中国の最大の問題は、政治面にしても経済面にしても都合の悪い事実は政府が覆い隠すので、問題の大きさや事態の深刻さが正確に把握できない点にある。(1)
(2025/3/20)
『世界と日本経済大予測 2024-25』
渡邊哲也 PHP 2023/11/2
<はじめに――いざ、夢の「株価4万円」時代へ>
・ようやく、日本経済の長いデフレの夜明けを迎える時がきた。
バブル崩壊から延々と続いてきた失われた35年。
・だが、現在に至って間違いなく言えるのは、これから日本の大逆襲が始まるということである。
・チャイナバブル崩壊や欧米のリセッションなど逆風もあるが、2024年の早い段階に株価は未曽有の4万円台に突入するかもしれない。ということで、今回のメインテーマは、「ビジネスの潮流」である。
・このことは、大前提として世界の分断、米中デカップリング、価値観の対立といったなかで、企業活動そのものが禁止される可能性が高まっているという側面があることを、まず理解しなければならない。
<日本の未来が絶対に明るい理由――世界を見通す8つのキーワード>
<リスク1 スタグフレーション>
<量的緩和と資源高トリガーに>
・異次元の好景気とも言えるこの状況は、アフターコロナにおける対策として世界の国々で行なわれた「量的緩和」の影響が大きい。
・2022年6月をピークに、ドル建ての資源価格は下落に転じたが、2023年夏の時点でいまだに下落し切ってはいないと言える。
・要するに、「政府が通貨の発行権を持っているのだから、国債など政府の借金の返済期が来たら、不足分の金額を発行して返せばよい。従って現在の経済システムの中では、政府が破綻をきたすことはありえず、インフレをコントロールできる範囲内において無限に国債を発行できる」
・しかしこれ(MMT(現代貨幣理論))が新しい理論として現代社会で成立するかのように見えたのは、結局コロナ禍が世界を覆っていた時期だけであった。
【止まらないガソリン代の高騰から見えるもの】
・不況で需要が冷え込む経済の中にインフレの要素が入り込むと、スタグフレーションという最悪の事態のトリガーとなるのだ。
【日銀のぶれない政策が日本企業の株価を押し上げた】
・だから、当面は欧米との金利差が継続するのが大方の予測だ。
<リスク チャンス 急激な利上げがなければ、日本株は上がり続ける>
<リスク2 米中デカップリング>
<国内に回帰する日本企業>
・続いて注目したいのが、米中のデカップリングから生じるプラス効果だ。
今日では数多の日本企業が中国に生産拠点を持っている。
・やがてその戦いに敗れ、中国に飲み込まれていった日本企業は多い。
【「中国離れ」でGDPの成長率も良化する】
・あくまでもGDPというのは、日本国内で作られた付加価値であるから、たとえ日本企業が中国でモノづくりをして中国のGDPを引き上げることに貢献しても、日本のGDPは引き上げない。要するに進出が続けば日本のGDPにとってさらにマイナス要因になっていたわけだ。
<リスク チャンス TSMCの工場が熊本に!>
<リスク3 2024年・米大統領選>
<バイデン再選は厳しい>
<リスク チャンス 歴史的に民主党よりも共和党のほうが日本との相性がよく、「バイデンのピンチ」は日本にとってはチャンスになる>
<リスク4 アメリカの中東政策>
<バイデン退場で中東関係は改善する>
<リスク チャンス 次期米政権の中東政策に注目>
<リスク5 BRICs通貨>
<中央銀行が複数ある時点で無理>
<リスク チャンス 中国主導の金融政策は無視してよい >
<リスク6 台湾総統選>
<頼清徳以外の勝利は不幸な結果となる>
<リスク チャンス 台湾有事は台湾独立のチャンス>
<リスク7 北朝鮮の暴発>
<南北融和は望ましくない>
<リスク チャンス 消えない半島リスクは、韓国からの撤退を後押しする>
<リスク8 東アジアと半導体>
<新同盟「チップ4」の狙い>
