アメリカではなく、アメリカ軍に支配されている現実。立法府が空洞化すれば、結果的に行政府が法律を起案しかつ執行するという体制が出来上がる。(3)

   『私の夢 日本の夢 21世紀の日本』 松下幸之助  PHP研究所   昭和52/1/1 <民主主義国においては、国民はその程度に応じた政府しか持つことができない> <進む食糧のダムづくり> ・迫り来る食糧危機を前にして、中村農林大臣は日本の長期にわたる食糧自給方策について語るのだった。 ・日本の姿をみると世界の中でも極端に食糧の自給率が低かったのです。これは一面、みずから生産するよりも、大規模農法で、豊富に生産している国から輸入する方がはるかに安かったですし、また国によっても食糧の輸出を必要としているところもありましたから、日本が大量に輸入することは、生産国にとっても好ましいことだったわけですね。 ・「ですから、自給という長期的な基本方針と中期および当面の短期方針をどうしていくかということが、考えられました」「その長期方針が例の国土創成ですね」 ・長期の方針が国土創成事業、中期の方針が外国への食糧増産のための援助協力、短期の方針が国内における諸対策ということになりますね。 ・この国土創成事業は一口で言うと国土の70%を占める森林山岳地帯の比率を50%までにして、20%は有効可住国土になおし、あわせてほぼそれに等しい面積の海を活用しようというものです。 ・将来的にはこれによって農地も倍以上に増え、しかもある程度の大農方式が可能になりますから、生産性も上がり、食糧は安全に自給できるようになります。もちろん、食糧以外にもこの国土創成から生まれる効果はきわめて大きいものがありますがね。 ・そこで、短期および中期の方策として1970年代末に日本人が長期的な国土創成とあわせて考えたのは、いわゆる食糧についてのダム経営ともいうべきものです。 ・一言でいえば、食糧そのものの備蓄と円滑な流通体制、それと国際的友好親善、さらには非常時対策としての予備農地というのが、食糧のダム経営の柱になります。 ・ですから、そういう国からの要望があれば、日本の技術や資金を提供して開発に協力し、その国はもちろん、ひいては世界の食糧供給を増やしていこうということですね。そのことは結果として日本自身の食糧問題にもプラスになってくるわけですね。 ・今後は、国土創成がだんだんにできあがってきますから、それを基盤とした日本的大農方式―つまり30年目前の日本の一戸あたりの農地の3、4倍程度の耕作面積を生かした、より生産性の高い農業と養殖漁業とによる食糧自給体制になっていくでしょう。 <250年計画> <初めに言葉ありき> ・昭和7年には会社の使命、産業人としての使命を達成していくための250年計画というものを発表し、その実現に努めてまいりました。すなわち物質を水道の水のごとく豊かに生産し、安価に供給することによって、この社会から貧困をなくしていくことをもって会社として産業人としての真使命と考えるのです。使命の達成期間を250年と定め、これを25年ずつ10節にわけて、当時の従業員はその最初の一節をになうことを自分達の使命と考えて活動していこうと訴えたわけです。そのことによって、従業員の自覚も高まり会社もそれまでに比べて飛躍的な発展をとげることになりました。 『わが師 松下幸之助』 「松下政経塾」最後の直弟子として 樽床伸二    PHP   2003年3月26日    <後世の歴史家は松下幸之助をどう評価するか> ・8百万部発行されたアメリカの『ライフ』誌は、松下幸之助が産業人であると同時に「思想家」であると紹介したが、私は、さらに「政治の変革者」として評価されなければならないと考えている。 ・松下幸之助は、『ライフ』の誌上で「最高の産業人」「最高の所得者」「思想家」「雑誌の発行者」「ベストセラーの著者」と5つのタイトルが冠せられました。 <理想の日本が実現するのは2010年> ・松下幸之助にはたくさんの著書があるが、政治の改革者としては『私の夢 日本の夢 21世紀の日本』をまず第一にあげなければならないだろう。 