アリカカイは長髪で猫の眼をもち、アミ族の人のたっぷり4倍の身長がある巨人であり、煙草を吸うのが好きだという。(1)
(2025/2/18)
『「図説」台湾の妖怪伝説』
何 敬堯 (著), 甄 易言 (翻訳) 原書房 2022/6/21
<序文 妖怪を求めて島を巡る――台湾妖鬼神怪の魔幻世界>
・私にいわせれば、妖怪と土地の民は深く結びついている。この考え方のもと、私は台湾各地へ妖怪スポットを訪れる旅に出かけた。
私は、これらの調査結果を『妖怪台湾』に盛り込むことができなかった。本の研究範囲を1945年より前の昔の時空に限定していたためだ。フィールドワークは現代文化と血肉の関係にある。そこで、私は妖怪スポット調査を一冊の本にすることにした。それが本書『台湾の妖怪伝説』である。私は「妖怪」という窓口をとおして、読者に台湾島の華麗と幽暗をより認識してほしいと思う。また、本書が読者に本土の歴史と民俗への興味を引き起こすようにも頼っている。
だが、実際の執筆にあたっては、多くの困難があった。後に私は2冊の本を読み、どうにか執筆の方向を探り当てた。2冊の本とは、『図説:『遠野物語』』と『京都魔界探訪』だ。
<美崙山(びろんさん)の巨人アリカカイ>
<妖怪伝説>
・アリカカイは長髪で猫の眼をもち、アミ族の人のたっぷり4倍の身長がある巨人であり、煙草を吸うのが好きだという。彼らは美崙山西側の洞穴の中に住んでいて、魔法で女性に悪さをするなど、どんな悪いことでもするので、部落の人々は頭痛が絶えなかった。
アリカカイは変身魔法が得意で、赤ん坊を連れた母親の後を追って耕地へ入ったことがあった。彼は手の毛を抜いて呪文を唱えると母親の姿になり、相手の不注意に乗じてこっそり赤ん坊の内臓を食べてしまった。
アリカカイの悪行はますますひどくなり、アミ族の人々はとうとう耐えられなくなって抵抗を決心した。しかし部落の勇士が美崙山にある住処を何度襲撃しても、アリカカイの邪悪な魔法に打ち勝つことはできなかった。
・人々がどうすることもできず、カランという長老が一人で海岸に行って悩んでいると、海神が夢の中で彼に告げた。「アリカカイは人間ではないので、尋常の方法では倒せない。祭祀に使うマポロン(束ねて縛ったススキ)でなければ勝つことはできない」。天啓を得たカランは、歓喜して部落に戻り、人々とともに大量のマポロンを作った。最後にアリカカイはマポロンの聖なる力に敵わず次第に敗退し、ついに二度と部落を騒がせないことを受諾し、美崙山を永遠に去って二度と戻らないと言った。アリカカイは、アミ族の不殺の恩に感謝し、こういったという。「毎年夏に、海岸に檳榔(びんろう)と酒、餅を供えて我々を祭れば、大漁になるぞ」。これはアミ族の海祭(漁祭ともいう)のはじまりをめぐる物語の一つである。
<探査ノート>
・妖怪は歴史の一部分であり、さらには重要な郷土文化遺産だ。2018年の夏、台湾有史以来おそらく初めての、「アリカカイ」の名で企画された妖怪展覧が花蓮市で開幕した。
展覧は「美崙山の巨人族とその産地」というタイトルで、「O’rip生活旅人」で文化歴史調査の仕事をする黄啓瑞の企画による。そこでは、文物展覧、絵画芸術、影絵人形劇、テーマ講座等のイベントがあり、アリカカイに関係する品物や二次創作が、一挙にほぼ網羅されていた。そこで私は花蓮まで展覧会を見に行き、同時に伝説中のアリカカイに関する風景を実地調査したものだった。
・南勢アミ族やサキザヤ族の伝説では、アリカカイは人食いの巨人族で、特に赤ん坊の内臓を好んで食べる。