<リスク チャンス 国産半導体の復活が始まる>
<収益構造の変化と世界に広がる規制の網――グローバルビジネスの栄枯盛衰>
<リスク9 生成AI>
<規制の中で伸びていく>
・現在、最も注目されている情報技術はChatGPTに代表される生成AIだろう。
・要するにAIの学習のために使用する文章なり画像なりは勝手に使用できる。それによって出来上がった物に著作権者の権限が及ぶかとなると、これは一概には言えない。
【治安維持法に似ている中国のAI規制】
・2023年8月になって、バイデン大統領は半導体やAIなどで中国への投資を規制する新制度の導入を明らかにした。
<リスク チャンス 米中の生成AIへの対応の違いを理解する >
<リスク10 悩めるグローバル企業>
<税金・規制という逆風の中で生き残りは困難>
・AIを中心とした新たな文化創造や技術革新に期待する声は強い。
エヌビディアはAIのロジックチップを、アマゾン、アップルなども独自のロジックチップ、および生成AIをつくろうとしている。
・ハードウェアの部分である半導体生産を行なうファウンドリと、開発・設計に特化したファブレス、半導体の生産設計、ファウンドリとファブレスを一つにまとめて、これら全部が成長していくとは考えられず、当然、企業によって差異が生じてくるのである。
【世界各国から税金を取られる】
・要するに租税回避と税源浸食の問題なのである。わかりやすく言えば、企業は各国にそれぞれ定められた税金を支払いなさい、ということ。
・このように世界中の国が、多国籍企業に税負担を求めていく流れとなった。税を徴収されることで、今後は企業活動そのものに各国からの制限がより一層かかる可能性も生じる。
【「旧き良きグローバルマーケット」の消滅】
・もはや「旧き良きグローバルマーケット」は消え失せたのだ。日本にはまだ念仏のようにグローバル化を唱える経営者や評論家が多いが、実態はそう簡単な話ではないと認識する必要がある。
<リスク チャンス 規制の本質を知れば、グローバル企業の将来性がわかる>
<リスク11 EVの死角>
<クルマはコモディティではない>
・メディアで伝えられるニュースを見ているだけでは実感できないと思うが、EVバブルはすでにピークアウトしている。
【リチウム電池が引き起こす大火災】
・EVの安全性に関しては、ほかにも懸念点がある。もしもEVが発火したら、簡単には消火できないことだ。実際、EVの発火による大惨事が起きている。
・このようにEVは衝突でも爆発するし、過充電でも爆発する。とにかく衝撃に弱いのが現在のリチウム電池の特徴と言える。
・これらの一連の問題を受けて、欧米でもこれまで絶対正義であったEVに対する見方が変わりつつある。リスクが高すぎるのである。
<リスク チャンス トヨタの全方位戦略は正解 >
<リスク12 混迷するSNS>
<「X」は総合プラットフォームになれるか?>
・SNS関連は変化のスピードが速い。電脳空間のサービスの栄枯盛衰は、もはや1年毎ではないかと思える。
・そもそもツイッターは、従来のプラットフォーム自体では利益が出ない構造だ。
【メタの「スレッズ」はすでにオワコン】
・そういう目で見ると、スレッズは公開1か月もしないうちにオワコン確定と言っていいのかもしれない。
<リスク チャンス GAFAMの新サービスでも簡単に信用しない>
<リスク13 「ネトフリ」の葛藤>
<プラットフォーマーの淘汰が始まる>
・ニュースを見るならYahoo!ニュースかX、暇つぶしにはYou Tube、あるいはネットフリックスという人が増えている。
・プラットフォーマーが生き残るためには、そこにどれだけ優秀な店子を入れられるかにかかっており、いい店子を確保して初めて、優れた収益モデルをどうつくるかという話になる。
【オリジナルコンテンツでの厳しい戦い】
・地上波とストリーミングの壁はほとんどなくなってきて、同じ悩みを抱えている。
