むしろ、私は、高齢になればなるほど、怖いのは認知症より老人性のうつ病だと思っています。だからまず、70代80代の時期に大切なのは意欲を失わないことになります。(3)

・握力の話に戻ると、握力が低下している人は、手だけではなく全身の筋力も低下していると考えられます。だから、「最近、ペットボトルの蓋が開けられなくなった」といった人は全身の筋力が低下している危険性大なのです。

 ただし、動ける体ということを考えると、より大事なのが「足」です。

<コスパのよい筋トレはスクワットとランジ>

・そして、何より大事なのは歩くことです。歩く力を保つには、やっぱり歩く習慣を持つこと。その上で筋力を保つために筋トレをプラスしてほしい。私がよくおすすめしているのは「スクワット」と「ランジ」です。

<長寿の真実 「歩ける体」には背中の筋肉も必要>

<たった1回の転倒が人生の分かれ道になる>

・長生きを目指すには、なぜバランス力を鍛えたほうがいいのでしょうか。

 最大の理由は、バランス力の衰えは転倒リスクにつながるからです。高齢になって転倒すると、太ももの付け根などの骨折を招き、車椅子生活になったり、寝たきりになったりと、人生の大きな分かれ道になりかねません。

・片足立ちが1分間できない人は筋力と骨量が低下しているとわかりました。さらに、脳が委縮しており、認知症の前段階になっている可能性があることもわかりました。ほかにも、脳卒中になって、突然倒れるリスクもあります。こうしたあらゆる病気のリスクを回避するカギになるのが「バランス力」なのです。

・バランス力を保つには「筋力」や「骨量・骨密度」だけではなく、全身に酸素と栄養を送る「血管」、脳からの命令を伝える「神経ネットワーク」の働きも必要だと言います、

・片方の足を浮かせて立つ「片足立ち」はバランス力のチェックにも、バランス力の改善にも役立つ。確かに歩くだけではバランス力はあまり鍛えられないので、片足立ちはとてもよいエクササイズだと私も思います。

・いかに転ばないで、骨折しないか。それが長生きの秘訣となります。そのためにはやっぱり同じ姿勢をしない、姿勢を変えることだ大事なのです。

<猫背を治すにはまず背中をほぐす>

・猫背になる大きな原因は、背中の筋力の低下。

・そのため、「ストレッチによって土台となる背骨のいちばん下の腰椎からしなやかにしていく」必要がある。

・つまり、まずは背骨の柔軟性を高め、その上で背中の筋肉をつけることが大事なのです。

・「正しい姿勢をスタンダードな状態にするには、実は背中の柔軟性がとても重要」と、背中をほぐすことをすすめています。

・大腿四頭筋、殿節、腹筋、背筋というのは、立ち上がって、歩いて、自分の体を思ったところまで移動させるという観点でも重要な筋肉ですので、これらの筋肉が衰えると、姿勢が変化して、やがてロコモになるという言い方もできるわけです。

 ちなみに「ロコモ」とは、骨や関節、筋肉などが衰えて、立つ・歩く力が低下している状態のこと。いくつになっても歩ける体をキープするには、足の筋肉だけではなく、忘れがちな背中も意識しましょう。

<長寿の真実 たんぱく質は摂りすぎと偏りに注意>

<世界一のエビデンスある健康食はたんぱく質が少ない>

・筋肉が大事といえば、「たんぱく質を摂らなきゃ」と思う人も多いかもしれません。ただ、「たんぱく源として積極的に肉を食べましょう」という考えは、医師としてはあまりおすすめできません。

・地中海食は他の食事に比べて、タンパク摂取が少ないのも特徴です。

ちなみに地中海食とは、地中海沿岸の人々が食べている伝統的な食事で、心血管疾患や脳卒中、肥満、糖尿病、高血圧、一部のがん、アレルギー疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病などの予防効果が報告されています。つまり、エビデンスのある健康食です。その地中海食の特徴として、魚はほどほどに食べるものの、赤い肉(牛肉、豚肉など)や加工肉は週1回以下なのです。

