年をとって幸せになるには、また、充実した毎日を手にするためには、なによりこれまでの「考え方」を切り替えていくことが重要です。私はこれを「マインドリセット」と呼んでいます。(1)

(2025/4/28)

『幸齢者』

幸せな老後のためのマインドリセット

和田秀樹    プレジデント社  2023/6/15

<序章  「幸齢者」へのマインドリセットのすすめ>

<高齢者こそ、好きなことをやるほうがよい>

・ところが日本では、そのような贅沢な暮らしぶりを実践する高齢者は少数派です。

<いつまで「がまん」を続けますか?>

・私は、いまこそ「マインドリセット」が必要だと思うのです。高齢者になったらがまんをするのではなく、好きなことをしていい。

<80歳を超えてもヴァイタリティ溢れる人々の共通点>

・人間は年齢を重ねていくうちに、脳の前頭葉が衰えていきます。でも前頭葉は、使い続けている限り、そう急激には衰えません。

<70歳からは「高齢者」より「幸齢者」>

・これからは「高齢者」ではなく、「幸齢者」と呼びましょう。

<マインドリセット7カ条>

① 勝ち負けで考えない。②試してみないと答えは出ない。③「かくあるべし」思考は棄てる。④いまを楽しむ。⑤人と比べない。高齢者による高齢者差別はしない。⑥自分で答えを出す。⑦人目は気にしない。

<「お金」へのマインドリセット>

<人生の最後に後悔する人々>

・年をとって幸せになるには、また、充実した毎日を手にするためには、なによりこれまでの「考え方」を切り替えていくことが重要です。私はこれを「マインドリセット」と呼んでいます。

<お金は「持っている」より「使う」に価値がある>

・お金は使うもの、使ってこそ幸せになれるものだとマインドリセットしてください。

<「こころの老い支度」で不安を軽減>

・年をとればとるほど、将来に対する不安から「食事や嗜好品、お金などを節制して、老後に備えなければならない」と考えるようになる人が、非常に多いように感じます。でも、私はその考えには真っ向から反対したいのです。

<70歳からは「やりたい放題」>

・現役世代ならがまんをしなければいけないことも、70代になったら気にしない。「やりたい放題」こそが健康の秘訣になると言っても過言ではありません。

<高齢者は「健康のために遊ぶ、お金を使う」>

・高齢になると、「健康のために遊ぶ」「健康のためにお金を使う」ことが想像以上に大きな意味を持つようになってきます。

<高齢者は「現役の消費者」だ>

・いまの日本経済で一番弱いのは「消費力」です。給料が安いからみんなモノを買いません。

<社会に対して声を上げていい>

・たとえば、保育所の待機児童の数は5634人まで減ったのに対して、特別養護老人ホーム(特養)の入居待ち高齢者は29.2万人もいます。減る気配がありません。

・こういうさまざまな現実に対して、政治や行政のあり方に反対の声を上げ、批判の1票を投じる権利は、高齢者にも残されています。

<高齢者が消費者になれば日本経済は上向く>

・つまり「生涯現役」という言葉には、「生涯現役の消費者である」という意味も含まれているのです。

<2000兆円の金融資産の約7割は60歳以上>

・私は、そもそも「老後2000万円問題」自体、現実的な話ではないと思っています。

 60代、70代、80代、90代と年を重ねるにつれ、生活に必要な経費は少なくなっていくことは間違いありません。

<お金を使わないまま死んでいく人々>

・日本の平均寿命は、2020年の調査によると男性が81.64歳、女性が87.74歳であるということを。つまり多くの80代以上は、その金融資産を使うことなく死んでいくのです。

<ためらいなく消費するための労働>

・70代以降の人でも働くことは大切です。高齢医療の専門家の立場からも、健康の維持のためにも、働くことをおすすめします。

・たとえば介護職。この業界は慢性的に人手不足です。2025年に約243万人の介護人材が必要になるのですが、2019年度比でじつに約32万人もの人材が不足するというのです。

<高額老人ホームは幸せか?>

・70代では要支援・要介護比率はまだ6~13%程度ですが、80代になると26~60%、90代では70%以上となります。

・私は、有料老人ホームであれ特別養護老人ホーム(特養)であれ、適切な時期に入所することを考えておくほうがよいと考えています。

・2000年に介護保険制度がスタートしてから、老人ホームは料金的にも質的にも、かなり向上しました。介護保険制度上は「介護老人福祉施設」と呼ばれる特別養護老人ホームは、低料金で手厚いケアと保護を受けられます。スタッフもすごくよくトレーニングされています。