・この先、プラットフォーマーが生き残るためには、他社との差別化が不可欠だ。
<リスク チャンス コンテンツを制するものが、ビジネスを制する>
<リスク14 量子コンピューターバブル>
<光半導体技術で日本が世界のトップになる>
・これからの技術革新の先導役となるのが量子コンピュータ―だ。
・現在、注目される開発中の二大技術がある。一つは非常に速い演算技術、もう一つは、既存の技術の発展形としての光半導体だ。後者はNTTが主導し、マイクロソフトやインテルなど世界的半導体企業が協力している。
特筆すべき点として、これまでの半導体とは異なり、消費電力を大きく低減できる。スマホなら1回充電すると1年ぐらいは使えるようになるという。
【日本が6Gの覇権を握れるか】
・そして、これは夢物語ではなく、次世代の通信規格である6Gとも深く関係している。
・そして、現在、6Gまでの中間規格である5.5Gの規格化が進んでおり、6Gの規格化も始まっている。
6Gに対応するには半導体の高速化が必須であり、光半導体がその主役になると期待されているわけだ。
<リスク チャンス 光半導体がもたらす恩恵を逃すな>
<リスク15 五輪神話の崩壊>
<飽和化する国際スポーツイベント>
・かつては花形だった世界のビッグスポーツイベントでさえ、コンテンツとしての魅力が薄れつつあり、無理してまで放映権を獲得しようというモチベーションが失われつつあるという事実は、指摘しておかなければならないだろう。
・近年では商業化モデルが進みすぎたことで、逆に大会そのものの成功が難しくなってきた。
【放映権料の高騰にメディアの集金力が追い付かない】
・要するに五輪は、商業主義的に見ると費用対効果が合わなくなったということだ。何よりコストがかかりすぎる。
<リスク チャンス 五輪バブルには期待しすぎない>
<「詰んだ」中国の地位を奪うインド――日米がつき合うべき相手はどちらか?>
<リスク16 恒大集団の破産申請>
<中国不動産バブルの崩壊>
・中国の不動産バブルという「時限爆弾」がついに火を噴いた。
2023年8月17日、中国の不動産大手である恒大集団は、ニューヨークで破産を申請、マンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を求めた。
・恒大集団の破産申請の影響は大きく、他の不動産大手の連鎖的な破綻を招くのは確実な情勢だ。
・破産を申請した中国恒大だけで48兆円もの負債額である。当然のことながら外貨建て債務の再編計画の合意取り付けに時間がかかっており、再建は容易ではない。
・これまでデベロッパーの問題にすぎなかったものが、地方政府や年金保険などのセクターにリスクが拡大している。
地方政府の「隠れ債務問題」も表に出てきており、およそ1900兆円の簿外債務が大きな問題になっている。これはサブプライムのSIVを利用した債務の簿外化と同じで、デフォルトするとそれが地方政府の債務となる。
この時限爆弾をリセットすることは、もはや不可能な段階になっているのだ。
【土地がらみだった日本のバブル崩壊に酷似】
・どんなに額面資産があっても、実際にカネが動かせなければ債務は返済できない。国内向けは何とかなっても、海外向けは誤魔化しがきかない。
・2024年以降も「恒大ショック」の影響は多方面に及ぶだろう。
<リスク チャンス 中国不動産とは距離を置くこと>
<リスク17 45%を超える失業率>
<高学歴でも職に就けない>
・中国の不動産バブルの崩壊は、実体経済にも大きな影響を与える。
・当局が公表している中国の6月末の総融資残高は銀行系が230兆元(約4600兆円)、ノンバンク系が約2700兆円、合計で7300兆円規模となっている。
・中国の最大の問題は、政治面にしても経済面にしても都合の悪い事実は政府が覆い隠すので、問題の大きさや事態の深刻さが正確に把握できない点にある。
