自分で管理できなくなる理由として多いのが「認知症」です。65歳以上の認知症の方は約600万人(2020年)と推計され2025年には約700万人と65歳以上の約5人に1人が認知症の推計。(1)

(2025/5/4)

『おひとりさま最後の片づけ』

杉之原冨士子   講談社  2023/3/30

<はじめに>

・本書が「いつも何かしなければと漠然とした不安を抱えたまま過ごす」のではなく、「準備は整った、もう大丈夫」と、残りの人生を安心して過ごすための、おひとりさま必携の書・バイブル的な存在になれば幸いです。

<おひとりさまの片づけのタイミング>

・「女性:約75歳」「男性:約72歳」この年齢は、何をあらわしているかわかりますか?正解は、そう「健康寿命」です。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。

<誰もが最期はおひとりさま>

・特に平均寿命が長い女性のほうが、最期はひとりになることが多いでしょう。

・65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向で、令和2年では男性15%、女性は22.1%と増加しており、その先も増加傾向にあります。

<50代、60代は片づけに最適なタイミング>

・だからこそ、50代、60代のライフステージが変わるときが片づけを行う大きなチャンスなのです。

<60代がなぜ最後のチャンスなのか?>

・60代は片づけを行う体力も気力も残っている、最期のチャンスと言ってもいいでしょう。

<ゴミが出せなくなると、あっという間に床は見えなくなる>

<私が出会ったおひとりさまたち>

・男性は、最後は第三者が片づけに入ることを見越して、衣類や食器は最低限のもの、重要書類はすべてわかるようにメモが貼られており、思い出の品なのか、亡くなった奥さまの着物や衣類が数点残されていました。こんなすっきりとした部屋の完璧なおひとりさまの片づけを見たのは初めてでした。

<生前整理でも、終活でもありません>

・けれども、これから行う片づけは、生前整理でも終活でもありません。

<片づけは、きっと健康寿命も延ばしてくれる>

・片づけを行うことには、大きく3つのメリットがあります。

メリット①家に人を招きたくなる。 メリット②新しいことを始めたくなる。 メリット③家の中で転んでケガをする危険性が減る。

<これからの人生を楽しむための片づけ>

・まずは「人生を楽しむための片づけ」のポイントを6つにまとめてみました。

ポイント① 片づけなくていい場所を把握する

ポイント② 何よりも「安心・安全」が大切

ポイント③ 完璧を目指さない

ポイント④ 「いる」「いらない」をわかりやすく分ける

ポイント⑤ 最後は業者に任せればいい

・相続人がいない遺産は2021年度は約647億円となり、10年前の倍近くになっているそうです。このお金はすべて国庫に入ってしまいます。

ポイント⑥暮らしに潤いや楽しみを

<Column1 写真に撮って気づく、室内の危険ポイント>

・おひとりさまの片づけでは、転んでケガをしない「安心・安全」な部屋にすることが大事だと話しました。

<おひとりさまの片づけ「やるべきこと」「やらなくていいこと」>

<おひとりさまの片づけの流れ>

(1) お金に関する整理。(2)家財の片づけ。(3)情報の整理。

<「お金に関する整理」でやるべき11のこと>

1 銀行口座の整理

2 クレジットカードの整理

3 電子マネーの整理

4 有価証券の整理

5 保険の整理

6 年金の確認

7 不動産の必要書類の整理

8 自動車の必要書類の整理

9 自動引き落とし(口座振替)の整理

10 賃貸借の整理

11 そのほかの資産の整理

<「家財(モノ)の片づけ」のスタートはどんな暮らしがしたいかを思い描くこと>

・「いつも使っている場所」から片づけをスタートすることをおすすめしていました。

<「使っている」「使っていない」を“モノサシ”に>

・「必要なモノがどこにあるかわかり、すぐに取り出せるようにする」ことが大切だとお話ししました。

<あらゆる片づけに仕える「3つのステップ」>

ステップ①分ける

ステップ②減らす

◆捨てられないモノは段ボール箱に入れて保管

ステップ③ 収納する

◆いつも使っているモノは定位置を動かさない

◆高い・低い場所に、使うモノを収納しない

◆段ボール箱に分けるのは、残された人が困らないように

<「やらなくてもいいこと」とは>

・「家財」を優先的に片づけたほうがいいのは、普段多くの時間を過ごすリビングやキッチン、寝室などです。

<「情報の整理」を進めよう 他人に見られたくないデータは削除を>

・パソコンやスマートフォンなどとは別の場所(USBメモリなど)に残しておくといいでしょう。

●パソコンの処分の仕方

●スマートフォン・携帯電話の処分の仕方

●使っていないSNSは退会を

●紙の情報も整理する(日記など)

