最期のその日を迎えるまで、健康上の問題で日常生活になんらかの支障をきたしたまま生活せざるをえなくなる期間が男性で約9年、女性で約12年、これだけの期間があるということです。(1)
(2025/4/30)
『わたしの100歳地図』
和田秀樹 主婦の友社 2023/6/1
<初めに>
・人生100年時代といわれて久しいですが、いざ、自分事として考えた時、100歳という数字にピンとこない人のほうが多いのではないでしょうか。
・ここ日本の100歳以上の高齢者数は、2022年では9万526人。
<看過できない老後2000万円問題>
・ところが、要介護状態になると意外にお金がかからないので、実際には、老後そんなにお金が必要なわけではありません。
<健康でいることができるか、それが問題>
・日本の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳となりましたが、健康寿命との差を見ると男性8.79年、女性12.19年です。この平均寿命と健康寿命の差は何を意味しているかというと、最期のその日を迎えるまで、健康上の問題で日常生活になんらかの支障をきたしたまま生活せざるをえなくなる期間が男性で約9年、女性で約12年、これだけの期間があるということです。
これが100歳まで生きるとなったら、老後の生活資金もさることながら、どこまで健康でいられるかが、とてつもなく大きな問題になってきます。
<60歳からの地図 ~第二の人生のスタートはまだまだ先>
<60代の実感などない>
・わたし自身、いまも60代を意識して日々を過ごしているわけではありません。
<60歳を過ぎて逆転した勝ち組・負け組>
・本来このような負け組だと思われていた人たちが、この年になって逆に勝ち組っぽくなっていますし、プータローみたいに思われていた人間がけっこうしぶとく生き延びているのです。
<地位や名誉より、やりがい>
・仕事一筋で頑張ってきた人は、出世して地位や名誉を手に入れることに幸せを感じて、それがなくなってしまうことのほうが苦痛になるのかもしれません。
<なんだってできると考える>
・幸い、わたしは映画製作というお金はかかりますが大好きなものがあり、映画づくりのことを考えているだけで幸せな気分にひたることができます。
<自分が心地いいと思うことだけを追求する>
・それは肩書や社会的地位よりも、自分のやりたいことをやる。イヤなことはできるかぎりしないということを徹底してきたおかげです。
<自分の選択に自信をもつ>
・わたしのように好き勝手にできるのは、才能があるから、運がいいからと思う人もいるかもしれませんが、けっしてそうではありません。
<素の自分に戻れば見えてくる>
・心地よいことや楽しいことを日々の生活のなかで実践している人は、元気で若々しい人が多いです。
<医師の言うことをうのみにしない>
・角が立ってもいいから、「イヤだと思っている治療を押しつけるなら訴えるぞ」ぐらいの態度をとらないといけません。
<医師にも「ノー」を突きつける>
・言いたいことは言い、自分らしく生きることのほうを重視したほうがよっぽど幸せだと思いませんか。
<お金を使って幸せになる経験を開拓する>
・わたし自身が実践していますが、いまの高齢者たちにぜひ挑戦していただきたいのは、そのようにしてお金を使うことで幸せになる経験を開拓することです。
<高齢者だって立派な消費者。もっとお金を使おう!>
・つまり、年金生活者であっても、立派な消費者ということなのです。
<お金を使って世の中を変える>
・現実的には難しいと思うこともあるでしょうが、どんな小さいことでもまずは始めてみることが大切です。
<失敗しても、前頭葉は活性化する>
・前頭葉は、思考や感情、行動をつかさどる脳の部位で、脳の老化が最初に始まる部位でもあります。
<できる範囲の冒険でも効果絶大>
・このワクワク感こそがとても大切なので、この60代という時代を毎日のあらゆることが実験だと思い、全力で歩んでいくつもりです。
<70歳からの地図 パート1 ~70代で終わらないために>
<個人差が大きい70代>
・80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、この70代の過ごし方にかかっているとわたしは考えているわけです。
<忍び寄るうつ状態>