政府発表の数値とて、果たしてどこまで信用していいのかという危惧は残る。「白髪三千丈」の国が、実際に成長が鈍っていることを示す数値を出してきたということは、実態はさらに悪いのではないかと考えたほうがよさそうである。
【中国政府が数字を公表しなくなったら?】
・経済崩壊が目の前に迫る状況下、中央政府が地方政府の実態すらも把握できていないことがさらに問題である。各地方政府は中央政府向けに数字をつくっている。中央政府はそれを合意し、さらに都合よく数字をつくる。粉飾企業の末期と同じ状態と言っていい。
・中国国家統計局が若年層失業率の公表を取りやめたのである。
・まともな企業は、中国を信用して取引をしたら痛い目に遭うに違いないと考えるはずだ。
・中国の若者の失業率は、現在は20%程度の高水準を続けていると言われる。公表の取りやめは、その実態を隠す目的なのは間違いのないところだ。以前から若年層の完全失業率(1週間に1時間でも働けば除外)が20%を超えており、2023年6月の公式統計では過去最高の21.3%となっていた。
もっとも、これは就職活動をしている人を対象にした数字にすぎない。北京大学の張丹副教授は独立系メディア「財新」のオンライン記事で、就職活動をせず親の扶養の下にある若者1000万人を含めれば、若年層失業率は46.5%に達する可能性があると指摘する記事を、7月17日に公開した。
じつに若者の2人に1人は職がないという事実を示唆する説である。そしてこの記事はその後、削除された。新たな高校・大学を6月に卒業した若者たちのうち、1500万人ぐらいが新たな求職者として積み増しされるという予想もあったからかもしれない。
・すでに現場でホワイトカラーの賃下げが本格化したとされる。若年層の実質失業率46%という状態では当たり前と言えるが、内需が低迷する中で「高学歴人材」すら余剰人員となっている。
<リスク チャンス 大量の中国人労働者が世界を目指す?>
<リスク18 コメ不足>
<水害で取れない、禁輸で買えない>
・バランスシート不況に陥る中国は、世界的な資源インフレが続くなかで消費者物価、生産者物価共にマイナスになっている。
これは圧倒的に需要が低迷しているためで、不動産など高額品が売れていない影響が大きい。
・そこに中国を次の脅威が襲っている。首都北京などでも起きている広範囲に及ぶ水害である。
・それは中国の穀倉地帯にもおよび、壊滅的な被害を与えた。干ばつが続き、その次に大洪水という状況に、食糧不足の懸念が強まっている。ウクライナ問題などで世界的な小麦の価格高騰が問題となっているが、さらに全体量が減少する可能性が出てきているのだから、日本とて他人事ではいられない。
・米国農務省のデータでは、世界最大のコメ輸入国は中国で年間400万トンに達する。すでに中国の自給率は70%台まで低下しており、食糧を輸入に頼っている。
現在、デフレに伴い食品価格も下落しているが、本格的なコメ不足が襲う可能性がある。
<リスク チャンス 中国から端を発するコメニーズの高まり>
<リスク19 産業を促成したツケ>
<「軽工業」にまで先祖返りするしかない>
・これまで中国の内需を支えてきたのは、紛れもなく不動産セクターだった。都市住民の4人に1人が建設不動産関連の労働者という歪な構造のせいで、今後は、代金や賃金の不払いにより、個人事業主などの破産も続出すると思われる。
・EVはコモディティであり家電製品の延長という代物だ。中国恒大の進出例でも明らかなように、簡単に異業種が参入できる。
・資源など一部で中国に対する依存度が高い項目もあるが、これは相手国が環境負荷とコストの問題で中国に依存し、リスクヘッジしているにすぎず、工業製品で中国独自の技術でしかつくれないオンリーチャイナは見当たらない。部品や素材レベルでも同様だ。そのため景気刺激、経済成長のために「軽工業」にまで先祖返りするしかなくなったからだ。
