それ以上に思秋期に注意が必要なのはうつ病です。実際、40歳以降は、うつ病にかかる人が増加します。(1)
(2025/5/1)
『思秋期』
感情的な人ほど早く老いる ⁉
和田秀樹 ブックマン社 2016/6/28
<はじめに>
・この本は、私が25年以上にわたって高齢者医療にかかわり、本格的にアンチエイジングを勉強し始めて10年以上経った今現在、もっとも私が言いたいことをまとめたものです。
<スぺシャル対談 林真理子 × 和田秀樹>
<「男女それぞれの立場から考える、思秋期の乗り越え方」>
<思秋期(40歳~60歳)の男女に起こる脳やホルモンバランスの変化>
和田:40代から前頭葉が少しずつ縮み始めるんです。
<思秋期の夫婦がうまくいかなくなるのはともに中性化するから>
和田:男性は男性ホルモンが減ってくると、意欲や判断力が落ちてくるし、対人関係が面倒くさくなるんです。日本でホルモン補充療法を受けているのは6%くらいかな、すごく少ないんです。
<老いと闘うにはマラソンや健康食品よりアンチエイジング医療の有効活用を>
林:たしかに和田さん、普段からよく仰ってますよね、メタボの方が長生きするって。
和田:日本は意外なほどアンチエイジング医療が流行せず、さっさと諦める人が結構いるんです。
<外見だけの美魔女でなく知性も磨いて魅力ある人に>
和田:日本だと、アンチエイジング医療と言うと、だいたい美容外科医や美容皮膚科のイメージなんだけど、本来は少しでも身体の老化を遅らせるとか、あるいは精神面から磨くべきなんです。
<子離れ、親離れした方がお互い幸せに生きられる>
林:そのためにも子離れ、親離れしないといけないですね。
<もう愛がないと思った時、パートナーチェンジも視野に入れる>
林:40歳を過ぎてからどう生きるかが大切なのはよくわかりました。
<思秋期以降もモテるために始めておきたいこと>
林:そういう精神面での自分への投資って、面白い会話ができるようになったりして、人気として自分に返ってきます。
<「思秋期」に起こる身体と心の変化>
<人生に「秋の気配」を感じるころ>
・医学的な分類では小児期と成人期の間に思春期があって、成人期あとは老年期になります。
<思秋期に起こるふたつの大変化>
・思秋期、私たちの身体の中では、「性ホルモンの変化」と「脳の老化の始まり」というふたつの大きな変化が起こります。
<思春期・思秋期は「次」への準備期間>
・それと同じように、思秋期は生殖という大きな役割から解放されて、どんな高齢者になるのかを思い定めていく準備期間なのです。
<思秋期の過ごし方で高齢期の幸福・不幸が決まる>
・とはいえ40~60歳(思秋期)というこの年代は、仕事では出世競争や生き残り競争がピークとなる時期から、いよいよ定年を迎えようかという期間にあたります。
<性ホルモン低下がもたらす心身の変化>
・20代でピークだった性ホルモンの分泌は、中高年になると少しずつ減少していきます。その影響で、心身にさまざまな不調が現れるのが更年期障害です。
<男性的な性格、女性的な性格の背景>
・つまり性ホルモンは、セックスして子孫を作るために働くだけでなく、その後の子育て期間を乗り切るために性的役割を与える働きをしています。
<人間は感情から老化する>
・感情のみずみずしさ、つまり前頭葉の機能が真っ先に下がってくるのですが、その始まりが、実に40~60歳、思秋期の時期なのです。
<前頭葉機能はEQに密接に関連している>
・40~60歳というのは、努力しないとEQ的な能力や前頭葉機能が低下する年代であり、クリエイティビティは明らかに落ちてきます。
<うつ病を遠ざけよう>
・それ以上に思秋期に注意が必要なのはうつ病です。実際、40歳以降は、うつ病にかかる人が増加します。
<思秋期に取り組むべきふたつのこと>
・この「身体のアンチエイジング」と「将来のことを考えておく」のふたつは、ぜひ思秋期に取り組んでいただきたいと思います。
<生涯を何かの「現役」として過ごすには>
・思秋期のうちに、将来をイメージしておくのは、前頭葉が老化すると柔軟な思考ができなくなってしまうからです。
<漫然と過ごしているとロクな老人になれない>
・思秋期を過ぎると、前頭葉の老化が進んで、何か新しいことを受け入れるのも考えるのも難しくなってしまいます。
<今、「思秋期」を重視する理由>