・そのような生活が続けばからだを動かすこと自体を面倒に感じるようになり、それこそ歩けなくなってしまったり、自由に動けなくなったりするリスクが高まります。
<興味をもち、挑戦し続ける>
・ですから、わたしは70代になってもできるかぎり、少しでも興味のあることには挑戦し続けていくつもりです。
<年齢を理由にして諦めない>
・やはり年齢に関係なく、チャレンジしていくことはいくつになっても大切なことといえます。
<しがみつかず現役を続ける>
・しかしそうではなく周りに求められて長く現役を続けている人は幸せな人生を歩んでいます。
<第二の人生は70歳を過ぎてから>
・いまや人生の岐路は70歳からで、第二の人生は70歳から始まると言っても過言ではないでしょう。
<ボケないためにも仕事は続ける>
・そうならないためにも、70歳からの第二の人生も、仕事だけに限りませんが、継続してできる何かを見つけておくことが大切なのです。
<お金のためではなく自分のために働く>
・しかし、70歳になって第二の人生の扉をあけたら、もう自分のためだけ、自分にとってやりがいのあることだけを続ければいいのだと思いませんか。
<地位や肩書きが幸せの邪魔をする>
・残念ながら人間は、ついつい過去といまを比べてしまう生き物です。
<童心に返る趣味をもつ>
・趣味に没頭しているときというのは、童心に返れるということです。
<幸せの源泉は地位や肩書きにはない>
・何が言いたいのかというと、幸せの源泉は地位や肩書とは関係のないところにあるということです。
<会社を卒業したら考えること>
・もちろん、そのような志をもつこと自体に異論はありませんが、人によってはそれが人生の目的、ゴールとなってしまい、会社を卒業したとたんにもぬけの殻になってしまうからです。
<人生の絶頂期はあとのほうがいい>
・年を重ねればどうしてもからだが衰えてくるので、元気なうちに行動に移しておくということもあるかと思います。
<財産はすべて使いきる>
・認知症になり、症状が進んで重度になると、お金を自由に使うこともできなくなります。
<いまこそお金を思い出に変える>
・自分やパートナーが、本当に幸せと思えるお金の使い方を考えればいいと思います。
<70歳からの地図 パート2 ~わたしたち高齢者の手で社会を変える>
<不当な扱いを受けている70代>
・30代、40代といった現役世代から見た70代というのは、相当な年寄りとして映っているようです。
<高齢者はお金を使わないという固定観念>
・一般的に、年をとればとるほど高齢者はものを買わないと思われています。
<読書家でおしゃれな70代>
・つまり、団塊の世代を中心に高齢者がインテリ化していて、さまざまなものに興味や関心をもち続けているということです。
<高齢者ニーズとリアルのギャップ>
・逆に、スマートフォンやタブレット端末など高齢者には無縁と思われるデジタル機器を、便利なツールとしてきちんと使いこなしているのです。このような高齢者の実像を現役世代はもっと真剣に見るべきです。
<高齢者がお金を使えば景気が回復する>
・「高齢者はお金を使わない」と思い込む、この大きな壁を打破しないことには、大げさに聞こえるかもしれませんが、日本の景気回復はないとわたしは思っています。
<日本の景気が悪いのはIT化の遅れもある>
・諸外国のIT化の進み具合からすると、日本のデジタル化はまだまだ遠い道のりだといえそうです。
<高齢者とAIはのび太とドラえもん>
・のび太は困ったときにドラえもんにお願いすれば、必要なものを出してくれるわけですが、言いかえれば、のび太はドラえもんにアイデアを出したり、指示したりしているわけです。
<70歳オーバーでもリーダーになれる>
・このように、AIの時代というのは、現役を引退した高齢者でも誰でもリーダーになれる可能性をもつことになるわけです。
<70代が日本の地図を塗りかえる>
・政治思想という面で見ていくと、日本のルベラル、左派はすでに力を失っています。
<税金ではなく年貢を納めている>
・なぜ、日本がこんな貧乏な国になったのでしょう。それは、いまだ封建的な制度、意識が残っているからかもしれません。
<ストライキは当然の権利>
・スト権を行使しないとどういうことが起こるかというと、労働組合の積立金がどんどん増えていきます。連合などは2兆円の闘争積立金をもっているといわれています。
<お仕着せの免許返納はありえない>