・腎臓病の患者さんは、たんぱく質も体に悪影響を及ぼす。

<糖質制限は「何を増やすか」で健康効果が真逆になる>

・これによると、たんぱく質はまず一般の人は「体重1㎏あたり1g」が目安。つまり、体重60㎏の人は1日60gということです。一方、高齢者は「一般人よりもちょっと多めの体重1㎏あたり、1.2g程度が目安」とのこと。

・医学的な観点から補足すると、動物性のたんぱく質は摂りすぎると健康によくないというエビデンスが出ています。ですから、たんぱく源として肉ばかり食べるのはよくありません。大豆や大豆製品など、植物性のたんぱく質を意識して選んでほしいと思います。ただし、動物性とはいえ、魚はやっぱりおすすめです。

・最後にもう一つ大事なことを、どんなにたんぱく質を摂っても、運動をしなければ筋肉はつきません。くれぐれも忘れないでください。

<長寿の真実 歳を取るほど外へ出よう>

<人付き合いが苦手でも孤独はリスク 野菜嫌いでも野菜は食べたほうがいいように>

・「深く生きた人は長く生きた人でもある」

・つまり、動ける体を保つことは社会とのかかわりを保つことにもつながるということ。

・なぜなら、社会的孤立は、認知症や健康寿命のリスクになるから。人とかかわることで脳への刺激が確保できるのです。

・それと同じで、たとえ人とかかわるのが苦手でも健康のためには人とかかわり続けたほうがいいですよ、ということです。

・これからの人生は評価を求めるよりも、人の役に立ちましょうと語りかけます。

<COLUMN  長寿に必要なのは西洋医学か、東洋医学か>

・医師という立場からいえば、漢方薬も西洋薬も特に区別はありません。どちらも科学的に検証されたエビデンスある薬という意味では同じなのです。なおかつ、漢方薬にも副作用があります。西洋医学か東洋医学(漢方)かではなく、両方を境目なく使うのが賢い使いかたです。

<本当に正しい 『健やかな脳』の保ちかた>

<長寿の真実 「脳の衰え」は誰もが避けられない問題>

<一人ひとり違う認知症の世界 治す薬はまだ存在しない>

・「認知症とは、『認知機能が働きにくくなったために、生活上の問題が生じ、暮らしづらくなっている状態』のこと」

・ところで、なぜ認知機能が働きにくくなるのでしょうか。認知症のなかでも最も多いアルツハイマー型認知症の場合、アミロイドβと呼ばれる“脳のシミ”が沈着することが原因ではないか、と言われています。

・現状では、すでになってしまった認知症を治す方法は見つかっておらず、認知症の治療に使われている薬はすべて進行を遅らせるためのものなのです。

<「もの忘れが増えてきた」は脳を思いやるタイミング>

・認知症の治療が難しい理由の一つに、薬が脳に届きにくいということがあります。脳には「血液脳関門」と呼ばれるしくみがあり、有害なものが脳に入り込まないように取り締まっているのです。

・脳につながる血管には、脳に余計なものが入らないように監視し、侵入を拒むしくみがあるのです。したがって、ほとんどの薬は脳に届きません。その一方で、アルコールやカフェイン、ニコニン、覚醒剤といった危険な薬物など、脳に溶けやすい性質を持つ小さな物質は血液脳関門をすり抜けてしまいます。

・今のところ、認知症を治す手立てはないとすると、どうするか――。「認知症は生活習慣を妨げる」

・アルツハイマー型認知症に次いで多い血管性認知症は、高血圧や糖尿病、過剰なコレステロール(脂質異常症)、喫煙などによって血管が傷むことが原因です。いうなれば“脳の生活習慣病”なので、確かに生活習慣で防げます。