・思秋期において大切なのは、今までの自分の常識を破壊していくことです。「健康のためには粗食がいい」「肉は身体に悪い」といった健康常識もその一例ですし、もちろん前頭葉の活性化という意味も含んでいます。
<思秋期の乗り切り方①身体のアンチエイジング(ダイエット・美容)>
<思秋期に「食べない式」のダイエットはタブー>
・しかし思秋期以降のダイエットで、もっとも避けなくてはいけないことが「食事を減らして体重を落とそうとすること」です。
<身体の酸化=細胞の炎症をどう防ぐ>
・金属が酸化すると錆びるのと同じように、身体は酸化によって錆びつき、古びてしまうのです。この酸化の原因になるのが細胞の炎症です。
<腸の健康を妨げる「見えないアレルギー」>
・一方、慢性型アレルギーは、緩やかにお腹の中で炎症を起こす、いわば「見えないアレルギー」です。
<腸の状態が悪いと肌の調子が悪くなるわけ>
・老化予防にとって、腸の健康を保つことはとても重要なポイントです。
<慢性型の食物アレルギーの見つけ方>
・通常、なかなか気がつかない慢性型アレルギーを見つけ、アレルゲンとなっている食べ物を避けることで、腸をはじめとする身体の酸化を抑え、老化をくい止められる可能性は高まります。
<若さを保つにはホルモンに気を遣う>
・思秋期を迎えると男性は男性ホルモンが、女性は女性ホルモンが減少してきます。すなわち、少しずつ自分の「性」を失って中性化していくわけです。
<ホルモン補充療法を避けるのは損>
・「ホルモン補充療法は危険」というイメージが定着していました。間違った常識が広まったために、日本の女性は損をしているのです。
<男性へのホルモン補充療法>
・男性の更年期障害に対しては、男性ホルモンの補充療法が行われます。
<思秋期こそ胸をときめかせる体験が必要>
・異性の目を意識したり、モテたいという欲望を持つことは、結果として更年期をなだらかにし、遅らせる可能性が高いのです。
<思秋期の乗り切り方② 前頭葉を若く保つ(脳・思考・メンタル)>
<身体も脳も使わないと衰える>
・人間は運動能力のような身体機能よりも、心や感情から老け始めることが、こんなところからもうかがえます。
<思秋期、まず気にするべきは前頭葉>
・前頭葉はものを考えたり、やる気を出したり、感情と理性のバランスをとったりするような、いわば「人間らしさ」の源泉です。
<スイッチの切り替えが悪くなるとどうなるか>
・私は、熟年離婚の一因として「意欲と感情のコントロール能力」が低下したり、「思考のスイッチング」がうまくできなくなったりすることが、挙げられるのではないかと思っています。
<前頭葉はルーティンでないことをするときに働く>
・老化の予防には、なんといっても「使うこと」です。
<前頭葉を刺激して若々しさを保つ方法>
・その意味で、恋愛は前頭葉の刺激に効果的です。
<感情が老化する3つの要因>
① 前頭葉の老化、②動脈硬化、③セロトニン(神経伝達物質)の減少
<「心の健康」にいい考えをしよう>
・感情の老化を防ぐために、前頭葉を刺激したり、食生活などの生活習慣を見直したりすることと並行して、思秋期に心がけたいのは、「心の健康」にいい考え方をして、うつ病を遠ざけることです。
<テレビの論調を疑ってみる習慣>
・ところが最近は、二分割思考や決めつけが世の中に蔓延しています。それが顕著なのはテレビでしょう。
<思秋期に身につけるべき3つの思考スタイル>
・それが「そうかもしれない思考」「あれもこれも思考」「やってみないとわからない思考」です。
<魅力的であろうと目指す時期>
・前頭葉が縮んでくると、どんなに知的レベルが高くても、基本的につまらない人間になってしまいます。
<実践編 思秋期には何を食べるのがいいの ⁉>
<低栄養では長生きできない>
・ほとんどの日本人は、「やせれば健康になる」ということを常識として信じています。しかし、これは明らかに誤りです。
<肉とともに抗酸化物質の豊富な食品を>
・「肉より野菜が身体にいい」という常識も、年齢に関係なく広く信じられています。
<色の濃い野菜と肉・卵を欠かさない>
・赤・緑・黄色など、色の濃い野菜には、抗酸化物質が豊富に含まれています。
<赤ワインはポリフェノールが豊富>
・アルコールを飲むなら、ビールより赤ワインがお勧めです。
<脂肪は大切な栄養素>
・もしかすると「脂肪はダイエットの敵!」と信じてはいないでしょうか?
