それ以上に思秋期に注意が必要なのはうつ病です。実際、40歳以降は、うつ病にかかる人が増加します。(6)
高いものほど効果が大きい?それ、ほんま?健康、幸せはお金ではなく、自分の心次第。
<「骨折=手術」とは限らない。骨折しても歩くことを忘れるな!>
・高齢の人がそのまま3、4週間も入院していたら、本当の寝たきりになってしまいます。
なぜなら、特にお年寄りの場合、ずーっと寝たままの生活を続けていると、どんどん骨密度が下がっていくから、たとえば、1週間寝たままの生活を続けたら、まず、「踵骨」という、かかとの骨がスカスカになっていきます。それから、腰椎、脊椎、大腿骨などの骨密度も低下します。
・私が在宅や介護施設で診ているおじいちゃん、おばあちゃんたちもよく転んでしまいますが、入院することのほうが少ないのです。というよりも、基本的には高齢者の骨折で入院は必要ないと思っています。なぜなら、骨は勝手にくっつくから。いくつになっても、生きている限り、骨は自然にくっつきます。
・とにもかくにも、在宅医療の経験から、高齢者は「骨折=入院、手術」ではなく、「痛みが取れ次第、歩く」というのが原則です。自然に骨もくっつきますし、何より、病室で過ごすよりも、そのまま家や施設で過ごすほうが、1カ月後、2カ月後の状態がいいのです。歩き方も認知機能も、入院しないほうがいい。
<骨盤が折れても、翌日には植木に水やり>
・転倒・骨折を防ぐために、まずは日頃から歩くことが大事ですが、どんなに転ばないように気をつけても、転倒・骨折のリスクをゼロにすることはできません。どうしても骨折してしまうことはあるものです。骨折してしまったら、痛みだけ座薬や飲み薬でしっかり取ってもらって、早くから歩きはじめること。そうして骨粗しょう症が進まないようにして、次の骨折を防ぐことが大事です。
このことは、まだほとんどの医者は知りません。骨は自然にくっつくということをすっかり忘れています。なぜなら、多くの医者は、病室で寝ている患者さんしか診ていないから。
「骨折=入院・手術」は、過去の常識。骨は勝手にくっつくもの。骨折で安静にしていたら、歩けない体がつくられる。在宅の常識は、「痛みが取れ次第、歩行」。
<健康になる歩き方>
・普通に立っているつもりだが、立てていない人は多い。丹田・肩甲骨・骨盤の3点チェックでスッと立とう
・骨盤はゆがむもの。でも、歩ける。クッと前進させて矯正を。
・だけでなく全身で歩こう。ポイントは、肘を後ろに引くこと。肘を引けば、肩甲骨が動き、上半身の筋肉を使える。
<“脊椎ストレッチウォーキング”のススメ>
・正しい歩き方はストレッチになる。下腹を引き締め、上から糸で引っ張られているように背筋を伸ばし、胸を張り、モデルさんになりきろう。
<川柳ウォーキングのススメ>
・ただ歩くだけではもったいない。古今東西、重大な発見は歩きながら生まれていた。歩きながら考えると、次から次に素晴らしい川柳が湧いてくる。
<自分に合った靴を選ぶ3つのヒント>
・ウォーキングシューズ選びの一番のポイントは「歩きたい!」という気持ちにさせてくれるもの。お洒落のための靴と、歩くための靴は別。
<自転車ではダメか? ジョギングでもダメか?>
・大事なのは、重力という負荷を体にかけること。歩くと、重力が足の骨、筋肉にかかります。一方、自転車ではあまりかかりません。また、歩くことは全身運動ですが、自転車だと下半身の運動が主になります。
ですから、やっぱり歩くことと自転車はまったく違う。患者さんに聞かれたときには「自転車を否定するわけではないけれど、歩くことに勝るものはないよ」と答えています。
