私が100歳を超えてぼけずにいるのは、普段からさまざまな工夫をする癖がついていたからではないかと思う。もちろん、物をよく噛む、というのも、脳の活性化に深く結びついた習慣だろうと思うが。(2)
(2025/3/3)
『長生きにこだわらない』
最後の日まで幸福に生きたいあなたへ
矢作直樹 文響社 2019/2/1
<はじめに――変わっていく自分を楽しむ>
◆「今こそすべて」
・この「中今(なかいま)」精神、つまり「今こそすべて、今を楽しむ」精神があれば、些細なことが気にならなくなります。
◆「できなくなる自分」を受け入れる
・人は加齢に伴って体力が落ちてきて、それまで普通にやれた多くのことが次第にできなくなります。体は有限ですから、しかたありません。
・今後、さらにこういうことが増えますが、そんな「できなくなる自分」を、私はこれから受け入れたいと思っています。
・山の散歩だろうと普段の生活だろうと、徐々に衰えるという前提で行動する。無理をせず、今のコンディションで工夫する。過去と比べず、現在を楽しむ。
<食のバランスを見直そう>
<私の普段の食事を紹介します>
・私自身は、まず白米ではなく玄米を食べます。野菜、果物、発酵食品もバランス良くとるようにしています。大豆製品、卵、パンも、ほどほどに食べます。肉類は食べません。お酒も飲みません。とくに糖質制限などもしません。なるべく旬のもので、加工されたものではなく自然の食材を楽しみます。
<毎日少しずつ動こう>
<私の普段の体操を紹介します>
・ですが私がおすすめするのは、毎日家にいながらすき間時間でできる、簡単な運動です。息切れするほどの激しい運動をたまに頑張るよりも、毎日少しずつ、無理のない範囲で体を動かす習慣を作るほうが大切です。
<人生に定年はない。本当の定年は命日。>
<私たちの本当の定年は「命日」である>
・しかし、会社の一員としては定年しても、心や体に定年はありません。心や体が定年するのは、この世をおさらばするとき。私たちにとっての本当の定年は、命日です。つまりこの世を去る日まで、定年は一生涯ありません。
・定年退職して居場所がないと嘆く中高年が大勢いるそうですが、そもそも人生に定年はないのだし、体力が落ちることが人生の定年でもありません。
【会社の辞めどきは、自分で決める。人生の定年は、寿命が決める。】
<役割を自分で考えるステージに立つ>
・会社などの団体に所属していると、組織という仕組みの中で役割を「求められ」ますが、年齢や経験とともに、役割は自ら「求めるもの」へと変わります。
・女性が男性から離れるケースが多いと言われますが、長年パートナーに仕え、子どもが巣立った状況で、夫婦間で役割を見いだせなくなった結果が熟年離婚です。離婚するほどの感情の断絶がない場合は「卒婚」を選ぶかもしれません。
・役に立つとか立たないとか、そんな話ではないし、そもそもお役目や役割は一つではありません。好きでやるならいくつあってもいい。
【役割は、与えられるものではない。自分で求めて見つけるもの。】
<ひとつのことにこだわると、人は弱くなる>
・柔軟性の高い人は切り替えが上手かもしれません。
【柔軟な人ほど強い。】
<暇だと思ったら、近所の掃除をする>
・何かやること、取り組むことがあり、忙しいなら難しいかもしれませんが、暇でしかたないのであれば掃除は絶好の暇つぶし。体も鍛えられます。
【「これがダメならあれ」とたくさんの答えを出せる人の方が強い。】
<「肩書き症候群」には「忙しさ」が効く>
・自己の視点ではなく、他人の視点で行動するようになり、やたらと評価を気にします。
・この病気の特効薬があります。それは、忙しく過ごすこと。たったこれだけ、あっという間に完治します。夢中になると、自己が解放されます。
【肩書き=自分ではない。本当の自分は、自分が好きなことの中にある。】
<昔、夢中になったことを思い出す>
・何でもいいのですが、その昔、夢中になったことをやってみるのも手です。体力的に無理だとか、興味が失せたらやめればいい、そうでなければ「興味の基礎」があるので意外と早く楽しめるかもしれません。