<オリーブオイルは細胞の炎症を抑える>
・「脂肪はダメだが植物性の油がいい」などと言われていますが、そう単純なものではありません。
<動物性脂肪は本当に悪いのか?>
・飽和脂肪酸は悪い脂肪なのかと思われたかもしれませんが、単純にそうだとは言い切れません。
<バランスを考えた食習慣とはどういうことか>
・大切なのは、やみくもに脂肪を避けるのではなく、日頃からバランスを考えることです。
・私の勧める「ショーシャ式」では、「食べるときはいつもタンパク質が先」です。
<臓器の活動リズムに合った食事を>
・臓器にはそれぞれに活動している時間帯と休んでいる時間帯があります。
<女性ホルモン・男性ホルモンを活性化する食品>
・毎日の食事はホルモンの分泌にも大きな影響を与えます。
<抗酸化作用の高いサプリメントを摂ろう>
・日頃から抗酸化作用のある食べ物を摂っていると、老化のスピ―ドを遅らせることができます。
<思秋期に試したいサプリメントもある>
・私が最近、思秋期のサプリメントとして注目しているのが「カンカ」です。
<実践編 思秋期を賢く乗り切る 運動・生活習慣から最新医療まで>
<生活習慣でセロトニンを増やす>
・セロトニンは必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンから作られるので、これが多く含まれる肉や卵などを、朝食できちんと摂っていることが前提となります。
<過度の有酸素運動はかえって害になる>
・忘れてはいけないのは「身体をいたわりつつ、適度に行う」というところ。
<思秋期にうってつけの太極拳>
・最近、呼吸のコントロールが大事な要素になっている運動に出合いました。中国武術が源流の健康法、太極拳です。
<「がまん」や「頑張り過ぎ」は老化を促進する>
・たしかに運動は必要ですが、健康のためには「やり過ぎない」ことがもっとも大切です。
<性生活の復活を図るチャンス>
・話は一転しますが、思秋期は体内のホルモン環境の変転期なので、男女ともに更年期障害に悩む人も出てきます。
<性をタブー視すると老化が進む>
・性にまつわるタブーにとらわれて、あまりに潔癖になったり、恥ずかしがったりしているのは「常識」に絡め取られているからでしょう。
<常識にとらわれるのはやめよう>
・私がこの本で言いたいのは、思秋期はもっと自由な生き方や考え方をした方がいい、ということです。もっとチャレンジングになった方がいい。
<新しいチャレンジを意識して実行する>
・何が言いたいかというと、過去の経験や、他人から言われた“常識”を信じ込んでいてはいけない、ということです。
<予防医学を軽視する日本の医療>
・日本の医療制度の問題点は、病気の治療にばかり重点が置かれ、予防医学を軽視しているところです。
<遺伝子よりも腸内細菌の影響が大きい>
・なかでも私が注目しているのは「腸内フローラ移植」です。
<内臓から若返る「腸内フローラ移植」>
・もっと積極的に、それぞれの人の状態と目的に合わせて、腸内細菌を直接腸に植え付けようという手法が「腸内フローラ移植」です。
<脳の老化に直接アプローチする最新医療「TMS治療」>
・こちらも最新医療として、私が思秋期の方にお勧めしたいのが、「磁気刺激治療(TMS)」です。
<認知症予防に希望の光となる画期的なメソッド>
・思秋期になると気になるのが、認知症だという方も多いかもしれません。実際、65歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は推計15%で、2012年度は約462万人に上ることがわかっています。
(2025/2/21)
『人生100年時代を豊かに生きる』
樋口恵子 坂東眞理子 ビジネス社 2023/12/15
<はじめに>
・日本の高齢化率は29.1%、国民の約3人に1人が65歳以上です。
オリンピックの種目に「高齢化」があるとしたら、これで堂々金メダル獲得。私たちは全人類の先陣をきって人生100年時代に乗り出しました。
・50年も生きられなかった明治時代の人と比べたら、いただいた時間は2倍もあります。どうせ長生きするなら、幸せの時間も2倍にするぞの意気込みでのぞもうではありませんか。
<どっこい人生対談① 老いは個性的 >
・100歳まで生きるとしたら、あなたはあと何年?