・伝説のバージョンは複雑で、日治時期の文献の中で、アリカカイを退治する武器はマポロンでなく、女性が月経の時に穿いて汚れた服である。いくつかのバージョンでは、アミ族の「運動祭」の起源は、もともとアリカカイを討伐するために各部落が勇士を年齢ごとに分けて訓練し、各種の戦闘技術を学ばせたことから派生したものだとされる。またいくつかのバージョンは金を探しに台湾東部にやってきた西洋人であり、外貌が奇異であったために現地の住民から妖魔化された、と分析されている。
・今となっては、かつて巨人が隠れていた洞穴をはっきりと探し出すことはできない。その穴は埋められてしまったという。今の美崙山の北半分は軍事管制区となっていて、自由に歩けるのは南半分だけだが、かつての幽闇な雰囲気は一掃されている。登山歩道では多くの人々がジョギングや運動をしていて、バトミントンコートや児童遊戯施設があり、巨人がこの地を荒らした痕跡はまったくない。
・アミ族、サキザヤ族の口承物語の大部分は、やはり美崙山をアリカカイの根拠地とみなしている。
掃叭石柱に関する伝説についていえば、アミ族の大部分の言い伝えでは、これはカララ部落の祖先の遺跡であるという。サキザヤ族では、石柱は天神フォトンが天上界に行くときに使う梯子だといわれている。
花蓮各地で掃叭石柱とアリカカイの物語が流布している理由は、黄嘉眉の研究によれば、現地に石器の遺物と奇景怪石が非常に多く、またアリカカイの物語が広く伝わっているため、両者の関係がこじつけられたためだという。
・物語が入り乱れているが、しかし私達はそれらの伝説が語られる土地の分布から、アリカカイの伝説圏の影響範囲がどれくらい大きいかを知ることができる。
アリカカイの足跡はすでに現代から遥かに遠く離れ、巨人をめぐる話は荒唐無稽で奇妙なものとなっている。しかし、もしこれらの伝説により強く好奇心を抱くのなら、私達は、花蓮の郷土の文化歴史をよりよく理解できるだろう。
<菁桐(せいとう)古道の魔神仔(モシナ)洞>
・魔神仔はよく知られた台湾妖怪で、民間で長いこと言い伝えられている。人間が山林に入り込めば容易に魔神仔にもてあそばれ、方向を見失い、はては見知らぬ場所へ連れて行かれてしまう。行方不明者が見つかったときには、口の中に牛糞、泥、バッタといった汚物を詰め込まれているかもしれない。魔神仔に遭遇した人は、その形象について様々なことを言う。子猿に似ているという人もいれば、青緑の身体だという人もおり、赤い服を着て赤い帽子を被っているともされるようだ。共通しているのは、魔神仔は身体が小さいということだ。
・魔神仔は民間の怪談だが、登山客が道に迷い行方不明になった事件を報道するニュースで、しばしば魔神仔が言及されるため、その名はますます知られることになった。さらにネットなどが火に油を注いだため、魔神仔は、いま台湾人がひろく熟知する山の精怪となっている。
・魔神仔は神出鬼没で、会いたいときに会えるものではないが、実のところ「魔神仔」の名を冠した地名は多い。『魔神仔的人類学想像』の調査によれば、台北、新北、台南にはみな魔神仔に関係する地名がある。なかでも、平渓菁桐古道の魔神仔洞は最もよく知られている。
私はながらく菁桐古道の魔神仔洞にあこがれていたが、ずっと訪れることがなかった。魔神仔洞は山奥にあって簡単にたどり着くことはできないだろうと思っていたからだ。実際に歩いてみると、魔神仔洞の登山ルートは思ったほど困難ではなかった。
<奇怪に出会った男>
・私は縁あって嶺東科技(れいとうかぎ)大学の陳美(ちんび)先生と知り合い、彼女の父が多くの神怪体験をしたという神秘的な物語を聞いた。そこで、陳美先生のご実家を訪れ、陳慶章(けいしょう)さんにお話をうかがうことにした。