・さらに、国では70歳以上のドライバーに対して、免許証更新の前に「高齢者講習」を受けさせ、75歳以上になると高齢者講習のほかに「認知機能検査」の受検も義務づけています。
<高齢者ばかりがやり玉に>
・「令和4年中の交通事故の発生状況」を見てみると、16~19歳が1039.2件と圧倒的に多く、次いで20~24歳が597.2件、この次に85歳以上が498.4件とくるのですが、このように若い世代に事故が多いことがわかっていても、世間の目は高齢者に冷たいのです。
<免許証返納が認知症を招く>
・高齢者全員に免許証を返納させたら、要介護率は約2.2倍に増えるということが報告されており、むしろこちらのほうが問題です。
<日本はいまだ敗戦国のまま>
・つまり、一度決まってしまったことを大きく変えるという発想がそもそもないということがよくわかります。日本の不況が30年も続いている原因、税制や労働待遇が変わらない話もまったく同じだといえます。
<80歳の壁を越えてからの地図 ~死の不安に振り回されないために>
<老い、死がリアルになってくる>
・2020年の日本の男女の平均寿命は80歳を超えましたが、健康寿命は、男性72.68歳、女性75.38歳です。これは80歳になる前に、心身の不調で生活上の制限を受けてしまう人が多いということです。
<不安、心配事のない人などいない>
・わたしも長い間、高齢者をはじめ多くの方の診察をしてきましたが、患者さんの口から直接、先々の不安についての悩みを聞くことはあまりありません。しかし、語らずとも多くの患者さんに不安や心配事があることはわかります。
<がんに「絶対」はない>
・養老先生に限らず、かなりのヘビースモーカーでも100歳まで生きた人もいます。
<いつ死ぬかなんて誰にもわからない>
・わたしの血圧や血糖値、コレステロール値は、一般的に治療が必要とされる数値ですが、わたしは快適に暮らしていくため、自分なりに治療を受ける受けないを判断しています。
・いくつまで生きられるか、それはわたしも含めて誰にもわかりません。
<怒りの感情よりも不安感情のほうがよっぽど怖い>
・怒りも不安も気持ちをきちんと整理すれば、怒るべきところで怒ることができるし、不安に支配されて判断を誤ることもないのです。
<人の目を気にするから不安にさいなまれる>
・がんになるかもと思っている人は、自分ががんになったら、どこの病院でどんな治療を受けるのか、認知症になるのが不安なら、介護保険を受給するための準備をするなどです。
・多くの不安を抱える高齢者を診てきたなかで、「なるようにしかならないのだから先々の不安、心配はいらない」というのがわたしの持論です。
<がんが見つかっても治療は受けない>
・日本人が一生のうちにがんと診断される割合は、2019年のデータで男性65.5%と、2人に1人以上の確率です。女性も51.2%と、2人に1人です。さらに、日本人ががんで死亡する割合は、2021年のデータでは男性26.2%と、4人に1人は亡くなっているのです。女性も17.7%と、6人に1人です。ご存じのように、がんは最も身近で死亡率の高い病気といわれているわけですから、がんが見つかる可能性は誰にでもあります。
・一般的にがんは、早期発見、早期治療が有効という考えがありますが、高齢になれば、それはほとんど意味がありません。
・それでは、もし、わたしにがんが見つかったらどう対処するか。結論は、「治療は受けない」です。その大きな理由は、日本の医師ががんを切りすぎるため、先々の生活に失うもののリスクが大きすぎるからです。
<転移するかしないか、ただそれだけ>
・がんが怖いと思われている理由の一つに「転移」がありますが、がんには転移しないがんと転移するがん、この2種類しかありません。
・正直なところ、切っても切らなくても、どちらが長生きできるのかはわかりません。
<80歳を過ぎれば誰にでもがんの1つや2つはある>
・わたしが高齢者専門の浴風会病院に勤務していたとき、そこで病死した患者さんの解剖結果を数多く見てきましたが、85歳を過ぎて体中どこにもがんがないという人はいませんでした。
・このように高齢者はがんを発症してもその進行は緩やかで転移も少ないのです。
・専門医は目の前にあるがんを取ることが仕事なので、手術をすれば長生きできる可能性を示しますが、手術後のリスクについては何も言いません。
・「治療は受けない」、これがわたしのがんに対する結論です。もちろん、人に押しつける気はありませんが。