<処分に困るモノの片づけ方>

●大型家具  ●大型家電  ●テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機・衣類乾燥機  ●個人情報が記された書類  ●ペーパーレス化で書類を減らそう  ●写真は片づけの終盤に整理

<まだまだある、処分に困るモノ>

●食用油  ●スプレー缶 ●殺虫剤 ●カセットボンベ ●ライター

●灯油  ●消化器 ●農薬  ●人形・ぬいぐるみ

<Column2 食品や日用品は「ローリングストック」がおすすめ>

・「ローリングストック」とは、古いモノから使い、使った分だけ買い足すこと。

<おひとりさまのお金の行方>

・自分で管理できなくなる理由として多いのが「認知症」です。日本で65歳以上の認知症の方は、約600万人(2020年時点)と推計され、2025年には約700万人と、65歳以上の約5人に1人が認知症になるとの推計もあります。

<認知症に備える5つの財産管理法>

<対策1「キャッシュカード」のありかと「暗証番号」を伝えておく>

→あまりおすすめできません

① 相続トラブルの原因になる ②キャッシュカードの再発行ができないことも 

<対策2 銀行の「代理人」サービスを活用する>

→取り扱っている金融機関が限られる

<対策3「家族信託」を利用する>

→士業と呼ばれる専門家に依頼しよう

<「家族信託」の3つのメリット>

① 財産を思いどおりに託すことができる ②認知症対策として利用できる

<「家族信託」の3つのデメリット>

① 身上監護のための契約はできない ②家族間のトラブルが起こることも ③信託した財産以外には効力が及ばない

<対策4 金融機関の認知症に対応した信託商品を使う>

→信託できるのは金銭のみ

<対策5 「成年後見制度」を利用する>

→元気なうちに任意後見制度を活用しよう

●法定後見制度……すでに判断能力が不十分な人の保護・支援のために家庭裁判所に申し立てを行い、支援する人を選任する制度です。

●任意後見制度……元気なうちに将来サポートしてくれる人や内容を決め、あらかじめ契約を交わしておく制度です。

<「任意後見制度」とは>

・あなたが元気なうちに、あらかじめ信頼できる人を見つけて、自分の判断能力が低下した際に、預貯金や不動産などの財産管理や、医療・介護・施設入所などの関する契約や支払いを行って欲しいと依頼し、契約を結んで引き受けてもらう制度です。財産管理などを引き受けてくれる人を「任意後見人」と言います。

<任意後見制度を利用する手順は?>

① 将来自分を支援してくれる人を選ぶ

② 支援してもらいたい内容を決める

③ 任意後見契約を結ぶ

④ 判断能力が低下したら「任意後見監督人」の選任を申し立てる

<任意後見制度のメリット・デメリット>

・任意後見制度のメリットは、自分が元気なうちに支援してくれる人を自分自身で選べること。また、財産管理や処分の方法をはじめ、受けたい医療や介護サービスについても事前に契約で決めておけるので、判断能力が低下したあとも自分の希望する生活が送れることです。

 デメリットは、法定後見制度では、本人が行った不利益な契約を取り消すことができますが、任意後見制度ではこの取消権は認められていません。

<任意後見制度と法定後見制度の違いとは?>

・「法定後見制度」とは、すでに判断能力が低下して不十分になった際に、利用する制度です。

 法定後見制度で、本人を保護・支援する人を「成年後見人」と呼びます。成年後見人には、本人の判断能力に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの制度が用意されています。どれに該当するかは、家庭裁判所が決定します。「法定後見制度」と「任意後見制度」の大きな違いは、支援する人を自分で選べるかどうかです。

 法定後見制度では「成年後見人」は、どのような保護や支援が必要かに応じて、家庭裁判所が選任します。実際、親族以外が選ばれるケースが多いです。

<成年後見制度は途中で変更できない>

・成年後見人はいったん専任されると、正当な理由なく辞任したり、解任したりできません。基本的には、成年後見人は彼後見人が亡くなるまで、ずっと仕事を担うことになります。正当な理由として認められるのは、成年後見人が高齢や病気のために職務が行えなくなった場合や、遠隔地へ引っ越した場合などです。