【魔神仔(モシナ)】
・陳さんは30~40歳の頃、家の前で魔神仔を見た。
その時は7、8時で、魔神仔は道端の段ボール箱の上に立っていた。全身が灰色の毛で覆われ、眼が大きく身体は小さく、120センチほどの身長だった。猿に似ていたが猿ではなかった。口が平らで、全体的に非常に不気味だったので、陳さんはこれを魔神仔だと考えたのだった。
陳さんが急いで傍にあった棒を手にとって身を守ろうとすると、魔神仔はすぐに段ボール箱から離れ、奇怪な足取りで歩いた。陳さんは棍棒を持って付近の街道まで追いかけた。陳さんは大声をあげ、人を呼ぼうとしたが誰にも聞かれなかった。魔神仔が白いセダンの下に滑り込んだので、陳さんは四つん這いになって覗いたが、魔神仔の姿は消えていた。その後、陳さんは魔神仔を見ることは二度となかったが、魔神仔はまだ近くに潜んでいると考えている。
実は、魔神仔が消えた街道の入口に三合院があり、40年以上前に爆発事件が発生したことがあった。
・陳さんは、爆発事件のあとまもなく魔神仔に出会ったので、当時の爆発事件はあの魔神仔と関係があるのではないかと疑っている。
多くの不思議な出来事を経験し、魔神仔と対峙したこともあったとはいえ、しかし陳さんは、鬼怪は人間の前にむやみに姿を現すものでなく、多くの場合、疑心が暗鬼を生むのだと思っている。彼は、最も重要なことは心が「正」であることだと考えている。「邪は正に勝てない」というのが世の中の道理だからだ。
<日月潭(にちげつたん)の人魚タクラハ>
<妖怪伝説>
・サオ族は日月潭に居を定めた後、農耕のほか、湖の魚やエビ、タニシ、ドブガイを生活の糧としていた。しかし、ある時から、魚がとれなくなり、水中に仕掛けた魚やエビを捕る筒や籠も壊されてしまった。そこでサオ族の頭目は大変心配し、水中に怪物がいるのではと疑った。
少年ヌマは事情を聞くと、水に潜って事を明らかにしたいと思った。ヤスを手に取って湖底に潜ると、すぐに多くの破損した漁網を見つけた。漁具の残骸に沿って泳いでいくと、長髪の人魚タクラハが、人々の作った鰻筒を壊しているのを見つけた。
ヌマは眉を上げて怒り、ヤスを振り上げて攻撃した。タクラハは水中の精怪なので、瞬時に攻勢に出た。少年と水精は三日三晩激しく戦ったが勝負はつかず、最後に双方とも気息奄々(きそくえんえん)として大岩の上に横たわって休んだ。
ヌマが水精になぜサオ族に敵対するのかときくと、タクラハは「水中の籠が多すぎるのだ。節制しなければ、魚やエビを捕りつくして、我々は生きていけなくなる」と反問した。
ヌマは満面を赤らめ、過ちに気づいた。部族の人々はわけを知り、万物生息の理を悟ると、タクラハの協力により、浮島を作って魚類の産卵と繁殖を手助けした。また特定の魚種を捕る時間を固定し、漁網の網目の大きさを制限して一網打尽にしないようにした。
<探査ノート>
・サオ族は超自然の存在をQaliと呼ぶ。この言葉の指す範囲は広く、例えば祖霊、善霊、悪霊はすべてQaliに属する。他にも黒精と水精という二種の特殊な精怪がいる。
『日月潭部族調査報告』(1996)の中で、唐美君は、サオ族頭目パイダブ・シナワナンの話を記述している。それによれば黒精は全身が黒く恐ろしげで、人を病気にする力をもち、水精は船をひっくり返して人を溺れさせるという。しかし、唐美君はまた、もう一人のサオ族の語り手高武老の話を附註に記している。水精は、水中で水族のQaliを司っており、災いをなすことはなく、むしろ溺死者が水幽霊となって船をひっくり返し人を溺れさせるという。