<認知症は誰でも発症するのが前提>
・程度の差こそあれ、認知症は誰がなっても不思議ではありませんし、年をとればとるほど、その可能性は高くなっていきます。2020年時点で、日本の65歳以上の認知症患者数は約600万人、これが2025年に約700万人になると予測されており、高齢者のおよそ5人に1人が認知症となるといわれています。
さらに細かく見ていくと、85歳以上の4割、90歳以上では6割が認知症を発症しているといった統計データもあり、亡くなった高齢者の脳を解剖してみると、85歳を過ぎたほぼ全員にアルツハイマー型認知症の所見が見つかっています。つまり、高齢者にとってはありふれた病気ということです。
<突然、記憶がなくなるはずはない>
・初期の段階では物忘れ程度で、日常生活に支障はありませんし、それまで培ってきた能力は保たれています。軽度の段階であれば、これまでどおりの活動を続けることも可能です。
<認知症は悪い話ばかりではない>
・認知症はいきなり記憶がなくなったり何もできなくなったりするわけではなく、進行する病気なのですから、その進行をできるだけ遅らせるために、脳が活性化するような喜びを感じること、少しでも毎日が違ってくるような生活を優先的に考えようと思っています。
<我慢することをやめる>
・死を早めたり要介護となったりするきっかけは、がん、認知症に限ったことではありません。80代になると、それまでとは比べものにならないほど、さまざまな病気やケガの可能性が高くなります。
<我慢と幸福のてんびん>
・それでも高齢者の実態としては、多くの人はいまを我慢したら幸せがあると思い、たとえば塩けの強いものや脂っこいもの、甘いものを控え、本当は食べたいのに我慢するなど、さまざまなことにブレーキをかけてしまいます。食べたいものを我慢したからといって長生きできる保証はどこにもありません。
<頼れるものはすべて頼る>
・年齢を重ねていけば、どんなにあらがっても老いを受け入れざるをえない時期というのが、必ずやってきます。とくに80代後半くらいからは、どんどんできないことが増えていき、人に頼らざるをえないことも多くなってきます。
・足腰が弱って、歩行に不安があるというなら、杖や歩行補助器などに頼ってみる。多少の衰えを自覚していても諦めず、器具の助けを借りてでも、いまできる能力を生かすのは、老化を予防するうえでとても大事なことです。
・どんなに体力が落ちても、これまで経験してきたことや蓄積された技術、知識がなくなってしまうわけではありません。
<最期まで自分の好きな世界に居続ける>
・老化と上手につきあっている人ほど要介護状態に陥りにくく、健康寿命が長い傾向にあります。そのような人は要介護となっても、人の手をうまく借りながら、楽しそうに日々を過ごしています。
<100歳の地図 ~人生はすごろくゲーム>
<病気のデパート>
・その原因はすべて不摂生からきたもので、以前からいつかは何かしらの不調が出てくるだろうと覚悟をしていましたが、血糖値が上っただけではなく、血圧も高く、心不全のおそれもあり、健康とはほど遠い状態となってしまったのです。
<自分のからだを使った人体実験>
・当然、お酒も我慢していませんし、塩分を控えることもしていません。食べ物でも我慢、妥協はしないというのがわたしの生き方です。
<人体実験に検査は欠かせない>
・2025年には75歳以上の人口が全人口の約18%に達するとされています。
・年をとるほど、太めの人、コレステロール値が高い人、肉を多く食べている人が長生きしているし、元気なのは事実です。年をとるほど心疾患で死ぬ人が増えるのは、心不全が増えるせいです。最近は、肥満の人のほうが心不全も防げるというデータも日本で発表されています。
<実験だから失敗を恐れない>
・逆に、70歳ぐらいで糖尿病網膜症になって目が見えなくなったり、人工透析を受けることになったりしているかもしれません。
<幸せをもたらすものに金を惜しまない>
・わたしの大きな楽しみの一つにワインがあります。
<自分の判断にかける>
・うまくいけば成功方程式が手に入り、さらに別の実験に取り組むことができます。逆に、失敗したとしても次に失敗しないための新たな実験が始まります。
<生きているだけでラッキー>
・医師のわたしが言うのもおかしな話に聞こえるでしょうが、100歳まで生きるか否かは、かなり「運」の要素が強いと思っています。
<運命と実力は紙一重>