<ランチ外食のすすめ>

・ランチを外食にするだけで、日常生活の行動半径はずいぶん広がります。

<グルメは一人でも楽しめる>

・ランチを外で食べる、1人で食べるということが楽しみになれば、長い高齢期を孤独感に捕まることなく乗り切れるような気がします。

<おいしいものを食べて免疫力アップ>

・というのは、コレステロールや血圧、尿酸値などを気にして、食べたいものを食べずにがまんしている人が多くいるからです。

<要支援・要介護は介護保険と年金の範囲で生活できる>

・支援や介護が必要だという状況になった人は、本人や家族が介護保険被保険者証を持って役所に行き、そのうえで調査員が認定調査をし、主治医が意見書を書いたりしたうえで、支援か介護が必要かどうか判断されます。この一連の流れには、ケアマネジャーと呼ばれる専門職がいろいろと手助けをしてくれます。

・要支援・要介護と認定されると、車椅子や介護用ベッドをレンタルできたり、デイサービス(介護施設の日帰り利用)ショートステイ(短期の介護施設宿泊)を利用できたり、自宅のバリアフリー化に費用を援助してもらうことができます。自己負担額は1~3割程度で、残りの7~9割はこれまで納めた介護保険料と、国と各市区町村からの拠出でまかなわれます。

 いまや日本では、介護保険の認定さえあれば、寝たきりになっても経済面の心配はほとんどないと言っても過言ではありません。ヨボヨボになってしまったら支出が激減するわけですし、多くの人が年金の範囲で過ごすことができるのです。

<80歳までに自分が貯めたお金は使い切る>

・前述のとおり、近い将来、有料老人ホームに入るとしても、介護保険のおかげで昔に比べて入院費用が安くなっています。ましてや特養であれば、これも介護保険のおかげで、寝たきりあるいは重度認知症になったとしてもさしてお金はかかりません。

<家を売って老後資金を作る方法もある>

・そういう人でも、もしも持ち家があるのであれば、それを「売る」ことで老後資金を作るという方法があります。

・不動産を担保に老後を生活費などを一時金または年金形式で借りられる「リバースモーゲージ」と呼ばれる貸付制度を検討するのもよいでしょう。

<「子ども」へのマインドリセット>

<子どもに対する考え方を変えよう>

・とくに親を引き取り、在宅介護をすることにした子ども世代の中には、そのために仕事をやめてしまう人が大勢います。

・介護者と被介護者がどちらも65歳以上の状態を「老老介護」、ともに75歳以上だと「超老老介護」ともいわれますが、そういう年齢まで親の介護が続くこともありえます。それで介護する側が体を壊したり、心を病んだりすることもかなりの割合で起きています。親子ともに不幸になっては、元も子もありません。

<「子離れ」をしよう>

・後悔のない人生を送るためにも、よい意味で「子離れ」をして、親は自分自身の幸せを考えて行動することが大事になってくると思います。

<「子どもに財産を残そう」とは考えない>

・日本の高齢者がお金を使わない理由の一つが、いま見たような「子どもに財産を残そう」という強い思いです。

<「成年後見制度」の問題から「遺産争い」まで>

・高齢者の死後に残された子どもを悪く言うつもりはないのですが、「成年後見」という制度にも、お金がからんでくるがゆえに面倒なことが発生します。この制度は、認知症などによって判断能力が不十分であると認定された高齢者に代わって、後見人が本人の財産を管理するという制度です。

・2000年に制度化されて以来、利用者は増え続け、2020年には約23万2000人が利用しています。

<子どもをあてにしない、代わりに気にしない>

・誰しも、自分が介護を必要とする状態になったときのことを考えます。そのときには子どもに介護してもらいたいと願うことは、自然なことです。

<子どもに迷惑をかけてもいい>

・そもそも、認知症や寝たきりになった高齢者が「他人に迷惑をかける」のは、それほど悪いことなのでしょうか。私としては、とてもそう思えないのです。

<できないことは「できなくて当然」でいい>

・昔は「親孝行、したいときには親はなし」と言われましたが、いまは「親孝行、したいときには親が要介護」という時代です。

<「夫婦」へのマインドリセット>

<夫婦のあり方も変わっていく>

・年をとるとともにマインドリセットが必要なものの一つに、「夫婦のあり方」があります。熟年離婚という言葉を耳にします。これにはまず、「つかず離れず婚」をおすすめしたい。