日月潭の水精が人を水中に引きずりこむかどうかはともかく、タクラハが湖の中に住んでいるのは疑問の余地がない。洪英聖『台湾先住民脚印』(1993)の記録によれば、サオ族と結婚した漢人劉秋香(りゅうしょうこう)は、幼少期から部落に住み、湖辺にハマグリを拾いに行くときはいつも、石印までは行かないようにしていた。なぜなら、そこは平らで四角の大岩があり、年長者によると、人魚がその岩の上で日光浴をするからだという。人魚は長髪で、身体は魚、頭は女性の姿をしているという。
<訳者あとがき>
・本書は、こうした「台湾妖怪ブーム」のさなかで生まれたものである。
本書の特色は、台湾妖怪を郷土とナショナリティーの歴史記憶のあらわれとしてとらえている点である。
・台湾に実際に長く住んでいると、人々にとって民間信仰が生活のなかで生きた文化として脈々と受け継がれ、大きな力を持っていることを実感する機会は多いだろう。
・台湾の人々の生きる精神世界、生活空間を理解するうえで、民間信仰や習俗習慣が非常に重要であることは疑問の余地がない。その意味で、本書『台湾の妖怪伝説』は、「生きた台湾」を深く理解するための絶好の入口になっているといえる。
・しかし、それをいうのであれば、日本でも「妖怪」という語彙が普及したのは近代以降のことである。それならば、明治期以降の日本文化が「妖怪」概念を新しく創出させたように、台湾でもまた、独自の「台湾妖怪」を創り出すことは可能なのではないか、というのが氏の考え方である。
この発想にもとづいて、何敬堯氏は独自に「妖怪」を定義する。
妖:妖精、精怪。通常は物に宿る霊であり、魔物変化であり、具体的な形を持つ。
鬼:鬼魅、鬼怪。形は曖昧ではっきりせず、人が死んで鬼となったもの、あるいは鬼と名づけられたもの。
神:神怪、陰神、精霊。人間の崇拝や信仰を受けている。
怪:怪事、奇譚とは、すなわち怪奇で不可思議な物語である。
本書でいう「妖怪」とは、台湾民間社会に伝統的な「妖・鬼・神・怪」の省略であると、何敬堯氏は述べるのである。
・非業の死を遂げた身寄りのない死者をとむらう廟は、「陰廟」と呼ばれ、台湾では各地に見られる。その背景には「厲鬼」と呼ばれる日本でいう怨霊に相当する存在に対する民間信仰があり、生者の枕元に死者の魂が現れて廟の建立を願うという逸話もまた、広く見られるものである。そして、注目すべきは、慰霊の対象は漢人の死者のみに限らず、かつて台湾にやってきたオランダ人や日本人を神として祭った陰廟もまた各地に存在する点である。
台湾漢人社会に伝統的な民間信仰のもつ、いってみれば国家や民族を超えた普遍的性格の一面を、ここから見て取ることもできるかもしれない。
『ベルゼバブの孫への話』
(G・I・グルジェフ) (平河出版社) 1990/8
<聖なる惑星パーガトリー>
・パーガトリーと呼ばれる聖なる惑星は我々の大宇宙全体にとっていわば心臓のようなもので、つまりこの宇宙に存在し機能しているあらゆるものが脈動して完全なる結果を生み出した時、その結果がすべて集まってくる場所なのだ。
・われらが<共通の父なる創造者と永遠の主>がたびたびこの聖なる惑星に出現されるのは、そこが、我々の大宇宙のさまざまな惑星で完成の域に達した最高に不幸な<高次存在体>の生存場所であるからだ。
・この聖なる惑星に住むという栄誉を授けられた<高次存在体>たちは、恐らく我々の大宇宙の全てのものと同じくらい苦しんでおる。
・この聖なる惑星は存在する全てのものが機能して生じた結果集まってくるセンターであるだけでなく、今では我々の宇宙の全惑星の中でも最良の最も豊かにして最も美しい惑星だ。