・走ることも、歩くこととはまったく違います。普段、走り慣れている人なら話は別ですが、日頃ほとんど体を動かしていない人がいきなり走るのは絶対にやめたほうがいい。
まず、歩くのと走るのでは何が違うかというと、歩いている間はどちらかの足が必ず地面についています。一方、走るときには、両足が地面から離れて宙に浮く瞬間があります。そして、着地するときに、片脚に体重の約3倍の負荷がかかるのです。ジョギングで膝を痛めやすいのはこのため。
・ウォーキング中に倒れるリスクとランニング中に倒れるリスクを比べれば、けた違いに後者が高い。体力のある人が歩いているだけでは物足りなくなってきて、少し走るというなら良いと思いますが、歩いてもいない人がいきなり走ることだけはやめてください。
<歩くことの延長は、走るより、踊る>
・もし歩くだけでは物足りなくなってきたなら、私のおすすめは、走ることよりも、踊ること。ダンスです。歩くことの延長は、ダンスなんじゃないかと思っています。
<セロトニン顔をめざそう!>
・繰り返しになりますが、歩くとセロトニンという幸せホルモンがどんどん分泌されます。だから、普段からよく歩いている人は、「セロトニン顔」とでも言うのでしょうか、独特な満たされたお顔をされています。
ただ歩くだけで幸せ、ご機嫌に。いくつになっても前向きで若々しい人はたくさん歩いている。
<歩くと頭が劇的に良くなる二つの理由>
・歩くと頭が劇的に良くなる。それは、間接的なものと直接的なもの、二つの理由があります。
まず、脳が衰える一番の原因は、脳に届く酸素の量が減ることだそうです。呼吸によって体内に摂り入れた酸素は、血液の流れにのって、脳をはじめとした全身に運ばれます。
そのときに、一つには酸素を体に摂り入れる力を高めること、もう一つは血液を良くすることで、脳に届く酸素が増えます。
・歩く習慣のある人は、酸素を摂り入れる力も鍛えられるため、脳に行き届く酸素も増え、脳の衰えを緩やかにすることができるのです。
一方、血流はというと、歩くことで良くなります。
・特に、「第二の心臓」といわれるふくらはぎの筋肉は、収縮することでポンプのような役割をして、血液の循環を良くしてくれます。歩くと、ふくらはぎを使うことになるので、足から心臓に血液を押し戻すのを手伝ってくれて、血流が良くなるのです。
・二つ目は、もう少し直接的な理由です。手や足、目や耳といった体は、得た情報を脳に伝え、脳の指令を受けて動く、脳の出先機関です。ですから、脳の出先機関を動かすということは、脳を直接刺激しているようなもの。手や足を動かすということは、脳を使っていることとイコールなのです。
歩けば血流が良くなり、脳内の酸素も増える。だから、頭の回転が速くなる。歩けば、脳が刺激され、神経細胞が増えてネットワークも活性化する。だから頭が良くなる。
<うまく歩くと寿命が確実に延びる>
・今、先進国では平均寿命が1日5時間ずつ伸び続けているといわれています。なかには、30年後の2045年には平均寿命が100歳に達すると予測する研究者もいるほどです。どこまで現実になるかはわかりませんが、現状、平均寿命が延びているということは確かです。
・思えば、戦後、1950年頃の日本人の平均寿命は男女ともに50歳程度でした。それを考えると、今、平均寿命が80歳を超えているということ自体、すごい伸び率ですよね。
それだけ平均寿命が延びている今だからこそ、「長く生きる」ことはもちろん、「健康のまま長く生きる」という健康寿命の考え方がとても重要視されるようになってきています。
うまく歩けば臓器が若返り、寿命が延びる。健康寿命とは、最後までピンピン歩くこと。他人様のお世話になりたくないなら、毎日歩こう。
『食べない健康法』
石原結實 PHP文庫 2012/1/7
<「食べない」とこんなに健康になれる!>