・サービス業など第三次産業に関しても不動産収益への依存傾向が見られ、不動産市場が回復しない限り、縮小が続くことになる。その頼みの不動産バブルが弾け、恒大集団が破産申請。中国経済はもはや「詰み」の状況だ。
<リスク チャンス 粗悪乱造の中国製品が一掃される>
<リスク20 米印連携>
<インドが世界の半導体工場となる>
・中国の不動産バブルが崩壊した今、遠からずインドが世界経済の牽引役に名乗りを上げるという予測が、衆目の一致になっている。
・アメリカの理工学系にはインド人が大量にいて、CPUの開発部門もインド人が多い。英語という共通の言語を持つ点も両国の人的交流をよりスムーズにしている。
従ってまだまだ製造技術は貧弱だが、優秀なプログラマーを大量に抱えており、今後の世界の中での雄となるポテンシャルが非常に高いのである。
【米中関係悪化のメリットを享受するインド】
・半導体などの開発に関しては、インテルなど大手半導体メーカーの設計の中核を占めるのはインド人であり、これは他の先端分野でも同様である。
<リスク チャンス QUADの強化が中国からのインドシフトを促進させる>
<リスク21 インドの階級社会>
<「カースト制度」が生きている>
・インドの人権問題は中国とは性質が異なる。インドは中国とは違う形の「階級社会」で、少数のエリートとその他の人びとで構成された国家と言える。
・インドは一つの国家ではあるが、実質はEUのような連合国家と考えた方がいい。その認識を、日本人はまだほとんど持っていない。
【中国にできることが、できない国】
・地方自治権の強さと階級社会の国インド。それはインドの強みであると同時に弱みでもある。特に各州の自治権が強く、中央集権が進まない。
【並びたつことはないインドと中国】
・今後も、インドは中国に対して一定の距離を置く姿勢を変えないだろう。
<リスク チャンス インドとビジネスをするには、その特殊性を学ぶこと>
<リスク22 韓国半導体メーカー>
<米中デカップリングで足元揺らぐ>
<リスク チャンス 中国に工場を置く企業に気を付けよ>
<日本経済に追い風が吹いている――半導体、インバウンド、DX化>
<リスク23 高すぎる電力料金>
<原発再稼働のメリット>
・とはいえ、解決しておくべき課題はある。それは「高すぎる電力料金」である。その背景にある問題のネックは、原子力発電所の再稼働に対する抵抗だ。
現在、北海道電力の電気原価コストは、九州電力のおよそ2倍になっている。
・半導体企業の多くが九州に進出しているのは、電力の安定供給に対する安心感と無縁ではないだろう。
【政府はまだ慎重姿勢だが】
・政府のエネルギー基本計画では2030年の電源構成比は原発が20~22%とされている。再生可能エネルギーは36~38%で、火力は41%にまで下げることとされた。
<リスク チャンス 日本浮上のカギを握る原発再稼働>
<リスク24 根拠なき反原発の声>
<パナソニックが国内回帰する理由>
・地域によって異なる電気料金が日本企業にとって大きなリスク、負担となっていた。そしてアメリカの3倍、中国、韓国の2倍という電気コストが、日本企業の国内製造拠点で製造された商品の、国際競争力を奪い続けてきた。
・この流れのなか、パナソニックが、業務用空調機器の生産を国内の工場に集約することを明らかにした。
【電力会社の赤字は国を揺るがす問題】
・一方、海外では、現在、韓国電力公社が大きな赤字を抱えている。
<リスク チャンス 原発再開で経済が潤う>
<リスク25 2024年問題>
<人手不足がさらなる倒産を招く>
・2023年上半期の企業倒産件数は、帝国データバンクによると4006件だった。
・コロナ禍がいち段落したあとで、そのような企業が結局次々に息絶える状況になったことは、端的に言えば、社会構造の変化に伴う淘汰である。
・現在見られる新たな傾向は、人手不足による倒産が多いことである。
【2025年の大阪万博も間に合わない】
・建設業界の上限規制も2024年から始まる。