・この聖なる惑星上にはいたるところに峡谷があり、そこは様々な<内部形態>を持った実に便利な洞窟がありーある部分は自然のものによって、またある部分は人工的に造られたものだがー入口からの眺めは実に素晴らしく、中に入ると天上的で平安な生存に必要なものは全てそろっており、しかも宇宙の独立した個人―<高次な存在>もこれになることができるーの体内のいかなる部分でも、本質的な不安は全く存在していない。
・『ベルゼバブの孫への話』は、ベルゼバブが、宇宙船カルナック号の中で、孫のハセインに話す内容からなっている。
・ベルゼバブは、その昔反逆罪で、宇宙の中心から火星に流刑された。ベルゼバブは、流刑時代に、地球という三脳生物(人間)が住む奇妙な星を何度も訪問した。
・そこで、地球の不可思議な三脳生物(人間)を詳細に観察したという物語。
<大天使の統治するパーガトリー>
<大天使の造ったエゴリオノプティ>
・成し遂げた功績が認められて、さらなる生存のために我々の大宇宙のいたるところからこの聖なる惑星にやってきた、これらの<高次存在体>が特に好んで住んでいるのがまさにこういった洞窟の中なのだ。
・今言ったものとは別に、便利さの点においてもスピードの点においても最高の<エゴリオノプティ>と呼ばれるものはここにはある。これらのエゴリオノプティは、この聖なる惑星の大気圏内で、あらゆる方向に好きなスピードで、たとえば我々の宇宙の第二等級の太陽が落下するほどのものすごいスピードでも自由に動くことができる。
・この種の<エゴリオノプティ>のシステムは、どうもある有名な天使、今では大天使となっているヘルキッシオンが特にこの聖なる惑星のために創造したもののようだ。
・そして、そのとき以来、この聖なる惑星パーガトリーという名で呼ばれるようになり、<(彼)>御自身の要望によって我々の全地域維持者である大天使ヘルクゲマティオスによって組織立てられ、統治されている。
<大宇宙の全惑星からあらゆる<植物相><動物相><フォスカリア>が集められている聖なる惑星>
・最初、つまりアトランティス大陸が消滅する以前には、おまえの惑星の三脳生物たちもこの聖なるパーガトリーとことをおおよそ理解しており、それに関するレゴミニズムさえいくつか存在していた。
・当初、現在この聖なる惑星に住んでいる<高次存在体>は、直接我々の至聖絶対太陽に行っておった。ところが後に我々が<チョート・ゴッド・リタニカル期>と呼んでいる全宇宙的大惨事が我々の大宇宙で起こり、そしてこの恐るべき全宇宙的大惨事以来、今この聖なる惑星に住んでいる同種<高次存在体>は、われらが至聖絶対太陽と直接交わる可能性を失ってしまったのだ。
・またそこには我々の宇宙のあらゆるところから姿も声も最も美しい鳥が集められ、これも博識家がいうには1万2000種もいるという。
・<花>や<果実>や<いちご類>、その他同種の惑星上形成物に関しては、とても言葉では言い表せないほどだ。もし言うとすれば、我々の大宇宙の全惑星からあらゆる<植物相><動物相><フォスカリア>がここに集められて、この環境に順応させられたとでもいえるだろう。
<天使・大天使の惑星>
・この惑星は<プロトコスモス>系に属するモディクテオと呼ばれている惑星だ。この惑星に誕生した生物は、我々の偉大なるメガロコスモスの全惑星に誕生した生物と同様、三脳でまた外観も我々とだいたい似ている、それに彼らは、我々の大宇宙の無数の外的形態をもつ全ての三脳生物のうちでも、最も理想的かつ完全であり、他の生物たちもそう考えている。現存する全ての天使、大天使、それに我々の《共通なる父である永遠なる主》に最も近い聖なる個人の大半は、ほかならぬこの素晴らしい惑星で誕生しているのだ。
