においては、地球人類よりはるかに進化を遂げています。顔がヒューマノイド形でないからと言って、見下げるのは誤っています。科学力において進歩しているということは、精神面においても進化していると思っていいでしょう。知恵と精神面の発達はとても重要で、その人類の生きかた、社会のありかたを決定づけます。地球人類の社会に争いや戦争が絶えないのは、精神面がとても遅れていると見なければなりません」

・自走機で小型宇宙船が駐機している屋上まで行き、そこから小型宇宙船で工業都市へ向かった。宇宙船が上昇したので都市全体を見渡すと、各ドームがいっせいに美しいカラフルな色に変色した。

・工業都市ミールは先ほどの首府アーラとは違い、透明なピラミッド形の建物が多かった。その他に箱形やドーム状のものも点在するこの都市も、たとえようがないほど美しかった。山脈に続く一角にはさまざまな宇宙船が並んでおり、宇宙船はこの工業都市で製造されていることがひと目でわかった。

「工業都市は他にもありますが、宇宙船は主にこの都市で製造しています。工業都市にはそれぞれ特徴があって、宇宙船だけでなく、あるとあらゆる機械、ロボット、コンピューター、設備関係、家庭で使う小物の道具類まで、我々の社会に必要なものはすべてが製造され、そこら全国へ配送されます。すべて国の管理により、必要に応じて製造され、ムダなく使用されます。地球人類のように会社が競争して、必要以上に製造してムダにする社会とは違います。『必要な人が、必要な物を、必要なときに、必要な分だけ受けられる社会』、『誰もが平等に平和に暮らせる社会』が確立しているため、人よりも物を蓄えようという物質欲ははるか昔になくなっているのです。我々の社会では『人に与えることが自分の幸福』なのです」

<過去にも未来にも行ける>

・「過去は実際にあった現実ですから、ある程度理解できます。でも、まだ現実になっていない未来をどうしてとらえられるのか、僕にはわかりません。先ほどの『さくらんぼ娘』にしても、まだ生まれてもいないし、両親は結婚さえもしていないわけでしょう。それなのに、どうして次元に入れるのでしょう。アカシックレコードは過去の記録でしょう。

「もっともな疑問ですね。この世に物質が誕生するとき、その物質にはその物質の一生が記録されています。ですから、人間ならば、その人の肉体と霊魂をさぐれば、その人の未来も知ることができるのです。つまり、この宇宙の物はすべて未来の記録を発しているわけです。実を言えば、過去も未来も今、ここに存在しているのです。過去に遡れるのなら、未来にも遡れるのですよ。遡ると言うより、『その次元に入り込む』と言ったほうが正しいかもしれません。地球人類的に言うならタイムマシンですね。

<大規模農場アースナムの『ミルクの木』>

・「農作業はほとんど機械とロボットが行い、人間は管理だけをしています。ここでは地下が倉庫になっており、コンピューター管理によって運営されています。ここから地下の流通路を通って都市から都市へ、必要なところへ必要な分だけが配送されていくシステムです。個人が自分の趣味でやっている園芸農園もあるのですよ」

<海洋都市アクーナ>

<自然環境と調和する都市>

・小型円盤でしばらく飛行すると、海岸線に添うように、丸い形の家がたくさん見えてきた。もう着いたのかと思ったが、円盤は沿岸の街へは下りず、海へ向かった。その海を見下ろすと、海中がまるで宝石でもばら撒いたように光り輝いていた。宇宙太子は「ここが海洋都市アクーナです。入りますよ」と言うと、そのまま円盤を操作して海へ突っ込んでしまった。海中を進むと、ラッパのような構造物があった。円盤はその先端の大きな口の中へと入って進み、やがて巨大なドーム状のプールに浮かび出た。まわりにたくさんの円盤が並んでいる駐機場がある。そこは、海洋都市アクーナのプール港ステーションだった。

 私達は自走機に乗って都市を回り、ひときわ立派なドームにたどり着いた。

<知識はレコ-ディングマシンで脳に記憶>

・「地球人類は学問的知識を覚えるのに、もっぱら暗記力に頼るようですが、我々の社会ではそのような苦労はしません。先ほども言いましたが、脳に記憶を植えつけ、脳に知識をレコーディングしていきます。年齢別にレコーディングの種類、最も決められています。そのために、図書館にはあらゆる分野の知識がつまったチップがそろっています。チップをレコーディングマシンにはめて、知識を脳に流し込んでやるだけで、物理なら物理の知識が記憶されます」

・初めて会った子供達が、流暢な日本語で挨拶したので驚いてしまった。

「みなさんこんにちは。歓迎してくれてどうもありがとう。みなさん、日本語がうまいですね、どこで覚えたのですか」

 彼らはいっせいに言った。

「レコーディングマシンで覚えたのです。私達はみんなこれで知識を蓄えるのですよ」

「みなさんは今、僕と初めて会ったのに、僕を知っているようだけど、どうしてかな」

「私達はレコーディングマシンで何でも知ることができるのです。レコーディングマシンを使えばわからないものはありません。わからないとすれば、この世を創造した神様がどこから来たのかということぐらいでしょう。それに、私達の脳は地球人と違って、近くにいる相手の意識が伝わって来るのです。だから、剛史が地球から来たことがすぐにわかったのです。魂の進化を遂げた私達の脳は、受信、発信ができる便利な脳に発達しています。そのおかげで、脳による意識と意識だけのテレパシー会話ができるほどに能が発達しました。神の方向性に向かって、神に近づくように進化し続けているのです」

 彼らはまるで子供らしからぬ説明を、日常会話でもしゃべるように話した。私は、こんな小さな子供達が地球の大人以上の認識で話すのを聞いて、プレアデス人の進化の度合いは半端なものではないと感じ取った。

<進化した子供たちとの会話>

・「プレアデスでも突発的な事故による怪我や病気、手足の骨折もたまには起きます。でも、今のプレアデスの医学ではほとんどの病気や怪我は完全に治ります。地球の病院でも治療は、拒否反応やアレルギーが起きたり、病巣を体に残したり、醜い疵跡や後遺症が残ったりといったことが多々見受けられますが、そのような治療は一切していません。ただ、プレアデスにも老衰はあります。老衰死はどの星人にもありますから、避けて通れません。そのために、老後に安心して死を迎えられるように、老人達が自分の意思で自由に出入りできる老人憩いのホームを作って、楽しい生活を送れるようにしているのです。病院と老人の施設は同じ場所にあり、両方の施設はつながっています」

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