・睡眠の大切さを指摘します。つまり、睡眠中に脳内の水が入れ替わることで脳内が掃除されているかもしれない、ということです。

・では、いつ頃から認知症予防を意識すべきでしょうか、早ければ早いに越したことはありませんが、一つの目安となるのはMCI(軽度認知障害)の段階です。MCIは認知症になる手前の段階で、MCIのうちに気づいて対処すれば、半数の人は健常な認知機能に回復することがわかっています。

・「もの忘れが多くなってきた」は絶望のサインではなく、生活習慣を見直すサインと前向きにとらえましょう。

<長寿の真実 ボケ防止には脳への刺激が欠かせない>

<手書きの手紙は脳にとってダブルの効果>

・それは、90代でも筋トレで筋肉が増えるように、いくつになっても認知機能を高める、衰えないようにすることはできるということです。

・「脳は死ぬまで成長を続ける」。他の細胞と同様、脳の神経細胞も年々減っていき、年齢を重ねるごとに老化していきます。しかし、この神経細胞は複数の脳番地をネットワークでつなぎ、そのネットワークは年々成長していくことがわかりました。たとえ老化によって細胞が減っても、脳番地の連携が進めば、神経細胞同士のつながりが強くなるため、脳の機能は強化されていきます。

・それぞれの脳番地を鍛えるには特別な器具や準備はいらず、日常生活をほんの少し見直して新しい経験をつくりだすだけでいい。

・手で文字を書くことです。手書きは、視覚、筆記の音、感触など、五感から刺激が入るため、記憶の定着に効果的なのだそう。

<脳を鍛えるなら脳トレよりも対人ゲーム>

・朝、10人ほどの認知症の患者さんに電話をかえるのが日課という医師。

・認知症予防の大きなカギは「血のめぐり」と言い、脳の血流を増やして認知症を防ぐ方法の一つとして読書を挙げます。読書のジャンルはなんでも。

・その新井さんが脳トレよりもおすすめと話すのは、トランプ、囲碁、将棋、マージャンなどの対人ゲームです。

・また、体を動かす習慣がなく、家で脳トレばかりをしているとしたら、かなり残念な過ごしかたです。認知症予防には頭を働かすだけではなく、体を働かすことも大事なのです。

 

<長寿の真実 運動は「ほどほど」が一番脳にいい>

<脳が喜ぶ“栄養”を増やし認知症リスクを半減させるとの報告も>

・脳を若々しく保つために一番大切なことは何でしょうか?この問いに「運動」と断言。

・運動がもたらす効果はさまざまありますが、その第一の目的は「脳を育ててよい状態に保つためだ」

・運動は、脳の回路が結合を増やし、成長するきっかけを与える。血液の量を増やし、燃料を調節し、ニューロンの活動と発生を促すのだ。老いた脳はダメージに対して弱いが、だからこそ、脳を強くするためになにかをすれば、若いときより効果が大きい。私も、「脳を鍛えるには運動が一番」という考えには賛成です。

・筋トレも大事ですが、脳だけではなく全身の病気を遠ざけてくれるのは、なんといっても有酸素運動です。その代表が、ウォーキング。

・「ウォーキングには認知症のほか、寝たきり、うつ、心疾患、脳卒中、がん、動脈硬化、骨粗しょう症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームを予防する効果がある」と紹介します。長生きを目指すなら、ウォーキングをはじめとした有酸素運動が欠かせません。

<コスパのいいウォーキングは1万歩よりも8千歩>

・ほどほどの運動こそが万能薬、と言います。「ほどほど」の指標は「1日8000歩、そのうち中程度の運動が20分」、つまり、1日の歩数が増えれば増えるほど健康効果が高まるわけではない、ということです。

 ほかの国内外の研究結果を見ても、1日8千歩まで歩けば歩くほど寿命が延びるのですが、8千~1万歩で健康効果は頭打ちになっています。

・もっと健康効果を高めたいと思ったら、時間をかけて歩数を増やすより、強度を上げることです。ウォーキングであれば、ちょっと汗ばんで、隣の人と会話ができないぐらいのスピ―ドを目指しましょう。