<後半生は「夫婦の相性」が最も大事>

・夫婦というものをもう一度考え直してみる。こうしたマインドリセットも大事だと思います。

<夫は夫の、妻は妻の楽しみがあっていい>

・長年、夫婦生活を送ってきて、子育てや親の介護が一段落すれば、女性にはやっと自分の自由になる時間が生まれます。そこでどんどん外に出ていきます。

<「夫婦単位」の生き方を抜け出してみる>

・70代というのは、夫婦それぞれ自由になれて、しかもまだまだ体も元気で行動力のある年代です。

<「つかず離れず婚」のすすめ>

・ルールはいくつあってもいいですし、あとで追加や削除、変更するのも自由です。大切なことは、「お互いに納得して決める」ということです。間違っても、一方の価値観を押しつける形で決めてはいけません。

<つかず離れず夫婦の性愛リセット>

・つかず離れず婚でもルールは、それぞれの夫婦で話し合って決めればいいのです。

・しかし、合意のうえでどのような選択をするかは、その夫婦ごとに違っていいのです。

<「一生添い遂げなければいけない」は幻想>

・でも私は、熟年離婚は間違った選択ではないと思っています。

<「医療」「健康」へのマインドリセット>

<年をとったら「With」を生きる>

・日本人はまじめすぎるのか、健康診断の検査データでちょっとした異常値があると、その全部を「正常値にしないといけない」と思い込んでしまうところがあります。

<和田秀樹は「病気のデパート」状態>

・じつは、自慢ではありませんが、私自身は「病気のデパート」です。血圧は放っておけば220くらいになってしまいます。いまは薬で170くらいにコントロールしています。血糖値も、早朝血糖値が200から300くらいで、これでも十分高いのです。

<医者とのつき合い方>

・病気とのつき合い方以上にマインドリセットが重要なのは、医者とのつき合い方です。

<医者にお礼のお金を包むのは是か非か>

・私は、手術がうまくいったときに、感謝の意味を込めてお札を渡すことそれ自体は悪いことではない、と思っています。

<「嫌な医者」に舐められてはいけない>

・とにかく、「医者に嫌われてはいけない」という発想はマインドリセットしましょう。

<「がんで死ぬ国」の“生き方上手”とは>

・つまりがんが死因ではない人も、がんを抱えて生きていたわけです。日本人の死因のトップはがんです。

・こうした状況に対応して、牛乳を飲む習慣をつけるなど、カルシウムの摂取量を増やすことが健康常識になってしかるべきだと思います。

・欧米諸国のように「肉を減らせ、脂肪を摂りすぎるな」と呼びかけるのは、日本では適切ではないのです。

<高齢者のがん治療は命を縮める危険性>

・日本のがん手術の一番の問題は、がんだけ取ればいいものを、転移を怖れて取りすぎる点にあります。

<70代からがんとつき合う>

・最も重要なポイントは、がんが見つかってときに、手術をするのかどうかです。

<がんも「「Withを生きる」の発想でいい>

・一般的に70代、80代のがんは、中高年のがんより進行が遅いですから、放っておいても、結果的に手術した場合と同じくらい生きられる可能性があります。

<医療は引き算ではなく、足し算で考える>

・私個人は、ある程度の年齢になったら、がん検診のみならず、そもそも健康診断を受けることは必要ないと考えています。

・高齢者が考えるべきは、検査データが正常値かわずかな異常値かの違いより、体に不足している栄養をしっかり摂ることです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです。

<検査で抜けている視点「どこで治療を受けるか」>

・健康診断や脳ドック、心臓ドックなどの検査を受けて、異常値が見つかったときに、どこで治療を受けるか。これは重要な問題です。事前に調べ、考えておいたほうがいいでしょう。