・芥川賞を受賞した若竹千佐子さんは、55歳のときにご主人を亡くし、息子さんの勧めで小説講座に通った結果、63歳のときのデビュー作で芥川賞を獲り、大きなニュースになりました。
【前からしてみたかったことをやってみる】
<役に立つか考える必要はない>
・何が難しいのかと言うと、役に立っていると思って当たり前のようにやっていることでも、実は役に立っていないことが山のようにあるからです。
【相手からの感謝を求めない。「自分がやりたいからやる」、それでいい。】
<気になるなら、やってみればいい>
・個人的に受ける相談の中でも、とくに多いのが「できないと思うんですけど」という一言のついた内容です。じゃあやめておけばと、喉元まで出かかりますが、それを言ってしまうと身も蓋もないので「とりあえず、やってみては」と話します。
・我が身にふりかかるすべての出来事は、そこに至るまでの間に起きた大小にわたる膨大な要素が緻密にからみ合った結果、生じます。
・最初からうまくできなくたっていいじゃないですか。できるようになる過程こそ私たちにとって最大の学びです。
【「できないかも」は言い訳。自分で作った制限は自分で外せる。】
<定年は会社が決めても、引退は自分で決めればいい>
・ただし、会社を定年で辞めても、社内で役職が外れても、それまでこなしてきた業務の専門家としての自分は、しっかりと残ります。
・主婦業には定年も引退もありません。ある意味、サラリーマン以上に過酷です。専業主婦も大変ですが、働きながら主婦業もこなす人には本当に頭が下がります。そんなロングランだからこそ、主婦の方には「ほどほど感」を持って欲しい。
【細く長く「ゆるゆる」続ける、そんな気楽さも良い。】
<「あと何年」と逆算的に生きるのは厚かましい>
・私は明日のことさえ考えません。明日はひょっとしたら「人生を定年している(=死んでいる)」かもしれません。肉体の動向は本当に予想がつきませんから。
・五体がちゃんと動いている事実に、まずは感謝。10年後、20年後に、自分がどうなっているかと考えること自体、厚かましいこと。まず生きているかどうかわかりません。
【人生もマラソンも、ゴールを気にしたらしんどい。今の景色を味わえば楽しい。】
<自分の暮らしに手を抜かない>
<「加齢」しても「老化」はしない>
・英語の「アンチエイジング」は、文字通り、抗加齢、抗老化を含み込んでいるので実際に日本語で表すと“老化防止”になるかと思います。
・最近、この加齢や老化と正面から向き合う“スマートエイジング”という考え方があります。「加齢によって物事の見方が深まり、視野が広がることで人生が豊かになっていく」と前向きに認識することは大切です。歳を重ねるのが楽しくなる、というのはとても良い考え方です。
・次に、心まで老化しないためにはどうすればいいか。それは、「老化する・老化しない」という意識を自分の中からなくすことです。感謝の念で中今を生きていればそのような意識も生まれません。何の心配も恐れもありません。
【感謝の念で中今を生きる。】
<ちょっと不便な生活を楽しむ>
・体をほどほどに動かす習慣があれば、自然と転びにくくなります。筋力の維持や可動域を維持できるからです。すると血液の循環も適度に保たれます。内臓の働きを後押しし、脳内環境を好転させることで記憶力や空間認知力も向上します。
つまり結論から言うと、体をほどほどに動かすことで内臓や脳の健康を維持し、日常を快適化できるということです。
・まずは「歩く」ことを見直しましょう。いつでもウォーキングです。
・歩くことはすべての基本です。走る、登る、すべての歩きの延長です。丹田(臍の下あたり)を意識し「歩いているぞ」と実感しながら、歩行そのものを楽しむこと。
【ほどほどに体を動かし、自律して生きる。】
<「勝手にやってもらう」に慣れない>
・機械がやってくれたらいい、便利だと、もし考え始めたら、自身の筋肉や反射神経が確実に低下していると思ってください。脳機能も低下します。
【任せ過ぎると体も脳も弱くなる】
<歩きながら「今ここ」を感じる>
・歩き瞑想、というのをご存じでしょうか?