松下幸之助がこの本を著したのは昭和52年(1977)であったが、もともと「小説日本」というタイトルを考えていたと側近に漏らしていたように近未来小説の形を構想していた。 ・「それは2010年の日本から始めるのや」松下幸之助が、こういうのを聞いて木野元会長は聞き返した。「21世紀と言うと、2001年から始められたらどうなんですか。なんで2010年なんですか」これに対する松下幸之助の答えが凄い。「ぼくは夢を描いとるのと違うんや。本当に実現したいんや。そのためにはこれから30年はかかる。それで2010年にしたんや」 ・木野元会長は夢と言う言葉を使っているが、そこには本当の松下幸之助の心、必ず30年後には実現してみせるという強い祈りがこめられていると思うと、書いている。 ・松下政経塾が設立されるのは、その2年後であるが、一度は断念しながらも、おそらくこの段階で構想は煮詰まっていたのであろう。それにしても目標の2010年まで、あとの残りは7年である。 ・松下幸之助はすでに亡くなり道半ばではあったかもしれないが、前述のように「2010年」を目途にしていたようであるから、草葉の陰で少しは微笑んでいたのではないかと思う。 ・それが松下政経塾を“平成の松下村塾”たらしめることになるであろうか。そして、松下幸之助が「政治の変革者」として評価されることになるのであろうか、である。 ・松下幸之助は、26年前の著書『私の夢 日本の夢 21世紀の日本』のなかでこれらの夢が実現するのは2010年だと記しています。だとすると、目標の年までは、わずか7年しかありません。 『松下幸之助はなぜ、松下政経塾をつくったのか』 江口克彦    WAVE出版   2010/6/20 <個性・持ち味を生かす> ・結論を申せば、松下幸之助は職種を増やすことを考慮した政治をおこなうことであり、「お互いの欲望が適正に満たされる社会」が政治の目指す姿だと考えていたようだ。 <赤字国債の発行に危機感> ・それでなくとも国費が膨大に膨れあがっている。戦前と比べるとそれは一目瞭然であり、物価は約1000倍、賃金は1300倍であるのに対し、国費だけが13000倍になっており、一桁違っている。「おかしい」というのが松下幸之助の直感である。 <なぜ政府に政治研究所がないのか> ・今政治は何といっても一番大事です。しかし、それだけ大事なのに政府に政治を研究している機関がないのです。 ・しかし、政府直轄の政治研究所はないのです。これが元々間違っています。自民党にしても与党として30年近く政権を担当し、あれだけの活動をしているのですから、専属の研究所があってもいいと思うのです。各議員の方々の体験からくるところの感覚で政治をやっておられるわけです。そういうところに一つの弱さがあると思います。 ・このかってない非常時をかってない絶好のチャンスとするには、一にかかってお互いが「国難こそ絶好のチャンスだ」とはっきりと認識するかどうかである。 <政治が日本の繁栄をつぶす> <政治の要諦とは何か> ・農業にたずさわる多くの人たちが食べることだけが精一杯の貧しい生活状態にあると仄聞している。農民自身も生産方法の改善に努めねばならないが、それ以上になぜ蓄積できないのか、また貧困に甘んじなければならないのかを追及し、その原因を糾していくのが、政治家の責任ではなかろうか。こうした政治の点に政治の貧困を感じていた。 <政経塾設立への5つの理念> 1、「百花繚乱の社会」を実現する政治をおこなうべきであるというものである。 2、「人間重視の社会」を実現する政治をすべきだということである。 3、「政治の生産性の高い社会」の実現を考え求めていた。 4、「道義道徳の高い社会」を実現する政治である。 5、最後に一つだけ加えれば「志の社会」の実現ということになるだろう。 <採用基準は運と愛嬌> <研修の基本方針> 1、「自修自得」 2、「切磋琢磨」 3、「万差億別」 4、「徳知体の三位一体研修」 ・政治がしっかりしなければ、国民は路頭に迷いかねない。