・初めて運がいいなと思えたのは、2022年に出版した『80歳の壁』がこれまでになく大ヒットしたときでした。
<長生きを目指さない>
・もちろん、長生きすることに関して、そのための努力や研究などは続けたほうがいいに決まっていますが、結局、「運」には勝てないとつくづく感じています。
<歩きながらつくる100歳地図>
・ですから、わたしの100歳までの地図は、あらかじめ用意するものではなく、歩きながら地図ができていくというようなイメージです。
・このように、本来は自分自身が行きたい道を自由に選んで決められるはずですが、その選択を邪魔する存在が、医師と家族です。
<善意の押しつけに屈しない>
・医師ではなく家族や周りの近しい人から好きなものを制限されてしまうことです。相手も悪気はないどころか善意で言っていることなので、本当に困ったものです。
<誰だって死から逃れることはできない>
・ある年齢になったら、「人間は死ぬものだ」という覚悟をもたなくてはいけないとわたしは考えています。
<悔いのない人生を航海する>
・なるようにならないのが人生なら、なるようになるのも人生です。必要以上に悩んだり、怖がったりする必要はありません。
<おわりに>
・実際に本の該当箇所を家族に見せて免許の返納を阻止することができたと聞きました。
・自分が進みたい道をふさごうとする人たちに、この本を見せて説得材料として役立てていただければ幸いです。
・世の中が高齢者を中心に回っていくような世界となるよう、わたしはこれからも書き続けるつもりです。
(2025/4/20)
『70歳からの人生の楽しみ方』
いまこそ「自分最高」の舞台に立とう!
櫻井秀勲 きずな出版 2019/7/30
<はじめに 70歳が見えてくると、人生をふり返りたくなる。しかし――>
・「過去より未来を見ていきましょう」というのが、この本で私があなたに伝えたい強いメッセージです。
・じっさい私の70代は、人生の中でいちばん本を書いた時代といっても過言ではありません。
・70歳からは、どんなかたちでもいいから、自分が楽しむこと、自分を喜ばせることが大事なのです。
・若いときには体力で貢献していたことを、年長者は知恵で貢献するのです。
<「歩ける」「食べられる」を長く保つ>
<からだが思うように動かなくなった?>
・70歳からの人生の楽しみ方には、さまざまな方法がありますが、その前提条件として、「健康であること」というのがあります。
・私の場合でいえば、70歳を過ぎたくらいから食堂が細くなり、食べたものが詰まりやすくなりました。
・脚のほうは丈夫で、歩くことはいまでも、それほど苦になりませんが、硬い椅子に長く座っていると、お尻が痛くなってしまいます。それだけ脂肪が減ってしまっているわけです。
・しっかり噛むことができれば、胃腸の負担は軽くてすみます。その意味で、歯のメンテナンスは、70代になったら、それまで以上に気をつけたいことの1つだと私は思っています。
・また、足腰は使うことで強くなります。疲れない程度に、歩くことは毎日の日課として心がけるようにしましょう。
・逆にいえば、多少のからだの支障はあったとしても、「食べたいもの」「行きたいところ」があるというのは、元気で、人生を楽しんでいる人です。
<まずは脳トレで、頭を活性化させて老化を防ぐ>
・いまのあなたのとって一番の恐怖といえば、「将来、ボケてしまったらどうしよう」ということではないでしょうか。
・この本の中で、「高齢者」「老人」という言葉は、できるだけ使いたくないと私は思っています。
・自分の興味のあることを深め、広げていくことで、脳は間違いなく活性化されていきます。
<健康法は、ゆるいくらいがちょうどいい>
・健康であることが大事となると、からだにいいものはなんでも取り入れたくなるのが人情です。
・食材の他にも、サプリメントや健康食品、健康器具なども、「買ったことがある」という人も多いでしょう。それ自体を悪いことだとは思いません。
・70歳で、いま入院するようなこともなく過ごせているとしたら、もともと健康だということがいえそうです。
・だから、いろいろな健康法を試すことは悪いことではありませんが、そればかりになっては生活が窮屈になってしまいます。
・健康法は、理想の通りといかないまでも、6割方できていれば「まあ、いいか」と思えたら、気が楽です。
・好きなものは我慢しない、というほうが、私のからだは、よいように思っています。