・認知症予防のために開発された運動プログラム「コグニサイズ」でも、10カ条の一つとして「『ややきつい』と感じられるくらいの運動を行う」を掲げています。

・コグニサイズとは、ステップ台を上り下りしながら引き算をするなど、体を使う運動課題と頭を働かせる認知課題を同時に行う運動です。

・「傷むから」といって運動量が減り、太ももの筋肉が衰えれば、膝を支える筋肉がなくなり、さらに膝が痛むようになります。膝が気になり始めた人ほど、本当は運動をしてほしいのです。

・「膝や腰などに痛みを感じたら、その運動はやめること」と書かれています。

<長寿の真実 目、口、耳の機能低下を防ぐ!>

<聞こえも飲み込む力も意識して使えば鍛えられる>

・情報の9割が目から入ると言われており、目が悪くては、ましてや失明してしまってはせっかく長生きしても充実した人生は送れないでしょう。脳の機能が落ちて認知症になる可能性も高まりますから、目を守ることは認知機能を生涯にわたって正常に保つことにもつながります。

・近くを見る作業をするときは、「少なくとも1時間に1回は(パソコンの)モニターから目を離し、目を閉じて休憩しましょう」

・目の病気の怖いところは自覚症状に乏しいということです。異常を感じていなくても、40歳を過ぎたら定期検査を受けましょう。

・人は必要のない情報を無意識にシャットアウトするため、意識して音を聴かなければ脳への刺激が減ってしまう、と言います。そこで、耳をすまして音を聴き、耳を鍛えることで脳を鍛えようというのが、この本です。

 歳をとれば耳が遠くなるのは仕方がないと思うかもしれませんが、難聴は認知度のリスクを高めます。

・「食べ物が飲み込めなくなったのをきっかけに認知症になってしまう人や、飲み込めなくなったとたん寝たきりになってしまった人も」見てきた、と言います。

 食事中にムセることが増えた、大きめの錠剤を飲みにくく感じるようになったなどは、飲み込み力低下のサイン。特に男性のほうが、のどの機能は衰えやすいそうです。理由は、一説には、女性のほうがおしゃべり好きな人が多いから、とか。そのため西山さんは、男性は特に「定年後に会話を減らさないこと」とアドバイスします。

<COLUMN  今すぐ止めたい脳に悪い行動>

・血糖値が急上昇する食べかたが体に悪いのは血管を傷めるから。脳を疲れさせるNG行動として「甘いものを一気に食べること」を挙げています。それから喫煙と飲酒。これらが体内で「大量の活性酸素を発生させる」と指摘します。

<寿命をどこまでも延ばす! 『最強の健康管理』>

<長寿の真実 中高年以降は魚ファーストに切り替える>

<1日1切れの魚が死亡リスクを下げる>

・だからこそ、50歳からは食習慣を変えてほしい。たとえば、中性脂肪やコレステロールの代謝が悪くなる「脂質異常症」は、女性は更年期頃から、男性は30代あたりからどっと増えます。といっても、コレステロールも中性脂肪も本来は体にとって必須なものです。

 ただ肝臓でつくられたコレステロールは「LDL」に乗って全身に運ばれ、これが多すぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を進めてしまう。そこで、たまったLDLを血管の壁から回収してくれるのが「HDL」です。そのため、LDLは悪玉、HDLは善玉と言われるのです。

・ということで、50代になったら、食生活をちょっと変えてほしいのです。ずばり、数多くの信頼できる研究によって健康に悪いと考えられている食品は、①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない)と加工肉(ハムやソーセージなど)、②白い炭水化物、③バターなどの飽和脂肪酸の3つである。

 逆に健康に良い(=脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と考えられている食品は、①魚、②野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)、③茶色い炭水化物、④オリーブオイル、⑤ナッツ類の5つである。