・面白いことに、我々の大メガロコスモスの全ての惑星に誕生する三脳生物はほとんどみな、この聖なる惑星パーガトリーのことを知っているが、このことを知らないのはおまえのお気に入りの惑星の三脳生物だけ、もっと正確にいえば、アトランティス大陸が滅亡へと向かいつつある時以後に生まれた者達だけだ。
『宇宙連合の飛来』
(喜多要光) (大陸書房)1975/1/1
<宇宙の彼方>
・ 太陽系には、12個の惑星があるが、この太陽系の周りにも12個の太陽系がある。(空飛ぶ円盤同乗記)
・ このように宇宙人は、宇宙連合に加入して、地球を救助するためにやって来ている。彼らは、わが太陽系の12個の星々のみでなく、いろいろな太陽系からもやって来ているのだ。たとえば、サガファリス太陽系、トレソトン太陽系、第22太陽系、サファニアン太陽系などである。
・ このサファニアン太陽系の人々を筆頭にして、各々の太陽系の人たちは、多数の円盤と、人員を投入しているのである。
・ 「サファニアン太陽系から200機、トレソトン太陽系から500機の円盤編隊が来ています。第二の月“フォウサー”の近くには、1万4000機もいます」(宇宙交信機は語る)
・ こうして宇宙の同胞は、この地球が1日も早く宇宙連合の仲間入りをするように働きかけてくださっているのである。
<天国に住む土星人>
・ 地球人として生まれ変っている土星人でアメリカに住んでいる者もいる。土星の建築様式は、我々の想像を絶したものである。遠くから見れば、都市は白く見えますけれども、その中を歩いたり、乗ったりして、通過しますと、各建物やその他一切は、白色を呈しています。それは息の詰まるような体験でした。建物の幾何学的な構造があまりに美しいからです。それは、我々がこれまでに教えらてきた「天国」そのものであると言えるでしょう。人々は、一大家族として、住んでいますが、この地球上の兄弟姉妹よりももっと優れた生き方をしています。 (空飛ぶ円盤とアダムスキー)
<人間は、シリウス太陽系から集中された念波により、修養のため、苦しむ囚人として地球に送られてきた>
・ 人間は、シリウス太陽系から集中された念波により、修養のため、苦しむ囚人として地球に送られてきた。人間の精神は、神によって創られた聖なるものである。けれども、その肉体の重さという物理的な制約を受ける。だが、彼はその肉体を少しずつ、変化発達させて、制約を軽減してきた。人間には、思念を通じて物を創造する力が、授けられているのである。そのようなわけで、人類は、天使と獣、双方の性質を備えている。肉体を通じ、教訓を学ばなければならない。そして、より、高い段階にまで、追求向上する資格を得るためには、まだまだ苦痛、苦悩、悲惨等をよくよく知る必要がある。
・ このように我々は地球大学に入学して、勉強している最中であり、生徒だけでは、どうにもならない、時代に来ていて、多くの教師等が地球に到来し、我々を導いてくれているのである。
<地球文明と宇宙人>
<シリウス星人の地球入学>
<ジョージ・ハント・ウイリアムスン博士の研究>
<ダーウィンの進化論ではどうしても猿~人間のへの進化過程が解らないのである。>
・ 地球独特の生物の進化が進んでいる頃、神の子と呼ばれる霊魂の大群が、地球に移住してきて、ある形の肉体に宿ったものが人類である。人間が他の哺乳動物と根本的に違うのは、そのためである。類人猿の一種が大気圏外からやって来た霊に利用されて、人間の原形となったことは、間違いない。この原形が、しだいに進化、繁殖して、ついに今見るようなさまざまな民族にまで分化していった。人間は、肉体の段階での経験を積み重ねるためであった。