◎少食により寿命が延び、老化予防の効果がある。
◎少食はガンのリスクを減らす。
◎少食は免疫力を向上させる。
◎少食により頭脳が明晰になる。
◎少食により大・小便の排泄がよくなる。
◎少食により体のだるさがとれる。
◎少食により性欲が強くなる。
◎少食によりストレスに強くなる。
◎少食により運命が開ける。
<少食こそが健康の一番のクスリ>
・最近、メタボリック・シンドロームという言葉をよく耳にするようになった。内臓脂肪症候群と訳してあるが、正確な訳ではない。代謝症候群なのだから 代謝(異常)症候群と訳すべきだ。
・よく見るまでもなく、メタボリック・シンドロームには「高」脂血症。「高」血糖=糖尿病、「高」塩分血症=「高」血圧、「高」体重のごとく、すべて「高」がついている病気ばかりであり、「栄養過剰病」つまり「食べすぎ病」と言うことができる。
食べすぎると、体内に余分な脂肪や糖分が増え、こうしたメタボリック・シンドロームの症状が起きてくるが、他にもいろいろな病気の誘因や原因になる。
「腹八分に病なし、腹十二分に医者足らず」という諺があるように、食べすぎは、ありとあらゆる病気の罹患を増やし、いくら医師が増えても、対処しきれない状態を招く。
約30年前に13万人余だった日本の医師数は今や28万人と倍増したのに、病医院は患者で溢れ、年間に33兆円の医療費を費消しながらも、一向に、病気や病人が減る気配がない。それは、我々日本人が食べすぎ=腹十二分の状態であるからだ。
・「免疫」という言葉が、最近よく使われるようになった。文字通り、「疫=病気」を免れるために、体に備わった能力のことである。簡単に言えば、我々の体の血液の中を勝手に泳ぎ回っている「白血球」というアメーバ様の単細胞生物の力のことを言う。
「白血球」は、30憶年前に、地球上に出現した始原生命そのものではないか、とされている。
我々が、お腹一杯に飲食すると、食物中の栄養素が胃腸から血液に吸収されて、血液中の栄養状態もよくなる。すると、それを食べた白血球も満腹になり、外からバイ菌やアレルギンが侵入してきても、体内でガン細胞が発生しても、食べようとしない。つまり、「免疫力」は落ちるのである。
逆に、我々が空腹の時は、血液中の栄養状態も低下し、白血球も充分に栄養を摂れず空腹になるので、バイ菌やアレルゲン、ガン細胞を貪食、処理する能力が高まる。つまり、免疫力は増強するのである。
我々人間も、動物も、病気をすると、食欲がなくなるのは、白血球の力を強めて、病気を治そうとする反応に他ならない。
よって、日頃、腹八分に食べて、少し空腹を感じるくらいの水準で過ごすと病気にならないし、逆に、腹一杯食べて、腹十二分の状態になるとありとあらゆる病気にかかりやすくなるわけだ。
・直訳すれば「人は食べる量の4分の1で生きている。他の4分の3は、医者の糧になっている」つまり、「食べすぎるから、病気になる」ということを、強烈な皮肉をこめた言葉で、我々に教えてくれているのである。
・本著は『「食べない」健康法』、つまり、少食について書いた本である。それも、「1日2食」あるいは「1日1食」という“超少食”による健康法を説いている。
「1日1食」というと、「それでは体がもたない」と驚かれる読者も多くいらっしゃるに違いない。しかし、本文にも記したとおり、私自身、長年、「1日1食」の生活を続けていて、なんの支障もない。支障がないどころか、少食のお陰で、すこぶる健康で忙しい日々を過ごしている。忙しければ忙しいほど、口にする食べ物を減らしているぐらいである。その方が体の調子が良くなるからである。
私の指導で「1日1食」あるいは「2食」を続けている方がたくさんいらっしゃる。