<患者は医者を選んでいい>

・患者は医者を選んでいい――これは医者とつき合ううえでの大原則です。ぜひマインドリセットしてください。

<医学はまだまだ発展途上の学問>

・70代になったら、長生きできる確証のない薬を律儀に飲む必要はないし、医者にすすめられるがまま、がんの手術を受ける必要もないし、健診も無意味だから受けなくていい、と述べてきました。

 読者のみなさんの中には、かなり突飛な意見と思われた方もいるでしょう。たしかに、ほとんどの医者はそのようなことは言いません。

<70歳からは「意欲」が最も大事。男性ホルモンと女性ホルモン>

・介護が必要になるリスクが高くなってしまいます。このように、「ロコモ(運動器症候群の略称)」が目立ってくるのも70代からです。

・性ホルモンは性別を問わず、ホルモン補充療法で外部から補うことが可能です。欧米では、性ホルモンが減少するとホルモン補充療法を受けるのが一般的になっています。しかし日本ではどういうわけか、それが「反則ワザ」のようにみられる傾向があり、なかなか普及しません。

<肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける>

・「意欲の低下」を防ぐためにできる手軽な方法としておすすめしたいのは、「肉を食べる」という方法です。

・粗食がいいと信じる高齢者が多いためか、じつは70歳以上の日本人の5人1人が、タンパク質不足だといわれています。

<元気に長生きしたければ、ダイエットはおやめなさい>

・極端に太っている人を除けば、高齢者はダイエットをする必要などありません。むしろ健康を損ねます。

・無理にダイエットに励むことで、サルコペニアやフレイルのリスクは高まってしまいますから、健康にはマイナスなのです。

<「日本人に適した健康法」がある>

・学者や官僚と違い、現場を知っている医師からは、高齢者がダイエットをする危険性について警鐘を鳴らす声が上がっています。

・70代になったら栄養の不足のほうに気をつけて、摂りすぎについては過敏になる必要はありません。

<70歳からはたばこをやめる必要はない>

・年を重ねると、健康のために嗜好品をあきらめる道を選ぶという話を聞きます。たばこやアルコールはその最たるものですが、私は基本的に「70代以降の人はたばこをやめる必要はない」と考えています。

・繰り返しになりますが、がまんしすぎない生き方をしたほうが、心身の健康度は高まりますし、幸福感も向上して、結果として長生きできるのです。

<70歳からのアルコール>

・お酒は、なるべくGI値の低いものを選ぶのがコツです。GI値とは、食後血糖値の上昇度を示す指標で、この指数が高いほど、体の老化の大きな原因である「糖化」が高まります。

・ワインには抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれているため、体の酸化を防ぎ、老化を抑えるうえでも優秀です。

<孤独な「一人酒」だけはやめよう>

・それは孤独感を募らせるようなかたちでの一人酒の機会をなるべく抑えてほしい、ということです。

<「生き方」「生活」へのマインドリセット>

<年を重ねたら人生観もマインドリセット>

・人生観であるとか、座右の銘といった言葉があります。そうした自分にとって「軸」となる考え方も、年齢とともにマインドリセットすべきです。

<「かくあるべし思考」は手放そう>

・精神医学の世界では、そうした考え方を「かくあるべし思考」と呼んでいます。そうしたさまざまな「かくあるべし」は、年をとったらスパッと手放してしまいましょう。

<「できることは」は立派な取り柄>

・この年代以降の人にとっては、「できる」ことそれ自体が立派な取り柄になるのです。

<時流や他人に合わせる必要はまったくない>

・ものわかりのいい高齢者を装う必要はありません。

<70代からの「勉強」とは>

・本を1冊読む、講義を聴く。勉強すればそのぶんだけ賢くなります。1日1日、少しずつ賢くなっていく。

<3つの「がまん」はいますぐやめよう>

・中でも次の3つは、すぐにでもやめたほうがいいと思います。①薬のがまん。②食事のがまん。③興味あることへのがまん。

<高齢者の6つの後悔>

・多くの高齢者と関わってきて、感じていることが一つあります。それは、「後悔」をしている人がたくさんいる、ということです。

① もっと好きなことをしておけばよかった。 ②いろいろ経験しておけばよかった。 ③自分を殺して他人に尽くしすぎなければよかった。 ④周りにもっと自分の気持ちを伝えておけばよかった。 ⑤お金の心配をしすぎなければよかった。⑥医者の言うことを聞きすぎなければよかった。

