世界の大学ランキングを見ると、日本の立ち後れが目立つ。とくに、コンピュータサイエンス分野では、アメリカはもちろん、韓国に比べても著しい差がある。(4)
<日本では過去3回、自治体が大合併した>
・とはいっても、実はこの「人口減少危機論=人口増加幸福論」を支持する“世間”とは、主に地方公共団体の関係者だと筆者は見ている。人口が減り続けたら、最も困るのは彼らだからだ。
というのも、その地域の人口が減れば当然、いずれは行政規模の適正化のため、市町村を合併しなければならない。
・デフレに限らず、何でも人口減少のためと言っておけば、誰も傷がつかないで、これはいい方便になる。人口減少は実際に起こっていることなので、それと因果関係はなくとも、同時進行している社会の諸問題と関係付けて説明されると、一般の人を騙しやすいのだ。人口減少を叫び危機感を煽る人は、こういった人々である。
<解明できていない出生率低下の要因>
・このように、日本は人口減少が避けられないという前提で見ておけば、将来の人口動向を予想し、それに備えた様々な制度設計ができるのだ。本当の危機は、「想定外」の事態であるが、人口問題については今のところ「想定内」にとどまっている。
だから、『未来の年表』にあるような問題点のほとんどは、「特に問題はない」の一言で片付いてしまう。
例えば女性の半数が50歳を超えるとか、全国民の3人に1人が65歳以上になり高齢者人口がピークになるとしても特に問題はない。
あるいは、輸血用血液が不足するとしても、人口が減れば輸血対象者も減るわけだからさほど影響もない。3戸に1戸が空き家になったとしても、それを潰すか他に活用すればいいし、すでに空き家活用のビジネスは生まれている。火葬場が不足するとも危惧されているが、もしその時にニーズがあるならばそれはビジネスチャンスなので、単純に火葬場を増やせばいいだけの話だ。
自治体消滅の話もそうだが、いずれにせよ人口減少によって生じる問題は大したことはない。
<地方の事例は都市部には役立たず>
・財政事情、人口数、地場産業、郷土文化など、その土地特有の事情がある以上、仮に東京のような都会で地方の成功事例と同じようなことを取り組んだとしても、同じ効果を期待できるわけがない。この手の話題はほとんどまやかしだ。
・また、出生率が上がれば、その分だけ子育てに割く人手が必要になるから、東京でも専業主婦になる女性がかなりの割合で増えるだろう。そうなると、せっかく政府が掲げる女性活躍社会によって、女性の働き手が増えてきたのに、政策に水を差すことにもなりかねない。
・だから、出生率が上がらず人口問題の政策が失敗したとしても、政権にとっては何らダメージがない。それは、政府が「人口減少は大きな問題ではない」と考えているからだ。
<子どもを「コスト」と考える親はいない>
・金銭面だけの話をすれば、子どもを産んだ時のコストはたしかにすごく高い。
・大学進学に必要なのは、入学費用や在学費用だけではない。地元を離れて自宅外通学(下宿)を始める場合は、賃貸住宅の敷金や家財道具の費用などもかかってくる。これらの下宿開始費用が入学者1人当たり平均37.5万円だ、さらに仕送りも発生し、これが年間93万円、4年間で372万円かかるという。
・つまり、子どもを育てるには、最低でも2900万円以上、場合によっては4800万円以上かかるから、経済的合理性だけで考える人は子どもを産むという選択はとらないはずだ。
・だから、そもそも子育て支援やコストなどの金銭面から少子化対策を論じたところで、珍紛漢な議論にしかならないのだ。
<出生率増加に効果的な人工妊娠中絶の禁止>
・厚労省が2017年10月に発表した調査報告によれば、人工妊娠中絶した女性の人数は、2016年度で約17万人だった。2012年度の約20万人に比べれば減少傾向ではあるが、それでも10万人以上の新しい生命が、様々な事情で光を見ることなく失われている。
・さらに言えば、政府も人工妊娠中絶の禁止・抑制までは今のところ踏み込んでいないから、人口問題についてはさほど力を注いでいないだろうというのが筆者の見方だ。
<海外では割合が高い婚外子>
・人工妊娠中絶の禁止以外で、政策的に子どもを増やすには、婚姻届を出していない男女間に生まれた子どもである「婚外子」を社会的に認める制度をもっと整備する方法もあるだろう。
・日本は、そんな婚外子の出産数に占める割合が諸外国に比べて圧倒的に少ない。
・また、イギリス、ベルギー、ドイツなど、法律上から嫡出、非嫡出という概念を廃止した国もある。