<「リバースモーゲージ」と「リースバック」とは>

<「リバースモーゲージ」自宅を担保にしたローン>

・リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら、自宅を担保に金融機関などからお金を借りられるローン商品です。

<リバースモーゲージは大きく2種類ある>

・リバースモーゲージは融資資金の使い道によって、大きく2種類に分けられます。「通常のリバースモーゲージ」と、もう一つは「リバースモーゲージ型住宅ローン」です。

<リバースモーゲージのメリット・デメリット>

◆メリット ①慣れ親しんだ自宅に住み続けながら融資が受けられる ②高齢で借り入れができる ③毎月の返済負担が少ない ④元金の返済は基本的に死亡後でよい ⑤病気や介護に備え、まとまった資金を残しておける

◆デメリット ①条件に当てはまらず、利用できない場合がある ②金利の変動リスクがある ③不動産評価額が下がるリスクがある ④長生きした場合、最初の融資限度額では不足することがある

<社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金」という仕組みも>

・自宅を担保に生活資金を借りられる仕組みとして、各地域の社会福祉協議会が手がけている「不動産担保型生活資金」という制度もあります。

<「リースバック」は自宅を売却後、借り直す仕組み>

・リースバックとは、不動産会社に自宅を売却したあとに、買主であるその不動産会社と賃貸契約を結び、賃貸物件としてもとの家に住み続けることができる仕組みです。

<リースバックのメリット・デメリット>

◆メリット ①売却後も自宅に住み続けられる ②短期間で現金化できる ③マンションでも利用できる ④売却したことを周囲に知られずに済む ⑤固定資産税などの支払いが不要になる

◆デメリット ①売却価格が相場よりも安いことが多い ②家賃が相場よりも高いことがある ③ずっと借りられるとは限らない ④買い戻すときに売却価格よりも高くなる傾向がある

<リースバックとリバースモーゲージ、どちらを利用するべきか>

・リースバックは自宅を売却して借り直すことで、まとまった資金を得ることができます。一方、リバースモーゲージは自宅を担保にローンを組むことで資金を得られる仕組みです。

<column3  後見人制度の活用について>

<Aさんの体験談>

・まずは特別養護老人ホーム(特養)探しです。要介護3以上でないと入所できないのですが、アルツハイマー型認知症は入所条件に入っているため、ケアマネジャーさんに相談して、要介護1の父でも幸い空いている特養に入ることができました。

<おひとりさま最後の住まい>

<自宅に住み続けるためのリフォームのポイント8>

(1) 温熱環境 

(2) 外出のしやすさ

(3) トイレ・浴室の利用のしやすさ

(4) 日常生活空間の合理化

(5) 主要動線上のバリアフリー

(6) 設備の導入・更新

(7) 光・音・匂い・湿度など

(8) 余剰空間の活用

<まだあるリフォームのポイント>

・まず「寝室」は将来介護が必要になったときに備えて、介護用ベッドが置ける広さがあると安心です。

<住み替える場合>

・選ぶ際のポイントは、大きく次の4つです。

① 元気なうちから入居できるか(要介護認定か必要か)

② 費用はどれくらいかかるか(初期費用、月額費用など)

③ どんなサービスが受けられるか(介護・医療・生活に関するサービスなど)