<リスク チャンス 「人手不足倒産」の受け手を狙う>
<リスク26 CSRの欠如>
<倫理観のない企業は淘汰される>
・最近、話題になっているCSR(企業の社会的責任)だろう。象徴的なのが、スシローの事件である。
【「次なるビックモーター」を生み出すもの】
・スシロー以上に問題となったのが、ビッグモーターである。
<リスク チャンス 企業はお客様第一の姿勢を忘れるべからず>
<リスク27 生産年齢人口の減少>
<シニアの活用はますます進む>
・外国人技能実習制度の前身の技能実習制度が始まったのは1993年。
・その後、外国人技能実習制度が2017年からスタートした。
【シニアが動きやすい税収システムとは】
・シニアの雇用は、年金問題にも絡んでくる。
<リスク チャンス 頑張るシニアを増やすことが日本を元気にする >
<リスク28 キャッシュレス化の遅れ>
<NFTは日本では普及しない>
・2025年の大阪万博では、決済アプリやNFT(非代替性のトークン)が注目され、それを機に一気に一般化すると考えられている。
<リスク チャンス キャッシュレス化導入のタイミングは慎重に>
<リスク29 メタバースの生きる道>
<日本の性産業を支える>
・そう考えると、メタバースが急速に導入されそうなビジネスジャンルは、恐らく性産業であろう。
<リスク チャンス 特定のジャンルからメタバースが普及する可能性はある>
<リスク30 ソニー一強状態>
<事業多角化のモデル>
<リスク チャンス 事業の多角化を戦略的に行なっている企業に注目せよ>
<リスク31 インバウンドの復活>
<東アジア頼みから「北米シフト」へ>
・コロナ禍の収束とともに、インバウンドは回復の兆しを見せている。
・また、中国の「団体旅行」であるが、ほとんどが中国資本のバス会社、免税店、ホテルを利用しており、日本に金が落ちず、日本人にメリットはほとんどない。
・インバウンドの復活を単純に喜んでばかりいられない。それとともに解決すべき問題も発生していることは政府も意識すべきである。
<リスク チャンス インバウンド対策を現在仕様に改める>
<リスク32 ソフトバンクの未来>
<戦略がすでに陳腐化している>
・昨年版でも指摘したが、ソフトバンクの苦悩は続いている。
・2023年8月に発表された2023年4~6月期決算では純損益が4776億円の赤字となった。この数字だけを見て、ソフトバンクが危機を脱したと判断するのは早計である。その実態は借金と資産を清算してプラマイゼロにする過程、つまりは「借金を減らしている状況」にあるからだ。
そもそもソフトバンクは製造業ではなく、ファンドである。ファンドの運用がうまくいくかいかないかは、極論すればギャンブルで勝てるか勝てないかに似ている。
ソフトバンクのビジネスモデルは、ベンチャーや新興企業に投資して、その中から当たりが出ればもう一本というタイプの“アリババビジネス”だ。
そのビジネスモデルが今、ソフトバンクの規模が大きくなりすぎて成立しなくなってきている。
・成長を続けるIT産業は、その市場規模が年々大きくなる一方、群雄割拠の時代から寡占の時代に移行してゆく気配が出てきており、新興企業が化ける可能性が低下している状況にある。ニューフェイスの大化けに賭けるソフトバンクグループのやり方は時代に合わなくなってきていると言ってもいい。
<リスク チャンス ソフトバンクグループは「普通の企業」と同一視してはいけない>
<敵は国内にあり?喫緊で解決すべき「8つの課題」――2024-25日本経済再始動>
<リスク33 新しい資本主義>
<「絵に描いた餅」のような話>
・どこの国でも所得再分配機能となる財政政策は存在する。日本でも累進課税制度を採用し、社会保障給付により所得の再分配を行なっている。岸田総理の考えでは、「古い資本主義」の下では「分配」がしっかりと行なわれていなかったということのようだ。