・67万人のデータから導き出された研究結果として、魚の摂取量の多い人ほど死亡リスクが低く、1日60gの魚を食べていた人は全く食べていない人に比べて12%死亡率が低かったことを紹介しています。

 スーパーなどで売られている鮭や白身魚などの切り身1切れが80g前後ですから、1日1切れで60gはクリアできます。刺身であれば3、4切れでしょうか。それだけで死亡リスクを下げられる可能性があるのです。

<脂質異常も高血圧も高血糖も“無言” 突然、命にかかわる病がズドンと来る>

・「『心臓の健康』といったらコレ!」とEAPとDHAを挙げます。EPA,DHAは、アジ、イワシ、サバといった青魚に多く含まれる油です。

 EAPは抹消血管をしなやかに開いて、血小板の活性を抑え、血流をよくしてくれる働きがあり、DHAは脳に働きかけて、うつ病や認知症の予防に役立つ可能性がある。

 さらに、EPA、DHAには中性脂肪やLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きもある、とも。実際、中性脂肪値の高い人に使われる「ロトリガ」という薬の主成分は、EPAとDHAなのです。

 魚がいかに大事か、わかっていただけたでしょうか。ただ、肉を食べたほうがいいシチュエーションとしては、貧血があるときです。肉は、鉄分の摂取減としては非常に優秀。

・一般的には、中高年以降の健康を守ってくれるのは、断然、肉よりも魚。ぜひ魚ファーストの食生活に切り替えましょう。

・それは高血圧や糖尿病も同じで、自覚症状がないからといってほったらかしていると、じわじわ動脈硬化を進め、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中などをズドンと引き起こすのです。

 “ズドン”のまえに中間警告をハッキリしてくれるのは、尿酸値ぐらいです。

<長寿の真実 肝臓の健康なくして長寿なし>

<肝臓にたまった脂肪 放置すれば肝臓がん、脳血管障害へ>

・脂肪肝はなぜか軽んじられがちですが、放置すれば肝臓で炎症を起こし、肝臓の細胞を壊し、やがては肝硬変や肝臓がんといった死に至る病にも。

 なおかつ、脂肪肝の人は中性脂肪値も高かったり、糖尿病や糖尿病予備軍の人も多かったりと、「糖尿病や脳血管障害などの生活習慣病の始まり」でもある。

・肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれていて、肝硬変の末期まで黄疸や腹水といった症状はほとんど出ません。だから、検査の数値が重要な手がかりなんです。

 つまり、健康診断で「AST」「ALT」「γ-GTP」という項目が悪かったら放置してはいけないということ。

<肝臓に脂肪をたくわえる犯人は脂質ではなく、糖質>

・ところが、脂肪肝を治す薬はありません。でも、安心してください。食事と運動というシンプルな方法で脂肪肝はよくなります。非アルコール性脂肪肝の場合、一番の原因は肥満です。食事と運動でやせれば、肝臓の脂肪も自然と落ちていきます。

・「控えるのであればまずは炭水化物」、「少なくともお酒を飲んで赤くなる人はあまり飲まない方がいい体質」、「毒性物質の代謝に肝臓がパンクしてしまう危険がある」

・「一滴も飲まないことが健康に一番」が結論で、酒飲みの私には耳が痛い話です。お酒は、口や喉のガン、食道がん、肝臓がん、乳がん、大腸がんなど、多くの臓器のがんを増やします。

・脂肪肝、特に非アルコール性脂肪肝の増加は医療界でもホットなトピックです。日本人成人の3人に一人が脂肪肝と言われるほどですから、他人事と思わず、気にかけてほしいと思います。

<長寿の真実 一番簡単な認知症予防対策は「正しい歯みがき」>

<歯の平均寿命は60年 予防を間違うと歯を失う>

・日本人の平均寿命は、2023年現在男性81歳、女性87歳。100歳以上の方も9万人超に達し、「人生100年時代」という言葉もすっかり市民権を得ています。ところが、歯の寿命は60年。