<政府は人が減ることに危機感を抱いてはいない>
・ここまでの結論を言えば、出生率が低くなっても、政府が本腰を入れることはない。
・ちなみに、これまでの人類の歴史では、人口減少より人口増加の方が大問題だった。有名なものは、マルサスの人口論である。これは1972年のローマクラブの「成長の限界」のベースにもなっている。その内容は、人口は幾何級数的に増加するが生活資源は算術級数的にしか増加しないので、人口増加は貧困をもたらす、というものだ。
最近の経済成長理論でも、人口増加は1人当たりの資本を減少させるので、貧困の原因とされている。
・世界全体でいえば、人口増加は不味いが、人口減少は不味くないことを知っておいた方がいいだろう。
<人口問題の本質>
<「価格」と「物価」を混同する自称・経済評論家たち>
・「ペットボトルのお茶が1本130円」という個別商品の値段が、いわゆる価格のこと。一方で、物価というのは、「経済全体での一般的な物価水準」のことだ。
<GDPが減っても生活には関係ない>
・ここでは分かりやすく、「GDP=みんなの平均給与×総人口」と覚えておけばいい。だから、人口が減少すれば、GDP値も減るのは当たり前だ。しかし、実生活の面では「だからそれがどうなの?」という話に過ぎない。
・それでも、どうしても人口減少で売り上げが落ちてしまうと心配するような企業人は、人口が増え続ける海外市場でひと勝負してみればいい。
<人口増減率と経済成長率は無相関>
・GDPなどで測った一国の経済規模が一定期間に変化した率を「経済成長率」というが、先ほど、人口の増減と1人当たりGDPの増減はほとんど関係ないという話をした。
<「デフレ人口原因論」と「デフレ金融政策原因論」>
・ひと昔前、「日本のデフレは金融緩和が効かない、その原因は人口減少による供給過剰だ」という「デフレ人口原因論」が流行った。
・デフレ金融政策原因論では、デフレの問題は、雇用喪失や設備投資減少を引き起こす点にある。
<物価上昇率は通貨量と相関関係にある>
<人口推計は5年おきに再調整すればいい>
<移民政策の是非>
<日本を真似したいアメリカの移民政策>
<移民を水際ではじくための移民法>
<労働力としての外国人は必要なくなる>
・日本は今、空前の人手不足と言われている。
・しかし、ブルーカラーもそのうちAI化されてくるだろう。そのため、労働力という観点では、最終的に外国人は不要になってくるはずだ。外国人が増え過ぎると、日本人の雇用を圧迫するし、安い賃金で働くから日本人の賃金水準も下がる。また、働き場所がなくなって外国人の生活保護受給世帯が増えてしまうという懸念がつきまとう。入国管理庁は、日本人の給料を下げてまでも外国人労働者を受け入れないはずだ。
<中国人による高額医療の不正利用が問題に>
<移民の拒否は人権侵害ではない>
・そもそも日本の出入国管理法に問題がある。ザルというか、世界のスタンダードと全く違うのだ。世間知らずの役人が考えるものだから、緩いのは仕方がない。
<単純労働はAIに置き換わる>
・肉体労働などの単純労働に従事している人間は、いずれAIに取って代わられる。つまり、移民の労働場所はAIが奪っていくから、移民を無理して入れることはない。これまで日本の状況を考えてみたが、やはり移民のメリットは何かさっぱり分からない。旅行だけしてもらって定住しない方がすっきりするし、何の問題もない。
<年金制度上の3つの問題点>
・それを理解するためにも、まずは年金制度に3つの問題点があることをざっと押さえておこう。
1つ目の問題点は、厚生年金に上乗せし、企業や業界が運用している私的年金の「厚生年金基金」だ。公的年金と私的年金という、予定利回りが異なる全く性質が違うものを同時に運用しているのが大きな問題だ。
・2つ目の問題点は、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の存在である。
・3つ目の問題点は徴収漏れである。かつての「消えた年金記録問題」では、企業が従業員から保険料を徴収しながら、社会保険庁(社保庁)に納付していないケースがかなり見られた。
<重大な欠陥があった厚生年金基金>
・だから筆者は大蔵省勤めの若かりし頃、ペンネームで専門誌に「厚生年金基金は年金制度を冒すガンである」という論文を載せて、代行部分の深刻な問題点をはっきり指摘した。あまりに内容が専門的かつ的確過ぎたから、厚生省(当時)が相当驚いていたし焦っていた。