<年を取るのはやっかいだけど>
・年を取るというのはやっかいなものです。今日は杖を置いてきちゃったんですけれど、老眼鏡を忘れてえらいめにあったこともございます。
・たとえば、私は今91歳ですが、生き残っている同級生や同世代の友人を見ますと、本当にさまざまです。
<ピンピンとコロリの間には、ヨタヘロ期がある>
・立ち上がるたびに、いちいちヨッコラショ。買い物に行くのも、もうシンドイ。痛いところだらけで、何をするのもヨタヨタヘロヘロのヨタヘロ期。この期間をどう過ごすかで、老いの幸福度に差が出るのです。
<人生の約10分の1はヨタヘロ期>
・ヨタヘロ期がいつやってくるかは、人それぞれ。一つ目安になるのは、「平均寿命」と「健康寿命」の間です。健康寿命は、厚労省がいうところの自立した生活を送れる期間です。2023年に発表された「平均寿命」は、女性87.09歳、男性81.05歳。「健康寿命」は、女性75.38歳、男性は72.68歳(2019年発表)。その差は、女性で約12年、男性で約8年もありますから長いです。人生100年とすれば、約10分の1をヨタヘロして過ごすことになります。
<えー、89歳でもがんになるの ⁉>
・89歳のある日、左乳房にしこりのようなものを発見しました。
・私の歯といえば、唯一自慢の歯でございます。「8020(ハチマルニイマル)」、つまり「80歳になっても20本は自分の歯を持とう」という運動がありますが、私、それは見事にクリア。
・つくづく思いましたのは、病気もまた個性的だということです。病名は同じでも、手当の処方はこちらの年齢によってみな違う。年を取るほど何が起こるかわかりません。ですから、主治医といいましょうか、しっかりと相談にのってくれるお医者さんがいると心強いです。
・そして、心配なことがあったら、とにかく早めに診てもらうのが大事。
<病気を詠んでみました>
・「90歳 しなびた乳房も がん宿る」
治療の負担を少なくするためにも早期発見が大事です。
<何歳になっても「死にたくない!」>
・不甲斐ないことですが、がんと診断されたとき、やはりショックでした。目にはうっすら涙さえ浮かびました。当時の私は89歳。
<全身からあふれ出る感謝の心>
・ところが、人間には二面性があります。「死にたくないー!」とみっともなくゴネるのが一方のヒグチさんなら、もう一方のヒグチさんもいます。
・自分に命を授けてくれたのは両親です。しかし、それだけではない。形はどうあれ、私たちは家族や友人など、いろいろな人の命をいただいて今生きています。
・高齢化するということは非常にむずかしく、毎日あえぎあえぎでございます。
<どっこい人生対談② 70代はゴールデンエイジ>
・70代は気力もやる気も十分。余生なんてまだまだ早い!私は今でも自転車をこいで、スニーカー通勤しています。
<老いのトップランナーに続け!>
・91歳の樋口さんのお話でした。ご自身は老いのトップランナーを自認されておられますが、変わらずお元気です。
・そして、樋口さんのなさったことでいちばん社会を変えたのは、やはり介護保険制度の後押しではないでしょうか。
<介護保険は時代とともに進化させていかなくちゃ!>
・介護保険制度は、時代とともに育てていくもの。まだまだ進化が必要です。
<70代こそ働き盛り>
・さて、私も70代になって、自分より年上の人が少なくなりました。
・そんなとき私を勇気づけてくれるのが、やはり樋口さんの存在です。「70代なんてまだまだ若い! 振り返ってみれば、私の70代はいちばんの働き盛りでした」
<パパチャリで、孫の送り迎え>
・坂東:自転車は私の足です。若い頃は娘を乗せて保育園の送迎や買い物で走り回っていました。
<まだまだ男女格差が大きい日本>
・イランは2023年の「ジェンダーギャップ指数」で見ますと、146ヵ国中143位の国です。
・では日本は? といえば、146ヵ国中なんと125位。残念ながら、イランと五十歩百歩です。
ジェンダーギャップ指数は、政治、経済、教育、健康の4つの分野で評価するものですが、日本の場合、健康と教育の分野ではそれほど男女差はないんです。
・ところが、政治となると、衆議院の女性議員比率は1割しかなく、過去に女性の首相は1人もいません。経済面でも賃金格差や女性管理職が極端に少ないなど、ギャップは深刻です。
・また、イラン滞在中は、女性のヒジャブのことも話題にのぼりました。
・イランに比べたら、日本の女性はたいへん恵まれた自由な環境にあります。それを十分活用できているだろうかと考え込んでしまいました。