<医師やプロボクサーが実際にやってる1日1食の健康生活>
・この連載の10回目に登場されたのが、都内の某有名私立大学医学部の心臓血管外科のA教授(51歳)である。そのコラムの内容を要約して記してみよう。
「50歳近くになった時に健康診断で、種々の数値が“要注意域”になっていたA教授であるが、2006年4月の学会で、仲間の医師の1人が、小太りだったのに、突然、スリムになっていたので、その理由を尋ねたところ、“病気をしたので、弱った体を回復させるために、夕食しか食べない”という1日1食の食事療法をしたところ、体力が回復し、やせたという話を聞いた。よって、A教授も早速やってみよう、ということで、朝、昼は、ヨーグルトや低カロリー・スープだけを食べ(合計300キロカロリーくらい)、夕食で1500キロカロリーと、1日1800キロカロリー以内の食事量に抑えたところ、168㎝、76㎏が5ヶ月目に67㎏になり、“若返って手術(するの)が楽になった”と感じている)というものだ。
・やはり、都内の某有名私立医大の脳神経センター講師のS医学博士(48歳)である。そのインタビュー内容も要約しよう。「170㎝、70㎏と肥満の入り口にいたS先生は、今や55~56㎏と学生時代の体重と同じになり、体が楽になられた由。やせたキッカケは、たまたま忙しくて、ご飯を食べる時間がとれなかったのが重なり、結局は、1日1回昼だけ食べるようになったとのこと。しかも、最近は、2日に1回くらいしか食べていない気がするとのことで、時に、3日に1回ということもある由。食べないでいるから、胃が縮んでしまったのか食欲もわかない。今では、体もスカスカになったが、走っても息が切れず、集中力もあり、すこぶる快調とのこと。
<人気医師がやっている健康日課 イシハラクリニック 石原結實院長 58歳 >
<各界著名人のファンも多い独自の食事療法提唱>
・学生時代、パワーリフティングをやっていて九州の大会で優勝したことがあります。リフティングはずっと続けていて、今でも100キロのベンチプレスを持ち上げます。
・なぜ筋肉を鍛えるかって?筋肉を鍛えることは、体のあらゆる部分の健康を効率良く維持してくれるからです。
筋肉は、男性で45%、女性で36%と、人間の体重の4割前後を占めています。さらに、筋肉の75%以上が下半身についています。ですから、下半身の運動をするのが最も効率が良いのです。
また、筋肉を動かすと体温が上がります。体温が1度上がると免疫力が5倍になります。一方、体温が1度下がると免疫力が30数%下がります。
・他にもいいことはたくさんあります。筋肉を動かすと血管が拡張したり、収縮します。これにより心臓の働きが助けられて、循環器、高血圧、心臓系の疾病の予防になります。筋肉を動かすと骨も強化されるので、骨粗しょう症の予防になります。
さらに、筋肉の細胞から男性ホルモンが分泌されるから、自信が出てきてうつ病にも効果的です。その上、脳の血流が活発になって記憶中枢をつかさどる海馬を刺激し、認知症の予防にもなるのです。
・食事は、朝食は人参ジュース2杯と生姜紅茶1杯、昼食も生姜だけです。夕食は、たこ刺しを食べながらビールを飲んで、ご飯にみそ汁、納豆、明太子、イカの炒め物などを食べる。毎日これだけ。肉も魚も牛乳もとりませんけれど、こんなに元気。全身筋肉質でゼイ肉はありません。90歳までこの生活を続けるつもりです。
(=『日刊ゲンダイ』2006年10月6日掲載)
・WBCバンタム級元王者の辰吉丈一郎氏(37歳)の記事が載っていた。その中に「……“毎朝40分のロードワークをする”が、食事は“10年くらい1日1食”……」という件があった。体重は56㎏だそうだ。