・過去の統計から、年齢が上がるにつれて歯を失う割合は増え、その一番の原因は「歯周病」で、どの年齢にも多い抜歯の原因は「むし歯」であることがわかっています。

・つまり、歯周病とむし歯を予防すれば歯を失う確率は格段に減らせるのです。「歯を守ることは脳を守ること」

<30代からは歯周病に注意 正しい歯みがきとプロケアが歯を守る>

・アメリカのマスコミから「フロスか、死か」という発信がされ、世界中にセンセーションを巻き起こしたことがありました。これは、フロスなどを使って歯間清掃をしなければ、歯周病になってさらに認知度や全身疾患リスクが高まることを端的に言い表したコピーです。

・歯周病は歯を失う第一の原因であるだけではなく、全身の病気と関連があることがわかってきています。「歯周病は『全身に炎症が継続している病態』として捉えるべき疾患」

・さらに恐ろしいことには、歯周病の原因菌そのものが、毛細血管から血管へと侵入して全身を駆け巡り悪さをすることも指摘されています。

・具体的には、「歯周病を治療することで、糖尿病が好転する」「歯周病に由来する慢性的な炎症が、アルツハイマー型認知症の原因である脳の炎症を増強する」といった可能性が指摘されています。

 歯を大事にすることは脳や体の健康にもつながるということ、わかっていただけたでしょうか。

<長寿の真実 加齢による目の病気は40代から手を打つ>

<白内障は誰もが通る老化現象 老眼と間違えられやすい>

・「歯の寿命は60年」「眼の寿命は65~70年」。年齢が上がるにつれて誰もが失明につながる目の病気を抱えるリスクを負う。だからこそ、早期診断、早期治療で失明を防いでほしい。

・「白内障は加齢とともに誰にでも起こる病気であり、若い人に起きることもある」。見えにくさを「年のせい」で片付けていたら、実は白内障を進行させてしまっていたということがあるわけです。「白内障は、適切な時期に手術をすれば視力の回復も期待できる病気です」

<緑内障も生活習慣病 サプリよりも血管を守る生活を>

・一方、緑内障は目と脳をつなぐ視神経がダメージを受けて、だんだん視野が欠けていく病気です。治療の基本は目薬で眼圧を下げることで、病気を根本的に治す治療はありませんが、緑内障の進行を遅らせることで、失明から守ることはできます。

・40歳を超えたら視力検査だけではなく、眼圧検査、眼底検査もぜひ受けましょう。というのは、緑内障は決してまれな病気ではないからです。

・国内で行われた緑内障の疫学調査では40歳以上の5%、すなわち20人に一人に緑内障が見られた、と紹介しています。しかも、この調査では、緑内障を発症している人の9割は自分では気づいていなかったそうです。

・それよりも、目に酸素と栄養を送り届けているのも血管で、目も血管が支配している臓器ですから、結局は、生活習慣病対策が目の健康も守ります。

 何かと体に悪い喫煙は、緑内障を進行させ、白内障のリスクも上げることは確実です。糖尿病も、細かい血管がダメージを受けることで網膜症という、これまた失明につながる病気を起こしやすく、それが緑内障を引き起こすこともあります。それから、緑内障や白内障のリスクがもともと高いのが、近視の人です。

<長寿の真実 睡眠は歳をとるほど「時間よりも質」>

<夜中のトイレに悩んでいる人は日中“足”を使うこと>

・でも、質のよい睡眠は、病気を遠ざけ長生きするためには、食事、運動と並んで三大必須事項です。どんな調査でも、睡眠時間が7~8時間の人は一番寿命が長いということです。