・当時は、様々な雑誌がこの問題を取り上げてくれた。かなりヒットした手ごたえがあったし厚生年金基金があっけなく潰れた時は、「してやったり」という感じで気持ちが良かった。そんな経験を官僚時代にできたのが今に活かせているし、この時に自分の名前もそれなりに売れたと思う。
<利権の温床であるGPIFは不要>
<消えた年金記録から生まれた「ねんきん定期便」>
<年金に「消費増税」は必要ない>
<誤解が広まった方が好都合な人々>
<お金があるなら民間保険は入らなくていい>
<人口減少では社会保障は破綻しない>
<誤解だらけの雇用政策批判>
<定年延長は天降り廃止と雇用創出につながる>
・「政府が定年を引き上げようとしている。これは社会保障費の崩壊が近い証拠だ」などと煽る風潮がある。だが、それは全くの間違いであることは前章で検証した。平均寿命が高くなると、「長生きする」というリスクに対しての手立ては、保険加入期間を長くするしかない。このために長く働くのである。
一方で、政府による定年引上げの施策は、人手不足に悩む民間企業を救える可能性があるし、公務員の天下りを減らせるというメリットもある。
<「賃金が上がらない」という誤解>
・「企業の稼ぎの中から労働者に回るお金の割合を労働分配率という。これが43年ぶりの低水準だった。いったいどういうことなのか」――。
・たしかにこの数字だけを見れば、企業は儲けているのに労働者にお金が回っていないと思う人もいるだろう。だが、よくよく調べると、1980年以降の労働分配率はデフレ期には高く、好況期には低いことが分かる。
・賃金には下方硬直性があるため、デフレになると、付加価値額が上がりにくいのに人件費が高くなり、結果として有効求人倍率が下がって失業率が上がる。そして経済の回復を遅らせるという、デフレ経済の大問題が起こる。
だから、デフレ期における高い労働分配率は、労働者にとって有利な指標ではなく、むしろ経済全体にとってまずい指標だと捉えるべきだろう。
・おそらく、賃金が上がらないと文句を言っているのは、正規雇用の人々ではないだろうか。彼らは基本的に年1回しか賃金改定のタイミングがないから、賃金上昇の恩恵を感じにくいのかもしれない。だが、心配する必要はない。賃金は遅行指標だから、これから半年、1年経った頃には、さらに上がっていくと見られるからだ。
こうした簡単な仕組みも理解しないまま、雇用政策の是非が論じられている事例が散見される。それは、完全失業率と人口減少率についても言える。
<雇用改善は金融政策が要因>
・人口の増減と1人当たりGDPの増減は先進国ではほとんど関係ないことは第1章ですでに述べたが、では、雇用にはどの程度影響を及ぼすのか。この点は多くの人が気にしているだろう。結論から言ってしまえば「全く関係ない」。その理由は、完全失業率は人口の増減ではなく、金融政策に左右されるからだ。
<人手不足解消は女性の動き次第>
・実は非労働力人口の半分以上は女性だ。17年平均の非労働力人口は4382万人で、女性は2803万人と6割以上を占めている。そのうち、就職を希望しながらも出産、育児、介護、看護を理由に未就職の女性は262万人だけ。9割以上の2490万人が就職非希望者だ。
女性は少し景気が良くなれば働くようになり、少し景気が悪くなると働かなくなるようになる傾向がある。その時点で非労働力人口になってしまう。仮に主婦がパートやアルバイトをしていたとして、景気が悪くなって辞めた時にハローワークへ行かなければ、そのまま専業主婦となる。そのため非労働力人口としてカウントされる。
・その一方で、労働力人口にもカウントされないような、ずっと専業主婦でいいという女性が出てくるから人手不足が加速する。巷で言われている人手不足の真相は、実はただの男女の動きの違いだけの話なのだ。
<国と企業で役割を明確に区別すべき>
・むしろ、国はマクロ部分にだけ責任を持ち、そういうミクロ部分は企業に一任すべきだろう。求人内容については、国が介入するよりマーケットに任せた方がフェアなのだ。これまで官僚が就職まで取り仕切ってきた社会主義の国家は、ことごとく失敗している。
国の責務は、あくまで金融緩和で完全失業率を下げて、市場全体のパイを大きくすることだ。有効求人倍率はバブル期以来の高さを推移している。その裏でミスマッチがどうしても出るから、国としては1倍に近づけようとしている。そうすれば、自然とおちょくり求人もおちょくり応募もなくなっていくだろう。
<就職率アップは金融政策のおかげ>