このように、時には10時間以上に及ぶ長時間の手術を余儀なくされ、研究や部下や学生の指導に大忙しの、医大の教授や講師の先生、それに、激しい運動を強いられるボクサーが「1日1食」で、すこぶる健康で活躍されているのだから、我々人間は1日1食で十分に、元気に活動できるということの証左である。
・人類500万年の歴史のうち99万9900年以上は、飢餓の中で暮らしてきたのであるから、「空腹」の中で健康を保つ術は、体内に備っているが、食べすぎた場合、糖や脂肪、タンパク質などの栄養素をどう処理してよいかわからず、高血糖(糖尿病)、高脂血症(脂肪肝、動脈硬化)、高尿酸血症(痛風)、肥満等々、あらゆる栄養過剰病にかかっている、と言ってもよいだろう。
・四国の釜池豊秋医師のところで先に受診されたD氏は、「かまいけ式」という食事療法で、毎日36単位のインスリン注射を必要としていた「糖尿病」が、たった数ヶ月で、インスリン注射も必要なくなり、糖尿病も完治したと、私のクリニック受信時に、種々データを揃えて、説明された。
・昭和20年代に、日本には数百人しかいなかった糖尿病患者が、今や予備軍も含めて1620万人も存在する。軽い糖尿病なら、「1日2食の石原式基本食」で治るし、中等度以上の糖尿病でも、「1日2食の基本食」で少食の期間を過ごし、慣れた上で、さらに昼を人参・リンゴジュースや生姜紅茶にし、夕食のみ食べるという「1日1食」にすれば、必ず改善する、というのが、私の持論だ。
だから、D氏の実体験例を目のあたりにしても、別に驚きはしなかったし、むしろ、「我が意を得たり」ととても嬉しくなった「糖尿病の薬の服用やインスリンの注射を続けている時は、「1日1~3食」の断食は絶対しないこと! 食べないで、経口糖尿病薬を服用したり、インスリン注射したりすると、低血糖発作を起こし、取り返しのつかない事態に陥る可能性があるので」。
・愛媛県宇和島市でご開業の釜池豊秋先生は、京都大学医学部のご出身で60歳。もともと整形外科医であられたが、様々のご体験の後、独自の食事療法を確立された由。「かまいけ式」食事療法とは、朝食、昼食抜きの「1日1食」で、夕食は、できるだけ糖質を摂らないで、肉類と緑色野菜中心の食事療法(脂質とタンパク質の制限はない)のことである。1999年から、糖尿病の他、肥満や老化防止に対して、この食事療法を用い、多大な実績を上げておられる、という。
<食事と運動により3ヶ月で糖尿病を克服!>
<数々の病気が「1日1食」食事法で回復!>
<断食で出た大量の大便と小便>
・ひょっとしたら、食べないほうが体によいのかも? と思っている時、母は石原先生の著書『石原式 朝だけにんじんジュースダイエット』を買ってきてくれました。早速読むと、“断食”こそ、病気を治し、健康を増進する方法と書いてあるではありませんか。それ以後、朝には気分により、人参・リンゴジュースを飲んだり、生姜紅茶を飲むだけにし、固形食を摂らないようにしたところ、体調はよくなるわ、乳の出はよくなるわで、これまでの不調がうそのように消えてしまいました。
<現代人は食べすぎている>
<東洋医学的に「病気」とは?>
・東洋医学には、2000年も前から「万病一元、血液の汚れから生ず」という言葉がある。
血液の成分など、わかっていない時代に、現代の西洋医学的な血液の分野から見ても真理を言いあてているこの言葉には、敬服する。
<少食により大・小便の排泄がよくなる>
・人間の体の生理の鉄則として「吸収は排泄を阻害する」というのがある。
飲み、食いが多すぎると、その消化・吸収のために血液が胃腸に集まりすぎ、排泄臓器である大腸・腎臓・膀胱・汗腺……への血行が比較的悪くなり、大便、小便、汗などの排泄が低下する。