・歩き瞑想のポイントも通常の瞑想と同じく「中今=今ここ」を感じること。風景を楽しみ、好奇心を持ち、自然と自分のつながり、自分と他者のつながりを、心のまま、ありのままに感じる。今この瞬間を、歩きながら楽しむ。
【歩きながらこの世界を味わうだけで、瞑想になる。】
<食べ過ぎない、偏らない>
・誤解を恐れずに言えば、「万人に適用される食の黄金ルールはない」
・絶対的な黄金ルールはありませんが、食べ過ぎない、極端に偏らない、この二点は守ったほうが良いでしょう。要はバランスです。あと、食べたいものは適度に食べましょう。
・食についても楽しみながらという姿勢が、最も負荷がかかりません。膨大な情報がありますから、振り回されないように気をつけること。また、サプリメントや薬に頼る前に、まず食事内容を見直し、生活習慣の改善から始めること。
【食事はバランスが大切。好きなものも適度に食べる。】
.
<サプリや薬に頼る前にできること>
・私自身は、サプリメントを使っていません。
・私がサプリメントを使わない理由は、次の三点です。
• プラセボ(偽薬)的な位置づけにある点
• 体質によって効果・効能が異なる点
• 人工的な摂取が肉体の潜在力を弱めてしまう点
・サプリメントに頼るなら、まずはしっかり食事をとりたいものです。食のリバランス(バランスの見直し)を行なってください。私自身は、まず白米ではなく玄米を食べます。野菜、果物、発酵食品もバランス良くとるようにしています。大豆製品、卵、パンも、ほどほどに食べます。
・肉類は食べません。お酒も飲みません。とくに糖質制限などもしません。なるべく旬の食材をいただくようにしています。塩も大事です。精製されていない自然塩の持つミネラル要素は人体を活性化してくれます。
なるべく加工されたものではなく、自然の食材を楽しむ。量を追わず、質を追う。その点に留意しています。
・サプリメントと同様に、薬も服用しないに越したことはありません。
そこで難しくなるのが、減薬(薬の摂取量を徐々に減らす)のタイミング。かかりつけ医との相談ですが、お互いの十分な疎通による信頼関係の構築が大切です。
・心の持ちよう、食と体を適度に動かすこと。この三つが健康を決めるということを、心にとめておきましょう。
【旬の食材を、ほどよい量で楽しむ。当たり前のことが、健康の鍵。】
<寝るときの環境を見直す>
・体温は睡眠に関係します。活動中は体温が高く保たれ、眠るときに体温が下がることで体を休めます。手足から放熱して深部体温が少し下がると眠くなります。
・私は寝間着を持っていませんが、出かけるとき以外は、屋内でも屋外でも着の身着のままです。
・お風呂は夜、20分くらい入ります。少しぬるめ(夏38~40℃、冬41℃)にしています。寝る前には何もしません。テレビもパソコンも見ません。今日一日、生かされたことに感謝するだけです。
【眠る直前は何もしない。】
<代謝をコントロールする>
・出すことも健康には不可欠です。発汗と排泄、この二つは代謝のコントロールという点で重要です。発汗では体内残留を避けたい重金属などの毒素を出します(デトックス)。
・排便、とくに排便では、便秘にせよ下痢にせよ、長い間、悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
便秘は次の状況が大きく影響します。
• 食事内容(偏重、不規則)、②体質、③習慣、④腸内環境
・下痢の方は野菜スープやおかゆなど消化の良いものをとり、アルコールやコーヒーなど刺激物は控えること。
便秘の方は海藻類やキノコ類など繊維質の多い食べ物をとること。さらに便秘でスムーズな排便を促すために次のことを試してはいかがでしょう。
• ウォーキング、階段の昇降、②体操、ストレッチ、ヨガ、瞑想、太極拳、気功、バランスボールなど、③和式便器
・和式便器は意外に思われるかもしれませんが、洋式と違ってしゃがむ姿勢だと、直腸と肛門がまっすぐになり、排便を促しやすいのです。