・完全失業率が下がれば、新卒学生の就職に鮮明な変化が現れる。最近、就職はずいぶん楽になってきた。これが、アベノミクス前後で劇的に変わったのは誰も否定できない。民主党政権時代には就職内定率60~70%が普通で、学生も職もなかったから、アルバイトでもなんでも、どこかの職場へ必死に滑り込んでいた、何とかしていったん社会に出ても、転職が容易ではなかった。
<誤解が蔓延する高プロ>
・世界に目を転じても、高プロは当たり前の制度だ。欧米における労働規制の適用除外対象者の割合は、アメリカで2割、フランスで1割、ドイツで2%程度といわれている。むしろ日本は導入が遅すぎたくらいだ。
言ってみれば、高プロは「出入り自由」だから、労働者の選択肢を増やすという意味では現状より悪くはならない。一部野党の硬直的な姿勢は、労働者のためにもなっていないと言わざるを得ないのだ。
<副業解禁の本当の意味>
・こうした政府の方針転換の背景には、金融緩和による人手不足という現状がある。副業・兼業禁止で企業に縛り付ける働かせ方では、人手不足は解消しないという判断だ。
・もし残業自体にはほとんど意味がなく、しかも支払われる残業代が十分でない場合、副業・兼業が認められれば自社に縛られずに働けることになる。
・こんな時代になれば、会社の求めるものにそぐわない人材は早々に転職してもらうに限る。
<AI化が雇用環境にもたらすもの>
・AIが自分の仕事を奪うのではないかという心配の声もある。だが、世の中のAI論はとにかくまやかしが多い。ましてやシンギュラリティ(技術的特異点)という用語もどうも怪しい。しばしばこの用語は、人工知能が発達して人間の知性を超え、人々の生活に大きな変化が起こるといったニュアンスで使われ、無知な人を外来語で丸め込もうとするような意図さえ感じる。
<複数の言語が操れれば世界は広がる>
・このように、AIは単なるプログラムだから、一部の仕事に関して置き替わるとはいえ、人間を超えることはない。だから、世の中すべてがAI化されるというのは、まさしく専門性がない人の意見だ。
<人口減少で職を失うのは努力をしない人たち>
・優秀な経営者やビジネスパーソンほど、決してマクロの話をビジネスに持ち込まない。持ち込むとしても、何かの会合のあいさつ程度でマクロ経済についてざっくり話すくらいだ。
何かビジネスをするに当たって、マクロ現象から考えるような浅薄な事業計画では、すでに誰かに先んじられているから手遅れだ。ビジネスを考えるなら、身の回り2メートルくらいのミクロで考えるべきだろう。
<税源で決まる地方分権>
<国民が税の使い方を選べる「ふるさと納税」>
・日本創成会議が「2040年までに896の自治体が消滅するおそれがある」と予測した。
<日本では居住の選択権がある>
・都会でも地方でも、自由かつ気軽に居住地を選択できる制度を長期的に整えるのが、政策論としては望ましいのだ。
それを可能にする手段が、主に政治。行政において統治権を中央政府から地方政府に部分的あるいは全面的に移管する「地方分権」だ。
<中央と地方の区分けは単なる役割の違い>
・経済学では「分権化定理」というものがあり、人口が一定以上の国には地方分権がかなり有効で、中央集権よりも色々と効率的になるのが分かっている。日本も当然、その範疇に入っている。
その観点から言えば、地方分権は中央政府の再々編と表裏一体の関係にある。
<地方分権は税源移譲がカギ>
・人口1.2億人の日本なら、最適な人口規模は約30万人くらいだ。つまり、現在1718ある自治体は、全国で約400あればいい計算になる。
<地方に税源移譲すべき税目とは>
・道州制を考えるなら、地方(市町村)、州、国の役割分担を明確にするため、それに応じた適切な財源が必要だ。
・具体的には、役割分担を円滑に行うためにも、税目ごとに国税と地方税に分ける「税目別制度」方式を導入した方がいいと考えている。
<政治闘争でしかシステムは変えられない>
・地方創生についても、補助金目当てになってはいけない。しかし、昔から補助金目当ての人は山ほどいる。
・旧自治省(現総務省)は補助金を分配するのが仕事なので、毎年12月になると、地方から入れ替わり立ち替わり人がやってきて、陳情を山ほどもらう。
<岩盤規制を崩すための国家戦略特区>
・税源とは別に、中央集権の源泉である「岩盤規制」というものがある。省庁や業界団体などがそろって改革に強く反対することで、緩和や撤廃が容易にできない規制のことだ。
<パチンコも依存症対策の対象に>
・カジノが地方活性化につながるのか。そんな疑問を抱く人もいるかもしれないが、結論から言えば、カジノだけでは地方活性化につながらない。