<リスク チャンス 「新しい資本主義」を真に受けないこと>
<リスク34 「小さな政府」>
<日本型社会主義に移行していく>
・世界の歴史、情勢を考えた場合に、新自由主義的な「小さな政府」は、今の時代は成立しないというのが、一つの経済学的回答と言える。
・政府の機能を小さくして、すべてを民間でやればいいというのが、1989年の冷戦終結以後の世界の大きなトレンドだった。
・ところが、「小さな政府」で規制を撤廃していって、金融の自由化、そして構造改革を進めていった結果、リーマン・ショック(2008年)が起きた。
【電力自由化の失敗と新自由主義の欠点】
・今の時代、終身雇用など、夢物語でしかないから、そういうことを再びとは言わない。
<リスク チャンス 日本的価値観をアップデートする>
<リスク35 社会制度の歪み>
<「平和ボケ」の副作用>
【先手を取った制度改革の実現を】
・戦争に巻き込まれかねない状況のなか、戦後の平和ボケの下で生み出され、もはや時代状況にリーチする際の足枷になっている法や制度のアップデートは、日本の国際社会に対する責務でもある。
<リスク チャンス 官僚型の組織から離れる>
<リスク36 ポスト岸田>
<「次の次」の世代まではリーダー不在>
<リスク チャンス 「次の世代」はスルーしてよし>
<リスク37 新NISA>
<投資リテラシーがないと大損する恐れも>
・2024年から新しいNISAが導入される。これまでのNISAの抜本的拡充・恒久化が図られるとされている。
・とはいえ、このような説明を投資の素人が聞いても、わけがわからないだろう。直感的に、怖いといった感じを受けるかもしれない。
・先にも述べたが、NISAについてはファンドそのもの、つまり扱っている商品の質が悪すぎる。それなのに株価がここのところ右肩上がりだったため、投資をすれば簡単に儲かるような錯覚が起きている。日本の場合、金融商品の運用者の能力が上がらないと、NISAの枠を広げても意味がないだろう。
<リスク チャンス リテラシーがない人は「政府公認の投資」を避ける >
<リスク38 預金封鎖の噂>
<陰謀論者のたわごとにすぎない>
・2024年に新しい紙幣がお目見えする。
<リスク チャンス 新札切り替え時、一時的に通貨量が増えるかもしれない >
<リスク39 マスメディアの未来>
<電通、ジャニーズで立て続けに信頼失墜>
【ネットができない老人にすがりつく新聞】
・縦糸も縦糸で、新聞という糸の元になった母体がさらに崩壊の度を強めている。5年後には新聞の発行部数はよくて7掛け、ひどいと半分になると言われている。
・日本には数多くの事業があるが、新聞事業ほど急速に落ち込んでいる事業はほかにないだろう。
<リスク チャンス 新聞頼みのメディア戦略から脱却を>
<リスク40 働き方改革>
<ポストコロナのリモートワーク>
・とはいえ、やはりオフィスに集まって仕事をしようという揺り戻しの傾向が、アメリカを中心に出てきている。日本にも遠からず、その流れが押し寄せてくるかもしれない。
・明らかにリモートワーク中心の会社のほうが考え方としては建設的であると筆者は思う。Xでは、在宅勤務は認めないと、堂々と宣言している。
<リスク チャンス 毎朝、満員電車で通勤させる企業には注意!>
<おわりに――人生の後半戦を迎えるビジネスパーソンへ>
・漫然と会社任せで生きていると、気がつけば働く場所がないということも十分ありうる。
・60歳で定年退職、65歳まで再雇用、それが終わったら切り詰めた年金生活でいいのだと、そうなる前から悟りの境地になるのでは寂しくないか。
・50歳以降においても「次の人生をどうしたいか」に基づいて行動するほうがいい。何かをしなければならなくなるまでグズグズしていれば、すぐに追い詰められてしまう。
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