<女性目線に欠ける自治体の施策>
・本当、日本の男女平等は遅れています。
・日本のジェンダー問題の夜明けは遠い! 私もまだまだボケてなんかいられません。
<次の世代の女性たちに羅針盤を!>
・私は樋口さんよりも半世代若いですが、同じ大学(東京大学)の卒業生です。
・まだ男女雇用機会均等法など影も形もなかった時代ですから、就職には苦労しました。高度経済成長まっただ中で、男子学生は民間企業から引っ張りだこ。
・意欲ある優秀な女性たちが、仕事に就けない。就職したとしても、子どもを産んだら辞めざるを得ない。同世代のたくさんの女性たちが、志なかばで社会の片隅に追いやられてしまいました。その死屍累々のなか、私はなんとか生き延びたわけです。
・女性にとって不遇の時代になんとか仕事を続けてこられた私もまた同じ思いです。私世代の女性の無念を、次の世代の女性たちに味わってほしくありません。
<時代は確実に変わっている>
・ただ、うちの昭和女子大学の学生たちの間でも「子どもを産んでも仕事を続けたい」「定年まで働きます」という考え方が当たり前になりつつあります。
・政府も上場企業に対して、2030年までに女性役員の比率を30%まで上げなさいという目標を提示しています。
<上のポストに就くメリット>
・昇進はデメリットより、メリットのほうが大きいんですよ。
<みんなで集える「じじばば食堂」をつくりたい>
・そこで思いついたアイディアが、「子ども食堂」ならぬ「じじばば食堂」です。
<積極的に出かけましょう>
・牛乳1本でも毎日歩いて商店街やスーパーに行くのがいいですよ。
・要支援・要介護の人なら、デイサービスに行くのも大事な「今日、用」「今日、行く」です。
<「老いの呪い」にかからないで>
・バブルの頃、「女性とクリスマスケーキは同じ」という言葉が流行ったのを覚えていらっしゃいますか?ケーキも女性も25日、25歳を過ぎて売れ残ると、価値がなくなるという意味です。嫁き遅れ、嫁かず後家、オールドミスなど、まあ、さんざんな言われようで、ひどい話です。1980年代のことなのに、「女は嫁にいくのが当たり前」という封建時代のような固定観念が残っていたんですね。
こういう偏見や無意識の思い込みのことを「アンコンシャス・バイアス」といいます。
・アンコンシャス・バイアスのいちばんの問題点は、周りから押しつけられるというより、いつの間にか本人が「そうなんだ」と信じ込んでしまうこと。
<転んでも立ち上がる>
・私たち一人ひとりがこれからどう生きるか、その積み重ねが時代を変えるパワーになります!
<語り合える友をつくろう>
樋口:私が今あるのも、多くの友人や仲間、これまで出会ってきた人たちのおかげです。
樋口:人生の価値とは何だったかと振り返ると、やはり女友だちの存在が大きかったと思います。
坂東:高齢者の単身世帯や夫婦2人暮らしが増えています。なかでも女性は平均寿命が男性より約6年長く、夫が年長のカップルが多いので、おひとりさまの期間が長くなる可能性が高いです。
<幸せを運んでくれる「食(しょく)」・「触(しょく)」・「職(しょく)」>
樋口:週に一度、宅配弁当をとっています。
・ですからね、やっぱり誰かと一緒に食べるって大切なんですよ。坂東さんがお話してくださった「じじばば食堂」は切実に必要です。
私のヨタヘロ期。スタスタとはいきませんが、歩けと言われれば歩けます。杖をつけばもっと歩けます。
樋口:私はヨタヘロ期を明るく楽しく過ごすコツは、「食(しょく)」・「触(しょく)」・「職(しょく)の3つの「しょく」だと提案しています。
<「じじばば食堂」をつくりたい!>
・年を取ると、そんなに遠くまで歩けない。少子化で地域の小学校の教室があまっているでしょ。「じじばば食堂」」は、そんな場所を利用できるといいですね。
<「微助っ人(ビスケット)」のすすめ>
・「男の場合、正面切ってボランティア・グループの仲間入りするのは、腰が引けるもの。でも、男だって時間をもてあましている人がいるし、善意もある。ささやかでも何かしたいんですよ」
・ところが自分自身がヨタヘロ期に突入して、思い出しました。今こそ、微助っ人だ!と。
・足腰は衰えても、手は動く人がいます。おしゃべりする口はもっと動く人がいます。みなそれぞれ何かできるのです。小さなことでいい。できることをしましょうよ。それが私たちの生きる力になるのです。
・「老いたれど我もなりたし微助っ人」
<何歳になっても働ける>