・もしIRが実現すれば、カジノ業者はカジノ税を売り上げの30%。国に払うことになるだろう。そうなると当然、パチンコ税がないのは不公平だという声が巻き起こり、パチンコ税が導入されるタイミングが訪れる。パチンコは法人税の脱税が多い業種として政府内でも有名だったから、そこで化けの皮がはがれてくるだろう。どうも、旧民主党勢力はそれを嫌がっているようだが、それは票田となる支持母体のせいだろう。
・いずれにしても、数字をきちんと勉強している人間にとっては、ギャンブルは手を出せない代物だ。少し前にテレビ番組で、カジノで100億円以上の損失を出したという、元大王製紙の井川意高さんとご一緒する機会があった。番組の中でバカラを体験したが、その時に井川さんから「高橋さんはギャンブル中毒にはならないでしょう」と言われた。
・筆者には、親が勝つのがすぐ分かる。むしろ自分が親をしたいくらいだ。期待値を計算すると、子は97%の確率で負ける。自分にはギャンブルの才能があるなどと言っている人は、ただの負ける才能だと思う。
だから、大人になっても数学をしっかり勉強させることが、ギャンブル依存症対策になる。そういう意味では、確率の計算すらできない人は手を出すべきではない。しかもパチンコになると、コンピュータの出玉調整で確率操作できるから、絶対に勝つことはできない。
この項で見てきたように、カジノ法案は、雇用を生み出すこと以外では地方活性化には寄与せず、地方分権化や道州制の導入も困難な状況だ。
<人口減少に我々がすべきこと>
<財政危機なんかのウソを気にするな>
・人口減少が日本社会に危機をもたらすはずもなく、地方分権さえ進めれば各自治体も創意工夫で強くなり、生き残っていける。
まず、財務省による日本財政は危機であるとの宣伝を信じるのをやめよう。
こうした風説のせいで、世の中には将来の社会保障のために、増税が必要と信じる人が多い。これは噴飯モノだ。その理由はなんと人口減少だという。繰り返すが人口減少が経済に与える影響と年金制度に与える影響は大したことはない。
人口減少のGDP成長率への影響は、ここ10年ぐらいは、0.3%分程度だったし、今後50年ぐらいの期間を見ても0.7%ぐらいのマイナスに過ぎない。
・残念ながら、「失われた20年」と言われる過去20年間は名目GDPが増えず、給料も増えていない。この20年が異常で、そんな状態だったら年金だけでなく、他の制度も続かない。これまでの蓄えがあったから20年間もっただろうけれど、同じようなことがまた20年間続くならば年金のみならずすべての制度が破綻する。
名目GDPで平均3%ぐらいの成長を続ければ年金制度は維持できる。
・見通しが楽観的と言われるが、世界を見て20年間も名目経済成長率がゼロという国はない。日本の経済成長率は、世界200カ国中、1990年代、2000年代はビリのグループだ(リーマン・ショック時を除く)。先進30カ国でももちろんビリだが、そこからちょっと抜け出して25位ぐらいが名目3%だ。トップクラスの名目6%、7%を目指せというなら楽観的かもしれないがビリに近くてもOKというのだから、かなり控えめではないだろうか。
<今から老後格差に備えよう>
・新しい制度を作る時は必ず、規制緩和がセットになる。また、単純労働はAIに置き替わっていく。この規制緩和とAI化で職を失う人も出てくるかもしれない。
・だが、人口減少などよりも自分の身近でもっと注意すべきなのは老後格差だ。
<いざという時はフリーランスが強い>
・年金だけでは安心して老後を暮らせないと思うなら、老後もずっと働くしかない。
・サラリーマン時代は、独立しても働けるようになる訓練をしている最中だと思った方がいい。会社から給料をもらっているだけだと、才能を開花させるチャンスを逃すだけで、とてももったいない。あるいは、在職中から副業・兼業でスキルを磨き、ゆくゆくはフリーランスとして活躍できれば最高だ。そうなれば、その収入で年金だけでは足りない老後の生活費を補うこともできる。
・今やフリーランス(副業・兼業を含む)は1000万人余りに上ると言われている。だが、アメリカでは1億6000万人の労働力人口のうち5730万人がすでにフリーランス化しており、2027年には過半数になるという予測すら出ている。そう考えると、日本ではまだまだおいしい話があることに気付いていない人が多い。こんなに差があるのに、なぜフリーランスになる人が少ないのか、とても不思議だ。
『日本の未来100年年表』
洋泉社MOOK 2017/10/19
人口減少時代を勝ち抜く鍵は先を見通す力にある!