こうした排泄力の低下は、体内に余分な老廃物、余剰物、水分をため、後に述べる血液をよごし万病のもとになる。水分の排泄の低下は、即、「むくみ」や体重増加につながる。
よって、「少食」「朝だけ断食」などで、胃腸を休め、吸収に費やす力を少なくしてあげると、大小便・汗の排泄がよくなり、血液がキレイになり、健康が増進し、病気を治す力が、アップする。
<少食により体のだるさがとれる>
・不眠不休で、勉強や仕事をしている時は、結構頑張れるものだが、一段落ついて、食事をすると、ドーッと疲れが出てくることが多い。「食べていない」時は、胃腸に血液をたくさん供給する必要はなく、脳や手足の筋肉をはじめ種々の器官に血液が潤沢に回っているので、元気なのである。ところが、食べた途端に、消化のために血液が胃腸に集中するので、脳、手足、その他の器官への血行が悪くなり、疲れがドーッと出てくるのだ。
・よって1~2食抜くと、血液を胃腸へとほとんど供給しないですみ、その分、他の器官、臓器へ血液が十分に回るので、活力が出てくるのである。
・この社長さんのエピソードは、「朝食は食べるべきだ」という栄養学の一般的見解が間違っていたことを端的に示している。
<少食により頭脳が明晰になる>
・1~2食抜くと、胃腸への供給する血液が少なくてすむので、脳細胞への血流が増し、頭の回転がよくなるし、ボケの予防にもなる。
キリストやマホメッド、釈迦、孔子など聖人たちが“悟り”を開いた時に断食した理由がわかろうというものだ。
古代ギリシアの哲学者・数学者のピタゴラスは「人の病気は過食からくる。なるべく少なく食べよ。しからば、汝の体も丈夫になり、精神も立派になって、病の神も汝をどうすることもできなくなる」と言っている。
自身も黒パン、野菜、果物、ハチミツなどの粗食を1日2回食べ、長寿を全うした。ソクラテスも少食であったし、哲学者のベーコンも「僧侶や隠者が長寿なのは、少食に負うところ大である」と述べている。
・「睡眠」は昼間活動した臓器・器官や傷ついた細胞を休息させたり、修繕するために必要な行為である。とくに食べすぎた場合、胃腸はもちろん、胃腸に血液を大量に送る必要のある心臓、酸素を吸う肺、過食の結果、たくさんできる老廃物を解毒する肝臓・腎臓………などあらゆる臓器を十分に休息させる必要があるので、睡眠時間が長くなる。逆に、少食にすると、睡眠時間は短くてすむ。
<少食により性欲が強くなる>
・「バイアグラ」は血管を拡張して陰茎への血流をよくするぼっ起薬である。つまり、陰茎だけでなく、あらゆる臓器・器官の働きは、血行がよくなると活発になる。
食べすぎると、胃腸への血流が多くなり、陰茎への血流が比較的少なくなるので、中年以降では、食べすぎた時に、ぼっ起力が弱くなるという人も多いわけだ。
逆も真で、1~2食抜くと、胃腸への血流が減る分、陰茎への血流が多くなり、精力旺盛になる。もちろん、「少食」による若返り効果も相乗的に働くのだろうが……。
<少食によりストレスに強くなる>
・心身に負荷がかかると、それに対抗するために、体に種々の反応が表れることをストレスという。これは、自律神経のうち、緊張の神経といわれる交換神経が優位に働いているので、血圧上昇、脈拍増加………などの症状が表れる。これを鎮めるには、リラックスの神経とされる副交感神経を働かせばよい。それには、入浴、趣味に打ち込む、ウォーキング等々あるが、手っ取り早いのが、食べることだ。胃腸が働くと、副交感神経がよく働くからだ。よって、「ストレスのやけ食い」という現象が起こる。
しかし、もっともっと大きいストレスがかかると、食欲がなくなる。
・犬や猫を他家からもらってきても、はじめの数日は食べようとしない。
このように、野生の動物は、強いストレスがかかると「食べない」ことで、精神力を強めて、ストレスから逃れようとする。