【体から出すことも大切。】
<「笑い」と「ワクワク」を日常にちりばめる>
・できるだけ頭を刺激してみましょう。間違いなく脳が活性化されます。では、どんなことが脳を活性化するのか? いくつか挙げてみます。
• 読書、②知らない土地を歩いてみる、③絵画や彫刻など芸術鑑賞、④落語を聞いてみる、⑤パズル、問題を解いてみる
・ポイントは「想像する」ということ。脳は急速に働きます。
・笑うことも脳を活性化します。実は笑いで免疫力が向上し、血糖値上昇を抑制することもわかっています。
【日常に変化を作り、心を刺激する。】
<機械任せ、他人任せではなく自分の体で生きる。>
<息切れする運動を頑張らなくてもいい>
・私がことあるごとにウォーキング、階段の昇降、自転車、山登りやハイキングなどをお勧めするのには理由があります。
まず、一人でも可能だという点。そして腸腰(ちょうよう)筋が鍛えられるという点。とくに自転車や階段の昇降は、腸腰筋がかなり鍛えられます。
・腸腰筋というのは腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉で、背骨、骨盤、股関節という、私たちが転ばないために働く主要な部位に影響する筋肉です。加齢や運動不足でこの筋肉が弱くなると歩行に障害が出ます。
したがって、毎日ある程度の距離を歩き、そこに階段の昇降も入れながら、たまに自転車にも乗っているような人は、着実に腸腰筋が鍛えられます。無意識のうちに体が活性化されます。よって転びにくくなるでしょう。
・ちなみにどんな運動でも、ひどく息切れするような、強く、激しい運動は、できれば控えたいものです。
・むしろ息切れせず、ゆっくり体を動かし、筋肉や関節に過度の負荷をかえずに行なうことができる、例えばバランスボールや太極拳のような運動は、見た目のおっとり感とは逆に、身体内部の燃焼効率や細胞活性に役立ちます。気功も同じです。ゆっくり呼吸し、ゆっくり動く。
【自分の体力に合わせて、ゆっくり体を動かす。】
<家事は体を動かす絶好のチャンス>
・体を動かすと聞くと、スポーツジムとかフィットネスクラブを連想される方が多いと思います。自治体主催の体操教室も豊富です。
(例えばキッチンにいるときに、簡単にできること。)
・かかと上げ(つま先立ち)、かかと伸ばし(交互にゆっくりと)
・エアフラフープ(腰を右回し、左回し、交互にゆっくりと)
・肩甲骨の開閉(両肩を後ろにそらし、次に両腕を胸の前で交叉する)
・屈伸(急がずゆっくりと、慣れたらつま先立ちでゆっくりと)
・股関節ストレッチ(四股踏みスタイルで手を膝に置き左右の肩を入れる)
・すぐにできます。キッチンにいる時間が長い方は、これらを習慣づけると良いでしょう。体は習慣づけを好みます。
・普通に家事をこなすだけで、実は結構な運動量になります。
【家事の「ついで」に、体を動かす習慣をつける。】
<「ながらストレッチ」を楽しむ>
・デスクワークが中心で、座っている時間が長いという方には「座ったままストレッチ」を推奨します。立たなくてもできます。
・右手を左膝に乗せグッと左を向く、左手を右膝に乗せグッと右を向く
・かかとを上げてゆっくり下ろす(繰り返し)
・つま先を上げてゆっくり下ろす(繰り返し)
・ゆっくりと足を広げ、ゆっくりと閉じる(股関節を意識する)
・上半身をゆっくりと、前後左右に倒す(背骨と腰を意識する)
・ふくらはぎを膝に押し当て上下に動かす(ふくらはぎマッサージ)
・肩回し、手首回し、首回し(ゆっくり行なう)
先ほどの家事同様、無理のない範囲でやってください。ちなみにですが、私がここに列記した運動やストレッチをすべてやる必要はありません。
(移動中にできるものも、たくさんあります。)
・交互にかかとを伸ばすストレッチ(ゆっくりと、ふくらはぎを意識する)
・腿(もも)上げ歩き(歩きながら、たまに行なう)
・つま先だけ歩き(かかとを接地させない、たまに行なう)