④ ずっと住み続けられるか

<認知症になっても入居できる施設 「特別養護老人ホーム」>

・公的な介護施設で、寝たきりや認知症など、原則として介護度の高い方を入居対象としています。

<おひとりさまの不安を解消する各種サービス>

<緊急時(急な体調不良など)の不安>

▼「見守りサービス」を利用する

<食事や掃除、買い物などの不安>

▼訪問介護の「生活援助」サービスを利用する

▼民間のサービスを活用する

<おひとりさまの空き家>

<「空き家」は近隣の安全や環境を損なう原因に>

・現在、空き家は年々増え続け、大きな社会問題となっています。

<あなたの家を空き家にしないためには?>

① 不動産を共有財産にしない

② 「リバースモーゲージ」「リースバック」を活用する

③ 家財を減らす・整理する

④ 高齢者施設に入る際に売却する

⑤ 空き家バンクに登録する

●「空き家バンク」は無料で活用できる

●空き家バンクを利用するメリット 1補助金が利用できる 2建物が古くても売却できる可能性がある 3より多くの人に見てもらえる

●空き家バンクを利用する際の注意点 1物件が登録できない場合がある 2利用希望者と直接交渉する必要がある場合もある 3利用者があらわれない場合もある

<「マイホーム借上げ制度」を活用>

・その際に一定の条件を満たしていれば、国土交通省が支援する「一般社団法人移住・住みかえ支援機構」が運営する「マイホーム借上げ制度」が利用できます。

<マイホーム借上げ制度のメリット>

・安定した賃料収入を得ることができます。

<マイホーム値上げ制度を利用する注意点>

① 賃料のうち受け取れるのは85% ②賃料が見直されることがある ③契約中で解約する場合

<Column4 携帯電話の解約に注意>

・携帯電話の解約は、実はご本人以外がされる場合が多いです。

<おひとりさまの母親が、施設に入るまでに大変だった10のこと>

<はじまり~小林さんの談>

① トイレットペーパーやティッシュペーパーが山のように

② 通販のDM(ダイレクトメール)も山のように

③ 水道が止められない

④ どの印鑑がどの金融機関のものかわからない

⑤ 金融機関で手続きができない

⑥ 半年かかった家財の整理

⑦ やっぱりあったタンス預金

⑧ 引っ越しハガキが送れない

⑨ 高齢者施設にホモはほとんど持っていけない

⑩ マンションは委任状を用意して売却

<Column5 自分が死んだらペットはどうなる?>

・ここでは、そんな不安を解消するための3つの方法を紹介します。

① ペット信託 ②ペットと一緒に入居できる高齢者住宅 ③訪問介護の前後など、ペットの世話が可能に

< Column6 「身元保証人」を頼める人がいない場合は?>

・このように、身元保証人などがいないことのみを理由に入院を拒否してはならないと通知されていますので、もし拒否された場合は、自治体の担当部署に相談してみるのも一つの方法でしょう。もう一つの対応策として考えられるのは、民間の身元保証サービスの利用です。

<おわりに>

・私たち「一般社団法人日本ホームステージング協会」で扱っている業務は、空き家対策や、シニア世代が安心して暮らすための「シニアホームステージング」です。

・また、葬儀やお墓のことには触れることができませんでした。相続人がいないおひとりさまの遺産は国の財産になると触れましたが、あなたが望むように遺産を承継して欲しいなら、有効な遺言書を書かなくてはいけません。これらについてはよく確認し、信頼できる司法書士、弁護士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

・今、ここから準備を始めていきましょう。

(2025/4/24)

『老いるが勝ち!』

和田秀樹  文春新書   2024/820

<プロローグ>

<80歳を過ぎたら我慢しない。食べたいものを食べ、好きなように生きる>

・ここから導き出される選択は、80歳を過ぎたら我慢しない、という生き方です。

・好きなものを飲んで食べて生きたほうが、ストレスが少なく、楽しく生きられるのではないでしょうか。そして、そのほうが免疫力が高まって長生きできるかもしれないのです。

<理屈というものは常に変わる。常識とされる説も普遍ではない>

・例えば、長生きしたいのでしたら、医者の話を聞くよりも、実際に長生きしている人――それも医者ではない人――に話を聞いたほうがいいかもしれません。

・もう一つ重要なポイントとして挙げておきたいのは、理屈というものは常に変わることです。

《プロローグが教える生き方のヒント》

◎80歳を過ぎたら我慢しない。ガンにならないように我慢していた、食べ物、お酒、タバコはもう控えたりしなくてもいい。

◎長生きしたいなのなら、医者の話を聞くよりも、実際に長生きしている人に話を聞いたほうがいい。

◎理屈というものが常に変わる。

<医学的エビデンスは当てにならない>

・薬は体の中で化学反応を起こしますから、しかるべき薬を飲めば、血圧が下がり、血糖値が下がり、コレステロール値が下ったりします。化学反応を起こすのですから、それは難しいことではありません。

<コレステロールは心臓には良くないがガンにはなりにくくするものである>

・それは、コレステロール値が高い人ほどガンになりにくいという調査結果です。なぜかというと、コレステロールというのは免疫細胞の材料だからです。日本での調査でも、コレステロール値がやや高めの人が一番長生きしているというデータがあります。