・神の子達は、類人猿を妻としたのだ。そして、その子孫が洪水前の人類、すなわち先史原始人である。だからこそ、その肉体的な特徴は類人猿的、精神的な特徴はシリウス太陽系内の遊星から来た移住人達と同様なものとなったのだ。
・そして、シリウス星人は、思念を通じて物を創造する力を持っていたので、肉体を自分たちの思う通りに少しずつ変化させていき、長い年月の間に獣的な面が多くなって数々の怪物を作りだした。
・ギリシア神話に出てくる蛇の髪を持つゴルゴン、半獣(ライオン)半鳥(ワシ)のグリフィン、半人半鳥のケンタウルス、蝶の羽根を持つ人間といってもほとんど獣と異なるところがなくなってしまった。この忌まわしいものを一掃するため、地球上に大変災を送る計画がたてられ、ついに大洪水が彼らに襲いかかり、純粋な肉体を持つものだけが、残されたのであった。
(2025/1/9)
『台湾の妖怪図鑑』
何敬堯(著) 魚儂(イラスト) 出雲阿里(翻訳)
原書房 2024/4/12
<はじめに>
・台湾妖怪の痕跡は、口伝や文献、実際の景色や物として残されています。筆者は十年間の研究で、妖怪伝説にゆかりのある土地を五百箇所訪れ、五百種類の妖怪を見つけ、その成果を「妖怪図鑑」シリーズにまとめました。
<水の妖怪たち>
<龍女:龍王の娘>
・台湾の民話には、龍女がよく出てくる。たとえば澎湖諸島の火鰐の物語や、蘭陽平原の亀将軍の物語だ。文学作品にも頻出し、たとえば19世紀末の文人、陳鳳昌(ちんほうしょう)が書いた『暗澳(あんおう)』という作品にも、人間の男と龍女の恋物語が描かれている。
【龍女】
・深海の龍宮城に棲む、美しくてやさしい女性。天真らんまんで、束縛を嫌う。龍王の娘という恵まれた境遇だったが、愛のためにすべてを捨てた。
【妖怪ファイル】
・台湾の伝説に登場する龍女は、しばしば龍宮に帰りたくないと言う。龍女にとって、龍宮での華やかな暮らしよりも、自由と愛のほうが大切なのだ。
<妖怪探訪記 鬼子空(きしくう)の怪談>
・呉さんは「鬼子空」にまつわるもう一つの不思議な物語を教えてくれた。この土地に棲む水の霊は、人間の夢に自由に出入りすることができるのだという。
<水鬼(スイグイ):身代わりを求める亡霊>
・水鬼は、水のなかに人間を引き込み、溺れさせる。
【水鬼】
・水に棲む妖怪で、人に災いをもたらすため、とても恐れられている。台湾では、水鬼が人間を水中に引っ張って溺れさせるのは、自分の身代わりにするためだと言われている。
【妖怪ファイル】
・新北市の「大豹渓」に出る水鬼は有名で、水難事故がよくニュースになる。
<金星人魚:幸せの石珠(せきじゅ)>
・台中市の石岡区金星里(いしおかくきんせいり)は、漢民族の客家人が住む村であるが、ここには不思議な人魚伝説が残っている。
【金星人魚】
・かつて、台中市の石岡区金星里には「人魚の堤防」と呼ばれる堤防があり、そこには人魚が棲んでいたそうだ。
【妖怪ファイル】
・金星里の「人魚の堤防」はすでに崩れ落ち、もうその姿を見ることができない。
<山の妖怪たち>
<青人(あおびと):狡猾な怪物>
・1910年、『漢文台湾日日新報』の「呉賽嶼(ぎさいじま)」という記事に、青人の怪談が紹介された。
【青人】
・青人は、体は人間に似ているが、全身が青黒い怪物だ。野生の熊のように大きくて強そうな体つきをしている。狡猾な性格で、人間を食べる。
【妖怪ファイル】
・台湾では昔から、外海に人食いの魔物がいると信じられていた。日本統治時代の記録によると、南投(なんとう)県のブヌン族には「魔女島」の伝説がある。
<蛇首(へびくび):ヘビ人間の怪談>