よって、我々人間も、日頃食べすぎないことが脳幹を刺激し、精神力を高めることにつながるのである。
「断食する」は英語で「fast」である。これは、飛行機に乗った時にお目にかかる「fasten seat belt」(シートベルトをしっかり締めてください)の「fast」と同じだ。「-en」は動詞を作る語尾だから、「fast」に「強くする、堅固にする」という意味がある。究極の「少食」法が断食で、それにより心身ともしっかりするのだから、日頃少食にすると、「強く」なれるのである。
<少食により運命が開ける>
・江戸時代の観相家、水野南北は、「食を少なくすることこそが、健康長寿のみならず、富裕や立身出世をする道である」と言っている。南北がしたためた著の中の一文を紹介すると……。「それ、人、食を本とす。…………故に人の良薬は食なり。人を相するに、先ず、食の多少を聞き、是によって生涯の吉凶を弁ずるに万に一失なし。一箇年先に大難のある事を見極めしむると言えども、其の時より食を厳重に慎む者は、必ず是を免れ、返ってその年に当たり、思わず吉事来たる者多し。生涯貧窮の相ありと言えども、益々、食を慎しみ、是を用うる者は相応の福有と成って、今人に知れ、大いに用いらるる者多し。………故に富貴、貧賤、寿天、窮楽……皆、飲食の慎しみにあるべし」
<少食とガン>
・1960年代に既にドイツのガン学者・イセルス博士は、動物実験の結果、「食べたいだけの量の食物を与えられて育ったネズミは、2日おきに断食させられた動物よりも自然発生するガンが5.3倍も高い」と発表している。
米国のカリフォルニア大学・バークレー校のマーク・ヘラースタイン博士は、つい最近、「断食すると、体内の細胞に、抗ガン効果をもたらす」
「1日おきにネズミを断食させたところ、体細胞の分裂する速度が確実に減る」
「細胞分裂自体が遅くなれば、ガン発生の危険性を減らすことができる」
ことを実験で証明し、さらに「成長ホルモンやインスリン(たくさん食べると、分泌が促される)のような“細胞の成長を促すような”ホルモンは、細胞の分裂を促し、ガン細胞の増殖のプロセスに深くかかわる」と述べている。
つまり、今、日本人の死因の断トツ1位に居座りつづけているガンは、「食べすぎ病」と断言してよく、少食にすれば、その予防や再発の予防が可能であることをこの実験は示唆している。
・日本でも1998年、大阪府立大学農学部の中野長久教授らが、マウスの実験で「少食」が、ガンを抑制することを証明している。
同教授らは、150匹のマウスを50匹ずつ、
1. 食事制限なし
2. 食事を80%程度に制限する
3. 食事を60%程度に制限する
の3つのグループに分けて飼育した。
5週目にすべてのマウスの腹部にガン細胞を注入して、毎週ガンの進行状態を調べた。その結果、(1)(2)のグループは、ガン細胞注入後2~3週間で、腹部に、平均約11gの腫瘍ができ、4週目には、ほとんどのマウスが死亡した。
(3)の「腹六分」のマウスは、ガン細胞注入後2~3週間で、腫瘍の大きさは平均7gと、(1)(2)のグループの腫瘍の3分の2程度と小さく、しかも、ほとんどのマウスが7週間目まで生存した。
また、「腹六分」のマウスは、(1)の「飽食」マウスに比べて、免疫力に重要な役割を果たすインターフェロンの量が2倍もあり、免疫細胞のT細胞(リンパ球の一種)の量も約2倍もあったという。
・1985年、ニューヨークのマウントサイナイ医大のグロス教授は、ある量の放射線を満腹ネズミに照射したところ100%発ガンしたのに対し、腹五分程度の空腹ネズミに同量の放射線を照射しても、わずか0.7%しか発ガンしなかったと実験結果を発表している。