<血圧の薬をめぐって医者はウソをつく>

・調査結果から言えるのは、後生大事に薬を5年間飲み続けたにもかかわらず、5パーセントの人が脳卒中になってしまっている事実です。

・脳卒中の発症率を減らすことができるというエビデンスはあっても、ゼロにはできません。

・しかし、調査から分かることは、170くらいの血圧の高齢者が薬を飲まなくても、90パーセントの人は5年後に脳卒中になっていないわけです。

<医者が悪いのは個人差があることを認めないところ>

・つまり、医者が悪いのは、「エビデンス」と称して個人差があることを認めないところでしょう。

<日本では、薬を飲まない人と飲む人の比較調査ができない>

・これほど左様に、血圧一つ取ってみても、なかなか理屈通りにはいかないものなのです。しかも、その理屈そのものが大したことはなくて、薬を飲んで脳卒中になる確率の8パーセントを5パーセントに減らす程度の理屈でしかありません。

<医療費が膨大になるのは医者が無駄な薬を出すから>

・それを個人生活の側面から見てみれば、給与生活者であれば、毎月健康保険料を引かれています。その金額は結局、医療費の総額から割り出しているので、医者が無駄な薬をどんどん出せば、それだけ個人の手取りの給与は 減ることになります。

<いじめをなくす方向よりもいじめを受けた子を救うほうが難しくない>

・数十万件のいじめをなくすことは現実的には非常に困難です。それならばむしろ、いじめを受けて心の具合が悪くなった子を救う方法を考えたほうが、ひょっとしたら難しくないのかもしれない。

《第1章が教える生き方のヒント》

◎コレステロール値が高い人ほどガンになりにくい。

◎コレステロール値がやや高めの人が一番長生きしている。

◎170くらいの血圧の高齢者が薬を飲まなくても、90パーセントの人は5年後に脳卒中になっていない。

◎医者が悪いのは、個人差があることを認めないところ。

◎医者が言っていることは、あくまでも確率論にすぎない。

<権威と肩書を信じるな>

・検査データを見て、画像データを見て、診断をして、薬を決めるのであれば、AIに勝てるわけがありません。画像データ一つ取ってみても、ガンの見落としはAIのほうが圧倒的に少ない。

<将来の医学は東洋医学を突き進めたものになる>

・東洋医学は古く、西洋医学は新しいと、この150年くらいは信じられてきました。しかし、今後、ゲノムなるものがもうちょっと解析されてきたら、将来の医学は東洋医学をさらに突き進めたようなものになるかもしれません。

<大学教授の頭の中は古い。肩書を信じることは怖い>

・肩書は何十年も動きませんから、教授という肩書を信じることの怖さがここにあります。

・アメリカの場合は、教授になってからグラント(研究補助金)が集めやすくなるので、教授というポジションを得ることは本格的な研究のスタートラインに過ぎません。一方、日本の場合、教授は“上がり”のポストです。

<ノーベル賞受賞者はすべての科目で優れているわけではない>

・これがアメリカなら、ノーベル賞の受賞者は400人近くいますから、ノーベル賞を取っただけで、教育政策のトップになった人は一人もいないし、それ以前に彼らを教育の専門家とは誰も考えていないわけです。そこが日本とは大いに違うところです。

<高血圧にメタボリックシンドローム。日本で医学は宗教化している>

・痩せ型の人はやや太めの人よりも、6~7年も早く亡くなっていることが明らかになったのです。私たちは、太っていると体に悪いという思い込みが強烈すぎて、なかなかそこから脱却できません。

・悪玉コレステロールはその一方で、免疫細胞の細胞膜の材料になったり、男性ホルモンの材料だったりもします。だから、悪玉コレステロール値が高い人ほど、かえってガンにかかりにくいとか、齢を取っても精力的で元気だという側面もあるのです。

<ステントを入れる日本の技術は世界一。大切なのは先生たちについての情報>

・私は基本的に齢を取ったら、コレステロール値は無闇に下げないほうがいいと考えています。

・そこで大切なのは、やはり先生たちについての情報です。下手な人に当たると、心臓ドックの結果が最悪、死につながるのですから、さらに言うと、昔の名医が今も名医とは限りません。

<心筋梗塞も糖尿病も太っていたほうが長生きする>

・それらを総合しますと、心不全だけでなく、急性肺炎、透析、肺気腫、心筋梗塞、ガン、脳血管障害、糖尿病などにおいて、痩せている人より太っている人のほうが長生きする。肥満パラドックスは、まさにメタボリックシンドロームを真っ向から否定する調査結果なのです。