国民の生活を支え、国民の幸不幸を左右する政治が今の姿ではとても安心しておれない。 <当面の実現10目標> ・新党の組織、党則を構築する一方、活動方針として「当面の実現10目標」を掲げた。 1、 所得税一律5割減税の実施 2、 建設国債の発行 3、 無税国家、収益分配国家の実現 4、 新国土創成事業 5、 政治の生産性の向上 6、 日本的民主主義の確立 7、 多様な人間教育の実施 8、 政治家及び官吏の優遇 9、 生きがいを高める社会の実現 10、 国際社会への真の寄与貢献 『日本をどのような国にするのか』 地球と世界の大問題 丹羽宇一郎    岩波新書    2019/2/21 <日本の現在の立ち位置> ・食料の自給率について。これについては、ごく直近の2017年までの数字が出ています。これによると、カナダが264%、オーストラリアが223%、アメリカが130%、フランスが127%、ドイツが95%、イギリスが63%、イタリアが60%、スイスが50%で日本は39%。この数字は先進国で最低です。 ・続いて、日本のエネルギーの自給率は8%(2016年)。92%を海外から化石燃料や資源を買うことによって賄っています。 ・日本の国際競争力は137カ国中、9位で、2014年の6位から落ちています。男女格差については、2013年の世界105位から114位と過去最低。 ・こういう数字を見ると、日本のメディアはともすると「ニッポン、スゴイ」と叫びがちですが、日本の立ち位置はわれわれ日本国民が思っているよりもずっと低くなっているのではないかという気がしてなりません。日本の力の順位が上がったものがあるかというと、見つけるのが難しい。 ・異変が起きているのは世界だけではありません。この地球にも起きています。地球温暖化の影響なのか、2018年は「殺人的な暑さ」が連日続き、想定外の豪雨や台風が甚大な被害をもたらしました。こうした異常気象は人間のみならず、空と海の生態系にも影響を及ぼすでしょう。加えてグローバル化と開発による環境破壊が引き起こす病原体の拡散とその加速は、地球上の生命の脅威となっています。2018年は、さらに北海道でも巨大地震が起こりました。近い将来、南海トラフ地震が発生すると予測されています。 <ココムの再来> ・米中貿易摩擦はさらには一段と厳しい貿易戦争、新冷戦と呼ばれる段階にまでエスカレートしています。 ・中国がアメリカを追い越すことは許さない、「中国製造2025」を“つぶせ”というトランプ大統領の考え方がよく現われています。  ここで思い起こされるのはココム(COCOM、対共産圏輸出統制委員会)です。米中貿易戦争の行きつく先はココムの再来となるのではないか。 ・いずれにしても、アメリカは短期的には中国封じ込めに成功しても、長期的に見た場合、今回の措置でどこまで中国の台頭を抑え込めるか疑問です。 <インフレによる世界恐慌の恐怖> ・日本もアメリカとの間で過去に何度も貿易摩擦、通商交渉がありました。 ・金融分野を見れば、中国はアメリカに現状では絶対に勝てません。中国はコテンパンにやられるでしょう。いま世界で人民元を欲しいという人はほとんどいません。世界中がドルを欲しがりドルの価値はどんどん上昇しています。これまでのアメリカはドルが強くなりすぎるのは問題があると考えていましたが、トランプ大統領は構わないという考えのようです。ドルがどんどん強くなると、世界的な通貨安が起きてインフレとなり、世界規模の金融恐慌になる可能性があります。  かつて経済問題で一番怖いのはインフレでした。しばらく世界が怖さを忘れていたインフレが再びやってくるかもしれません。 <中国の現状> ・王岐山は、最近わかったところでは150万人もの金と汚職にまみれた悪質な共産党員を粛清したといわれています。 <共産党優位の政治はいつまで続くか> ・次に、日本の池田勇人元首相が唱えたような、2010~20年の間に所得を倍増すると国民に約束しました。そしてその公約は達成確実な状況です。「パンはペンよりも強し」で、多くの国民が多少の不満はあっても、習近平万歳と言っているのにはこうした部分も大きい。 ・大国たる中国は将来――たぶん各隣接省の貧富の格差が縮小する時代になれば、5~6の地域連合、各地域代議員数500~600名くらいに分権化し、集権と分権のバランスを保つ連合国家へと脱皮していかざるを得ないのではないかと、私は考えています。 <中国がアメリカに追いつけない理由> ・いったい、国民の幸せとは何でしょうか。私が考えるのは、国民の「心の自由」ということです。 ・いくら政治が安定し、「パンはペンよりも強し」で、国民が食べられるようになったとしても、いつまでも恐怖政治が続くような国では世界の信頼は得られません。現在の中国がどうしてもアメリカに追いつけないもの、それは世界の信頼です。いくら人民元を世界の基軸通貨にしたいと思っても、いつ何時、それまで信じて従っていたこと・ものがひっくり返されるかもしれないような国では世界の信頼は得られません。 <官僚組織・企業経営者の問題点> <官僚が絶対にやらないこと> ・官僚が絶対にやらないことが二つある。一つは法律違反。もう一つは前例を覆すこと。  官僚はこの二つは、自分の意思では絶対にやりません。私が中国大使になった時、官僚の先輩から、「法律違反と前例。この二つは、ものすごい壁があるんだ」と言われました。 <定義の曖昧さと日本社会> ・私の経験からいうと、経済界も同じです。「これは経産省の指示に基づいて適正に処理をしております」と言えば、実はきちんと処理していないんだけれど前例に従ってやっていますから問題ありません、という主張になるわけです。 <かえって膨れ上がる役員報酬> ・10人の役員の中で、たたき上げは一人だけで、あとは全員社外役員というような会社をアメリカから来た人が「これは素晴らしい会社だ」と、やたらと持ち上げる。逆に、社外役員が2名しかいない会社は海外からの評価が下がる、株価に影響する、という理由で、社外役員を増やすわけです。そうすると、今度は待ってましたとばかりに、海外のアナリストたちがランクを上げる。それをまた新聞が「半数が、社外役員」「ガバナンスが非常にしっかりしてきた」などと書き立てます。困ったものです。 <ゴーン氏逮捕に思う> ・事件の真相がまだよくわからない現時点で、軽々しくコメントすることは控えたいと思いますが、メディアはこの事件を一過性のスキャンダルと興味本位に取り上げるのではなく、日本と欧米との企業経営のあり方の違い、仕事に対する考え方、文化の違いといったところまで掘り下げたうえで、これからの日本の経営のあるべき姿を議論するきっかけにしてもらいたいと思います。  たとえば、①日本の経営は一人の経営者の力だけではなく、多くの社員の力の結集であることを根幹におく。②経営者はステークホルダーより一定期間、経営の委託を受けたものだということを自覚する。③会社の業績と経営者の報酬については、社員の仕事と経営者の仕事、それぞれの価値、貢献度は相対的なものであることを踏まえて報酬のルールを明確にする。④1時間当たりの経営者の報酬と社員の平均報酬(諸手当も含めた)を可能な限り公表する、といったことが考えられるでしょう。 ・もう一つ、ゴーン氏の場合、20年近く、経営トップの座にいました。事件の真相はともかく、一般論としていえば、長くやればやるほど、権力は腐ります。公私混同しがちになるということも、もちろんありますが、その企業にとって最大の問題は後継者がいなくなってしまうということでしょう。 <地球と世界の大問題を考える――専門家との対話> <地震予知・対策はどこまで可能か――対談・林春男 著書に『いのちを守る地震防災学』(岩波書店)> ・日本の国土は世界の0.28%ぐらいしかありませんが、地震エネルギーの放出量ということでいうと、10~20%を占めます。地震大国と言われているゆえんです。 <予知と長期予測> ・(林) 長期予測と言います。予知というのは、2~3日以内に地震が起こることをいうのだと、日本地震学会で決めています。その意味で地震は、予知できない。科学的には無理です。