<70代を超えて見えてくる世界がある>

・時間がかかろうが体力や集中力が衰えようが、いまできていることをあきらめる必要はありません。まったくできないというのならともかく、ペースを落とし、休みながらでもやればできることは、これまでどおりに続けてみることが大事です。

<70代で身につけた習慣が「その後」の助けになる>

・70代にとって重要なのは、脳機能であれ身体機能であれ、いま持っているものを使い続けることです。70代の時期に意図的に使い続けていれば、80代、90代になって要介護となる時期を遅らせることができます。

<働き続けることが最高の老化予防策>

・働き続けることは、私たちの老化を遅らせ、いつまでも若々しくいさせてくれます。そのことは、データでも裏づけられています。

<好きなことが存分にできるのが70代>

・現代の高齢者は、定義だけでいえば、65歳を過ぎ、現役を引退して以降を指します。医療制度や公的機関の扱いでは、65歳からが前期高齢者で、75歳からが後期高齢者とされています。

 ですが、男性であれ女性であれ、70代前半のほとんどの方には、自分が高齢者の枠に入っている意識はないと思います。

<終章 マインドリセット7カ条>

<勝ち負けで考えない   第1条 勝ち負けで考えない>

・ぜひ、年をとればとるほど、「答えは一つではない」という考え方を持ってほしいと思います。

<人生は実験だ  第2条 試してみないと答えは出ない>

・あれは50歳くらいのことでしょうか。私は、正解を求めて本を読むということをやめました。

・実験の繰り返しこそが人生、試してみてこそ、人生の楽しみが広がっていくのです。

<かくあるべし思考は棄てる  第3条「かくあるべし」思考は棄てる>

・そういう人のほうが、楽しい後半生を手にする可能性は高くなりますし、うつになるリスクも低いのです。

<いまを楽しむ  第4条 いまを楽しむ>

・いま楽しめることはいま楽しんでおかないと、あとで楽しめなくなることがある。そういう覚悟を決めることが、年をとってからは必須です。

<人と比べない 第5条 人と比べない/高齢者による高齢者差別はしない>

・認知症などは、長生きをすれば、いずれはみんながかかるものです。

<自分で答えを出す   第6条 自分で答えを出す>

・自分の人生の結論は、自分で出すようにしましょう。

<人目を気にしない 第7条 人目は気にしない>

人目を気にすることが、高齢者の行動を制限していると思います。

<あとがき>

・高齢化というのは、どこの国でも大きなテーマのようです。

・精神科の世界では、客観的現実は変えられなくても、その人の主観的な世界をより適応的、より幸せなものにするために、ものの見方を変える「認知療法」という治療が盛んです。

・医師や臨床心理士のアドバイスがあったほうがうまくいくことが多いといえますが、その一方で、アメリカでおびただしい数の認知療法のワークブックが出ていることからわかるように、自分の力でもできることです。

 私も、本書ではマインドリセットという形で、ものの見方を変え、生き方を変えようと提唱しました。

(2025/4/15)

『ひとりで生きて99歳』

三條三輪  幻冬舎  2023/12/6

“自由気まま”ほど、贅沢なことはない。

<はじめに>

・気づけば、99歳。「まさか、この歳まで生きているとは……」と我ながら驚いてしまいます。

・ですが、自信をもって、お伝えしたいことがあります。それは、「いくつになっても(たとえ99歳でも)、ひとりで生きることは楽しい」ということです。

・私は98歳まで耳鼻科の院長として患者さんを週5で診察し、いまは元患者さんからの電話相談に応じる毎日です。

・食事にしても、「食べたいものを食べる」のがモットーで、健康のために無理に身体にいいものを食べることはありません。「でも、どうせ食べるなら、おいしく食べたい」と思って、工夫を重ねてきました。それが結果として、長寿につながっているのかもしれません。

・クリニックはなくなりましたが、私の医師免許がなくなったわけではありません。

・でも、人は失敗からしか学べません。失敗の数が誰よりも多い私は、もしかしたら人一倍学んでいるのかもしれない。

<不運が幸運になる“発想の転換”>

<病弱だった人ほど長生きする現実>

・私はずいぶん長生きしていますが、健康に気をつけてきたというわけではありません。「医者の不養生」の言葉どおり、定期健診もまともに受けたことはなく、好きなものを食べ、好きなことをして生きてきました。まさに「どういうわけか死なないのよね」という状況なのです。