2025年 ロボット手術で人類はがんを克服
2030年 地方から銀行が消える 2031年 年金制度が破綻
2040年 日本が先進国でなくなる
2045年 AIが人間の能力を追い抜く
2065年 女性の平均寿命が90歳以上
2100年 平均気温が4°C上がる 2117年 60万人が火星に移住
<これからニッポンで起こること>
<2019年 日本の労働力人口に変化が表れる!>
・高度外国人材が永住権を取得 日本人の雇用が奪われる⁉
・育児以外にも、労働力率が下がるシーンがある。それは親の介護だ。これは性別や独身・既婚を問わず、誰もが直面する問題である。日本人の平均寿命は延びており、これに伴い高齢者の介護問題は避けては通れない。法整備が進められているものの、介護のために休職を余儀なくされることも考えられる。
<2020年 記念すべきオリンピックイヤー>
<2020年 自動運転車を実用化>
・エウロパに無人探査機打ち上げ
・労働力人口が6589万人に減少
・ジェネリック数量シェア80%以上に
<2020年代後半までに>
・国内原発の半数が廃炉
<2022年 衆院選にアダムズ方式適用>
・高校で「歴史総合」が必須科目に
・ドイツで原発全廃
・インドが人口世界一に
<2025年 農政が変化し農業が成長産業に>
・農業人口は減るが農業産出額は上向く ⁉ 農業とほかの産業との融合も起きている
・これまで農業は成長産業になり得なかったのは、零細兼業農家の存在にほかならない。「農政トライアングル」は彼らを必要として保護政策をしてきた。ただ、これを支えた零細な兼業農家が大量離農することで、このトライアングルは徐々に弱体化するはずだ。その結果、農政は産業政策としての色合いを増してくるだろう。
<2025年 ロボット手術と放射線、抗がん剤治療が組み合わされる>
・負担が少ない治療法を確立、人類はがんを克服する?
・新設住宅着工戸数は約67万戸に減少
<2026年 地域から首都郡へと人口流出が加速 ⁉>
・地方自治体は人口減少で不要となるのか
・確かに地方には多くのシャッター商店街が存在する
・地方の中核都市が成長し地方で起業する人が増加
<2030年 18歳人口減少と「高大接続改革」の進展>
・人生で3回の高等教育が当たり前になる ⁉
・今後10~20年で約半数の仕事がAIやロボットで代替可能だという試算が、国内外で出されていることをご存知の方も多いかもしれない。
<2030年 地方銀行の淘汰が加速 ⁉>
・銀行の数自体が減っていき金融機関の再編が本格化する
<2030年 再生医療の国内市場規模が1兆円に>
<2030年 農家から“農業法人”へと転換が進む>
・農業従事者数が半減し、「スマート農業」が一般化する
・農作物の品種改良においてもバイオテクノロジーのさらなる進化により成熟し、ゲノム編集が容易に行われ、現状栽培が困難なエリアで生育可能な新品種の開発が盛んになる。
<2031年 少子高齢化により社会保障制度が崩壊か>
・厚生年金の積立金が枯渇 ⁉ 制度自体が破綻する?