しかしながら、日本は地震国なので、今までの経験もありますし、科学的知見もあって、同じぐらいの規模のものが、同じ場所で周期的に起こるという規則性がある、ということを踏まえて、長期予測は成り立っています。  地震調査研究推進本部では、いろいろな情報を集めて、全国を対象に今後30年の長期予測を2年ごとに更新しています。これは、あえてお見せするのが、2010年1月に更新された時の長期予測です。  この中で30年以内に地震が起こる確率が一番高かった部分は、セグメントと呼びますが、宮城県の沖合です。90~99%で、これは確実に起こる。それを宮城県沖地震といって、マグニチュード8程度の地震を想定していました。宮城県沖が危ないねと言っていたら、翌年に起きた東日本大震災でが、その北の隣のセグメントも動きましたし、南の隣のセグメントも動いてしまった。結果として、マグニチュード9というものすごく大きな地震になりました。 <南海トラフ地震が起こるとされている理由> ・(林)そして、その支点になる高知市あたりの地盤は逆に沈下する。そのため、高知市の津波被害はすごく大きいと考えられているんです。 ・(林)お話ししたように、ここは100年にいっぺんの周期だから、1割ぐらいの誤差があるとしたら10年です。2035プラスマイナス10のところにターゲットをセットしておけばということで、こうした背景で数字が生まれています。 (丹羽)トレランスがあるから、2025年から45年ということですね。 <南海トラフ地震の規模はどれくらいか> ・(林)過去最大規模の地震による被害推定でいくと、2万4000人の犠牲者、81兆円の被害。それが今の最悪の場合の推定になると、犠牲者は32万人で、被害額は220兆円ということになります。 (丹羽)220兆円の被害となると国が潰れてしまうんではないですか? (林)国家予算が、今、100兆ぐらいですから、厳しいです。  こういうことが2035年ぐらいに起こるだろうと考えられている。それくらいのことは申し上げられます。  私が属する防災科学技術研究所では、全国2100カ所に設けた地震・津波・火山の観測点のネットワークを陸海統合で運用しています。 <活断層タイプの地震は予測が難しい> (林) 海側で起きる地震を海溝型地震と言い、内陸で起きる地震を活断層タイプと言います。阪神淡路、熊本地震は活断層タイプですが、活断層タイプの地震の予測はなかなか難しい。海溝型地震に比べて繰り返しの周期が長く、規則性が見えにくいのです。 ・関東平野には4つほど、いわゆる地震の巣(比較的微小地震がたくさん起こる場所)があると言われています。その中で、震源が浅いほうが、当然強い力が伝わります。そこに市街地があると被害が大きくなる。そうやって考えると、東京都の南部の直下のところが一番大きな被害が予想されるということで、都心南部を震源とした被害想定をしています。 <南海トラフ地震の前震> ・(林) 南海トラフ地震については、起きること自体は確実です。なにせ、684年の白鳳地震以来の記録があり、毎世紀起こってきていますから。活断層タイプの首都直下地震とは、まったく違うわけです。 ・(林) 南海トラフ地震が起こる前の50年間は、西日本を中心にたくさん内陸地震が起こるといわれています。昭和の南海地震の時(1946年)は陣痛の始まりが、1891年の濃尾地震とされています。それから、1909年に琵琶湖の北のほうで姉川地震が起こり、但馬、北丹後、鳥取と続けて起こっています。その間、広島でも芸予地震が起こって、本番の南海地震が44年、46年に来た。その間に三河地震(1945年)が入って、最後は福井地震(1948年)で終わった。 (丹羽) 福井地震の時、私は小学生でしたが、けっこう大きかったですよ。立っていられなくて、地面にすがりつくと言ってもいいぐらいだったのを憶えています。 <どう対策するか> ・(林)今、与党も野党も含めて、勉強会でいろいろ議論していますが、国会議員の先生方にとっては、防災は票にならないので総じて関心が低いですね。だから、防災族議員というのはいないんですよ。 <時代によって変わる危機管理のイメージ> ・(丹羽) 危機管理センターは何のためにつくったんですか。 (林)おそらく戦争をイメージしていると理解しています。 (丹羽) 戦争用。 (林) はい。かなり地下深くにあり、つくったのは、防衛省系、警察系の人たちなので、情報が洩れることを心配して、インタ―ネットだとか、そういうものは極力排したものになっています。 <西日本豪雨の教訓> ・(林)2018年7月に起きた災害である西日本豪雨ですけれども、私の個人的な評価でいえば、一番落第点を付けられるべきは国だと思っています。  今回の西日本豪雨の特徴は、史上かつてない降雨量です。全部で11日間降り続きまして、最大で1800ミリメートル降ったのです。 (丹羽)日本の平均降雨量1年分ですね? (林) 1年分以上です。記録された場所は高知県の馬路村という。 ・ここで大事なのは、11府県同時被災ということは、11人の知事が一斉に助けてくれと、国に頼ってくる状況になるわけです。国の状況把握能力、調整能力が問われる事態です。 <防災対策にサイエンスを> ・(林)もっと言えば、日本ほどサイエンスの本質が理解されていない国は少ないです。 <日本の国是を考える> <なぜ、日本の国是を問題にするか> ・最近、私はあちこちに出向いておりますけれども、このところ大変気になることがあります。一つは、いまの若者の現在の政権、政策に対する支持率の高さです。そして、それとは逆に、高齢者になるほど支持率が非常に低い。これはどうも逆じゃないかと思うわけです。 ・株価が上がった、よくなった、と言われる日本経済ですが、足元を見ると必ずしも楽観できない。状況は危ういと言わざるを得ません。日銀やGPIFが巨額の株式の買い入れを進めた結果、いまや公的マネー、つまり政府が20%強の大企業の大株主、筆頭株主に近い存在になってしまっていると言います。またETFの80%は日銀の買い残高と言われています。前代未聞、本当でしょうか。  国債もそうです。日銀が大量に買い入れてしまったために、マーケットが小さくなってしまった。買う人がいない。買う人がいないということは、いったいどうなるのでしょう。  政府・日銀がやっていることは、全部、「出口なき戦略」といえます。 ・「じゃあ、誰がそのリーダーになればいいんだ、誰もいないじゃないですか」というのが若い人たちから返ってくる答えですが、それについては、そのとおりかもしれません。 ・そうすると、国民にとって国是と思われるものは何でしょうか。これはやはり、国民生活の安定でしょう。社会的にも、あるいは政治的にも、国民の生活が今日よりも明日は豊かになる。今日よりも明日のほうが平和で安心できる。こういう社会・国を目指すということだと思います。そして、日本としてはそれ以外に生きる道はないのだということです。 ・そういう状況をつくり出していかない限り、いくら美辞麗句を連ねても、実行されそうになければ逆効果というものです。 <自然現象をめぐる問題と経済> ・まず、日本の未来を考える場合に最も大事なことは、「不都合な事実」ともいわれますが、自然現象をめぐる問題です。自然現象を変えることはできないし、非常に難しい。 ・北から南まで、日本は地震大国です。大地震が起きれば、株価も不動産価格も、最悪の場合は国を滅ぼすほど(国家予算の2年分以上)のダメージを受けます。あるいは地球の温暖化も着々と進んでいます。 <氷河期の到来(?)温暖化> ・地球温暖化問題に関して、私にはかねてから気になっていたことがありました。私の記憶では1970年代頃は、むしろこれからの地球は寒冷化に向かう、ということが盛んに言われていたからです。 ・この点について、私の取材に応じてくださった江守正多・国立環境研究所地球環境研究センター副センタ―長によれば、現在の科学では、次の氷河(氷河期)はあと数万年来ないことがわかっているようです。 <自然環境と安全保障> ・安全保障というと、すぐに軍備のことを連想しがちですが、ここで言っているのは国民生活を含めた安全保障です。