<糖尿病の治療がアルツハイマーを促進する>

・現代では一般に、糖尿病の人はアルツハイマー型認知症になりやすいと言われています。

・私が信じているのはその反対で、むしろ糖尿病の治療がアルツハイマーを生んでいる、ということです。

<日本の大学医学部がダメなのは栄養学を教えないところ>

・いまだに日本中の医学部医学科で栄養学はほぼ正規のカリキュラムに入っていませんから、日本の医者は、人間が栄養によって元気になることを知らないわけです。

<長生きするのにいちばん大事なのは栄養>

・脳卒中の予防のためには、魚よりも肉を食べることが大事なのです。現実に脳出血は欧米のほうが少ないのですから。長生きしたいとか、元気になりたいと思うのでしたら、やはりいちばん大事なのは栄養だと私は思います。

<日本の理屈とアメリカの理屈は異なるべき>

・ある意味で理屈と理屈はぶつかり合いますが、少なくとも健康に関しては日本の理屈とアメリカの理屈は異なるべきです。もともとの体質も食生活もまるで違うわけですから。ところが、日本の医者たちはアメリカの理屈をすごく信じる傾向にあるのです。

<専門家の理屈は人間全体の理屈にはそぐわない>

・もちろん、循環器の病気は軽く済ますことはできません。しかし、虚血性心疾患みたいな特殊な持病がないのであれば、コレステロール値を下げる薬なんかさっさとやめたほうがいいと、私は薦めます。結局、人間は総合的に見た時に健康になれるかどうかが大事なわけです。

<高齢化が進めば進むほど総合診療医のニーズは高まる>

・そういう意味では、社会の高齢化が進めば進むほど、臓器別診療の専門医よりも、いわゆる総合診療医のニーズが高まるわけです。

・若い人とお年寄りでは、ガイドラインを変えなければならないと思っています。

・高齢者が事故を起こすのは、多くの場合、いわば薬害だと思います。

<車を運転するのなら飲んでいい薬は4種類まで>

・運転をするのなら4種類までにしておかないとダメです。運転していなければ、せいぜい転ぶくらいで済みますが、運転中はやはり危ない。

<お年寄りの飲む薬の量と若い人の飲む量は変えなければいけない>

・ですから、お年寄りの飲む量と、若い人の飲む量は変えなければいけないと私は思っています。

・日常生活の活動レベルを落とさないように、最小限の薬にとどめておくのが、正しい薬との付き合い方です。

<医療に関わらないほうが人は長生きできる。フィンランドの恐るべき調査結果>

・この結果から言えるのは、検診を受けたり、生活指導をされたりするストレスがかえって悪いのではないかということなのです。医療に関わらないほうが人は長生きできるということに、医療関係者は愕然としたわけです。

<病院に行けなくなった夕張市では病気で亡くなる人が減った>

・先進国の中でガンによる死亡者が増えているのは日本だけです。

<偏差値の低い私立大学には腕のいい医者が集まる>

・覚えておいていただきたいのは、偏差値の高い大学ほど臨床を軽視することです。だから、腕のいい医者は偏差値の高い大学では教授になれないというパラドックスがあります。

・一方で、私立の医科大学などでは、附属病院に患者さんが来てくれないと困るから、腕のいい医者をスカウトしてくる。従って、偏差値の低い私立大学のほうが腕のいい医者が集まっている現実があります。

<ロクでもない医者が増えたのは入試面接のせい>

・ところが、医学部が入試面接をやることにはいくつかの大きな問題がありました。一つ目は、先ほどから申し上げているように、面接をする医学部の教授にそもそも問題があることです。二つ目は、やはり教授に逆らいそうな受験者は落とされてしまう。

・要するに、入試面接のせいで、逆に、ロクでもない医者が増えたのです。それが三つ目の問題です。

<入試面接の結果、殺人者が選ばれる>

・入試面接なんか全部廃止すればいいのに、今、82の大学医学部全部でやられているわけです。

・そもそも論としては、たかが30分くらいの面接で人間を選別できるわけがないし、それができると思っている人間は精神医学用語で言うところのパラノイアです。

<血圧が高いほうが頭が冴えるのは事実>

・結果は、なんと、喫煙群と非喫煙群で生存曲線にまったく差がなかったのです。

・血圧が高いのと低いのとどちらがいいかに関しては、基本的に高いほうが絶対に悪みたいな刷り込みをされていますね。

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