・ゆっくり大股歩き(歩きながら、たまに行なう)
・階段で一段飛ばし(上り怪談のみ)
・階段で両足裏の前半分を乗せ、軽く上下させる(必ず手摺を握る)
・状況によっては迷惑になる恐れがあります。ご注意ください。
人はなぜ転ぶのかという問いに対しては、運動不足や加齢、老化など、さまざまな答えがありますが、加齢を止めることはできません。それでもなるべく転ばないように生活するコツはあります。最も大切なのは習慣づけです。
【動くことが怖くなる前に、自ら動くことを楽しむ。】
<自分に合う運動を少しずつ続ける>
・フレイル・サルコペニアという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
・今、わが国の高齢者3千万人のうち6百万人が介護を受けています。
日本老年医学会は、要介護の前段階としての脆弱性を「フレイル」と命名しています。私たちはフレイルにならないようにしたいものです。
さて、フレイルは「加齢に伴い身体の予備能力が低下して健康障害を起こしやすくなった状態」、サルコペニアは「加齢に伴って生じる骨格筋力の低下」、と定義されています。
・加齢に伴い食欲不振や偏食により低栄養の状態になり、それがやがてサルコペニアをきたし、さらにフレイルを憎悪する「フレイル・サイクル」状態に陥らないよう心得る必要があります。
フレイルの能力低下をきたさないためには、運動が有効です。この場合自分に合ったものがお勧めです(椅子に座ったり立ったりの繰り返し、スクワット、歩行、水泳、ジョギングなど)。
また、バランスの良い食事をとることで筋肉がつき、感染症にかかりにくい身体ができていきます。
そして、適度の運動をすることで、姿勢が良くなり、血液循環が良くなり、内臓の働きが良くなり、脳の働きも良くなり、気分も良くなります。
・可能なら5分でも良いので日々体を動かしたいものです。運動内容もあくまで目標です。やりたくなければ無理せず、しないこと。しなければならないという義務感は要りません。
【ハードに鍛えなくても、気持ちに任せて少しずつ動くことを楽しむ。】
<片足立ちでバランスを整える>
・自分のバランスをチェックする意味で、次のテストをしてみてください。
• 直立姿勢で両足のかかとの上げ下げ(つま先立ち)
• 片足立ちで屈伸(とりあえず初期目標は、10秒間の静止です)
• 片足立ちでかかとの上げ下げ(交互に)
・片足立ちをする時間の長さが疾患と関係しているのでは、という報告です。
【いつでも片足立ちできるバランス感覚を目指す。】
<目と体の血液を促す>
・血流の状態が、健康かそうではないかのバランスを決めていると言っても過言ではありません。
起きているときに正常な血流を促すには、注意点があります。
・長い時間、同じ姿勢をとらないこと
・関節に適度な刺激を与えること
大きく言えば、この二つです。首凝りや肩凝りに悩む方は多いと思いますが、平均すると約5キログラムの頭を乗せているわけですから、首も肩も疲れて当然です。
眼球も、血流が悪くなることで機能が低下します。ストレスや睡眠不足で目が疲れることがありますが、テレビ、パソコン、スマホ、ゲームなど、情報端末が普及したことで目の疲れは急増しました。
・眼精疲労は、視力低下、老眼の促進、ドライアイなど、さまざまな機能低下へとつながります。眼精疲労で生じる頭痛も多く、その頭痛が交感神経や副交感神経のバランスを司る自律神経の乱れを招きます。
・ちなみに簡単な「眼球ほぐし体操」があります。
【体も目も硬直させない。】
<毎日の運動は少しでいい>
・私が実際に、毎日やっている運動をいくつかご紹介します。
*全身の血流促進に役立つ適度なスクワット
*首回りの筋肉と肩甲骨の凝りをほぐす肩回し体操
*腰痛改善のためのキャット&ドッグ
【無理はせず、できる運動を習慣にする。】
<健やかに歩く>
・重要なのは「早過ぎると炎症を起こす」という事実。さらに、歩くときの姿勢で歩行が健康に寄与するかどうかが決まります。