・同じく米国の、エモリー大学病院のS・ハイムスフィールド博士が、平均年齢50歳で同じ程度の進行ガン患者100人を無作為に抽出して、A群の50人には病院のふつう食を、B群の50人には、特別の栄養素を存分に入れたスープを加えた高栄養食を与えたところ、A群の平均生存日数は300日、B群は75日だったという。こうした諸事実より我々人間がガンになった時に、食欲がなくなるのは、免疫力をあげて、ガンを治そう、延命しようとする反応であると考えてよい。せっかくの「食欲不振」を一般の人はもちろん、医師たちまでもが、「体力をつけるために少しでも食べよ」とガン患者に食を強制することが多いようだが、いかがなものか。
<少食と免疫力>
・米国ポートランドのオレゴン健康大学ワクチン遺伝子治療研究所のJ・ニコリク・ズーネック博士らは、「18年間、30%のカロリー制限を行ったアカゲザルは、ふつう食を与えられたアカゲザルに比べて、年をとってもT細胞のレベルが高く(免疫力が旺盛)、細胞が若く、病気になりにくい」との研究結果を発表している。
<免疫と白血球について>
・疫=病気を免れるための力を免疫力といい、血液1㎟中に4000~8000個(全血液が4~5ℓとすると、数百億個)存在する白血球が、その中心的な働きをしている。
細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入してくると、マクロファージや好中球が出動して、病原体を貪食・殺菌して処理する。しかし、自分達の手に負えないほど敵(病原体)が多かったり、その力が強い場合、マクロファージがヘルパーT細胞に、その旨を知らせる。連絡を受けたヘルパーT細胞は、B細胞に抗体(免疫グロブリン)を作るよう指示すると同時に、キラー細胞を出動させて病原体を攻撃させる。B細胞から作られた抗体は、ミサイルのごとく、病原体を進撃してやっつける。
一匹狼的なNK細胞は、ウイルスや細菌にのっとられた(感染を受けた)細胞を殺傷して消滅させると同時に、マクロファージと共に病原体を攻撃する。
また、体内にガン細胞(のような異物)が発生すると、キラーT細胞やNK細胞がガン細胞を攻撃して消滅させる。
<少食と加齢関連疾患>
・人間の体内・細胞では、無限の化学反応が行われており、その反応を助ける働きをしているのが、酵素である。
年齢とともに、活性が低下した酵素や、酸化されたタンパク質(異常タンパク質)が増加してくる。
つまり、若い時には存在しなかった異常タンパク質が、種々の細胞内に蓄積し、アルツハイマー病(脳細胞の周辺にアミロイドという異常タンパクの沈着あり)や白内障などの「加齢病」を引き起こし、種々の生体機能も低下していく。
自由摂食動物に比べ、60%(腹六分)にカロリーを抑えた「少食」動物は「脳における異常酵素は2ヶ月後に、肝臓の細胞の中の異常酵素は1ヶ月後に、それぞれ若い動物のレベルになる」ことが証明されている。
つまり、食事制限により、異常タンパク質の分解・除去が亢進し、タンパク質が“若返り”、細胞を若い頃の状態にリセットする、というわけである。
また、食事制限により、活性酵素の主な発生源とされている細胞内のミトコンドリア内での活性酵素の発生が抑えられ、酸化された異常タンパクの生成が減少することも細胞の若返りの要因である由。
米国シカゴ大学のC・M・チャイルド教授は「ある種の昆虫では、十分な食物を与えると3~4週間で生命が終わる。しかし、食物をかなり減らすか、断食を強いられた昆虫は、その活動性と若さを、少なくとも3年くらい保ち続ける」ことを発見し、「断食しているものは、まるで老年期から胎生期へ戻ったかのような若返りを見せる」と述べている。
0コメント