樋口:私、坂東さんのご著書を拝読して共感するところがいっぱいあるのですが、なかでも坂東さんが終始一貫提案し続けているテーマに常々感心しております。そのテーマとは「働け!」であります。
坂東:あらためて「働け!」と言われるまでもなく、女性はいつも働いてきました。家事の仕事、子育ての仕事、介護の仕事。ただ、昔の女性は、こうした重要な仕事をしているにもかかわらず、自分の名前で報酬を得ることができませんでした。そうした歴史が、私たち女性が社会と切り離されてきた要因だと思います。
・今は、女性もようやく社会のなかで仕事をして報酬を得るのが当たり前の世の中になりつつあり、これはうれしいことです。ただ、同じ女性でも高齢になると、再び社会から追いやられてしまう。これが現代の問題です。
・チャップリンは自身の映画『ライムライト』のなかで、人生に必要なことは「愛と希望とサムマネー」と言いました。
・女性がそうした道をたどってきたように、これからは、高齢者が働くことが当たり前の社会になるのが理想です。
・「今日は残りの人生でいちばん若い」
<一人ひとりの生き方が世の中を変える!>
「樋口さん、そりゃ日本はひどいと思うわよ。だけど、50年単位で考えましょうよ。今すぐは無理でも、未来は必ず変わるから」と。
・老いの問題も同じじゃないでしょうか。日本は、世界に先駆けて超長寿社会という未知の世界に足を踏み入れたばかり。私たち全員が老いの初心者です。
・女性の問題では「世の中、なかなか変わらないな」と無力感をおぼえたこともありました。でも、ふと気づくと、女性を取り巻く環境は、この5年、10年で確かに変化しているんですね。
・秋山先生は「50年もたてば、女性の生き方も変わる」とおっしゃっていたけれど、50年後の高齢者の生き方ってどうなっているでしょう。その頃この世にいられないのが残念ね(笑)。
<日本女性の地位向上は、まだまだこれから>
・年齢は坂東さんが77歳、私がただいま91歳。
・日本の女性の地位の国際的立ち遅れはすべて、「女性の就労改革」の立ち遅れが原因しています。その理由などを、私も当時の委員も自分の経験や各種統計を踏まえながら心血込めて書き上げました。
まとめ役(行政側)はもちろん坂東眞理子さん。今、世界における日本女性の地位は125位の低さとか。
<昨日できたことが、今日できない>
・ペットボトルが開けられない、コンビニの店員さんの言葉が聞き取りにくい。老いのサインは、ある日突然やってきます。
<老いは思いがけないことの連続>
・このように、昨日までできていたことが、ある日突然できなくなる日がやってくる。それがヨタヘロのはじまりです。
・今、ヨタヘロ歩くこの9分の道のりは、はるか遠い旅路のように思えます。91歳の身には、たった4分の差が、とてつもなく大きいのです。
<「決して転びません」と心に誓う>
・私の勝手な決め方では、ヨタヘロ期とは平均寿命から健康寿命を引いた年月のことをいいます。健康未満・要介護以前といったらいいでしょうか。ヘルパーさんに来てもらう必要はないけれど、日常生活はちょっとたいへん。そんな期間のことで、計算すると、男性が約8年間、女性が約12年間になります。
・介護保険の利用理由を見ると納得です。男性の場合、要介護になる人の過半数が、脳出血や心臓病などの後遺症。女性は、転倒、骨折、骨粗鬆症(こっそしょうしょう)です。
つまり、男性のほうが死につながる病にかかりやすく、ヨタヘロする前にあの世へいってしまわれる方が多いということです。
一方、女性は、骨折くらいじゃ死なないものの、寝たきりや、不自由な時期が長引いてしまいます。健康寿命を少しでも先延ばしするためには、私たち女性は、まずは骨折しないように気をつけなきゃなりません。
骨折防止のための必要かつ最大の策は、とにかく転ばないことです。と、えらそうに言っておりますが、実は私、よく転びます。
・50代~60代といえば、まだ若い。でも、その頃から油断は禁物です。
・ところが、さらに年を重ねると、やってくるのが理由なき転倒です。「90歳くらいになると、ただ立っているだけで、ふわーっと転ぶことがあるんですよ」
・しかしながら、ついに私もそれがわかる年頃になってしまいました。あるとき、玄関に立っていたら、本当にふわーっと倒れたのです。
・「けつまづいて倒れるのが70代。立っているだけで倒れるのが90代」
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