・社会保障制度は、国民生活を守るべき大切な制度である。少子高齢化が進む現代では、支出が年々増える傾向にある。この財源を確保するべく、年金の受給年齢の引き上げや、高額療養費の見直しなどの制度改正が繰り返し行われているため、未来予測をするのが難しい分野だ。
<2033年 不動産業界の未来は決して暗くない?>
・日本の空家率は3割強になる ⁉ 空き家率上昇は住宅供給過剰が原因 ⁉
・2033年、空家数は約2170万戸、空き家率は30.4%に上昇
・将来は大都市圏への人口集中傾向が顕在化
<2033年 超高齢化社会の新たな希望>
・認知症や神経障害が克服され、健康寿命は100歳に届く ⁉
(惑星探査に遺伝子を改変する)地球外の惑星でも生存できるように遺伝子操作された宇宙飛行士が探査に派遣される――。こんな未来はSF小説の中だけではなく、実際に可能となるかもしれない。
<新医療にも副作用克服の課題あり>
・荒唐無稽とも思える話から始めたが、もちろんこのような「デザイナーズベビー」は倫理的にも法的にも禁止されている。ただ、再生医療や遺伝子治療はもはや日進月歩で、その躍進ぶりはとどまるところを知らない。
<遺伝子治療で認知症がなくなる ⁉>
・iPS細胞では免疫反応を起こしにくいタイプの細胞を利用することで、2015年10月に加齢横斑変異症の治療に応用、初めて移植手術を成功させた。術後1年を経て、がんなどの異常が見られず、iPS細胞を使った世界初の治療となったのだ。
<臓器再生が可能に医療の新時代が到来>
・まず、遺伝子診断によるオーダーメイド医療、オーダーメイド創薬が将来、格段に進歩する。患者個々人の疾患により適した医薬品が遺伝子診断によって、より安全に正確に使われるようになるだろう。
・再生医療の分野では、iPS細胞に限らずES細胞や間葉系幹細胞を使った治療が進んでいく。これら幹細胞からは、肝臓や膵臓、骨格筋、心筋、血液、神経、皮膚といった組織の細胞を文化させることができるから、脊髄損傷といった重傷の患者の身体機能を回復させることができるようになる。
前述した神経変性疾患であるパーキンソン病は、すでにドーパミン神経の前駆細胞をiPS細胞で作り出し、それをモデル動物のサルに移植しての治療が行われている。この研究者は、サルでの成功により次はヒトでの治験に進むとしているから、近いうちにパーキンソン病も遺伝子治療で治るようになるかもしれない。
さらに技術が進歩すれば、生体外で各臓器や組織などの生存を長期間維持させ、移植に使うことができるようになる。
クローン技術が可能になれば、ブタなどのヒトに近い実験動物をつかってヒトの臓器を成長させたり、胚発生の機構を使ってヒトの肝臓を作ったりするようになる。また、血液を作り出したり、神経系の機能を再現することができるようになるかもしれない。
<2035年 生涯未婚率が男性で約3割、女性で約2割に達する>
<2037年 少子高齢化、人口減少時代を迎え、鉄道には厳しい時代に>
・リニア中央新幹線が大阪まで開通するも、その先は不透明?
<2040年 国境を越えた地球規模でのマネー革命が始まった>
・仮想通貨はグローバルマネーとして通貨と同等に扱われるようになる⁉
<2040年 日本が先進国から転落する危機に!>
・豊かさを手に入れた世界は資本主義の行き詰まりに陥る
・豊かさを手に入れた世界は資本主義の行き詰まりに陥る。人口減少時代に突入するなど経済が好転する兆しが見えない。果たして、日本経済の未来に明るい兆候が表れるのは、いつになるのだろうか。
・(低成長が続く日本は1人当たりのGDPに注目)今の内閣が掲げる働き方改革は労働時間を減らし、能率のよい仕事環境を作り生産性を上げていこうというものである。しかし、コスト効率の悪いサービスまで過剰サービス状態となり、生産が上がっていない。日本の企業の利益率はアメリカのそれと比べても低いままである。
このような状態の中、先進国の中でも祝日の一番多い日本は、高度成長時代に比べて労働時間が30%も減少しているといわれている。生産性の上がらないまま働く時間が短くなり、成長も鈍化していくのであろうか。いずれ日本は先進国から転落する日がくるのではないかと心配している。
<2045年 シンギュラリティによって完全自動運転車が実現!>
・人々の自動車への関心がなくなっていく ⁉
・2045年、AIが人間の能力を追い抜く
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