国民の生活、将来への安定を保障する政策です。 ・インフラの整備も含めて、相当予算を確保してやらなければいけません。たとえば水道やガス、下水道などのライフライン、いまから40~50年前に、いろいろな町とか市、県のインフラが圧倒的な勢いで日本中で整備されました。それが、いま更新の時期に入っています。何十兆円というお金が要ります。借金を抱えた日本はいま、軍備を大幅に増強していますが、国民の生活の安全、将来の安全のためのインフラの整備は、武力増強以上にこれから計画的に、真剣にやらないとけないことは、これまでの記述でおわかりいただけるだろうと思います。 <世界の人口増加がもたらすインパクト> ・今後ますます地球温暖化が進むとした場合、考えなければいけないのは食料や水をめぐる問題です。 ・日本は人口が減少していますが、世界の人口はさらに増えて現在は76億人。どこまでいくのでしょうか。  国連等の科学者の調査によると100億~100億人ではないかと言われています。 ・また、アジアの人口はまだまだどんどん増えますから、その時には国と国とで食料の奪い合いが起きないとは言えません。こういうリスクがあるのだということを頭に入れておく必要があります。 <水をめぐる問題> ・みなさんに覚えておいて欲しいのは、1キロの牛肉を作るのに、2万700倍の水が要るということです。従って日本は、形は牛肉でも実質、水を輸入していることになります。これを、ヴァーチャルウォーターと呼んでいます。豚肉は、6000倍ぐらいの水が要ります。小麦を作るのには2000倍くらいの水が要ります。輸入食料を水で計測すると1年で琵琶湖の2.5倍の水を消費していることになります。 ・世界の農地は、ここ30年間で6~7%ぐらいしか増えておりません。なぜか。一つには、やはり雨量や地下水といった水の問題があります。 <平和と自由貿易> ・こうした世界情勢の下で日本の国是をどのように考えたらいいか。日本がどうしてもやらなければいけないことは、平和と自由貿易です。 ・そのためにも戦争は絶対にしてはいけない、世界の平和を日本は率先して守らなければいけない、それが日本の宿命であり、最大の国是ということになります。 <田中角栄の言葉> ・田中角栄氏が偉いのは、そのことを正しく理解していたことです。彼は「世界の指導者から戦争体験者がいなくなった時が、一番怖いんだ」との言葉を遺しています。 ・しかし、本当に戦争を体験した人たちは、そうではありません。戦争のイメージを完全に忘れ去ることは、実際に戦争を体験した人にはできません。「自殺した帰還兵のほうが、戦闘で死んだ米兵より多いというデータもある」 <憲法について> ・「日本も普通の国になって、アメリカと一緒に戦える国にしよう」と言いますが、先ほどから申し上げているように、普通の国になったら、日本の存在意義は小さくなるでしょう。 ・しかしながら必要なことは、戦争に近づくな、戦争をやるなということです。その気持ちを持たないと、あっという間に戦争に近づくことになってしまうでしょう。その後ろ盾となっているのが、いまの憲法であることは言うまでもありません。 <アジアと世界の平和のために> ・繰り返しますが、日本の国是は平和と自由貿易です。これなくして、日本は本道を歩むことはできません。 ・私は習近平に少なくとも十数回会っていますが、そのたびに彼が言ったことがあります。「日本と中国は、住所変更できません」。 <漁業権と資源の共同開発> ・しかしながら、やはり中国と、漁業権と資源の共同開発の話はきちんと進めておくべきでしょう。この二つの問題については、これまでの日中両首脳の政治声明の中にも触れられています。 <北朝鮮問題のゆくえ> ・日本は現在、北朝鮮にまったくルートがありません。しかし、繰り返し述べてきたように、アジアの平和があって世界の平和があります。   

日本は津波による大きな被害をうけるだろう UFOアガルタのシャンバラ

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