・清の時代の台湾では、蛇首の怪談がよく知られていた。
・船に着くと、泉州の男はこのように説明した。「あれはこの土地のあるじで、蛇首と呼ばれる妖怪だ。獰猛で、空も飛べる。俺は少し前にこの島に流れ着いたが、ほかのやつらは、みんなあの妖怪に食われてしまったよ」
【蛇首】
・蛇首は、頭がヘビで体が人間の姿をした獰猛な妖怪。空を飛び、人間を食べる。
【妖怪ファイル】
・台湾の離島には、ヘビの妖怪の伝説が多い。
・普段は洞窟にいるが、ときどき美しい女の姿に化け、村の男を誘惑する。ヘビ女に精気を吸われると死んでしまうが、その抜け殻には不思議な力があり、幸運な者だけがこれを手に入れられるという。
<鉤蛇(かぎへび):恐怖の巨大ヘビ>
・すると、草むらに鹿をくわえた巨大なヘビが現れた。ヘビは頭を高くかかげ、鹿を何度も吐き出しては、のみ込んでいた。兵士たちはそのヘビに近づかないよう、ゆっくりとその場を通り過ぎた。これが「鉤蛇」という巨大ヘビの伝説である。
【鉤蛇】
・清の時代、漢民族のあいだでは、台湾島には鉤蛇というヘビがいて、鹿を丸のみするほど大きく、しっぽで獲物をつかまえると言われていた。
【妖怪ファイル】
・福安宮のそばに畑を持つ葉さんによれば、三匹の妖怪はもともと近くにある仙掘池(せんくついけ)で人助けをしたりしていた。だがその後、三匹はある霊穴をめぐって争い、土地神に霊穴を譲り、自分たちは石になってそばに仕えた。
<蛇郎君(じゃろうくん):妖怪の結婚>
・ヘビの青年「蛇郎君」の不思議な物語は、漢民族のあいだで広く知られている。ヘビが人間の女性と結婚するというこの物語は、中国の福建省や広東省のあたりが起源だと言われている。漢民族が台湾に移住するとともに、この物語も台湾に伝わり、百年にわたって親しまれてきた。
【蛇郎君】
・巨大なヘビの精で、美しい青年の姿に変身できる。ある年老いた父親を脅し、娘をよこせと迫ったことがある。
【妖怪ファイル】
・蛇郎君の物語では、三女が紅亀餅からもとの人間に戻るという部分は、特に興味深い。実は、福建省や広東省で知られている蛇郎君の物語に、紅亀餅は登場しない。つまり、これは物語が台湾で独自の発展を遂げ、台湾人にとってより親しみやすいものへと変化したことの証なのだ。
<虎姑婆(フーグーポー):暗夜の人食い妖怪>
・台湾で有名な妖怪物語といえば、「虎姑婆」だ。それは、山の奥深くに棲む虎の妖怪が、人間の老婆に化けて子どもをだますという伝説だ。
【虎姑婆】
・山の奥深くに棲む虎が老婆の姿に化け、人間をだまし、子どもを食べるという。
【妖怪ファイル】
・虎姑婆が食べ物について嘘をつくシーンは、台湾のなかでもいくつかのバージョンがある。
<老猴魅(ろうこうみ):セクハラ妖怪>
・動物が長生きしたり、動物の死骸が天地の霊気を吸ったりすると、妖怪になることがあるという。たとえばこの老猴魅は、サルから生まれた妖怪だ。この妖怪は人々を困らせ、とても恐れられていた。
18世紀、台湾南部鳳山県(現在の高雄市、屏東県)には、老猴魅という妖怪がいたそうだ。日没の頃に村里に現れ、家々に押し入って乱暴を働き、家のなかを滅茶苦茶にしたという。動きがすばやくてはっきりと姿が見えないが、人や犬に似ているという者もいた。この妖怪は女好きで、女性にいたずらをするので、村人はほとほと困り果てていた。
・当時の鳳山県には、本当に老猴魅が出たのだろうか?その真偽を確かめることはもうできないが、高雄の山にサルの妖怪が出るという話は、第2次世界大戦後まで広く噂されていた。
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