<からだに合うものが、からだにいいものになる>
・「身土不二(しんどふじ)」という言葉があります。「地元の旬の食品や伝統食がからだに合っている」という意味で、大正時代に食養会というところが創作したものだといわれています。
・私が子どもの頃の東京の下町では、魚なら小魚類、肉は豚肉、野菜は大根、大豆類が地のものとされていました。
・私が88歳のいまも元気でいられるのは、この食生活のおかげだと信じています。
<飲み過ぎ、食べ過ぎは短命の元>
・70歳を過ぎると、かつての仲間たちの訃報が多くなりました。早い人は、それよりももっと若くして、この世から旅立っていきました。
・「お酒を飲む」「煙草を吸う」というのは、健康を害する二大巨頭のように思われがちですが、それをしていても、健康で長生きする人は大勢います。
・私の個人的な統計によれば、「狭い場所」「天井が低い場所」に何時間もこもって、煙草を吸う環境にある人は、命を縮める危険性が高いようです。
・お酒に限らず、食べすぎも。それによってエネルギーが過剰になると、内臓脂肪が増える原因になります。
<歩くときの姿勢を意識しよう>
・70歳を過ぎてから、足腰が重要だと考え、歩くことは心がけていましたが、歩幅については、それこそまったく気にしてはいませんでした。
・70歳という年齢は、つい縮こまってしまいがちですが、堂々とするだけで、逆に自信も沸いてきます。
・70歳を過ぎたら、転ぶのは命取りです。まずは転ばないようにすることが、第一です。
・私も、数年前から補聴器を使っています。最初は、それに頼るのがとてもイヤでした。私が経験から学んだことは、「文明の利器は使うべきだ」ということです。
<「未知の人」「未知の世界」に触れてみる>
<「生まれて初めて!」の体験を増やそう>
・年を重ねていくにつれて、残念なのは「新しい体験」に出会う機会が減っていくことです。
・「生まれて初めて!」と思えるような体験を、意識して増やしていきましょう。それが、感性を磨いていくことにつながります。
<70歳になったらコンプレックスは手放していい>
・退職しても、退職する以前の名刺を持ち歩く人がいる、という話を聞いたことがあります。実際に、「元・〇〇社 部長」というような名刺をもらったこともあります。
・「70歳」というのは不思議なもので、その年齢に達すると、自分というより、周囲の、あなたを見る目が変わってきます。
・そこで、「年寄り扱いされた」と憤慨する必要はありません。そのメリットを上手に受け取ることも、人生の楽しみ方の1つなのですから。
<面白そう!と思ったら、研究してみよう>
・70歳を過ぎると、心がドキドキすることはありません。それだけ身体の内部が落ち着いてしまったからです。
・さあ、あなたはこれから、どんな教養を身につけますか?研究テーマは無尽蔵にあります。自分が「面白そう!」と思ったことにフォーカスしていきましょう。
<「品格のある人」に人は集まる>
・70歳を過ぎたら「品格」が大切だと、前の項で書きました。
・人は、明るい場所に集まります。明るい人にも、人が集まるのです。
<資格を取って、新しい世界を開く>
・「学び直し」とは、その言葉の通り、「以前に学んだものをもう一度学ぶこと」です。
・それはともかく、「学ぶ」というのは、未知の世界に踏み出す一歩であり、未知の人と知り合う絶好の機会といえるでしょう。
・趣味や教養の世界を広げるものもあれば、資格を取得して開業すれば、仕事になりそうなものもあります。
<「期待されない自由」を楽しんでいこう>
・新たな世界に一歩を踏み出しても、必ずしもうまくいくとはいえません。
・70歳から学び直しをするというときに心得ておきたいのは、「うまくいかなくても気にしない」ということです。
・いまの私は88歳ですから、たいていの場所で、最高齢者になります。
「最高齢者」の役割とは、堂々としていることです。
<「使えるお金」「使わないお金」を使い分ける>
<いざというときのお金は本当に必要か>
・「まだまだ年寄りになりたくない」と思っても、老後は間違いなく、1日1日と迫ってきます。再雇用制度で定年が延びたとはいっても、すでに年金だけの生活という人も多いでしょう。
いまの働いている人でも、70歳で、50代の頃と同じ収入を得ているという人はほとんどいないのが現実です。そこで、生活は切り詰め、いざというときのために貯金しておこう、となるわけです。
0コメント