・両親は「小児結核になったら大変だ」といって、私は小学校を1年間休学させられました。

・私は母が医者だったおかげで一命を取りとめましたが、心配して私の顔をのぞき込む両親に「さよなら」とつぶやいたのを覚えています。

・そこで死んでいたら、わずか18歳という短い命でした。それが99歳まで生きているのですから、人生とはわからないものです。

【「長生きできない」が口ぐせの人ほど長く生きる】

<ひっくり返って10日間の入院生活>

・私はケガもよくします。かなり、おっちょこちょいなんですね。

・根負けしてMRIを撮ってくれました。そうしたら、案の定、異常が見つかりました。頭の中に血のかたまりがあったのです。病名でいうと、硬膜下血種です。

【都合の悪いことは、うまくごまかす】

<駅のホームで転んで鼻血がブーッ>

・夜間の救急外来は、研修医の若い医者が詰めていることが多く、適切な処置や治療ができないことがあります。

【人生で何回か「ほらね」といったことが起こる】

<歳を取っても骨が丈夫なワケ>

・よく高齢者が転ぶと、「簡単に骨が折れるから気をつけるように」といわれるのですが、私の骨は丈夫にできているようです。

・私は野菜が大好きで、市販のお弁当を食べるときでも、野菜たっぷりのお味噌汁を作っています。

・また、骨を丈夫にするためには運動も欠かせませんが、買い出しのときに20分以上歩くし、舞台稽古では立ちっぱなし、歩きっぱなしになります。知らず知らずのうちに運動不足が解消されているのでしょう。

【野菜は便秘解消だけでなく、骨も強くしてくれる】

<好き放題に暮らしながらの「おいしい生活」>

<国産の牛肉の切り落としが、生きる活力>

・ともに長寿だったお2人の共通点は、肉が好きなこと。

・国産牛のほうが味がいいし、輸入物には肥育ホルモン剤が使われていることもあるので、避けています。

【牛肉は死んでも食べ続けたい】

<鶏肉や豚肉のほうが合う料理もある>

・肉は何でも好きですが、牛肉の次に好きなのは鶏肉です。

・お肉からタンパク質をしっかりと摂っているから、わずかばかりですが、筋肉を維持できているのかもしれません。

【身体を動かすためにも毎日自炊する】

<冷蔵庫の中には野菜がギュウギュウ。生で食べたり、煮物にしたり>

・私は肉も好きですが、野菜も大好き。

・農薬も身体に害になりますから、水道水を出しっぱなしにして、ていねいに洗います。

・好きなものを好きなだけ食べているので、めちゃくちゃな食生活だと思っていたのですが、多少は身体にいいものを食べていたみたいです。

 だからといって、あまり好きではない納豆をガマンして食べる、なんてことをするつもりはありません。

【大好物の野菜を食べない日はない】

<魚は骨がこわくて食べられない>

・生魚には、血液をサラサラにするEPAや、脳や神経の発達に必要なDHAが豊富に含まれています。だから、高齢になればなるほど、魚を食べたほうがいいと強調されるのでしょう。それはわかるのですが、はっきりいって魚は苦手です。子どもみたいだといわれそうですが、骨がノドに刺さりそうでこわいのです。

・ウナギの骨は、すごく細くて小さいのですが、意外にも硬くて、刺さると取れにくいのです。歯医者さんでも取ってくれますが、耳鼻咽喉科が専門家になります。ウナギだけでなく、小骨の魚は要注意です。そんな患者さんを大勢診てきたので、いつの間にか、魚が食べられなくなってしまったのです。骨がなければ問題がないので、お刺身は食べます。

・こうしてみると、血液をサラサラにする食べ物も、結構、食べています。長生きするために身体が欲しているのかもしれません。

【魚は味も栄養も、生がいちばん】

<熱々のご飯にバターをのせると、おいしい>

・朝食には、よくパンにバターとジャムをつけて食べています。飲み物は、コーヒーに牛乳を少し入れて飲むのが好みです。バターがすごく好きで、パンにはこれでもかというくらい、たっぷり塗ります。

0コメント

  • 1000 / 1000