歩みの強さ、体の各部位の可動性、歩くスピ―ド。三つのバランスがとれたとき、健康的な歩行が生まれます。
・健やかに楽に歩くための「基本条件」があります。体の声を聴きながら次のことに気をつけてみてください。
• 肩の力を抜き、腕は楽に振る。②自分に合った歩幅。③背筋を無理なく伸ばす。④膝を無理なく上げる。⑤つま先で軽く蹴り上げる感じ。
・いずれも「骨盤」を意識してください。腰を立てて歩きます(立腰(りつよう))。
・そのためにも、次の行為を今すぐやめましょう。
• 荷物はいつも決まった手で持つ。②荷物はいつも決まった肩にかける。③座っているときに足を組む。④食事のときに決まった側で噛む。
これらは骨格の歪み、とくに骨盤の歪みにつながります。骨盤が歪むと内臓の不調が始まります。
・体はすべての部位がつながっています。だから部分ではなく、全体が調和しているかどうかでチェックしてください。
【体の「左右対称」を意識して、歩き方を変える。】
<声を出すという運動もある>
・体を動かすという意味で言えば「喉を鍛える」ことも重要です。つまり、声を出すこと。声を出す、喉を動かすというのも、運動なのです。
・誤嚥(ごえん)性肺炎は、嚙む力、流し込む力が、総合的に弱くなると起こりやすくなります。高齢者で目立つのは、そういう理由です。
食事は運動です。しかも、結構な運動エネルギーを消費します。
・誤嚥を防止するには、よく噛み、ごくりと飲み込む。この二つの力を鍛えるしかありません。唾を飲み込むといった行為でも、喉を動かすことになります。
声を出すことの効能としては、喉を鍛える以外にストレスの発散があります。中高年に適度なカラオケが推奨されるのは、このためです。
・口の機能が落ちると健康に影響が出ます。
【カラオケ、おしゃべり、しっかり飲み込む。運動にもストレス解消にもなる。】
<病は闘うものではなく、暮らしを変えるきっかけ。>
<薬に頼り過ぎると免疫力が弱くなる>
・したがって発病は、それまでの生活を見直す絶好のチャンスです。
・まず、体から出ている声を聴いてください。
・薬は人体の免疫システムがウィルスを殺菌、排出するまでの時間稼ぎです(例えばがん疼痛の投薬などに関してはここには含みません)。
・言うまでもありませんが、病の大半は心身のストレスで生じます(遺伝性のものや感染症を除く)。発病が生活を見直すチャンスというのは、そういうことです。
・自分を知るということは「閾値(いきち)を知る」ということ。閾値は、限界値、境界値、と解釈してください。自分の限界、できる、できない、そんな境界を、普段から知っておく、すると無理しなくなるのでストレスも溜まりません。
【調子が悪いと感じたら、まずは体の声を聴く。】
<頭や体幹の奥から来る痛みに気をつける>
・痛みは、私たちの体に異常が起きていることを知らせる重要な兆候です。この傷みは、急性痛と慢性痛に大別されます。
急性痛は、さまざまな原因で起こりますが、早急に対応が必要な痛みについて知っておいてください。
頭や体幹の痛みで、深奥部からの痛み、突発的な痛み、強い痛み、この三つのうち、どれかに該当していたらすぐに病院へ行くこと。このような痛みが頭にある場合脳卒中の疑いがあります。
体幹であれば、心臓、肺の血管、大動脈、このうちのどれかが異常をきたしていると想像できます。
これまで体験したことのないような頭部の痛みを感じた場合は、クモ膜下出血、脳出血、脳梗塞、などの状況が想定されます。
こうした急性期と呼ばれる症状は、薬や外科手術を中心とする西洋医学による初期対応が望まれます。だからすぐに病院へ行ってください。
・逆に、慢性的な痛みは薬や手術では限界があります。なぜなら長い時間をかけて積み重なった原因があるからです。その原因を、時間をかけて取り除く必要があります。運動器の老化による痛みが代表的です。
・進行したがんの痛みに対する緩和もあります。
【痛みによって適切な対処法は変わる。】
0コメント