・国内の研究では、夜間排尿の回数が一晩で2回以上ある高齢者は、夜間排尿の回数が1回以下の高齢者に比べて、死亡率が1.98倍であることがわかりました。

・コーヒーや緑茶など利尿作用のある飲み物を夕方以降は控えるといったことはその代表ですが、意外にも大事なのが、「下半身の筋肉を使う運動」です。下半身の筋力が衰えると、血液を全身に巡回させるポンプ機能が弱まり、足に水分がたまりやすくなります、すると、いざ寝ようと横になると、足にたまった水分が重力から解放されて全身をめぐり、トイレに行きたくなるのです。これを避けるには、足に水分をためないこと、つまり、日中にしっかりと足の筋肉を動かすことです。ランジ、スクワットは夜間頻尿対策としてもとても優秀です。

・夜間頻尿対策として足の運動のほか、腹巻きでお腹を温めることをすすめています。

<寝る前のルーティン、魔法のフレーズが安眠のスイッチを入れる>

・ルーティンとしては、「風呂に入る、パジャマに着替える、歯を磨く、本を読む、など一連の行動を毎日繰り返すことが重要」

・ほかにも、落ち着く音楽やリラックスする香りなど、方法は何でも構いません。エビデンスも大事ですが、睡眠に関しては相性も大きいので、寝られるならどんな方法でもいいのです。

<長寿の真実 夜の呼吸に気をつける>

<寝ながら呼吸が止まる「無呼吸症候群」 その脂肪があなたの呼吸を止めている ⁉>

・睡眠の質を下げるものといえば、寝ている間に、人知れず息が止まっている人がいます。「え?」と思うかもしれませんが、それが睡眠時無呼吸症候群という病気です。息が10秒以上止まることを無呼吸と言い、寝ている間に何度も無呼吸状態あるいは、息の浅い状態が繰り返されるのです。

・気づかずに寝ているからいいのかといえば、決してそうではありません。無呼吸状態が繰り返されると、交感神経がアラートを鳴らし、寝ている間に血圧が上がりやすくなります。すると、さまざまな生活習慣病のリスクも上がるのです。

・まず、昼間の眠気によって、無呼吸の人は交通事故を起こすリスクはおよそ7倍になるとされている。

・大きないびきをかいて寝ている人、いびきの回数が多い人、日中に眠気やだるさ、イライラを感じる人は要注意です。特に肥満の人は首周りについた脂肪が気道を圧迫して睡眠時の無呼吸を引き起こしやすい。ドミノのように生活習慣病をバタバタと引き起こす前に、早めの検査をおすすめします。

・一つは、横向きに寝ること。仰向け寝はいびきをかきやすいのです。もう一つは、肥満の場合はやせること。

・ところで、呼吸に関する本も多いですねよね。ゆったりとした呼吸は副交感神経を優位にして心と体をリラックス状態に導きます。

<COLUMN  世の中は嘘だらけ>

・私が「予防医学ch」というYou Tubeチャンネルを始めたのは、間違った健康法にすがって、がんなどの病気を進行させてしまった人に救急の現場でたくさん出会ってきたからです。

<100歳までしたたかに図太く生きる! すごい『考えかた』>

<長寿の真実 「病気になってから考える」では遅すぎる>

<病気の“質”が変わった現代 1対1の治療では完治できない>

・大学病院の救命救急病棟で働いていた頃、すっかり病状を悪化させてから病院にかかり、後悔の念に苦しむ患者さんたちをたくさん見てきました。

・現代社会が対峙する疾患群においては、生活のあらゆる側面が誘引となるため、原因をひとつに帰着させることが難しい。

・病気を発症してから治療をしても治らないかもしれませんし、後遺症が残るかもしれません。あるいは、生活習慣病であれば、一生薬を飲みつづけなければいけないかもしれません。だから、“治療では遅すぎる”のです。「認知症は予防が9割」

<人が最期に後悔することは? 「健康を大切にしなかったこと」>

・今、日本では65歳以上の高齢者の割合はなんと29%にまで達しています。全人口の3人に一人が高齢者という世の中に、だんだん近づいているのです。

 さらに、今後10年以内に認知症の人が700万人を超え、高齢者の5人に一人が認知症という時代がやってくるとされています。

・「私たちが『元気な高齢者』になることが非常に重要なのです」

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